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#4153 インフルエンザ警報発令中(根室) Dec. 18, 2019 [87.根室の話題]

 生徒からの情報では、インフルエンザで学年閉鎖、学級閉鎖が相次いでいる。歯舞中学校で学年閉鎖、啓雲中学校でも学年閉鎖、根室高校では学級閉鎖が相次いでいる。啓雲中学校は、12/15に予定されていた吹奏楽部の定期演奏会を3月に延期した。複数の部員がインフルエンザに罹ったためである。

 12/18付の北海道新聞朝刊記事から転載
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今季初インフル警報
 根室保健所
【根室】根室保健所は17日、市内に今季初のインフルエンザ警報を発令した。2医療機関による3定点の調査で、今月9~15日の患者数が前週比306人増の358人に急増し、1定点当たり119.33人警報基準値の30人を上回った。
 昨季は今年1月28日に警報が発令されており、流行が早まっている。保健所は「市内で流行がさらに拡大する可能性がある」として、感染予防のためのマスクの着用や外出後のうがい、手洗いをするよう呼び掛けている。(村上辰徳)
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 いきなり警報基準値の4倍になるんだから、今冬のインフルエンザA型は感染力が強いようだ。これだけ流行れば、免疫の弱い人はあらかた感染し、年を越したら下火になるのではないか。まだしばらくご用心。
 ニムオロ塾の生徒の罹患率はおおよそ10%。仮に市内で10%の人がインフルエンザに感染したとすると、今冬のインフルエンザの患者さんは2600人ということ。病院はインフルエンザの患者でごった返している。
 診察を受けて、検査して、インフルエンザA型の診断が下りると、タミフル、リレンザ、イナビル、ラピアクタ、シンメトレルといずれかの薬剤が処方される。
 最初のふたつはお馴染みだろう。タミフルとラピアクタは発症から48時間以内でないと効果がない。発熱は自然治癒の一過程で、熱が出たらその熱でウィルスは死滅します。ウィルスは体温上昇(熱)に弱い。栄養状態が現代ほどよくなかった江戸時代はインフルエンザが流行ればたくさんの死者がでました。いまはそんなことありませんから、数日発熱すれは治癒します。年寄りや小さな子供の用に免疫が弱い人や体力の小さい人は、薬に頼らなければ命にかかわることがあります。大人でもまれに重篤な症状を引き起こすことはあります。二十数年前に、高校の同級生の身に起きた話ですが、朝起きたら奥さんのパンストを頭からかぶって、「仕事に行ってくる」と出かけようとしました、奥さん驚いて「お父さん、気がおかしくなっちゃった」と病院へ連れて行きました。インフルエンザだったのです。ご本人は、半年ぐらい記憶がなんだかおかしいことがあったと、後遺症を語っていました。インフルエンザ脳症というんですね。命にかかわるので、意識障害が出たら、すぐに病院で診察を受けてください。このサイトをご覧ください。
*https://ja.wikipedia.org/wiki/インフルエンザ脳症
 当たり前のことですが、薬にはそれぞれ固有の効能と副作用があるので、飲むときには効能と副作用を知っておきましょう、このサイトに載ってます。
*https://www.ishamachi.com/?p=4345

 投薬後、異常行動(熱性譫妄(ねつせいせんもう))が出る場合があるので、子どもは親がそばにいて見守らなければいけません。窓から飛び降りたりすることがあります。

 薬を使えば、細菌やウィルスは薬剤耐性を獲得します。薬剤の開発とウィルスが薬剤耐性を獲得するのは裏腹の関係です。新薬ができれば、タイムラグをおいてその薬に耐性をもつウィルスが現れ、そして薬は効かなくなり、使われなくなる、その結果製薬メーカの売上が減る。売上減少をカバーするために、製薬メーカは作用機序の異なる効果的な薬剤を新たに開発し、ウィルスはほどなくその薬への耐性を獲得する…。インフルエンザは患者数が多いから、製薬メーカの商品の中では稼ぎ頭です。稼ぎ頭があるから、1薬剤に1000億円もの巨額な開発費を投入できます。そしてわたしたちは新薬の恩恵に浴する。

(その一方で、薬が難治性の病気を創り出している側面もあります。たとえば、潰瘍性大腸炎がそうです。わたしがスキルス胃癌で入院したときに、19歳の高専生が入院して手術を受けてました。潰瘍部分を切除するための入院でした。2度目の入院と手術でしたがそれで完治するわけではありません、大腸のほかの部分がまた潰瘍を起こして壊死していきます。『ガンより怖い薬剤耐性菌』をお読みください)

 薬と薬剤耐性菌あるいは薬剤耐性ウィルスの関係は簡単に描くと次のようになっています。
 薬a1の開発⇒ウィルスがその薬a1への耐性を獲得⇒新たな薬a2の開発⇒ウィルスがさらにa2の耐性も獲得⇒作用機序の異なる薬a3の開発⇒…
 複数の薬剤耐性をもった(多剤耐性といいます)スーパーインフルエンザウィルスができあがります。結核菌でも同様のことが起きて、多剤耐性結核菌が出現しています。治療がとっても困難です。人類はったい何をしているのでしょう?


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<余談:感染症関係の本紹介+アルファ>
 何冊か読んだ気がしますが、本棚をみたら井上栄著『感染症の時代』(講談社現代新書 2000年刊)がありました。この本には多剤耐性ウィルスや菌の話は出てきません。多剤耐性菌のことが載っている本は本棚のどこかにあるのでしょうが、見つからないので、知的好奇心の旺盛な人のために最近の本を紹介しておきます。
 高校生は興味があったらこの手のレベルの本をどんどん読んでください。専門書への入り口の役割を果たしてくれます。この手の本の次は医学専門書です。読めるようになりますよ、そして読書力がアップします。英語ができれば、英国のNATUREや米国のSCIENCEという代表的な科学雑誌記事もそのまま読めます、もちろん医学関係の記事も載っています。ダーウィンの進化論もNATURに掲載されました、STAP細胞もね。
 だから英語の勉強もしてください、世界が広がります。だいじなのは好奇心です。
 SRL八王子ラボの図書室には、英語の医学雑誌が二十数種類置いてありました。中途入社してすぐに本社で予算管理の責任者をやっていて、検査試薬の値引き交渉をすれば20%ダウンが可能だと提案したら、お前がやれと3か月間価格交渉担当として購買課をお手伝い。20%(=16億円)目標を達成したら、購買課へ異動人事。そういうわけで1987年ごろは八王子ラボの機器担当と検査試薬の価格交渉を担当していて、外部設計の半分ほど仕様書を書いた購買在庫管理システムのメンテナンスも担当、ルーチンワークを減らし、時間をつくって、各検査部、検査課を回って課長や係長話す機会を増やし、時間が余れば図書室で医学専門雑誌を読んでました。読み始めて1年ほどしたら、学術担当役員から直接スカウトされ、学術開発本部スタッフとして異動、図書室はわたしの担当でした。実際には有能な女性準社員がやってくれてました。製薬メーカとの検査試薬共同開発(開発部の仕事)や、担当ごとにばらばらだった開発手順をPERTチャートを使って標準化、学術情報部の海外製薬メーカからのラボ見学案内、大学病院医師との産学共同プロジェクト・マネジャーも担当してましたので、図書室は相変わらず本を読むだけのユーザーでした。検査試薬開発にかかわる医学専門書はいつでも予算で買えたので、便利でした。製薬メーカとの検査試薬共同開発は塩野義と膵癌マーカー、そしてDPC社とⅣ型コラーゲンでした。最新の医学専門書を読まなければ仕事になりません。先端分野ですから、翻訳が出ているはずもない。
 洋書の医学専門書は値段が高いのです。ステッドマン『医学大辞典』は10万円もしてました。ボーナスで10万円の辞書を買うつもりでいたときに、念のために調べたら、普及版がありました。買ったのは1986年の第2版です。専門外のことを勉強するのに、まず必要なのはその分野の辞書と専門書です。1978年から産業用エレクトロニクス専門輸入商社で5つのプロジェクトとシステム開発の仕事を並行してやってましたが、プログラミングやシステム開発関係技術の習得も同じスタイルでやりました。6年間の間に、国内トップレベルの技術をもっているSEと続けて5人と仕事できたので、2年くらいで同等のレベルになりました。翻訳が出てないので、米国の尖端技術が知りたくて、必要なものは原書で読み、技術を習得してました。KE(Knowledge Engineer)の領域です。


微生物の驚異 マイクロバイオームから多剤耐性菌まで (別冊日経サイエンス221)

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ガンより怖い薬剤耐性菌 (集英社新書)

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まだ変えられる! くすりがきかない未来: 知っておきたい薬剤耐性(AMR)のはなし

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  • メディア: 単行本



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