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#3290 授業の進捗管理と学力テストの平均点には因果関係がある May 13, 2016 [71.データに基づく教育論議]

<更新情報>
5月14日 8時40分 成績上位層への対応について追記

 #3276で2年生の学力テストデータをごらん戴きましたが、数学は学年末テストの時点で教科書をやり残していました。年度末までに教科書を終わればいいと考えているように見えます。その結果、2月に復習授業を受けられなかった生徒たちの半数が満点の1/3以下の得点ということになってしまったのではないでしょうか。4割り以下の得点層が70%を越えています。授業がときどき聞こえなくなるというようなことになっていませんか?複数の問題が生じている可能性を指摘したいと思います。この学年を担当するのはなかなかたいへんだろうというのが、データをみてのわたしの感想です。授業の進捗管理に話を戻すと、1ヶ月の復習授業の有無が生徒たちの平均点にすくなからぬ影響があることはいうまでもありません。
 誤解のないように念を押しておきますが、授業の進捗管理に関わる問題はこの学校そして数学科目だけの問題ではないのです。同じ学校のほかの科目そして他の学校の同じ科目、あるいは他の科目でも類似の事例はいくつも見つかるでしょう。ですから、典型的な事例としてピックアップしただけに過ぎません。半年程度は学校にある資源を集中的に投入して改善してみたらいかがですか?
後で述べますが、この点ではB中学校の機動的な対応事例が参考になります。
 わたしが考える標準スケジュールは、1月末までに教科書を終え、2月1ヶ月間を復習授業に充てるというものです。昨年釧路で開かれた教育に関する全国シンポジウムで、主催者の日本教育文化研究所の役員(最近まで山口県の教員)へも質問しましてみましたが、そういうスケジュールで実際の授業が行われているそうです。

 平均点を下げる主要な原因には学校由来のものが二つあるようです。一つは授業の進捗管理上の問題、二つ目は小学校での学級崩壊(授業中に時々先生の話が聞こえなくなる)を経験していることです。
(小学校では学級崩壊が起きなかったが、中学校で学級崩壊を起した例もあるようです。)
 小学校での学級崩壊は中学校へも引きずります。学級崩壊とは、生徒の私語で先生の説明が聞こえなくなるとか、一部の生徒が先生の制止を聞かずに立ち歩くといったものです。数年繰り返すことで習慣になっていますから、小学校で私語や立ち歩きをやめられない生徒は中学生になっても、癖がなかなか治らないのです。自分がクラス全体の学力を低下させてしまっていることにも無自覚です。わがままな子どものままで、精神的な成長が遅れているようにもみえます。中学3年間で治らなければ、それはもうその生徒の性格として固まってしまったものと考えなければなりません。高校へ問題を持ち越すことになります、来年から根室は高校が1校体制になるので、高校で学級崩壊が起きかねません。
 性格を直すことはなかなかできるものではありません。よほど精神的なショックがあり、本人が治さなければならないと、辛い思いをしたときだけでしょう。

 ある中学校の3年生のテストデータを示します。2014年の3年生のデータと並べてみますので、たった2年間で、なぜこんなに大きな点数の変化が起きたのか、一緒に考えてください。

 中学3年生4月学力テスト
2016年3年生 2014年3年生
得点分布人数小計 人数小計
S1300-2860      
S2285-2710      
S3270-2560   1  
A1255-2110   2  
A2240-226000% 036%
B1225-2212   3  
B2210-1961   3  
B3195-1813   4  
B4180-1663   10  
B5165-15161529% 42450%
C1150-1363   3  
C2135-1215   5  
C3120-1065      
C4105-915   3  
C590-7662446% 41531%
D175-618   3  
D260-462   2  
D345-312      
D430-161   1  
D515-001325%  613%
        
合計5252100% 4848100%
平均点117   150  
(2014年のデータは20点刻みになっているので、適当に按分した)
 
 青と緑の網掛けでS、A、B、C、Dの五段階にランク分けしてみました。Bランク以上が2014年は56%、2016年は29%ですから半減です。このランクまでが8年前に根室高校普通科に入学できました。現在では合格足切り点数が30点低下していることが得点の分布から読めます。定員割れしたら60点でも合格しています。これでは高校数学の授業はレベルを下げ、授業速度も落とさざるを得ません。数学で習熟度別クラス編成で一番レベルの高いγ(ガンマ)クラスでは数Ⅰの終了時期が8年前は1月20日でしたが、3月へ延びてしまっています。成績上位層の生徒の学力が低下して速度の大きい授業についてこれないのでしょう。数学の点数が40点以上は学年に10%以下です。40点取れないようでは、高校数学を独力で勉強するのは無理です。毎週、プリント問題を宿題に出さざるをえない高校数学担当の先生たちがお気の毒です。そこまでして底上げしなければ進学講習が成り立たないのでしょう。大学受験問題レベルは普段の授業よりもずっと難易度が高いですからね。

 3年生は各科目60点満点です、五科目合計平均点で2年間に33点の差があります。満点の10%の差は大きい、500点満点だと同じ学校で50点の合計平均点の差です。
 2014年度のデータは20点刻み、2016年度のデータは15点刻みになっていたので、無理矢理15点刻みに合わせました。
 分布を見ると、2014年度にいたSランクもAランクも、2016年度は消えてしまいました。Bランクも50%から29%へ激減しています。成績下位層にあたるCランクは31%から46%に激増しています。成績最下位層のDランクは13%から25%へほぼ倍増です。
 成績上位層が消えて、成績中位層が激減、成績下位層と成績最下位層が激増しているということが、データから読めます。

 ではなぜこのようなことが短期間で起きたのでしょう。科目別平均点を比較してみます。

 <科目別平均点>
 2016年2014年差異
国語32.030.41.6
社会19.326.1-6.8
数学18.927.2-8.3
理科21.030.0-9.0
英語25.836.1-10.3
五科目計117149.8 -32.8

 国語を除いて4科目が下がっています。結果から見ると、2016年度は国語の問題の難易度が下がった可能性があります。実際に問題文を見て分析しないとわかりませんが・・・。総じて著しい学力低下が起きていると言えます。

 満点の1割が6点ですが、4科目とも6点を超えて低下しています。英語(-10.3)と理科(-9.0)と数学(-8.3)の三科目がとくに落ち方が激しい。

 さらに著しい低下が生じた3科目のうち、数学と英語の得点分布を見ます。

 <数英得点分布>
 2016年数学2016年英語
S60-550 2 
A54-490 0 
A/B48-4312%310%
B42-373 5 
B36-315 8 
C30-25525%840%
C24-1912 8 
D18-1311 11 
D12-79 6 
D6-0573%150%
 51100%52100%
(数学の人数が1名合わない) 

 得点4割以下の生徒が数学で73%、英語で50%います。3年生の4月で得点4割以下というのは、先生の指導がついて基礎からやり直しの必要な生徒です。どんなに部活が忙しかろうが、こういう生徒たちを放置してはいけないのです。生徒の部活を停止しても救うべきです。だいたい、学業ほったらかしで部活に現(うつつ)を抜かしていていいわけがありません。社会人ならやるべき仕事をサボって、趣味のゴルフをやっているようなものです。そういう簡単な理屈すら教育村だけで議論していたのでは見えません。

 数学の授業が、成績下位層の生徒に焦点を合わせ、1・2年の計算復習に授業時間を割き、「第1章 多項式」「第2章 平方根」に7月までかかってしまったら、1月末までに教科書を終わることは不可能です。そういう例が3年前にありましたので、<余談>のところへ2012年7月の弊ブログを転載しておきます。

 成績下位層が73%もいるから、計算の基礎から教える必要はありますが、通常の授業時間を割くべきではありません。授業スケジュールが後ろ倒しになり、教科書の後ろの方の難易度の高い単元をすっ飛ばすことになるからです。1月末までに終わることが不可能になります。学校の復習授業なしで道立高校入試に臨むことになります。

 もう一つ大きな弊害があります。低学力の生徒に目がいってしまって、難易度の高い問題を授業で扱えなくなっています。
 成績上位層が消滅してしまっている学年もたまにはありますが、ほとんどの学年に少数ですが成績上位層が生き残っています。しかしフリー参観で見た授業は成績上位層には配慮のない退屈な授業でした。あれでは成績上位層の学力の伸びの芽を摘んでしまいます高校数学へつながる発展的な知識や発展的な問題を授業にさしはさんでもよいはずだし、文科省は学習指導要領が「最低基準」であると方針を変えたのに、現場の先生たちが旧態依然の内容の授業をしているようにしか見えなかったのです。市街化地域の3校、合計たったの6回のフリー参観でしたが、それだけで充分でした。判で押したように基礎的な内容だけを扱った、どの学校もとんがったところのないそっくりな内容の授業でした。どうしてあれほど没個性になるのかしばらく考え込みました。プロとしてあたりまえに、担当教科の学習を高校教科書レベルや大学受験問題レベル、専門書レベルで毎年すこしずつでも学んでいれば、視野が広がり、自ずと授業には個性がでるものです。そうではありませんか?
 去年と今年同じ授業をしたらプロとしては敗北だとわたしは考えます。そういう仕事の仕方を、東京の4種類の業種の会社でやり続けてきました。前任者から引き継いだ仕事は1年以内に省力化と飛躍的な精度向上を実現する、そして仕事のやり方全体をデザインし直して、マニュアルを作成し次の人へ渡す、そういうことを繰り返しました。それがプロだと思っています。小さな改善でも構いません、昨年とは違った授業をやるように努力してください。

 話を授業の進捗管理に戻します。2年次のときに進捗管理を誤り、教えそこなったのだから、プロなら部活の先生を集めて相談し、低学力の生徒対象に7時間目の補習をやるか、土曜日補習をやるべきでしょう。それもやらないならアマチュアです、プロになら必死の努力をしてください。

 民間会社で、仕事のスケジュールを2年続けて守れなければ、上司が「君はこの仕事が向かないようだから、転職を考えたら?」くらいのことは言います。
 職種によっては、スケジュール遅延が損害賠償の対象になることがあります。こういう場合は部下の管理が甘かった上司の責任問題に発展します。
 生徒たちに仕事のスケジュールを守らないことや、授業の進捗管理を軽く考えていいのだと、「隠れたカリキュラム」で教えることになります。

 この学年は小学校での学級崩壊がありました。わたしのいう学級崩壊は「授業中にときどき先生の話が聞こえなくなるくらい騒がしい」というものです話の一部が聞こえないと、文脈が理解できなくなります。たったそれだけのことで授業の理解度が著しく落ち、平均点ががくんと下がることがわかっています
 B中学校で8年前にそういうことが起きました。その生徒たちが3年生になったときの五科目合計平均点は100-110点だったと記憶しています。2013年度のB中学校の4回の学力テスト五科目合計平均点は113点です。点数の分布の範囲は107-126.5点です。

 騒ぐのは、授業が理解できない生徒がほとんどです。50分間わからない授業を聞いてじっとしていられたらそれもおかしい。勉強ができなくて元気な児童は小学校の授業中に騒ぎます。それが、中学校になっても引き続きます。小学校でずっとそうしてきたので、我慢ができない性格がすっかりできあがっています。こういう生徒はだいたい親の言うことも聞きません。子どもの躾はほんとうに大事業です。
 こうして学級崩壊を経験して、五科目合計平均点117点という学年ができあがったのです。
 C中学校が荒れていた2010年4月の学力テストの平均点が、113点でした、五回のデータの分布範囲は105.8-130.7点です。2010年度はC中学校とB中学校は偶然学力テストの五科目合計の年間平均点が113点で同じだったのです。2007年度のB中学校の5回の学力テストの平均点は155.9点でした。B中学校も2008年の3年生を境に平均点が落ちてしまいました。でも、年度によっては130点台をたたき出す学年があることも事実です。同じ学校でも小学校時代に学級崩壊を経験しているか否かは、学年ごとの学力に大きく影響しています。

 117点どころか、五科目合計の年間平均点が100点台の学年が市街化地域の3校のいずれでも出現するようになりました。同じ学校でも年度によって五科目合計年間平均点に大きな差が生じるのです。

 学校の規模が小さすぎて、数学の正規教員が2人しかいないというのも問題を起こす原因となります。4人いれば、入れ替えがあっても、授業の上手な先生が一人くらいはいるでしょうから、授業が下手で、進捗管理ができない先生の相談に乗ったり、指導したりできます。中学校の統廃合が遅すぎたことも学力低下の遠因に数えられます。小学校は2校体制を維持するようですが、ほんとうに大丈夫でしょうか?

 つまるところ、学級崩壊への対処と授業の進捗管理の徹底、これが生徒たちの学力を上げる車の両輪です。成績下位層の生徒に強制的に放課後補習に参加させる体制を部活の先生と相談してつくること、学校全体で学力向上に取り組む必要があります。
 小学校と中学校の先生は定期的な話し合いを行うべきです。なれたら、地域住民を入れて話し合いをしてください。教育村だけで解決できない問題、見えない問題がきっとありますよ。


<余談:過去の事例>
*#2189 中3数学:"「円」の章はやれない" 宣言アリ  Jan. 29, 2013
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-01-28

  2012年7月20日の弊ブログを読み直してみて、今日書いたブログも内容はほとんど同じことにびっくりです。わたしは4年間同じことを言い続けていたようです。4年前に書いたものの方が具体的で、思考過程がよく出ています。三校のフリー参観授業を見て、どの学校も文協学力テストのスケジュール表(範囲表)にあわせたルーズな進捗管理がなされていることに気がついたのでしょう。文協学力テスト範囲スケジュール表は罪が深い。あれに間に合わせていればいいと現場の先生たちは勘違いしているように見えます。その結果、1ヶ月の復習授業期間をもたない根室の子供たちの学力が低下してしまう。学力が低い生徒が半数もいるのに、復習授業をしないというのはなんとも罪なことです。
 根室市の中学校で働く先生たちが、プロの仕事を見せてくれることをebisuは期待しています。生徒たちも先生たちの努力に応えてほしいと思います。保護者の皆さんは、親の責任とは何なのかをよく考えて、就学前の躾と就学直後の家庭学習の躾をしっかりやってください。先生たちだけに任せていても小学校の学級崩壊はなくなりません。

  http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-07-20
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#2021 母校(中学校)の校長・教頭先生との対話(3):授業速度と学力  July 20, 20

  曇り空、朝9時は11度、正午になっても12度、寒い日だ。仮装盆踊りは夜だから浴衣姿にはカイロでも入れておいたほうがいいかもしれぬ。

 7月13日に一番古い中学校である母校のフリー授業参観に行った。目的のひとつは数学の授業速度の確認だった。中3年生の授業でやっていたのは52・53ページの平方根の計算の箇所、分母の有理化のところだった。教科書は259ページあるから、20%しか消化していない。3年生は教科書消化に使える期間が9ヶ月しかないからいま85ページの辺りをやっていなければ1月末に教科書を終われない。理想を言えば3年生は12月末には教科書を終えたい
 #1997でC中学校のフリー授業参観をとり上げているが、同じところをやっていた。A校もC校も授業速度は同じだから、同じ問題を抱えている
ことになる。(ZAPPERさんが以前取り上げていたように、学力テストのテスト範囲も問題ありだ。12月末で教科書を終了するスケジュールでテスト範囲を再編成すべきだ。)
*#1997 体育祭準備の授業つぶし:杜撰な仕事管理の実態&"すっ飛ばし"の原因 July 4, 2012 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-07-04

 再説することになるが、もう一度教科書の単元ごとのページ数を列挙する。
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fact 2: 章ごとのページ
1. 多項式  p.6
2. 平方根  p.34
3. 2次方程式  p.62
4. 2次関数  p.86
5. 相似な図形  p.112
6. 三平方の定理  p.148
7. 円  p.168
8. 標本調査  p.191
9. 巻末のページ 総合問題と復習 p.203~259
-----------------------------------------------------

 細かい計算は#1997を読んでいただくとして、簡単に結論を書いておく
①いまの速度では単元の難易度を無視して単純計算で157ページまでしかやれない(単純計算値)
②2次関数、図形、統計とこれからやる単元のほうが難度が大きいからいまの授業速度では実際には100ページぐらいまでしかできない(ebisuの評価) 

 2月を総合問題に費やすとすると、1月中に教科書を終了していなければならない。3月初旬が入試だから3月は除外、そして夏休みと冬休みと修学旅行や体育祭などの行事で2ヶ月強、そうすると教科書をやる期間は次のようになる。
 12ヵ月-1ヵ月(3月)-2ヵ月(夏・冬・行事)=9ヵ月

 このままでは約100ページやり残すことになる。実際には、難しい単元をろくに計算練習もせずに「飛ばし」て授業をやり、終わったことにしてしまうから、成績上位10%の生徒以外は消化不良を起こしてしまう。あたりまえだろう。
 半数以上の生徒が中学校できちんと内容を理解していないから、高校に進学してから、2次関数の理解が浅い、数Aの「場合の数と確率」や「図形」「論理と命題」のところでつまずく、「三角比」や「三角関数」でつまづく、というようなことが起きる。

 根室高校普通科ですら数学授業に支障が出ている。1年生のガンマクラス(最上位クラス)の授業は5年前には1月半ばから数Ⅱをやっていたが1ヶ月以上遅れている。今年から宿題の出し方に変化が出ている。プリントに問題番号を印刷してそこに書かせるというやりかたをとっている。小学生でもデキの悪い生徒への対処法だろう。そこまでやらないと勉強しないから、授業に差支えが出る、そういう事実を中学校の先生たちは知らないだろう。根室高校普通科ですらこの5年ほどで"幼児化"がずいぶん進んだ。
 社会人となったときに、仕事で必要な学習を自発的にできるのだろうか?やっていないことは案外できないものだし、宿題を出されて勉強することが習慣になっているから、自発的な勉強は大半の者たちができない、将来かならず問題が出るよ。それほど高校卒業までの勉強の仕方は大事なんだ。

 現在の授業速度をベースにして計算してわかるとおり、授業時間数が足りないが、それを補うには週に2時間増やし、その時間を習熟度別にクラス編成して、問題演習に当てればなんとかなる。

 この学校では数学の先生は2人、補助教員が2人である。3年と2年が3クラス、1年が2クラスの合計8クラスだから、週当たりの数学の授業時間数は
 8クラス×4時間=32時間

 先生一人当たりたった8時間で、一日当たり2時間弱に過ぎぬ。
 週に2時間増やすとどうなるか?
 8クラス×6時間=48時間
 先生一人当たり12時間だから、1日当たり3時間弱である。
 先生たちがシフト勤務で土曜日に2時間数学を教えればいい

 選択肢はいくつか考えられる。聞いている限りでは、
 ⅹ:習熟度別のクラス編成をして補助教員と教師2人体制の授業
 y:1クラスを習熟度別に2クラスに分割して教師1人体制の授業

 そして、
 z:従来どおりの授業にシフト勤務体制で土曜日2時間を追加(ebisu提案)

 いろいろな選択肢が考えられるが、現状を見る限り授業速度が遅く、授業時間数が不足しているのだから素直な対処は選択肢zだろう。もちろん、xやyにzを組み合わせてもいい。
 まずは、教科書をまともに教えきることに全力を注ごう

 もちろんこれだけでは成績下層の半数の生徒を救うことができない小数や分数の基礎計算能力に問題ある30%の生徒は放課後補習に強制参加させてリターン学習授業を実施しなければ学力の向上が見込めぬから、そのための放課後補習は数学の先生全員でやる自分の生徒は他人任せにせず、自分が放課後補習する、あたりまえの話だ。これもあたりまえだが、小学校の先生たちとも話し合おう。そうしないといつまでたってもよくならぬ。

 症状を見れば診断は簡単に尽くし、だれもが納得のいく適切な治療法もある。あとは学校で議論してどうするか決めればいい。

 学校のホームページを立ち上げて、何をどうするのか、そしてどうなったのか、次はどうするのか、PDCAを科目ごと・学年ごとに明らかにすればいい。個人情報ではないのだから学力テストの結果も学年別・科目ごとの平均点や点数の分布を明らかにするのは何の問題もあるまい
 PDCAには数値情報公表が不可欠である。当たり前のことを当たり前にやる、学力向上のために一切のゴマカシをせずに、正直に誠実に仕事をすればいいだけ。余計なことは考えない、雑念なし、根室の子供たちの学力を上げるために正しいと思ったことを素直にやればいい



*#3288 小学生のときの学級崩壊は中学生の学力低下をもたらす May 12, 2016
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2016-05-12

 #3287 アンバランスな授業時間配分は学力低下をもたらす May 12, 2016
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2016-05-11-1


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ZAPPER

1.早めに範囲を終え復習の時間を必ず設ける。
2.理解が劣る子には補習を入れて対応する。
3.別に講習会として復習の機会が設けられている。

塾業界では常識ですが、現状、この地の小中学校は失礼ながら「論外」ですね。それでも2は、そこそこ行われるようになって来ましたが、そもそも1がまったくお話になりません。

年間授業カリキュラムには各教科それぞれ20コマとか30コマとかの予備時間が組み込まれていますが、それを用いてもなお標準進度から大きく遅れるなどとはまさに愚の骨頂。

一度提示した試験範囲が変わること。つまり範囲までを終えられなくて短くすることは日常茶飯事(教育大附属釧路なんかはほぼ毎回そう)ですし、試験前の最後の授業でギリチョンで出題範囲までを終えても、別にそれが「いけないこと」との認識すらありません。

学校の授業とは、ただチンタラと進むだけ(難易度が高ければ巻いて端折られて終了)のものであって、復習の機会などありゃしない。子どもの学力が低いままなのは必然です。

締め切りギリギリのやっつけ仕事。しかも終わらなければ範囲を短くすればいいとの認識。民間企業ならば減給を含む懲戒処分相当案件に該当するものなのに、どれだけ「いけないこと」をしているかの自覚が完璧なまでに欠落しています。

進度・進捗厳守。もし万が一遅れをとったならば、保護者と子どもにきちんと詫びて、補習を組むなりして必ずリカバリーする。その際、端折りやごまかしは厳禁。まずはここからでしょう。

おかげさまで、今まで言い続けてきたこのこと。やっとこさ【常識】として受け入れられる体制が整ってきたことを感じております。しかしまぁ、長かったですね(笑)。教育村とは、一般社会の【常識】がまるで通じない、本当に本当にびっくり!な閉鎖空間であることよ…。
by ZAPPER (2016-05-13 13:24) 

ebisu

ZAPPERさん

きれいに三項目にまとめていただきありがとうございます。

当たり前のことをいうのに、これだけ具体的なデータを並べても、改まるのに何年もかかり、ようやく改まったと思ったら、今度は転勤してきた先生が、元に戻してしまう。

賽の河原の石積みに似た作業のようですが、何度も何度も繰り返して、世間の常識をぶつけるしかありません。

まことに教育村というものは改革とその定着の難しい閉鎖空間です。(笑)

改善に努力してくれている先生たちもだんだん増えていますので、自浄作用に期待したいと思います。
by ebisu (2016-05-13 15:09) 

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