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#3872 文章作成の要諦:リンボウ先生 Dec. 5, 2018 [6. 情報収集・整理と文書作成の基本]

 今日、水曜日はニムオロ塾はお休みだが、月に2回だけ希望者に日本語音読指導をしている。ebisuがしているささやかなボランティア活動の一つである。(笑)
 良質のテクストを選び、たくさん読むことはインプット作業である。文章を書くにはインプットをたくさんしたほうがいいに決まっている。だが、それだけでわかりやすい文章や面白みのある文章を書ける人は稀だ。やはりトレーニングが必要なのである。そのトレーニングをどうやるかという話が、今回のテーマだ。
 #3869へkoderaさんが投稿をしてくれた。女子大と高校で自己推薦書の作文講義の経験のある方だ。「四項目箇条書法」を提唱して、それを比較的短い各種の作文に応用した指導経験がある。なるほど、四項目に要点を箇条書にしてから作文すると作文が楽になる。要点が四つに絞られるので読む方も楽だ。
 テレビでだいぶ名前の売れたリンボウ先生も女子大で作文の講義を受け持ち、原稿用紙で2400枚もの添削経験がある。

 投稿欄から転載するので、続きをお読みいただきたい。

(作文が上手になりたい人は林望著『文章術の千本ノック』をまず読んでみてください。小寺さんの本は作文技術の優れた実用的解説書ですが、残念ながら絶版になっていて手に入りません。高校生にはこちらの方がおススメです。わたしは根室高校生の時に公認会計士2次試験問題集の答案練習を似たような方法でやってました。論旨を問題ごとに3-5項目に箇条書にして記憶し、それに肉付けして書きます。四百字詰め原稿用紙で2-5枚の範囲ならしっかりした答案(=文章)が書けるようになります。根室にお住まいの人はebisuのところへおいでいただけたら、koderaさんの著書は貸してあげられます。2冊だけ在庫あり。)

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 女子栄養大学で毎回の講義の後、4項目の箇条書きで小テストをして、合計点で採点しました。私が多忙。期末テストをする暇がなかったからです。
 ほとんど全員が書けるようになり、自己推薦書を書けるようになりました。就職活動が楽になったようです。
 高校の非常勤で同じ方法を用い、毎回小テストをしようとしました。2年ほどやりました。でもできるようになった生徒は数人、橋にも棒にもかからない箇条書きを書きました。
 それでまとめて全部添削し、一覧表にして、毎回授業の先頭で評価コメントをしました。ほとんどの阿保が何と自己推薦書を書こうとし、添削がとても楽になりました。
 毎回、小テストか感想を書かせ、個人の文章と校正結果を配布するのがかなり広いレベルの教育法だと思います。
 バドしかできない生徒さんが早稲田大学教育学部に5割の確率で合格しました。落第したのはノリの悪い人でした。教えると、何でも、分かりますが、と前置きする人でした。
 個人ごとに、レベルに応じて手法が変わると思います。私は添削や教えて貰うより、回答結果を見て自分で覚えるのが好きでした。家一家は皆その傾向がありますが。
by tsuguo-kodera (2018-12-05 10:10)
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koderaさん

こんにちは
女子大生と高校生では文章添削でもずいぶんと差があったようですね。
リンボウ先生、こと林望氏も跡見学園女子短期大学で1年間作文の講義をしたことがあり、百人の受講者の作文を毎回添削したようです。原稿用紙にして2400枚分、たいへんな作業です。
そういう経験を踏まえて『文章術の千本ノック』というユニークな本を書いてます。
朝日カルチャーセンター横浜「表現講座」で実際に文章を添削された実例を本にしたものです。

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いろいろなことをと書きたいという気持ちは分からないじゃあないけれども、あれも書きたい、これも書きたいと思ってやると、結局何を言いたいんだかわからない文章になってしまいますから、とにかく文字はけちって、できるだけ最小限に書く。後にも先にもそれが最大の要諦です。
 こういうことは山本夏彦さんなんかもつねづねおっしゃっています。山本夏彦さんは、切って切って、どんどん切りまくって、意味が通じなくなる寸前のところでやめると言っておられるけれども。時々行き過ぎて意味が通じないことがありますね、山本さんの文章は(笑)。しかしそれが文章の要諦というものです。
「文字をおしめ」より引用
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林望さんは「謹訳源氏物語」10巻で品のよい現代語訳をやり遂げています。山本夏彦も切れの良い文体で好きな物書のお一人です。永井荷風の日記『断腸亭日乗』が切れのよさでは天下一品。
林望先生は「添削後語」の章で次のように述べておられます。
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しかしながら、これらの作品を講評する中で、一般の人が作文を書く場合に陥りやすい欠点や、注意すべきところなどは、ほぼ出尽くしているように思う。
 これを要するに、如何(いか)に自分で自分の文章を批判することがむずかしいかという、この一点に尽きている。
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「こうなりました」から、
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ところが、こうした添削というものは、真っ赤になって帰ってきたのを、ただ「ふーん、そうか」と思って漫然と眺めていただけではいくらも力にならぬ。これをもう一度清書してみることが、最も大切な勉強なのである。自分はこれでいいと思って書いたものが、じつはそうではなかった。それで冷静な目で批判されたとおりに、あるいはその批判に添ってなお考えを重ねて、完成した作品を「書いてみる」ことが大切である。それは一度経験してみればすぐにわかるであろう。…
 文章が面白いか面白くないかの違いは、ほんのちょっとしたことなのだ。が、そのほんのちょっとが大きな違いなのである。しこうして、最終的には、だれからも添削されずとも、自分でさっさと自己批判して推敲できるようになることが私の期待である。
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「書けるかもしれないーあとがきにかえて」より
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…ほんとうはそういうふうに、かさねがさね実習するのがよいのである。文章は絵や音楽といっしょで、やはりちゃんと練習しないと(ふつうの人は)上達が覚束ないが、システマティックに練習を重ねていけばそれなりの効果は必ずある。
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高校生が悪戦苦闘の末にちゃんとした自己推薦書が書けるようになったのは、繰り返し行われた添削と素直なきもちで書き直した結果でしょう。よくわかります。

これ、高校生たちにだいじなことですから、何かの形で本欄で扱いたいと思います。
by ebisu (2018-12-05 15:27) 
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 小寺さんの著書です。
*#3277 進路選択と就活のために: 『夢こそ生きる力』 Apr. 29, 2016
https://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2016-04-29

『総合力アップのためのガイドブック 夢こそ生きる力』
 原作小寺次夫、編集鈴木朗、イラスト鈴木萌花(高校1年生)、2016年4月15日発行、
 出版社「星奈のお店」、本体1200円+消費税
   ISBN978-4-9908905-0-6
*http://www.seina-shop.com/
 
http://www.seina-shop.com/service/book.html


文章術の千本ノック―どうすれば品格ある日本語が書けるか

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