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#4356 国債「利払費と金利の推移」表を読み解く Sep.2, 2020 [95.増え続ける国債残高]

 #4355のコメント欄に「債務残高よりも利払費の推移が重要だと思います」と書いてくれた人がいる。それで検索してデータを見てみた。これが案外面白い。
*利払費と金利の推移(財務省資料)

 pdfグラフは貼り付けられないので、青字部分をクリックしてご覧いただきたい。
 利払費はH28から令和元年まで逓減し、令和2年度が跳ね上がっている。
 8.2⇒7.9⇒7.8⇒7.8⇒8.5兆円

 長期金利がマイナス金利になってから新規発行に係る国債の利払いは生じないから、何だろうと思った。
 既発行済みの固定金利ではない部分の長期金利が跳ね上がるという前提で計算したということになる。他に合理的な説明があるだろうか?

 国債には固定金利のもの(固定利付け債)と変動金利のものがある。変動金利のものは長期金利が上がれば利払は増える。
 ネットで検索してみたが、変動利付け債の残高がどれだけ発行されているのかデータが出てこない。

 わかったことは、財務省が変動利付け債の金利が上昇する可能性があると読んで、令和2年度の利払費を推計しているということ。既発行済みの変動利付け国債の金利がプラスになるということは、新規発行分の金利もプラスということ。
 長期金利がプラスになれば、銀行が保有している国債の評価損が生ずるのではないかという疑問がわく。ところが短期保有、満期保有の如何にかかわらず国債は時価評価しないことになっている。2015年から国際会計基準に強制的に準拠するようなスケジュールになっていたようだ。用意周到だね、今日あることを予測して、会計基準の変更を準備していた。しかし、米国基準に何でも合わせる、これでは会計基準上では属国扱いだ。

 財務省の見解を聞いてみたい。財務大臣はこの推計の根拠について国民に説明する責任があるだろう。日銀と財務省の間で話し合いがついているのだろうか?白川氏から黒田総裁に変わってから日銀の独立性がなくなっている、日銀は財務省のいいなりだろう。その財務省が国債利払費の推計に変動利付け債の金利がプラスになるという前提条件を入れているようだ。
 思い当たることが一つある。マイナス金利が続いて大手都市銀行の経営が悪化の一途をたどっていることがそれ。大手銀行同士の合併がずいぶん進んだが十分な効果は見られない。人員整理を強行しているがそれでも経営悪化は続いている。1989年には株式時価総額世界のトップ10社のうちに日本の大手銀行が5社(50位以内に12社)ランクインしていたことがあったが、いまはトップ50には第43位にトヨタ自動車一社のみ、銀行は見る影もない。
(老後の資金に自社株に投資していた銀行マンたちは株価が下落していまどうしているだろう。投資にリスクはつきものだ。)
 大手都市銀行が経営破綻したら、日本経済に深刻な影響があるから、長期金利をプラスにせざるを得ない。これ以上、マイナス金利を続けられないところに来てしまったということ。それが財務省の判断なのだろうか。
 長期金利がプラスになれば、金利裁定機能が働いて円/ドル相場は円高になるし、株価は下落する。その結果GPIF(年金機構)も日銀も保有株で巨額の評価損を出し、日銀は債務超過になる。その結果深刻な金融不安を招くことになる。世界の金融市場に激震を起こすことになる。
 長期金利はいつかプラスに戻さなければならないが、クラッシュなしに戻すことはとっくに不可能。黒田氏はマイナス金利政策からの脱却に同意したのか?
 いずれは長期金利をプラスに戻さなければならないのだが、新型コロナで経済がメタメタの状態で、長期金利がプラスになったら...それは新型コロナが蔓延しているさなかにGoToトラブルキャンペーンをやるようなもの。
 日銀が独立性を失ったまま、政権におもねって何年もマイナス金利を続ければ、リスクを増大させて、こういう事態を招く。日銀黒田総裁も安倍総理同様に突然辞任して逃げ出すのではないか?

*「我が国財政の利払費に関する一考察 」財政金融委員会調査室 吉田 博光 『経済のプリズム』No.84、2010 年 10 月
https://www.sangiin.go.jp/japanese/annai/chousa/keizai_prism/backnumber/h27pdf/201513402.pdf



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コメント 2

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https://m.jp.investing.com/rates-bonds/japan-10-year-bond-yield

長期金利は既にプラス圏内です。
by お名前(必須) (2020-09-02 21:11) 

ebisu

これ直近のデータですね。
昨年は10年物国債はマイナス金利ですね。今年も1.2.3.5月は国債はマイナス金利です。6月はゼロ、プラスは7月と8月のみです。
念のために自分で検索して確認してみました。
「10年国債の応募者利回りの過去10年間の推移」
https://www.msa-life.co.jp/customer/info/pdf/10yearbondyield.pdf
by ebisu (2020-09-02 21:44) 

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