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#3731 根室市の巨大地震対策:建物被害評価作業手順公表 Apr. 26, 2018 [89.根室の過去・現在・未来]

 今朝(4/26)のNHKラジオニュースでは、根室市が地震が起きた後の建物被害への評価作業手順を決定して公表したという。評価基準を設定して地震が起きたら被害建物に赤、黄、緑の三色の識別ラベルを迅速に貼るという。
 基準になっている震度想定は震度6強で、建物被害は4割に及ぶという。全壊が4割なのか、一部損壊が4割なのかはわからない。おそらく一部損壊と全壊を含めて4割なのだろう。そんなものでほんとうにすむのか?

 ところで、揺れは地盤が軟弱だと大きくなることが知られているから、根室市街地でも場所によって揺れは大違いだ。震度計が設置されている合同庁舎の一角は固い地盤で揺れは最も少ない。1994年10月4日の根室東方沖地震の時に震源地が根室のほうが近いにもかかわらず震度計の揺れは小さく、釧路のほうが大きな震度を記録して激甚災害が適用された。震源地は根室東方沖200㎞、M8.2。釧路の震度は6、近い方の根室は5で激甚災害の適用外であった

*https://ja.wikipedia.org/wiki/北海道東方沖地震

 根室市はまだあの教訓を生かせないようだ。また釧路のほうが震度が大きく出て、根室が激甚災害の適用にならない可能性がある

 地盤の軟弱性と震度への影響について解説したサイトがある。
*https://supportmap.jp/Content/file/pdf/whatis_jiban_pamphlet.pdf
**地盤サポート https://supportmap.jp/#15/43.3324/145.5865

 揺れやすさの係数が色分けされている。震度計が設置されている場所を1とすると、市街地には揺れやすさが1.5倍になる地域が広がっている。揺れやすい軟弱地盤ということは実際に揺れが大きくなることを意味している。固い地盤のあるところで計測した公表震度6でも、揺れやすさが「1.6~2.0」の薄いピンク色で色分けされた地域は震度7超になると考えるべきだろう
 おおまかにいうと、合同庁舎から「はなまる」のところまでを境界として、海側は地盤が軟弱なところが多い。山側も低地はもともとが「ヤチ」だから、地盤は軟弱だ。地盤の揺れやすさ係数が「1.6-2.0」の地帯が散見される。岬町、弥生町、本町、海岸町、汐見町の海側の地域が該当する。この地域は全壊建物が集中するだろう。高潮被害のあった地域と重なっているから、あの一帯の土地(弥生町と本町そして梅ヶ枝町の一部)は買取を希望する地主から市側で買い取り空き地にして広場として使用したほうがよい。金刀比羅神社の例大祭や盆踊りのメイン会場となっている。
 この「地盤リポート」は地形から判断しているだけだから、実際にボーリング調査をしたらもっと違った様相があらわれるだろう。
 地盤の軟弱な地帯で建物が全壊したら、そこに住む人たちは避難する時間があるだろうか?四百年に一度の根室沖巨大地震が近づいている。


 小学生のころ、家の向かい側で工事が始まった。5mほども掘り下げて基礎工事を始めた。きれいな緑灰色の粘土層の下に帯水層があった。あの辺りは、井戸は数メートル掘れば使える水が出る。現在の北海道銀行建物のある場所だ。当時建てられていた建物はNTTのだった。100人以上の職員がいた。道銀はそのままその建物を利用している。柱が太いのは50年前に設計者が地震が多い根室だから耐震を考慮したからだろう。
 海側の低湿地はもっと地盤が軟弱である。上に挙げたURLをクリックすれば根室市街地の地盤の強度が色分けして示されるのでご覧いただきたい。
 250m四方の範囲ごとになっているので、これでは個々の家について地盤の強度がわからない

 根室市が今すべきことは、市街地や郡部の住宅が多い地域の地質調査をすることである。200か所ぐらい簡便なボーリング調査をすれば建物への被害想定が具体的になる

 見落とされている重要なことがある。合同庁舎に設置してある震度計が6弱なら、地盤の軟弱性を考慮すると市街地の大半が震度7になるということ。震度6強と震度7では被害想定がまるで異なる。震度7なら鉄筋コンクリート建物でも被害が出る。昭和57年以降の鉄筋コンクリート建物の全壊率は4.6%(震度6では0.6%)である。被害の程度は8倍も違う
*https://allabout.co.jp/gm/gc/392009/

 木造建物では昭和57年以降に建てられた建物の全壊率は15%(震度6強では1%)だから、15倍も違ってくる昭和36年以前に建てられた建物は建築基準が違うので8割が全壊する
**https://allabout.co.jp/gm/gc/392009/2/

 根室市で地震計を鳴海公園に設置したらいかが?あのあたりが根室の平均的な地盤強度と考えてよいのでは?

 根室市総合政策部が企画提案して緊急に実行に移さなければならないことは、市街化地域等200か所のボーリング調査とその公表である。こういうことにお金をかけて、巨大地震に備えて被害を小さくしたい
 ふるさと納税資金をいまのことに使ってはいけない、未来の大災害に備えるために使いたい。借金を減らして、復興資金を200億円ほど積み立てたい。根室人の叡智(えいち)が問われている。 

<余談:地盤サポートマップについて>
 地図上に「地耐力」を示す四色の丸いマークと250m四方の単位で「地震時の揺れやすさ」を指標化した色分けがなされている。「地耐力」は「ジャパン・ホーム・シールド社」がこれまでに解析した結果をふまえての評価である。
 黒円は地耐力が「強い地盤」 
 緑円は地耐力が「やや強い地盤」
 青円は地耐力が「ふつうの地盤」
 ピンク円は地耐力が「弱い地盤」

 市街地に打たれた円は約50ある。地震時の揺れやすさ指数が「1.2-1.4」の黄色の区画でも地耐力が弱い場所がいくつもある。ピンクの円は海岸部の低地に集中している。
 やはりこの地図の情報だけでは、地盤の揺れやすさや地耐力の評価はこころもとない。市街地だけで200か所、郡部が百か所ぐらいあれば使えるものになるのではないだろうか。専門家の意見も聞いてみたい。 

*#3733 これから30年間に起こること:自然災害編 May. 1, 2018
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2018-04-30


 
#3728 根室沖巨大地震M7.8~8.5:今後30年間で80%の確率 Apr. 21, 2018
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2018-04-21


 #3731 根室市の巨大地震対策:建物被害評価作業手順公表 Apr. 26, 2018
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2018-04-26-1


 #3665 道東に四百年に一度のM9級の地震が近づいている Dec. 20, 2017
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2017-12-20

 
#3270 根室も四百年に一度の大地震が近い:熊本大地震は他人事ではない Apr. 15, 2016
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2016-04-15

 #1782 北海道大震災:根室・釧路沖 400年に一度の巨大地震の可能性あり Dec.25, 2011 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2011-12-24

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