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#3279 政府債務残高は1262兆円: 国債にまつわる怪しい議論  May 3, 2016 [95.増え続ける国債残高]

 確定数値では2014年に政府債務残高は1212兆円、IMFの推計値では2016年末には1262兆円となる。GDP比では249%に達する。終戦直前のGDPに対する国債残高比率は260%だった。
(政府債務残高には地方自治体の債務も含まれている。国債や地方債の他に短期証券や借入金がある)
*日本政府債務残高の推移
http://ecodb.net/country/JP/imf_ggxwd.html

 巷には、国債残高は国民にとっては資産の増加だから、政府の借金の増大は国民の資産の増加で、マクロ経済学的にはまったく問題がないとのたまう者がうようよいる。

 こんな幼稚な議論にだまされぬように、自分の頭でよく考えてみてもらいたい。
 年収500万円のあなたが豪邸を建てたくて1.25億円の借金をしたと仮定しよう。
(実際には年収500万円の借り手に銀行が1.25億円の融資はしない、住宅ローンの融資審査がある。)
 建った家は実に住み心地がいいが、借金返済はどうするのだろう?返済不可能で、自己破産必定である。
 そこへ、誰かが「あなたの借金は銀行の貸付債権であるから、借金をいくら増やしても何も問題はない」とささやいたら、あなたはどう反応するだろうか?
 借金は連帯保証の判をついた息子と娘、そして孫が支払うことになる。

 「政府国債残高の増大は政府債務の増大であると同時に、それを購入した国民や金融機関の債権の増大だから、何の問題もない」、そういうことをいう、会計学者はこの国にも世界中のどこを探しても一人もいない。
 そういうことを言う者は、簿記や会計学に無知なマクロ経済学者や会計学や経済学に無知なほんの一握りの評論家に限定されている。まともな、経済学者や評論家はそういう議論はしない。

 政府というものは元々無責任である。首が回らなくなるときには自分が政権の座についているわけではないから、無責任にいくらでも借金を増やす。借金をして使った人たちは、借金返済に責任を持たぬ。借金返済するのは、ずっと後になって政権を担う人たちだが、その前に破綻すれば借金をゼロ(国民が保有する国債は紙切れと化す)にリセットできる、それが財務省の描いているシナリオだろう。無責任の極みだ。

 ほんとうは富士山の大噴火や、首都圏で直下型の大地震が起きたとき、原子力発電所がメルトスルーを起こして放射能がばら撒かれたとき、それらの大災害の後の復興資金としてお金を貯めておかなければならないのに、膨大な借金を平気で積み上げ続けるのは狂気の沙汰としか言いようがない。

 北海道東部では四百年に一度の大地震と20-30mの大津波(5500年間で15回の大津波が来襲した、これが地層調査から判明した事実である)の危険期間にすでに突入しているし、首都圏直下型の地震も1923年の関東大震災から93年が過ぎて、60年周期を30年も過ぎて大きなエネルギーが蓄積されてしまっている。東南海大地震は明日起きても不思議ではない。
 日本列島は地震と火山噴火による災害を繰り返している。むしろ自然災害が起きるのが常態である。日本列島に住んでいる限り、いつでも、どこでも大災害に見舞われる危険と隣り合わせに生活しているということだ。

 そういう自然大災害に備えて、お金を蓄積すべきなのに、1200兆円を超える借金を政府が積み上げてしまっている。政府が借金を返済できなくなれば、国民や金融機関や日銀が保有している膨大な国債は紙切れと貸す。そういう経験を日本人は終戦後にしているが、次の世代に伝え損なったようだ。
 巷に流布している「国債の増加は国民の資産の増加であるから問題ない」という、たわごとを信じたら、いつか終戦直後に起きたことが再び起きる。

 何がきっかけで、いつそうなるかは、経済学が経験科学である限り、誰にもわからない。経済学者も財政学者も評論家も、ことが起きてから以前から知っていたかのごとく「理路整然」としたり顔で解説するだろう。

 ここからが結論である。7月には参議院選挙がある。わたしたちはどういう国を創りたいのか、それを選挙の争点にしなければならない。災害に備えて資金を蓄積する国にするのか、借金を増やし続けて財務省のシナリオどおりに、一気にリセット(国債が紙切れと化す)してしまう未来へ進み続けるのかという選択である。
 少子高齢化が加速し、人口はすでに長期減少時代に入っているから、国民所得は逓減していく。いま国の未来に関わるビジョンが問われている、子どもたちや孫たちのために、わたしたちはどういう国を創るのか?
 わたしは健全な保守主義がよいと思っている。グローバリズムのTPPには反対である。どういう経済社会がいいかというと、強い管理貿易で生産拠点を国内に取り戻し、職人仕事を大事にする経済社会である。「労働からの解放を」希求するマルクスの『資本論』とは公理公準が異なる。すでに、「資本論と21世紀の経済学」カテゴリーで書いた。


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日本政府の借金(国債)は円建てです。
また、日本政府は(日銀を通じて)合法的に日本円を印刷し、借金を返済することが出来ます。

このような決定的な違いがあるので、
家計による銀行(家計外)からの借り入れと、政府による自国通貨建て国債を同一の理屈で考えてはいけないのではないのでしょうか?

by お名前(必須) (2016-05-03 21:06) 

ebisu

おや、第一の論点である、政府の借金である国債は国民の資産であるという俗論が間違いであることには同意いただいたと考えていいのですか?
その上で、あなたの論を俎板に載せてみたいと思います。

家計と政府財政は慥かに違いがあります。

■年収500万円で1.2億円の借入は不可能
■お金を印刷して支払うことはできない
■基本的に収入の範囲で支出をしなければならない
■家計で国債の発行はできない

だけど違いはそれくらいのものですよ。
赤字国債の発行と、その額の制限の撤廃もそう昔のことではありません。1965年の赤字特例債が最初です。これは1年限りの法律でした。1975年から89年まで特例法が毎年制定され続けました。94年からまた始まり、今日に至っています。

戦前も戦費調達のために赤字国債をGDPの2.6倍も発行してしまいました。その結果がどうなりましたか?

1円札も五十円札も百円札もがなくなりました。1万円札が発行されました。預金封鎖もありました。
ひどいインフレで、戦前・戦中に発行された国債は紙切れ同然になりました。

ことの本質は家計も財政も同じなのですよ。
赤字を続けたら破綻するという点では一緒。ただ家計の場合は破綻の予定がわかるが、政府財政の破綻はいつ何がきっかけで起きるかわからないだけです。

お金の印刷は昔は大蔵省造幣局でしたから現在は財務省でしょう。日銀券の発行は日銀です。国債の発行は財務省です。
なぜ、このように別々になっているのか、日銀の独立性がやかましく言われるのか、政府はすっかり忘れてしまったようです。

国債の野放図な発行が政府財政を破綻に導いたから、日銀の政府からの独立性が求められたのです。だから、日銀の国債直接買い入れはできませんでした。
市中の金融機関から、日銀が買いオペ、売りオペで市中に流通する資金量の調節をするというのが、団塊世代が中学生のときに中学「政治経済」でならった日銀の「銀行の銀行=中央銀行」機能です。

現在の財務省と日銀はまるで伝説の怪獣ウロボロスです。一体化して自分の尻尾を食べているような醜悪な姿を想像してしまいます。

さて、あなたは本気で財務省が国債を無制限に発行し、日銀が無制限に買い入れることが永続的に可能だと考えているのですか?そういうことを主張している財政学者や経済評論家が慥かにいますが、そうした俗論をそのまま信じているようですね。他人の頭で考えずに、自分の頭で考えましょうよ。

そんな国家をいったい誰が信用します?
国際的な主要通貨である円に対する信認が揺らぐことになります。そういうことになれば何が起きますか?
主要通貨から脱落することになります。貿易は外国通貨建てでやらざるをえなくなります。そして円買いがぴたりととまります。十年単位で極端な円安が生じます。

通貨は乱高下するよりも安定しているほうがいい、否、安定していなければなりません。国民生活の安定には自国通貨の安定が不可欠です。
財務省が国債を野放図に発行し、日銀が直接買い入れを行えば、リスクはますます大きくなります。子どもたちや孫たちのために、やってはならぬことです。

さまざまな意見があることは認めますから、同意しなくていいのです。
さらに、ご意見があればどうぞ投稿ください。読んでいる人の中にはあなたの主張に賛成の方も必ずいます。

by ebisu (2016-05-03 22:33) 

ebisu

大事なことだから、書いておきます。

1944年に預金封鎖が起きました。日本国債の発行残高が国内総生産の2倍に達したために、償還が不可能になり、財産税の新設とともに実施されました。

1946年に幣原内閣において新円切り替えと同時に実施されました。このあと、「第二封鎖預金」が切り捨てられました。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%A0%90%E9%87%91%E5%B0%81%E9%8E%96

赤字国債を解消するのではなく、赤字国債を増発し続けた挙句に、こういう強引なことを政府はやるのです。
財務省はこういうことをありうる有力なシナリオとしてもっていますよ。一番イージな方法ですから、あたりまえでしょう。
赤字国債の無制限な増発と日銀による直接買い入れは、いつかこういう事態を引き起こします。
わたしたち日本国民はいい加減な財政学者や無責任な経済学者、そして評論家の言に耳を貸すのではなく、その真贋を見分け、歴史(昭和史)からも学ぶべきです。
by ebisu (2016-05-03 23:13) 

21:06の人

私としては「日本財政の破綻」に話を絞りたいので、第1の論点については触れていませんでした。
(国債=民間の資産についてはとりあえず保留)

まず
ebisuさんのおっしゃる「政府財政の破綻」の定義を、「国債の返済が出来なくなる」であるとするならば、
日本円を印刷することが出来る日本政府は「国債の返済が出来なくなる」ということはあり得ないと考えます。
ebisuさんの定義する「政府財政の破綻」とは具体的にどういう状態でしょうか?

現在の日本国債の金利はマイナス~ほぼゼロという超低金利であります。
将来の破綻が見込まれるとebisuさんが警鐘を鳴らす日本国債の金利がマイナス~ゼロ近辺というのはいったい何故なのでしょう?
10年物の金利は-0.109%であり、市場は「現金を持つより安全」と思われているからこの価格がついているのではないでしょうか?

極端な国債発行→買い入れによるインフレが起こることによって「額面金額の実質的な価値が下がる」ことについては当然起こりえると考えます。
しかし、現在日本はデフレであり、インフレへの圧力を掛けることに何か問題はあるのでしょうか?

なにも無限に国債を発行し、無限に買い入れる必要は当然ありません。適度なインフレ状態になったのなら止めれば良いだけです。

現在の国債価格の高騰(金利の低下)は、デフレで民間の資金需要がない(≒儲かる仕事がない)からだと考えられます。
今「マイナスの金利」で国債を発行し、インフレ圧力を掛けつつ公共事業を行い、企業に仕事を与えることで、経済のサイクルを回す。
これにより民間での資金需要が発生し、国債の需要が無くなる(価格が下がる・金利が上がる)傾向になったのなら、
そこで国債の発行→買い入れを止めればよいのではないでしょうか?なにも通貨が乱高下するほど国債を発行する必要はどこにもないと考えます。
by 21:06の人 (2016-05-03 23:24) 

もやしさんま

国債を誰が買っているかを見ると日本の銀行や国内の社会保険等の運用などで海外の投資家が買っているのは5%くらい、1200兆円が国債残高とすると60兆円でしょうか。それに対して日本の海外資産、日本が買っている外国の国債などの合計は600兆円というのが今の速攻のネット調査です。
まあ外国に貸したお金のことはおいておくというか外国から借りている5%はおいておいて良いと思うのです。
つまり国債を通じてお金を借りているのは日本政府、貸しているのは日本の金融機関、日本の金融機関は日本政府に貸すお金を日本国民から集めている。日本政府は借りたお金を返すために日本国民から税などを徴収する。
ですから徳政令を出して国債をなくして税収の範囲で政策をやって何の不都合もないんです。
国債が増えたのは80年代経済成長が終わった後です。収入が増えている時代には10万円だった給料を本当は15万円にできるのだけれども13万円にして2万円かすめ取っても、みんなハッピーで働く意欲に満ちていたけれど、経済成長して給料も伸びないみんな満たされちゃうとがむしゃらに働かなくなるから国民からお金をかすめ取れない。それで公共投資にバンバンお金をかけ国債を発行して借金させて働かせようというわけです。
日本のトップクラスが良い暮らしをするために国民を働かせて税金を払わせるために、あなたの孫の未来を人質に取ったというトリックのような気がします

というのが私の印象です。

by もやしさんま (2016-05-03 23:28) 

ebisu

1946年の預金封鎖は秘密裏に準備されました。政府は徹底的に情報統制したのです。

今年の1月から「マイナンバー制」が導入されました。国民一人ひとりに識別番号が振られたのです。

意味もなくやるはずがありません。預金封鎖の準備作業の一貫だと受け取る人もいます。
NHKでは昨年預金封鎖についての番組を2015年2月16日に放送しています。1946年2月16日が幣原内閣による預金封鎖の発令日だったからです。

マイナンバーによって、国民の保有する預金は100%把握できますから、預金封鎖は実に簡単、効率的にできるようになりました。
預金封鎖と預金切捨て、新円切り換えはいつでも瞬時にできるのです。マイナンバー制導入によって大きく事情が変わりました。
財務省は着々と準備を進めています。
預金切捨てによって甚大な被害を受けるのは国民です。
by ebisu (2016-05-03 23:30) 

21:06の人

遅れましたが、ebisuさん、まずは返信ありがとうございました。
これを始めにつたえるべきでした。

また、文中にミスがありました。
中盤
×市場は「現金を持つより安全」と思われているから
○市場が「現金を持つより安全」と判断しているから

読み替えてくださると助かります。
by 21:06の人 (2016-05-03 23:35) 

ebisu

議論が面白くなってきましたね。

物価が上がれば日銀の国債買い入れをとめればよいとの主張ですが、とめられますか?
物価が上がれば金利も上がります。金利が上がれば、借換債の金利が上がり、5年もたてば国債の金利負担が、歳入の5割ほどにも達します。

10年もの国債はすでにマイナス金利です。日銀が買い入れをやめた途端に、市中消化が不可能になるので、国債金利が暴騰します。

国債金利は5%くらいは普通のことですが、新規発行分から金利が暴騰すれば、財政負担も巨額になり、財政破綻となるでしょうね。そして日銀手持ちの分の国債に巨額の評価損が発生します。もちろん、金融機関も保有国債で大きな評価損を出すことになります。

いまある問題のひとつは、新規発行分の大半を日銀が直接買い入れして国債市場が機能していないことではないでしょうか。日銀が直接買い入れをやめて市場機能が回復すれば、国債金利の暴騰が起きます。

多額の評価損により日銀の資産内容が悪化するので、その点からも通貨としての円の評価が落ちろこともわたしには気になるところです。
リスク要因は、金利の暴騰、利息支払いのために財政負担の増大、円の信認低下など、いくつか考えられますが、実際に、何がきっかけでどのように政府財政の破綻や預金封鎖が起きるのかは、わたしにもわからないし、だれにも判るものではありません。
経済学は経験科学だから後から理屈をつけるしかないのです。
by ebisu (2016-05-03 23:49) 

ebisu

もやしさんまさん

徳政令ですか、過激ですね。国債を紙切れにしてしまおうとの大胆不敵なご意見。経済は大混乱を極め、失業者と餓死者が巷にあふれるでしょう。

日銀も日本の金融機関も国債を保有している国民も合計で1000兆円の損失を出すことになりますね。リーマンショックが50倍になって襲うようなものですから、生き残れる金融機関がありません。

そして、日本国債は誰も買わなくなります。その場合も政府財政の破綻でしょう。税収の範囲での歳出しかできなくなりますが、その税収も半減しそうです。公務員給与や年金を半分にしても追いつきません。

江戸時代の寛政の改革での徳政令で借金を棒引きにしたので、その後、両替商はお金を貸さなくなり、たいへん経済が混乱しました。

by ebisu (2016-05-04 00:04) 

21:06の人

素早い返答ありがとうございます。

23:30のコメント、ebisuさんらしからぬ、何かはっきりとした論拠のない陰謀論めいたご意見にお見受けしますが…

23:49のコメントについて、
初めの段落にあります、物価が上がり、金利も上がっているときと言うのはすなわち好景気の時であり、その時は税収も自動的に上がっているので国債の新規発行は押さえられると考えます。
好景気になることを心配しても仕方がないのでは。

日銀の国債買い入れを突然止め、国債金利を意味もなく暴騰させる必要はどこにも無いので、ebisuさんのお考えは杞憂だと思うのですが、なにか突然国債金利を暴騰させるべき政策をとる合理的な理由はあるのでしょうか?

また、ebisuさんが心配される「政府財政の破綻」とは、具体的にどうなった状態を想定しておられるのでしょうか?
by 21:06の人 (2016-05-04 00:04) 

ebisu

わたしの主要な論点は、国債は政府の借金であると同時に国民や金融機関の資産だから、いくら増えても問題なしというところにありました。それは会計学を知らないもののたわごと。
しかし、その点は保留して、政府財政の破綻に議論を絞りたいとのこと、了解しました。

政府財政破綻の定義が問題ですか。

どのように定義しましょう、デフォルトも破綻と言えます。
漠然としていますが、財政運営ができなくなること全般も財政破綻の範疇に入れたいと思います。
歳入の半分を金利支払いが占めても、「破綻」でしょう。では1/3ではどうでしょう?1/4では?
どの時点でデフォルトが起きるのかは誰にもわからないことです。わからないことはわからないと言います。
地震予知と同じようなものです。いつ起きるのか予知はできませんが、日本列島でとこでも地震が起こりうることは自明です。財政破綻もそのようなもの。

少子高齢化で、労働人口が激減して、非正規雇用が増えていけば一人当たり所得は逓減していきます。国民所得は人数×一人当たり所得ですから、これも長期にわたって逓減します。

消費も税収も増えず減少していくということです。だから、赤字財政は解消できません。
赤字財政を解消するには、歳出に大鉈を振るわなくてはなりません。50兆円の歳入なら、50兆円の範囲内で、それが40兆円なら、財政規模を40兆円にすべきです。
そうしないといずれデフォルトの時期が来ます。それが政府財政の破綻です。
金利の暴騰が引き金を引くのか、円の信認低下が引き金を引くのか、もっと他の何かが引き金になるのか、神のみぞ知るです。
by ebisu (2016-05-04 00:23) 

ebisu

ははは、23:30のコメントは陰謀論に聞こえましたか、わたしの不徳のいたすところです。

財務省官僚がそういうことを考えているのは、仕事ですからあたりまえです。わたしも仕事をしてきたので、いくつもの選択肢を並べて、メリットとデメリットを比較検討しておくのは普通のことであって、陰謀でも何でもありません。
こういうことにはっきりした証拠は必要ないと考えます。だれが担当しても仕事としてはそういうことを事前検討するのですから。

>初めの段落にあります、物価が上がり、金利も上がっているときと言うのはすなわち好景気の時であり、その時は税収も自動的に上がっているので国債の新規発行は押さえられると考えます

物価が上がって金利が上がるのは好景気という前提は、いかがなものでしょう。
スタグフレーションという経済用語があるくらいです。
原油価格が30ドル/バーレルですが、100ドルしていましたから、ずいぶん下がっています。これが80ドルにでもなれば、物価は暴騰するでしょうが、好景気になるどころか、深刻な不景気になるのではないでしょうか?
スタグフレーションです。

日銀が国債の買い入れをやめて、国債の消化を市場にゆだねたら、金利は暴騰します。金利が深刻な財政負担となり、財政運営ができなくなります。なにより、巨額の評価損が日銀と金融機関の出ます。既発行済みの国債価格が暴落します。金融機関の破綻を招来しますから、これも政府財政の破綻に匹敵する経済混乱を生むでしょう。

政府財政破綻の定義については先ほどアップしました。

by ebisu (2016-05-04 00:38) 

ebisu

もう一点ご指摘がありました。それはマイナス金利です。

>将来の破綻が見込まれるとebisuさんが警鐘を鳴らす日本国債の金利がマイナス~ゼロ近辺というのはいったい何故なのでしょう?

マイナス金利は市場の作用ではなく、日銀の政策です。
金利の調節作用を市場にゆだねれば、国債金利は暴騰します。
誰かがそうするのではなく、高い金利をつけないと市場で国債が捌けないのです。日本国債はBIS規制で、リスク資産にカウントされます。国債を市中消化をするためには、金利が上がります。それが市場の調節機能です。マイナス金利の国債を銀行が買うと思いますか?金利を上げないと国債が売れません。

ところでマイナス金利が経済にどういう影響を及ぼすのか、市場はまだ理解できていないようです。
これも経験科学の範疇ですから、事態が進行しないと、具体的な影響の範囲がわかりません。
徐々に明らかになるでしょう。当のご本人の日銀黒田総裁も、どうなるかわからないので様子見しています。

経験のないことですから、マイナス金利の影響はだれにもわからないのです。おっかなびっくりやっているのです。
銀行は悲鳴を上げはじめています。マイナス金利を拡大していくと日本の銀行はつぶれます。威勢よく、いくらでもマイナス金利を拡大すると日銀黒田総裁が宣言しても、実務上はやれないのです。
by ebisu (2016-05-04 01:02) 

21:06の人

お返事ありがとうございます。

私は「デフォルト」=債務不履行であり、借入金の金利を払えない・元本の返済が出来ない状態、と理解しておりますが認識に違いはないでしょうか。
この認識で話を進めるならば、日本政府が日本円建てで国債を発行し続ける限り、デフォルトは起き得ない(日本円を印刷すればよい)といった結論が導かれると考えられます。
(繰り返しますが、極度のインフレによって額面価値が暴落し、国債を買った人が酷い目に遭うのは否定ません)

また、この論で行くと、たとえ歳出に対する金利の支払いが1/2を占めようと、「金利を払えない」という状態は起こらず、デフォルトは起きません。
"歳入の半分を金利支払いが占めたら、「破綻」"とする論拠は何でしょうか?

と、ここまで論を進めると、ebisuさんの主要な論点である「国債は政府の借金であると同時に国民や金融機関の資産だから、いくら増えても問題なしは戯れ言」に対し、

少なくともデフォルト(債務不履行)は、日本政府が日本円建てで国債を発行する限りは、いくら増えようが起こりえない
と言った結論が導かれると考えますがいかがでしょう。

後段で少子高齢化で、労働人口が減って、非正規雇用が増えれば~、とありますが、
マイナス金利で国債を発行し、公共事業を行い景気を刺激し、正規雇用が増え、景気が良くなれば国民所得は増えると考えます。
2015年の人口減は0.07%です。これ以上の経済成長を達成できれば国民所得は増えます。
また、国民所得が増えれば少子化も緩和できるのではないでしょうか。(理想ではあります)

by 21:06の人 (2016-05-04 01:32) 

21:06の人

スタグフレーションの件について
私は日本の現状は「供給力過剰・需要過小」のためデフレである、と考えますが。
スタグフレーションは、「供給がないのに需要がある」から起こる現象と考えます。
ここまでの認識に違いはありませんでしょうか。

であるならば、金融・財政政策上においては、現在の日本において、物価上昇・高金利でスタグフレーションというのは起こりえないと考えます。

原油価格について
世界においては、インフレ・デフレを議論するときの数字は名目上の数字から生鮮食品・エネルギー価格を除いた数字(コアCPI・日本ではコアコアCPI)が使われます。
私はこの話の主題を「財政・金融政策」だと思っておりましたが、そこに資源価格の話を入れてしまうのならば、議論がかみ合わなくなってしまう(論点がすり替えられる)と思います。
by 21:06の人 (2016-05-04 01:34) 

21:06の人

国債買い入れについて
現在の国債市場が、日銀の買い入れによって機能していない、というのは否定しません。
しかし、日銀の買い入れが始まったのは2013年からですが、日本の10年物国債の金利は平成10年あたりからずっと3%以下ですし、ここ10年に限っては1%台前半です。
2013年以前の金利は市場が調整した結果ではないのでしょうか?
市場が調整した結果であるならば、何故デフォルトが懸念される日本国債の金利が暴騰しなかったのでしょうか?
参考:財務省 国債金利情報
ttp://www.mof.go.jp/jgbs/reference/interest_rate/
by 21:06の人 (2016-05-04 02:01) 

外野

外野ですが、一点訂正が必要。

>日本国債はBIS規制で、リスク資産にカウントされます。

国債はリスクウェイトゼロ(=リスク資産ではない)です。
バーゼル委にて新BIS規制の態様が議論されてきましたが、つい先日、国債保有規制は現行通りリスクウェイトゼロとする方針が示されました。

http://jp.reuters.com/article/basel-banks-idJPKCN0XI1R7
by 外野 (2016-05-04 02:30) 

外野

一応原文も載せておきます。
http://www.bis.org/bcbs/publ/d368.pdf
by 外野 (2016-05-04 02:35) 

外野

>マイナス金利の国債を銀行が買うと思いますか?金利を上げないと国債が売れません。

ちなみにマイナス金利下でも、ベーシススワップを用いれば、プレミアム分の利息(実質的な固定クーポン)を受け取れるので買い手(主に海外金融機関)がつくのです。
by 外野 (2016-05-04 02:56) 

ebisu

外野さんへ

BIS規制に最近変更があったのですか、知りませんでした。この方面に詳しい方のようですね、ありがとうございます。

マイナス金利でも海外金融機関が買い手になるとの主張ですが、事実でしょう。
しかし、国内の金融機関はどうでるでしょう?
わからないのですよ。
どうでるかは日本の銀行個々の銀行の経営判断です。

マイナス金利でも利益を出す具体的な方法を見つけられたら購入に踏み切るでしょう。それがリスキーだと考えるなら購入しないでしょう。
いずれかの銀行がそのうちに判断します。そうすれば右へ習いとうこともありえます。
いまのところ、マイナス金利の10年もの国債をガンガン購入していこうという銀行経営者はいないようです。旧来のスキームでは銀行経営がなりたたないと判断しているのでしょう。

>ちなみにマイナス金利下でも、ベーシススワップを用いれば、プレミアム分の利息(実質的な固定クーポン)を受け取れるので買い手(主に海外金融機関)がつくのです。

海外の金融機関とはヘッジファンドのことでしょうか?それとも普通の金融機関?
そしてプレミアム分の利息とはどれくらいのパーセンテージですか?
邦銀が資金運用したくなるほどの利ざやが稼げるのでしょうか?
国際金融の技術的な問題に関してはわたしは専門知識の持ち合わせがありませんので、ご教示願えたら幸いです。

邦銀の動きについては経緯を見守りたいと思います。
by ebisu (2016-05-04 09:06) 

ebisu

1:32の人へ(笑)

ややこしいのでコメント投稿時刻で識別することをご了解ください。

>この認識で話を進めるならば、日本政府が日本円建てで国債を発行し続ける限り、デフォルトは起き得ない(日本円を印刷すればよい)といった結論が導かれると考えられます。

あなたの議論はよくわかります、わかりやすいからです。
この論を突き詰めると、1944年のデフォルトも1946年の預金封鎖もありえません。

大蔵省造幣局が日銀券を刷って、日本銀行が国債を購入すれば、デフォルトも預金封鎖もおきなかったということになります。ところがそうはしなかった。できなかったのだろうと思います。

借金を膨らませ続けてよいという感覚は日本人の深層真理にはありません。借金したらきちんと返済する、それが日本人の伝統的な考え方です。

「売り手よし、買い手よし、世間よしの三方よし」

戦費調達のために赤字国債をはじめた高橋是清も、それが一時の方便であることを理解していました。赤字国債の増発は続けられないというのが日本人の基本的な考え方です。

財務省が日銀券を印刷して、日銀がそれで財務省発行の国債を購入するから、ディフォルトはないというのは、歴史的な事実に反しています。歴史が反例だと申し上げておきます。

まだ2点ほど論点が残っているので、食事をした後でアップします。しばし、時間をください。
by ebisu (2016-05-04 09:17) 

ebisu

1:32さんへ

10年前にスキルス胃癌を患って、胃と胆嚢をとっているので食事に時間がかかります、お待たせしました。

日銀が買うからデフォルトはないという論点については歴史的な反例を挙げたので、これで議論は尽きたと考えます。

二つ目の論点に移ります。
---------------------
後段で少子高齢化で、労働人口が減って、非正規雇用が増えれば~、とありますが、
マイナス金利で国債を発行し、公共事業を行い景気を刺激し、正規雇用が増え、景気が良くなれば国民所得は増えると考えます。
2015年の人口減は0.07%です。これ以上の経済成長を達成できれば国民所得は増えます。
また、国民所得が増えれば少子化も緩和できるのではないでしょうか。(理想ではあります)
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日本の経営者は経営能力がないから正規雇用を増やせません。非正規雇用を増やすことでこの20年間利益を増やし続けてきました。従業員全員を正規雇用にしたら、日本の大企業のほとんどが利益を出せないでしょう。それほど弱体化しています。

0.07%は瞬間速度です。現象を微分してみたのでは、大きな変化を見逃します。
社会保障・人口問題研究所の人口推計によれば、24年後の2040年には人口が4000万人ほど減少します。労働人口の減少はもっともっと加速的に減少します。日本の人口は6000万人へ向かって2世代にわたって減少を続けます。
弊ブログで具体的な数字をどこかで採り上げています。

だから、日本経済は長期的に縮小していくのです。そういう文脈の中での議論です。

公共事業の拡大で景気を刺激し続ければよいとの考えのようですが、その結果が1000兆円を超える負債の山。そういう考えは一時的には許容できますが、長期にわたってやると、いまのような結果になり、にっちもさっちもいかなくなります。
「国民所得が増えれば」と書いていますが、生産年齢人口が急激に減少しつつあるので増えません。一人当たり所得も、この10年ほどで10%も減少しています。

成長路線が不可能なのは人口減少によって消費が減るからだけではありません。
政府は原子力発電や、新幹線の輸出、潜水艦などの武器輸出に力を入れていますが、重工業をベースにした産業の強化は国策としては時代遅れでしょう。
日本のメーカはエレクトロニクスやコンピュータソフトウェアの点で、遅れをとったのです。ソニーもシャープも東芝もパナソニックもあえいでいます。
従来強かった産業分野が急激に弱体化してしまいました。だから、この点からも成長路線はありません。
未来を決める子どもたちの学力は、根室を見るとこの10年間だけをみても急激に落ちています。それもデータを挙げて弊ブログで何度も論じています。

羽田の手荷物受付カウンターの自動化を#3263で採り上げました。数十人が働いていたはずですが、自動化システムで人がいなくなっています。セラミックスの義歯自動作製機セレックの普及も、職業としての歯科技工士の数を急激に減らすことになるでしょう。
さまざまな職業で類似のことが起きていると考えるべきでしょう。

人工知能の性能が指数関数的にアップしています。3年でおよそ2倍です。たとえば、新聞記事はベテランライターと同水準のものが数分で出来上がります。さまざまなビックデータを検索して、人工知能が学んでいきますから、ライティング技術はドンドンアップして人間を超えます。全世界の図書館データにアクセスして、ディープラーニングを勝手に進めればいいだけです。人間の介在すら必要なくなっています。
現在ある新聞記事は15年後には90%人工知能が肩代わりできるだろうといわれています。
パターン化された単純労働だけでなく、知的労働がどんどん人工知能に置き換わりつつあります。
経済学者たちはこの点を過小評価しています。

医療分野ですら、複雑な診断技術が人工知能のアシストを受けるように換わりつつあります。そのうちにさまざまな疾患分野の診断が人工知能によって代替されることになります。

1986年に「臨床診断支援システム事業化構想案」でSRL創業社長の藤田さんから、200億円の稟議にOKをもらいましたが、そのときにはNTTと会議を何度かして、回線の速度とコンピュータの速度が要求仕様を満たすまで30年ほどかかるという結論になり、開発を断念したのですが、米国では現在そういうことを狙って数社がスタートアップしています。

21世紀前半は、人工知能が知的労働の分野を次々に侵食していくことになります。職を奪われたら、収入がありません。知的な職域が奪われたら、大卒の成績優秀な部分すら失業していかざるを得ないという状況が最近進行しつつあります。

『ロボットの脅威 人の仕事がなくなる日』マーティン・フォード著 松本剛史訳 日本経済新聞社 2015年10月刊

したがって、「正規雇用の増大」も好景気もほとんど可能性がありません。

スタグフレーションが残っていますので、次に採り上げます。
by ebisu (2016-05-04 10:36) 

ebisu

< stagflationについて >

財政破綻でもそうでしたが、ここでも言葉の定義が問題なようです。
ご存知でしょうが、stagflationは

stagnation + inflation
沈滞、不景気 + 物価上昇

このふたつの言葉の合成語ですから、不景気下の物価上昇を指します。わたしが使ったのは言葉通りの意味です。

論拠ももう一度示しておきます。
生産年齢人口の急激な縮小と、一人当たり所得の減少によって消費が拡大しないことは明らかでしょう。今後、30年以上にわたって、人口減少が継続します。50年後には日本に人口は6000万人以下になっているでしょう。一人当たり所得が上がらないと仮定すると、国民所得は半分以下になります。経済成長なんて、長期的にはありえないというのがわたしの考えです。
この点は平行線なのでしょうね。

人口が減れば、マイナスばかりではありません。首都圏の通勤地獄は解消されます。畑もたくさん余ります。首都圏でも建物を取り壊して緑豊かな畑や林が復活するでしょう。
水産資源がいま程度にあれば、農地も増えるので、食糧の自給が可能になります。50年の苦難の後に幸福なときが訪れます。それでよいのです。

強い管理貿易で生産拠点を国内に取り戻せばいいのです。慶応大学の金子勝教授が今朝の「社会の見方・私の意見」で言ってましたが、新しい経済学が必要なのです。
職人仕事を中心にした日本の伝統的価値観に基づく経済学をわたしは弊ブログで昨年1月に公表しています。
A・スミスやリカード、マルクスがベースにしている経済学の公理「労働」を「日本的職人仕事」に置き換えたものです。
21世紀は、まったくあたらしい価値観に基づく経済学が始まります。
by ebisu (2016-05-04 10:54) 

ebisu

高校生のために、英英辞典CALDのstagflationの説明を載せておきます。

stagflation:
an economic condition in which rising high prices, high unemployment and little or no economic growth are present.

物価上昇と高い失業率が見られ、経済成長がほとんどないかあるいはまったくないような経済状態をいう。

要するに、不況下のインフレをいうのです。
特定の原因から生ずるものをいうのではなく、不景気とインフレという現象が並存しているのがスタグフレーションであるという説明です。
それがどうして起きたのか、あるいはこれから起きるのかというのは別問題です。
by ebisu (2016-05-04 11:30) 

外野

>BIS規制に最近変更があったのですか、知りませんでした。

バーゼル委で検討されてきましたが、これまでどおり、リスクウェイトゼロの継続を決定したという話しです。未だかつて、国債にリスクウェイトが課せられたこと=リスク資産と見なされたことはありませんよ。リスク資産と見なされ、仮に10%のリスクウェイトが課せられた場合、自己資本比率の分母であるリスクアセットに多大な影響が出ます。リスクアセットに占める国債保有比率が高い日米金融機関が猛反発して、従来通りリスクウェイトゼロが継続されることになったということです。

>マイナス金利でも海外金融機関が買い手になるとの主張ですが、事実でしょう。
>しかし、国内の金融機関はどうでるでしょう?
わからないのですよ。
>どうでるかは日本の銀行個々の銀行の経営判断です。
>マイナス金利でも利益を出す具体的な方法を見つけられたら購入に踏み切るでしょう。それがリスキーだと考えるなら購入しないでしょう。

おっしゃる通り、自己資本への影響を見ながら、リスクテイクしていくのは個々の金融機関の経営判断となりますが、総じて、外貨建外国証券、仕組債、REITなどへの運用が広がっています。超長期債が0.2%台という銀行の経費率をはるかに下回っている現状の金利水準を考えると、海外融資ができるメガバンクを除いてはリスク性の高い商品を購入せざるを得ません。

保有有価証券(国内債券)の満期償還後の再運用が今後大きな問題となります。多くの金融機関はラダー型でポートフォリオを構築していますが、近年デュレーションを短くしてきた国内金融機関にとっては今後数年で急速に有価証券利息配当金が減少し、収益が悪化する恐れがあります。

加えて、退職給付会計上も将来の予定利率を引き下げざるを得ないため、退職給付債務の増大が懸念されます。これは金融機関だけの問題ではなく、一般企業における企業年金運用にも大きな悪影響を及ぼすでしょう(短期的にはPBO悪化分の特損計上)。

>海外の金融機関とはヘッジファンドのことでしょうか?それとも普通の金融機関?

ヘッジファンドだけではなく、主要外銀、海外年金基金、外貨準備管理当局なども買い手と言われています。

>そしてプレミアム分の利息とはどれくらいのパーセンテージですか?
>邦銀が資金運用したくなるほどの利ざやが稼げるのでしょうか?

2年物のベーシススワップでドル円スワップを介して、-0.2%の2年物JGBで運用すると、LIBOR+0.7%程度の利回りを確保できる状況です(出来上がりで1.5%程度)。完全に歪んでいます。邦銀はドル円スプレッドでは逆ザヤとなってしまうのでこの手法での運用はできません。

いずれにせよ、個人的には現在の日銀の金融政策は金融機関本来の金融仲介機能を低下させ、市場調節機能を失わせ、大きな歪みをもたらしている世紀の愚策だと思っています。

外野と言っておきながら書きすぎました。これにて失礼。
by 外野 (2016-05-04 12:32) 

もやしさんま

暴論扱いされちゃいました。結局のところ借りているのも貸しているのも日本人、そのからくりのこころは大多数の素直な日本人を働かせようということです。そうすることによって2ランク上の生活をする人達がいるような気がするということ。
by もやしさんま (2016-05-04 14:08) 

ebisu

外野さん

国際金融に関する詳しい解説ありがとうございます。
ところどころわからないところのありましたが、おおよそのところはなんとか・・・

ところで国債保有に関するBIS規制は案が検討されただけで、結論は今年出るようですね。2016年6月9日の日経新聞記事を見つけました。
ご指摘の通り、まだ国債購入に関するBIS規制はありませんでした。

http://www.nikkei.com/article/DGXLASGC08H1V_Y5A600C1MM8000/

マイナス金利の国債はドル円スワップが逆ザヤなので邦銀は扱えないという結論、これは専門家でないとわかりませんね。ご教示ありがとうございます。

最後の結論は、現在の日銀の政策が金融市場の調節作用を失わせる「世紀の愚策」とのこと、わたしもそのように思っています。

by ebisu (2016-05-04 15:36) 

ebisu

もやしさんまさん

大胆不敵な論だとは申し上げましたが、「暴論」という風に聞こえたのですね。失礼しました。4つの論点のうち、大胆不敵と書いたのは2番目の論点だけです。半分はその通りです。

もやしさんまさんの論は4段階になっていました。

①日本国債のほとんど(94%)は日本人が保有している
②徳政令を出しても国内問題なので不都合なし
③経済成長しても給料が伸びない
④国債を増発して借金を増やせば、次の世代がそれを返済するために一生懸命に働く

たしかに、国債を増発してジャンジャン使えば、「日本のトップ」層は利益があるのでしょう。予算の配分権もあるし、お金を使える業界も儲かります。

①③はその通りだと思います、④はわたしの判断では疑問符がつきます。当代の負債は当代が返済すべきです。後の代に迷惑をかけてはいけません。
②の徳政令は頷けませんでした、悪しからず。理由はすでに書きました。

もやしさんまさんの論を読んだ皆さんは楽しかったと思いますよ。
by ebisu (2016-05-04 15:58) 

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