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#3861外国人技能実習生と根室の水産加工業 Nov. 24, 2018  [89.根室の過去・現在・未来]

 今朝初めて雨水受けのバケツの水が凍った。6時14分にマイナス3.1度を記録した。今冬2度目のマイナス最低気温。

 今日11/24の北海道新聞に「外国人材 期待と不安」(第1社会面)という記事が載っている。道新さんなかなかいい取材をしているので紹介したい。

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市内の水産加工場では実習生が年々増加。受け入れ窓口の監理団体の根室商工会議所を通じて来日した実習生は117人(22日現在)で、初年度の6年前の7.3倍だ。同会議所の野田敏専務理事は「技能を身につけるという実習制度の趣旨と現状は乖離している。法改正では労働者としての立場を明確にし、待遇を補償すべきだ」と話す。
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 根室商工会議所の専務理事は根室の経済人には珍しくまともなことを言う人のようだ。ebisuに褒められたらきっと迷惑だろう。だからブログではなるべく人をほめないようにしている。(笑)
 6年で百人を超えるベトナム人技能実習生の受け入れ窓口をやってきた現場の意見であるから、市議も道議会議員も国会議員のみなさんも、そして政府も真摯に耳を傾けてもらいたい。

 根室の実態を言うと、ベトナム人技能実習生は、中国人が来なくなってのでそれと入れ替わりに増えたという事情がある。ベトナム人の技能実習生もいまのままの待遇では中国人と同じで来なくなる日が来るだろう。
 根室で職を求めている人たちはすくなくない。水産加工業になぜ根室っ子が集まらないかというと、給与が低いことと、水産加工業で働くことが一段低くみられるという事情がある。根室の基幹産業なのにこういう状況は根室の水産加工業者が創ってきたと言えるから、人が集まらないのは自業自得である。そろそろ変えようよ。

 戦前もそうだったのだろうが、北方領土を失った戦後、根室の水産加工業の主力はカニ罐詰であり、工場には全道各地から男工さんと青森県まで含めて集められた女工さんたちが支えていた。この時代は根室の水産加工業で働けばけっこう稼げたのである。昭和30年代中ころの最盛期には日本合同罐詰だけで4工場800人が働いていた。
 ところが昭和30年代半ば過ぎになるとしだいに女工さんが集められなくなった。条件のよい工場が東北にも北海道各地にもでき始めたからである。他の地域の女工さんたちの宿舎や給料と根室のそれの差がしだいに大きくなった。根室の水産加工業はそうした時代の変化に対応できなかったのである。
 日本は経済高度成長期で賃金が上がっていったが、根室の水産加工業の賃金は低いまま、寮の建設や工場設備へ満足な投資が行われなかったから、建物も設備も老朽化していった。
 根室最大の水産会社であった日本合同罐詰株式会社は経営がじり貧になると、打開すべく富良野に野菜の缶詰工場をつくった。それが結果として経営破綻の引き金になったが、経営破綻の真因は男工さんや女工さんたちの待遇を改善するという意識が本社スタッフになかったからだ。昭和30年代後半になるとあきらめて現場を支えている男工さんたちが次々にやめていった。

 昭和30年代中ころに、ある工場の現場監督が4工場を一か所に集中し女子寮を新築する提案をした。統合すれば工場長も現場監督もそれぞれ一人で済む。
 女子寮は土間に2段ベッドが並んでいた。それを新築して板敷あるいは畳の部屋にするという提案である。本社は耳を貸さない。四工場のうち女工さんを集められたのは一つだけ。なぜか?
 たとえば、ほかの工場では6時15分まで働かせて、6時でカット、15分会社が得をする、そういうことを自慢するような工場長や現場監督ばかり。これでは人が集まらぬのは当然だ。M工場の現場監督は最盛期には昼休みを2時間与えた、1時間は有給である。寝ずに洗濯する女工さんには有給での昼休みは与えない、無理やり寝てもらった。あの当時は大きなタラバガニがたくさん獲れた、いまなら1杯10万円もするような大きなタラバガニ(脚を広げると1.5m)が船に満載されるほど獲れた。大型の冷凍設備がないから、処理できなければ海に捨てるだけ。だから処理できなければ、通いの女工さんたちや男工さんたちに持って帰らせた。だから、団塊世代にはこうして工場からタダでもらった大きなタラバガニをたくさん食べたことのある人がいるだろう。
 話を戻そう、連日の残業でみんな疲れ果てているから作業効率が次第に落ちていく。昼休みを2時間とらせると、疲れがスッカリとれて午後の処理量がアップするのである。会社は損をしないし、原料廃棄量も減少しコストを下げられる。一石三鳥である。ものはやりよう、人は使いようなのだ。
 「売り手よし、買い手よし、世間よしの三方よし」はそこで働く人たちの幸せ実現も含んでいる。

 M工場では加工設備の工夫や自動化の工夫もしていた。殺菌窯を円筒形から直方体のものに変えたら3割処理量がアップした。殺菌窯がボトルネックになっていた。作業が一番きつい工程である秋刀魚の切り分け選別を水流で自動的にわけられるようにもした。しばらくの間はこうした様々な工夫でしのげるが、長期的には無理だ。根本的なところに手をつけなければ、女工さんを集められなくなる。本社はいつまでたっても提案を検討しない。愛想をつかして現場監督が辞めると、しばらくすると男工さんたちも続いて道内の各地へ散っていった。そして四工場全部で女工さん不足が表面化した。それまでM工場には定員以上に女工さんが集まっていたから、その余剰分を他の工場へ回していたのである。出した女工さんたちは順にM工場へ戻して入れ替えていた。人は大事に扱わないといけない。出しっぱなしでは翌年来なくなる。

 根室はいま同じ轍を踏んでいる。必要なのは中国人労働者やベトナム人労働者ではない。都会で働くのと同じくらいの処遇で根室っ子を採用すればいいだけだ。水産加工場で働くことが誇りをもてるような処遇をするだけで問題はなくなる。ようするに水産加工業を営む企業経営者たちの経営のしかたがまずいのだ。そこにメスを入れないと、いずれ根室の水産加工業全体が日本合同缶詰株式会社のようなことになる。

 「オール根室」なんて言って、小さな村社会を形成しているようではアウト、オープンな心で、広い視野と長期的な視点をもち、自分たちの経営のやり方を変えなくてはいけない。
 たとえば、決算は従業員へ公表する、経理規程をつくりそれを厳格に守り公私混同しない。退職金規程を整備して毎年末に従業員一人一人へいまやめたら退職金がいくらになるのか通知する。予算制度を導入し、予算を達成したらボーナスが何か月分出るのか約束する。10年20年後にどういう会社にしたいのか経営者は授業員に夢を語りともに実現する。こういうあたりまえのことをやればいいだけ。当たり前のことというのは、上場審査基準をクリアするような経営体制を作るということ。当たり前のことをするだけだから小さい企業でもやれる。

 ところで、政府が外国人の雇用に関する大幅な規制緩和をするという。たまげた。人を人として扱わず、奴隷のごとき「技能実習」が平気で行われている。実習生には職場の選択の自由すらない。帰国した技能実習生がなんというだろう。口コミが一番怖い。
 対象となっているのは、介護、保育、農業、水産業、工業、土木業、建設業などである。いずれも待遇が悪い業種である。日本全国が「昭和30年代後半の根室化」しつつあるようだ。日本合同缶詰の轍を日本全体が踏もうとしている。
 額に汗して働いたことのない者たちの考えることは愚かだ。処方箋は外国人労働者を増やすことではない。給料をアップして日本人の雇用を増やせばいいだけだ
 必要のないこと(外国人雇用の促進)をやり、必要なこと(処遇改善)を怠る、これを愚かと言わずしてなんと言おう



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