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#4745 送別会:3月末で退職した友人が根室を離れる April 24, 2022 [90.根高 こもごも]

 根室高校の同級生の一人が3月末で退職した、2月生まれだから73歳である。来月帯広へ引っ越す予定なので、昨日、イーストハーバーホテルで送別会があった。ヨッコが手配してくれた。
 オットさんは高校卒業後ヒシサンに数年勤務してから職を辞したときに、たまたま同級生と緑町で出遭って碓氷さんで人を募集している話を聞いた。そのまますんなり碓氷さん(「北の勝」の碓氷勝三郎商店)で仕事することになった。それ以来50年とちょっと地元の老舗の造り酒屋で坦々と仕事をし、めでたく退職した。
 もう6年ほども前になるだろうか、かかとに異常を感じていたが、長男の嫁さんが看護師さんで、かかとを診て、大きな病院で検査したほうがいいと言われ、釧路の病院で検査したらメラノーマの診断。
 そのあとで、電話してきた。
 「トシ、おれもトシの仲間になった」
 「何の仲間だ?」
 「癌仲間だ」
 ならないほうがいい、ありがたくない「仲間」が一人増えた。メラノーマは質(タチ)が悪い癌の一つである。かかとを削る手術をした。そのあとにかかとの再建手術ももちろんした。しばらくして定期検査のときに鼠径部(ソケイブ)のリンパ節に癌が飛んでいることがわかった。インターフェロン製剤での治療が手術の後に始まった。当時インターフェロン製剤を使った癌治療は道内では北大病院のみ、副作用が小さいので他の制癌剤に比べてダメージが小さい。3か月に一度入院して投薬治療を繰り返していた。
 しばらくして肺に飛んでいることが分かった。1㎜のものが3か月検診ごとに少しずつ大きくなった。4㎜になったところで内視鏡手術で摘出した。肺癌特効薬のオプジーボがちょうど保険収載されて300万円弱で治療できる道が拓かれた。自己負担は3割、負担には上限があるから、さらに実際に支払う金額は小さくなる。日本の保険制度はありがたい。
 ついていた。保険収載されるまでは年額2000-3000万円も治療費のかかる高額の治験薬だったから、庶民には高根の花、ほんとうについていたと言える。
 これから、こういう病気にかかった人たちの参考になれば幸いである。

 ついでだから、「癌仲間」のわたしの場合は16年前の2006年6月にスキルス胃癌と巨大胃癌の併発。7月20日ころ胃と胆嚢の摘出、胃の周りのリンパ節と癌が浸潤していた大腸も一部切除した。胃癌の特効薬TS-1を1年半ほど、何クール飲んだか覚えていない。副作用が激しかった。白血球数が限界まで下がった逆隔離の状況になり、主治医の岡田優二先生に相談して再発の危険を覚悟で3回ほど服薬を中止した。理由は簡単、あのときは生きてあるかぎりは授業をしたかった。入院したまま体力が弱り授業ができなくなるのが怖かったのだろう。何とかしのいで、手術してから16年だ。現代医療のお陰でオットさんもわたしも命をつないだ。
 助けてくれる主治医や外科医やそしてよく効く治療薬がなければ、生きていなかっただろう。医療に感謝。

 こうして「北の勝」の番頭さんは3月末で仕事を終えた。癌を患ってからは体力が落ちたので、勤務時間に配慮してくれた碓氷商店の当主にとっても感謝していた。根室の企業で同じような配慮をしてくれる経営者はまれだろう。企業経営者が従業員をどのように扱うかは、そこで働いているみんなが見ている。だから人を大切に使う企業には人材が集まる。
 根室にいい企業が増えてもらいたい。企業経営者の心がけひとつで、働く人は気持ちよく働ける。その企業で働く人たちがみんな気持ちよく働いてくれたら、百年の風雪に耐えて栄えることができる。北の勝は1887年の創業だから、今年創業135周年である。もちろん根室で最古の老舗企業である。
「売り手よし、買い手よし、世間よしの三方よし」

 企業を経営しているといろんな人がいるので、用心も必要だ。人を信用して何度も騙されて勉強してしだいに人材の見分けがつくようになる。従業員にやさしいだけで人材を見極める眼が肥えてこなければ経営が危うくなることもある。有能な経営者は人を使いながら日々人の使い方を学んでいる。一定の利益を出し続けながら、内部留保を厚くして、従業員の幸せを考える経営者のいる企業は長く栄える。
 根室にそういう企業が増えてほしい。若い人たちの優良な雇用先が増えるということだから、それが一番の人口減対策になる。

<余談:今後>
 五月半ばにあいつは根室を離れ帯広へ引っ越す。小学生の時に帯広から北斗小学校に転校してきたから、「戻る」ことになったのかもしれない。高校2年から同じクラスだった。大切な友人の一人、長い付き合いだ。
 これからは年賀状でお互いの生存を確認することになるのだろう。
 ついでに書いておくが、彼は20代前半で転職する前にお金をしっかり貯めていた。半年ぐらい職が見つからなくても大丈夫なように用意はしておこう。じっくり求職活動できれば、優良な転職先を選べる。わたしは何度も転職を繰り返したが、オットさんと同様にお金はしっかり蓄えていた。
 転職にはタイミングと運もあるが、周到な準備がある者に運命の女神が微笑む場合が多い。損得を度外視して転職すると、天が配慮してくれるのか案外うまくいったりする。
 首都圏での転職なら、専門的なスキルは複数、それも他企業でも通用するほど、できれば一流の域まで高めておきたい。世の中は何の準備もしないものに「転職の女神」が微笑んでくれるほど甘くはない。


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