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#4655 中3相似の問題:「二つに分ける」「一般化」という操作 Nov. 20, 2021 [62-1 個別指導の実際]

 中3の相似の章の問題を紹介します。この問題を通して、数学の「一般化」という操作を学んでください。

 問:AB∥CD、AB=5cm、CD=3cmのとき、EFの長さを求めよ。

DSCN5667s.jpg

 よくある問題ですが、解き方を理解していないとまごつきます。相似な図形を二つ利用するからです。図に番号を振っていますので、「図-1」「図-2」「図-3」と表記します。
 この問題は「図-2」と「図-3」の二つに分解すればとっても簡単な問題になります。

DSCN5672s.jpg

 「図-2」から、△ABE∽△CDEは明らかです。対頂角が等しいのとAB∥CDより∠BAE=∠DCE、2角が等しいので相似です。
 すると、
  AE:EC=(5+3):3=8:3

 「図-3」まで行くともう簡単ですから、誰でも正解できますね。
  5:x=8:3 ですから、この比例式を解いて
  8x=5*3
       x=15/8 cm

 このように、2段階、二つに分解してしまえば問題の難易度はグーンと下がってしまいます。

  式をまとめてみます。
  x=5*3/8

   =5*3/(5+3)

 数字を文字に置き換えてみましょう。

  AB=a、CD=b、EF=cとし、

  「図-3」より、「大:小」の三角形の比をとると、
  a:c=(a+b):b
      c(a+b)=ab
  ∴c=a*b/(a+b)
 つまり、cは分子がa×bで分母が(a+b)で計算できるということです。数字が変わっても事情は同じです。a>bとなっていますがb-aが計算式に含まれていないので、大小関係が逆になっても問題ありません。やってみてください。

 こういう操作を「一般化」といいます、「抽象化」と言っても同じです。数学の公式は「一般化」という操作でできるのです。だから、一般化という操作に慣れたら暗記しなくてもいいのです。30秒で公式が作れるようにしておけばいいだけです。数学のよくできる生徒は、暗記する公式を減らします。公式が30秒で算出できるなら、それはもう貴重な記憶エリアにためておく必要はないのです。

 じつは代数式だけではなくて、一般化はいろんなシーンで使えます
 数学の体系は、ユークリッド『原論』に明らかなように、公理・公準に基づく演繹体系なのですが、それは他の学にも利用できます。わたしは既存の経済学の公理を変えることで別の経済学が成立することを発見しました。世界中の経済学者は、誰一人この事実に気がついていません。奴隷労働に淵源をもつ経済学は生産力を増大させて、人間を労働から解放することを至上命題としています。その結果、生態系を破壊し、わたしたち人類の生存条件を根こそぎにしてしまうところまで来ています。原子力の利用による核燃料廃棄物による汚染問題や原子力発電所事故、海洋汚染が深刻になっているマイクロプロラスチックの問題などにその限界が端的に現れています。
 奴隷労働の淵源をもつ労働概念ではなく、職人仕事を公理とすれば、まったく別の経済学が成立します。生産力を増大させて人間を労働から解放する必要がなくなるからです。仕事の中でこそ人はよく生きます。適度な仕事があり、人のお役に立つことは労苦ではなく人間の喜びなのです。

 話が脱線しました。名刺の裏に数学の問題の解き方と、思考の仕方を印刷してます。生徒が入塾すると、机の前か、机がなければとこ化壁に貼っておいてときどき見るように伝えてわたしています。数学の問題で具体的に説明したので、次の文言の意味がよくわかっていただけるのではないかと思います。
 数学を教える時も英語を教える時も、音読指導をするときも、この三つの条項を切り口にして教えています。いい頭をつくるには、ふだん問題を解いているときの思考の仕方が大切なのです

DSCN5673s.jpg

★ 覚えるよりも考える
★ 迷ったときは原理原則に還る
■ 複雑な問題に遭遇したら、必要なだけの小部分に分割すること 

<余談:マルクスと数学>
 マルクスの『資本論』には微分・積分がでてきません。マルクスは微分の無限小の概念が理解できませんでした。そこで「沈没」してます。計算の意味が解らないので微分・積分が彼の経済学には出てきません。これだけでも致命傷です。それに加えて、ヘーゲル弁証法という同時時流行のまがい物を体系構成に利用してしまいました。二項対立で発展していくものなんて世の中にはほとんどあり得ません。唯物史観もそういう範疇の代物です。使うべきはユークリッド『原論』の方法論、公理に基づく演繹的体系でした。
 マルクスの学位論文はギリシア自然哲学に関するものでしたが、マルクスのどの著作を見てもユークリッドへの言及がありません。当時のインテリで経済学に微分積分を利用した人はいません。だが、ユークリッド『原論』は目を通していて当たり前です。よほど数学へアレルギーがあったのだとしか考えられません。微分が理解できなかったところを見ると彼は数学に関しては劣等生だったのは確実です。だからユークリッド『原論』を読むことすらしなかった、というよりも、読めなかったのでしょう。
 数学は諸学の基です。せめて高校数学まではしっかり勉強しておきましょう。
 マルクスが数学音痴であったことは後に研究者たちがマルクスの数学関係の遺稿を『数学手稿』というタイトルで出版しているので、それを読んでもらうと誰にでもマルクスの数学の学力レベルが理解できます。現代の普通の高校生の方がずっとお利巧です。あれは、数学ができなかったマルクスの数学の学習ノートでした。あんなものを出版してはいけなかったのです。すくなくともマルクスはあんな学習ノートまで出版されるとは考えていなかったでしょう。きっと墓の中で迷惑してますよ。
 

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