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#4355 政府債務はいくらあるのか:その内訳 Sep. 1, 2020 [95.増え続ける国債残高]

 令和2年末の普通国債残高は932兆円(特例公債649兆円、建設公債277兆円、復興債6兆円)である。政府の債務はこれだけではない。財務省作成の政府債務残高の令和2年度末の推計値は1291兆円である。

 内訳は
         (金額単位:兆円)
内国債
1038
借入金 55
政府短期証券 198
合計 1291

 普通国債は内国債の一項目にすぎない。財布短期証券の198兆円は外為特別会計である。外為市場介入のための資金で、円安誘導のためにドル買いをした結果、195兆円のドルがたまっている。それゆえ、政府短期証券は問題がない。それに見合うドルがあるからだ。

 普通国債には2年物から40年物まで、償還期限はさまざま。世代間をまたがった負担を強いるのは、30年以上の償還期限の国債発行である。償還期限が20年物はグレーゾーンにいれてよい。

 普通国債残高は、
●国民一人当たり 743万円
●四人家族 2974万円
●税収の15年分相当
 
 世帯(平均3.32人)当たり可処分所得は546万円である。
 ところで、年収の15年分の住宅ローンが組めますか?組めません。返済不能だからです。政府も同じこと、財務省はとっくに返済をあきらめています。国民の預貯金を封鎖して召し上げ、チャラにするつもりなんです。とっくにそれしか方法がありません。政府が国債をジャンジャン発行して、日銀引き受けで手にしたお金をヘリコプターからばらまいても大丈夫だという人がいますが、簿記を知らない人のたわごとです。政府の借金と日銀が買い取った国債を相殺したら、日銀にその金額の特別損失が発生します。現時点ではおおよそ500兆円ですよ。有力先進国の中央銀行の経営破綻ですから、世界中に衝撃が走ります。世界経済史上初めての大事件ですから何が起きるはわたしにはまったく予測がつきません。

 GDP比で見ると日本はダントツの世界一GDPの2.37倍の政府債務の国である。
 2位スーダン、3位ギリシア、4位ベネゼエラ...7位イタリア(1.32倍)、…12位英国(0.87倍)、17位フランス(0.98倍)、29位米国(1.04倍)、63位ドイツ(0.62倍)...

 日本とイタリアを除き、先進国では政府債務がGDPを超えている国はない。負担を次の世代に押し付けないというのは先進国のコンセンサスにも見える。日本の2.37倍は異常である。
 ありていに言えば、長期金利の低下、株価急落による日銀巨額債務超過、GPIF保有株処分による長期的な株価下落、どれが起きてもアウト。1946年2月17日に大蔵省がやった預金封鎖の悪夢がよみがえる。
 返済しなくていい債務なんてない。政府が返済できなければ、預金封鎖による没収という形でそのツケが国民に回るだけのことである。

 今年度の新規国債発行額はコロナの影響で膨らみ、90兆円を超える。
 国債発行の歯止めについて、国会で議論をしてもらいたい。30歳未満の若者を半数入れた委員会を作り、世代間での負担について具体的なデータを基にして真剣な議論を望む。

 記者会見で都合の悪い質問を無視する、国会での議論を避けるような総理大臣はもうたくさん、国民と真摯に向き合い、コミュニケーションのできる人、そういう人が新しい総理大臣にふさわしいと思う。
 私利私欲を捨て去ることのできる人材が総理大臣に、それは儚い夢か?

<余談:政権の危惧>
 河井杏里議員の選挙に安倍事務所から秘書が数人応援に入っていたという。格から考えれば、杏里議員の選挙を取り仕切ったのは安倍事務所の秘書たちと考えるのが自然だろう首相官邸から1.5億円もの資金をもらい、その使い方を送り込まれた秘書たちが指示しないわけがない。そして1.5億円も使いきれるわけがない、現に買収に使った額は3000万円程度であることが判明している。残りのお金はどこへ?帳簿に記載された支出先を丹念に追えば消えたお金の金額はわかる。裏金作りに回されたとしたら、やはり安倍事務所の秘書たちが関与していると考えざるを得ない。自殺者の出ないことを祈るばかりだ。
 一番都合が悪いのは、安倍総理が次の総理大臣に影響力がないケースである。影響力を行使できる菅氏か岸田氏を後釜に据えたいだろう。本当は麻生氏が一番安心だったはず。国民の支持では石破氏34%で圧倒的だが、そうはならないだろう。安倍総理にとっては政治生命にかかわる問題だから、なりふり構わず石破つぶしをしなければならない。そして事態はそう動く。
 その結果、次の選挙にどのように影響するか誰にもわからないが、自民党国会議員と自民党員、あるいは国会議員とそれを選挙で支えている地方議会議員の間に亀裂が入ることになりそうだ。自民党地方議員は板挟みだ。党員の声を無視すれば次の選挙で自分が落選しかねない
 地方から党員選挙で選べという声が上がっている。まるで百姓一揆の筵旗(むしろばた)だね。民主主義の根幹にかかわる問題だから、いいことだ。野党に政権奪取の力がないから、これを機会に自民党がいい方向に変わってもらいたい。

*「安倍首相、辞任の真相ーー河井夫婦1・5億円一部還流疑惑に新展開
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当初、官邸側は慶応大学病院に診断書を出してもらい、それを公表するつもりだった。記者会見に医者同席の案もあった。ところが、大学病院側は拒否。なぜなら、潰瘍性大腸炎は再発しておらず、ストレスから来る一時的な症状悪化に過ぎないから。いくら何でも“虚偽診断”はできないと。
そして、実は慶応大学首脳は、“病気を政治に利用した”ということで内心はカンカンだというのです
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(文書作成時間:70分(ネット検索時間含む))

<9/1午後3時40分追記>
 自民党執行部は、出席者から異論が相次いだにもかかわらず、党員投票に寄らず、両院議員総会で総理総裁を選ぶことに決定したようだ。
 党員の意思を問わぬ執行部が、国民の異論に耳を傾けるはずがない。党利党略、私利私欲ありき。選挙の時に悪影響が出ることも計算の内だろう。野党不在、なんでも通ると思っているのだろう。
 この国に健全な保守主義が根付くには国民の倫理水準が高くなければいけない。企業経営者の報酬アップと非正規雇用増大は企業経営者たちの倫理基準の低下が憂うべき状態にあることを示している。
 「売り手よし、買い手よし、世間よしの三方よし」
 情けない、昔話になりつつある。




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コメント 8

ycc

債務残高よりも利払費の推移が重要だと思います。
by ycc (2020-09-01 20:03) 

ebisu

yccさん

どうぞ、思うところを敷衍してみせてください。楽しい議論になるかもしれません。
「利払い費と金利の推移」表のアドレスを書いておきますので、この表を使ってください。

https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/con
by ebisu (2020-09-01 23:27) 

ebisu

財務省の当該ページのURLの末尾部分が切れているようです。「利払費と金利の推移」へはこちらのURLを使ってください。

https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/condition/005.pdf

ところで、この推移グラフの令和2年度の利払費8.5兆円は計算にミスがあると思います。
令和2年度に発行する国債の金利はマイナス金利のはず。
もし、8.5兆円が正しいなら、プラスの金利での国債発行を予定しているということです。なぜ?
by ebisu (2020-09-02 08:47) 

ycc

マイナス金利とは新たに発行する国債のクーポンレートをマイナスにするんじゃなくて、銀行が日銀当座預金に預け入れる金利をマイナスにする政策ですよ?
by ycc (2020-09-02 21:05) 

ebisu

yccさん
ありがとうございます。
どうやら銀行業務については専門家のご様子。
それでは、国債は昨年度発行分も金利がついていたんですか。国債はずっとプラスの金利がついており、日銀当座預金がマイナス金利。
当座預金は金利がつかないものだと思い込んでいましたから、国債の方でマイナス金利だという理解でした。普通銀行の渡欧座預金に金利はつかないが、日銀当座預金だけは金利がつく。知りませんでしたね。(笑)
すると利払費が次のような推移をとっているのは別に理由があるはずです。
8.2⇒7.9⇒7.8⇒7.8⇒8.5兆円
H28年から減っています。
そうか、借り換え分が元の金利よりも新規発行分の金利のほうが安いので、逓減していたんだ。
そう考えていいですか?
そうすると、やはり令和2年どの利払費推計値が前年よりも7000億円はねあがっているのは奇異に見えます。
なぜでしょう。
理由をご存じでしたら、教えてください。
by ebisu (2020-09-02 21:35) 

ebisu

yccさん
10年物国債の金利がマイナスであることが確認できました。
この「10年国債の応募者利回りの過去10年間の推移」表は間違いでしょうか?
https://www.msa-life.co.jp/customer/info/pdf/10yearbondyield.pdf

2019年は1月を除いて10年物国債はマイナス金利です。今年4月にプラスになり、5月はマイナス、6月はゼロ、7月8月とプラスに変わっています。
プラス基調で財務省が推計計算しているのは事実のようです。財務省は長期金利上昇を織り込んで推計計算をし、予算確保をしているようですね。
by ebisu (2020-09-02 21:51) 

ebisu

yccさん

日銀当座預金は全部がマイナス金利ではありませんね。
三階層に分類して、プラス金利、ゼロ金利、マイナス金利が適用されているようです。
超過準備部分にマイナス金利を課しているのかな?
本来の支払準備金部分はゼロ金利は当然でしょうね。基本は日銀当座預金と言えどもゼロ金利です。超過準備部分にマイナス金利を課して、市中に流通する貨幣量を増やそうとしているのでしょうかね。2016年から扱いが変わったようです。詳しい記述はありませんでした。

https://www.boj.or.jp/announcements/education/oshiete/seisaku/b37.htm/

by ebisu (2020-09-02 21:59) 

ebisu

yccさん
ご指摘の問題点は片が付いたと思います。

最初の問題提起、「債務残高よりも利払費の推移が重要だと思います」、にはなにか重要な論点があるのでしょうから、ご説明いただけますか?
by ebisu (2020-09-02 22:15) 

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