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#4464 根室高校の過去7年間センター試験のトップの得点 Jan. 22, 2021 [55. さまざまな視点から教育を考える]

 2016年から2021年までのセンター試験と共通テストの学内トップがどれくらいの得点なのか、根室高校の進路指導室が昨日発信した『進路だより』に掲載されているので紹介する。
 根室西高校が廃校になり、根室高校1校体制になってから入学してきた生徒たちが初めて大学受験をしたのが、2020年、最後のセンター試験受験組です。

DSCN4438s.jpg

 文系と理系に分かれているがトップは常に理系の方である。2015年から今年までのデータを並べると次のようになっている。

 778⇒788⇒631⇒704⇒688⇒718⇒694
 データを大きい順に並べると、
 788⇒778⇒718⇒704⇒694⇒688⇒631
 同じデータの年度表示では、
 2016⇒2015⇒2020⇒2018⇒2021⇒2019⇒2017
 
 2016年の788点はもう少し頑張れば東大へ現役合格できそうな得点です。
 学年トップの得点が低減傾向にあることは否めません。学年トップの得点は結構高いのに、北大以上の難易度の大学への現役合格者はめったに出ません。進路実績に昨年一人載っていますが浪人生です。
 北大理系総合が720点であることを考えると、毎年そのクラスの難易度あるいはそれ以上の大学への現役合格者が出ていいはずですが、根室高校の進路実績を見ると実際にはそうなっていません。
 難易度の低いセンター試験対策に時間を費やし、難易度の高い問題が出題される2次試験に弱い勉強の仕方をしているのかもしれませんね。
 この得点は、生徒の自己採点結果を集計したものですから、実際の得点とは多少のずれがあることは当然です。

 学年トップの得点を見る限りでは、毎年1-3人は医学部や北大へ進学できる能力の生徒たちがいます。データが示しているのは都会との教育環境の差で、届かない生徒が多いということ、じつにもったいない。

 根室高校の高学力の生徒が国公立難関大学受験にさいして、高いハードルとなるのは選択科目の3科目です。都会の進学校と変わらぬ教育環境を大人が用意してやらないと、根室からの進学をあきらめて、優秀な中学生が都会の進学校へ流出してしまっています。場合によっては母親が一緒についていってしまうから、数字は小さいですが人口流出の加速にもなりかねません。教育環境の悪さを知って、家族連れで根室への赴任を嫌がるケースは少なくないでしょう。

 根室高校と私塾が手を結ぶだけでも、難関大学進学に有効な教育環境はある程度は提供できます。昨年がその実験の舞台でもありました。物理と化学の先生が生徒二人の要望に協力してくれてます。
 根室市教委や根室教育長、そして根室市長や根室市議会文教厚生常任委員会のメンバーにもできることはないのだろうか?
 教育は、まちづくりの礎です。学生が敷かれて2年目に、根室には花咲小学校が設立されています。道内3番目の歴史の学校と聞いています。明治の根室人の教育熱は高かった。根室商業時代は釧路湖陵よりも輝いていた。その伝統に今一度思いをはせて、教育関係者一人一人が何ができるのかを自分に問い直してもらいたい。

 「進路だより」に載っていたデータをもう一つ張り付けておくのでご覧ください。根室高校のホームページへ飛んで全部ご覧いただいた方がいい。(まだ掲示されていませんが、近々アップされるでしょう)

DSCN4437ss.jpg

 このデータからは驚くべき変化が見てとれます。昨年度のセンター試験の受験者数は国語と英語の受験者数からわかります、昨年は41名、今年は16名に減少しています。昨年度の39%しか大学入学共通テストを受験していないません。普通科3年生の生徒数115名中、16名だから、13.9%しか大学入学共通テストを受けていません。成績上位35%の平均点と14%の平均点では後者の方がずっと高くて当然なはずですが、少しいいだけ。
 普通科の共通テスト受験者の割合は全国平均の1/3以下です。来年、再来年の共通テスト受験者数とその平均点の行方がどうなるか気になります。来年度の共通テストのトップは600点前後、最低を記録すると予告しておきます。
 成績上位層の枯渇化現象がついに根室高校に及んだと読むべきなのでしょう
 劇的な変化です。これは小学校と中学校の教育環境に問題があることを示しています。根室市教委や根室教育長、そして根室市議会文教厚生常任委員会メンバーにそういう自覚があるだろうか?こういう重要な公表デーは常にモニターしてもらいたい。教育行政に携わる者たちの仕事の基本だと思う。



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コメント 7

麒麟

非常に興味深いデータをありがとうございます。確かにここ数年は最高が8割に届かないので、北大理系でも道外の旧帝ブランド狙いの受験生と渡り合える二次力がないとなかなか苦しいでしょうね。文系は2016年を除けば北大は厳しいですね。旧帝クラス以上でないといわゆる学歴フィルターのある大手企業は難しいでしょうから、根室で1番であっても将来の高所得へのハードルは高いということでしょうね。
また、全国平均に達する生徒が7、8人しかいないとなると、市内の中学卒業生が150から200人くらいとして一部が他に進学したと仮定しても、地方から格差を克服し並みの生活を目指すことすら困難であると言わざるを得ません。
今後未婚率が上がって限られた人しか結婚出来なくなり少子化がさらに進むと、言い方は過激ですが、都市部には高学歴パワーカップルの優秀な子供がますます集まる一方で、地方には無計画なカップルのろくにしつけされていない子供しか残らなくなり、都市と地方の格差は想像を遥かに超えて広がっていくと思います。その時代になっても、地方にうまれた子供も都会と遜色なく学んでいける環境を守ることが、地方の衰退を少しでも食い止めることにつながるのではないかと思います。
by 麒麟 (2021-01-23 01:05) 

麒麟

今年の最高点が694点(77.1%)で、医学部受験の方の3教科が501点(83.5%)とすると、理社が193点(64.3%)となり、明らかに理社が足を引っ張っていることが分かります。理社も3教科並みの得点が出来れば旭川医大や札幌医大の前期での合格にぐっと近づきますので、非常にもったいないように感じます。
国数英を早い時期から逆算してある程度(共通テストで8割、進研模試で偏差値70以上)固めるのは言わずもがなですが、理社も高2の後半から補習を開催し得点力を養うなど、共通テストに対応できるような体制がないとなかなか間に合わないと思います。中高一貫校や公立トップ高が強いのは生徒の粒が揃っているため、高3で理社の追い込みに本腰を入れられるのも大きいです。
by 麒麟 (2021-01-23 08:54) 

ebisu

麒麟さん
北大クラスでは一部上場企業ではなかなか難しいのが実態ですよ。
私は業界最大手の臨床検査会社SRLで16年間仕事してました。帝人との治験合弁会社の設立と経営を任されていたことがあるので、なんどか帝人本社で専務と常務を交えてミーティングしたので様子を見ることができました。本社管理部門は一ツ橋がほとんど。愛想のよい早稲田商学部卒の財務部次長さんは「わたしは早稲田でして...」と言ってました。帝人本社では早稲田は「低学力」の部類です。肩身が狭そうなニュアンスで小さな声で教えてくれました。ほんとうは立派なものなんですがね。(笑)
SRLでも20人の採用に10000人の応募があるので、北大で平均的な学力では入社試験にはとても通りません。通ったとして出世コースかというとそうでもありません。仕事ができなきゃだめです。一ツ橋卒だって仕事ができなきゃだめです。
そういうわけで、一部上場企業では北大は高学歴には入らない。

件の生徒の点数を逆算してみたのですね。
その通りです。
選択3科目が足を引っ張っています。
普段授業のレベルが低いことが原因です。学力差が大きいので、高学力の生徒に合わせた授業は不可能です。進学校ではそれができます。そこで差がついてしまう。

選択科目の内、倫理・政治経済の科目はわたしが教えたほうがいいことがわかりました。1年間教えたら、85点くらいはとれるレベルの指導ができます。そちらの分野は本職ですから。日本思想史の方だけはもう一度専門書を読み直す必要がありそうです。

選択三科目が足を引っ張っても、彼の場合はそれを補うものが身についています。
地域医療に対するビジョンと具体的な長期戦略です。面接のときにそれがいかんなく発揮されたでしょう。
この生徒、ある件で自己主張があって、根室高校の5人の先生と話し合いをしたことがあります。大人に対する言葉遣いはとても丁寧、ちゃんと話ができます。論争は彼の圧倒的な勝ち、主張を通しました。五人の先生たちはびっくりしたでしょうね。2年生のときだったかな。
医大の面接担当の教授も同じように驚いたはずです。この生徒は医大に取って宝になりうると感じたはず。
この生徒は数学の問題を解きながら雑談できます。雑談と言っても2割くらいは地域医療に対する現実の問題をずっと話してきましたから、地域医療に関する具体的なビジョンが彼の頭の中に育っています。
わたしが医大側の面接担当なら、この生徒は道東の医療にとって絶対に欲しい人材です。医大の面接担当の先生はほかの生徒たちとの大きな違いをはっきり感じたはず。
道東地域枠で合格させたくなる人材です。僻地でないと育てられませんよ。(笑)

概念や仕組みをしっかり理解した後でないと、力が発揮できない生徒です。カチッと音がするところまで理解を深めないと前に進めません、それが彼の学習スタイルです。
物理と化学の2科目は大手予備校で優れた先生の授業を受けたら1年間で得点が8割を超えられます。カチッと音がするのでわかるでしょう。1年後なら合計点で800点を超える得点が可能だとわたしは判断しています。
東京か札幌の大手予備校に通うことになり、来年の受験なら北大医学部が本命になる。

人生は心配いらぬものです。ベストの道を天が用意してくれます。素直に応じて努力したらいい。
by ebisu (2021-01-23 10:48) 

麒麟

少し話題がそれますが、国立医学科推薦の共通テスト最低ラインが80%や85%なら分かるのですが、75%というのは北大理系も厳しいくらいなので、ちょっと低いような気がします。それくらいのラインにしないと道北・道東で募集人数を満たすのが難しいのでしょうか?
もちろん現役で国立医学部に合格するのがベストシナリオですが、万が一今年がダメでも、都会の受験生と比較すると非常に不利な環境でずっと戦ってきたわけですから、駿台なり河合塾なりで進学校の優秀層と切磋琢磨し、教科のエキスパートである講師から学力レベルに合った講義を受け、才能を開花させたうえで再チャレンジというのも素晴らしい選択だと思います。
by 麒麟 (2021-01-23 15:10) 

ebisu

麒麟さん

面白そうな議論だから乗ります。
わたしも80%が最低基準だと思います。720点が妥当です。

旭川医大の推薦合格基準は75%と聞いています。大学を卒業したら、道東の地域医療を担うという約束でそういう基準が設定されたのだと思います。

最近数年間釧路湖陵から旭川医大への進学が増えています。5年前まではほとんどなかった。平成30年度は5人です。看護学部も含まれているので医学部が何人かはわかりませんが、今年は推薦枠で医学部へ3人以上の受験者がいるようです。
釧路湖陵は釧路根室管内では唯一の進学校ですが、帯広の柏陽と比べると北大進学者数でかなり見劣りがします。

釧路湖陵と根室高校では推薦合格基準に差があって当たり前とわたしは考えています。
進学校で選択三科目を勉強すれば、得点は数英国並みに伸ばせます。そのハンディを考えると40-50点は差があっていいのではないかと思います。
教育の地域格差を埋める方法の一つとして、地域でハンディを設定するのも有効な方法です。「僻地校可算」があっていい。

それはそれ、件の生徒は2次試験に強い勉強の仕方をしてきましたから、前期日程ならチャレンジできます。そのつもりで用意はしているようです。後期日程は北大医学部不合格組が殺到するので無理とは本人の弁。(笑)

根室高校生の694点と釧路湖陵生の730点は学力では互角でしょうね。

あとは、道東の地域医療を担うについての具体的なビジョンと、それを実現する長期戦略の有無が面接で確認出来たらヨシでしょう。そんな高校生は滅多にいません。かれは道東の地域医療に取って宝、人財です。旭川医大は道東の地域医療に困難を抱えています。市立根室病院からもう十数年前に撤退したし、釧路医師会病院は旭川医大の分院のようなものでしたが、本院のドクターが手薄になり、閉院してしまいました。
道東の地域医療政策では手痛い失敗を繰り返したので、人財は喉から手が出るほど欲しい。
実際に医者をやるのに800点なんて不要ですよ、ほとんど意味がない。
全国的に医大の定員を1-2割増やし、「地域格差可算」の地域医療枠を作ったらいいとわたしは考えています。
半分くらいは「自給自足」、それを原則にしたらいい。
北大医学部は東京で医者になるつもりの人間を育てる必要なしです。ゼロというわけにはいかないから1/3以下の制限を課したらいい。首都圏から北大医学部を受験する場合には、「地域格差点数減算」を課したらいいのではないでしょうか。

いやいや、都会の、例えば駿台予備校の特進コースで1年間切磋琢磨するのがベストでしょうね。人生にはそういう期間があっていい。
あとは天任せでいい。
いまは、2次試験に向けて勉強です。数学と英語だけですから、彼にとっては選択三科目に比べたら得意科目、勝ち目がすこしはあります。
さてどうなりますか、ドキドキハラハラ、人生って面白い。
by ebisu (2021-01-23 16:58) 

ebisu

共通テストは一部の科目に点数調整がありました。
件(くだん)の生徒は物理で5点アップ、化学で8点アップ、合計13点アップで、707点でした。
700点を超えられたので、うれしそうな顔してました。
よかった。

2次試験は数学と英語のみ。数Ⅲ青チャートは予定通り1週間で終了。一回目のときにほとんど答えを見ずに全問しっかりやっていたので、2回目は異常に速い。このところ3日続けて数Ⅲの問題の質問が出ています。一回目にやった時とは見え方が違っている様子。内容理解が深くなっているのが質問でわかります。
前に一度やっている「1対1対応」シリーズや「やさしい理系数学」で数Ⅲのブラッシュアップ。旭川医大の過去問に手を付けています。
英語も読みの速度を落とさぬように語彙数の多い問題集をやってます。
2次試験の準備も楽しそうです。
これから2週間で、さらに学力がアップするでしょう。
by ebisu (2021-01-25 22:48) 

ebisu

東大の最低ラインが830点、93%は驚きですね。
まるで曲芸です。
専用のトレーニングしなければ合格できませんね。
いくらやったって、しょせんは正解のハッキリしている受験問題です。
そんなもののエキスパートになっても、実社会で要求されるのは、正解のない問題、いや問題自身を自分で見つけてとことん考え抜くことです。受験勉強とはベクトルが違います。受験のエキスパートになればなるほど、実社会の要求から遠い存在になる。

話題はそれますが、この国の生産性が欧米のそれよりも低いのは、特殊法人への天下りの仕組みが主原因でしょうね。生産性の低い官僚が何十万人と天下りしている。生産性なんか上がりっこない。四国に橋を三つもかける、リニア新幹線網を作る、高速道路を作り続ける...特殊法人とその傘下に数万の企業がぶら下がっています。いくら赤字を出しても潰れません。割りのよい巨額の仕事をもって行きますから。
その内に政府ごと潰れます。
by ebisu (2021-01-25 22:58) 

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