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#3097-8 資本論と21世紀の経済学(改訂第2版)-8  Aug. 4, 2015    [資本論と21世紀の経済学(2版)]

#3097 資本論と21世紀の経済学(改訂第2版)<目次>  Aug. 2, 2015 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-08-15


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26.<利便性の追求の果に何があるのか>

 花咲線の廃線に絡んで、自動車と鉄道のコスト比較をしてみたところ、ハンドルネームもやしさんまさんから、一理も二理もある次の趣旨のご意見をいただいた。
 輸送コストの比較をしても意味がない利便性が違う、というのが根拠の一つ。たとえば、釧路の病院へ通うのに鉄道は駅までしか行かないから、そこからまたタクシー代が掛かる。また、買い物に行く場合には、車だとショッピングセンターまで乗り付けて、荷物も車に載せることができる。家族4人ならコストはどっこいどっこいで、利便性が勝る車に軍配が上がる。
 たしかにその通りで、HNもやしさんまさんのご意見はしごく論理的なのである。
 もやしさんまさんは鉄道ではなくてバスへの代替を考えているようだが、市内を走るバスですら、バス会社の採算悪化で間引きがなされている状況だから、人口減少で利用客が減れば、花咲線が廃止されたあとでバス会社も消滅しかねない。鉄道廃線とバス会社消滅による地域間交通網の崩壊というとんでもない問題が潜んできることに気がついた。住民である自分たちがなんとかしないでだれがしてくれるのだろう。

 判断の根っこにある利便性について考えてみたい。
 原発問題も電力という利便性追及の結果のことだし、経済成長が必須だという考えの底にも利便性の追求がある。人間の生活を豊かにするためにもっと優れた製品の開発をしようという企業は次々に現れる。利便性のあくなき追求は人間の根源的な欲望の一つである。
 しかし、原発事故でも明らかになったように、利便性の追求はときに人間の未来を危うくする。地域間交通で利便性のみを追求し続けることは、北海道の多くの市町村はそう遠くない未来にコミュニティとしてその機能を失い、崩壊しかねないリスクを孕んでいる。
 未来を見通し、人間が引き起こす災厄を予防するのは人間自身の智慧の働きだから、現状がどのように変化しつつあるのかを見て、未来がどうなるのか最悪の事態も予測してみなければならない。そうすればいま打たなければならない手も見つかる。

 亀田製菓の柿の種が米国で売れているという。日本市場で売られているものよりも3倍辛くしているという。日本の工場がさきほどテレビに映っていたが、人がほとんどいない。食品の安全上、人も虫もがいないほうがいいに決まっている。いたのは品質管理部門の食味検査の人だけ、1時間ごとに6袋を無作為にピックアップして十数項目をチェック。この工程は機械化できない。
 そういうわけで全国の大手食品工場はどんどん「省人化」が進んでいる。

 人間の存在っていったいなんだろうか?育てるのには手間が掛かる。社会に出るまで高卒で18年間、専門学校卒だと20年間、大卒だと22年間も掛かる。躾や教育の手間はじつにたいへんで、利便性とは相容れない存在である。機械は24時間動くが、人間は食事もするし、睡眠も必要だ。具合のいいこともあるし、悪いこともある。病気になったら通院や入院して仕事は休みとなる。簡単に交換や代替が利かないし、性能が劣化しても廃棄処分もできないから、じつにやっかいな存在である。

 利便性を追求し続けていくと、どこかで人間の存在が邪魔になる「閾値」のようなものにぶつかる。そこから先は人間の介在がないほうが合理的で利便的に勝っているターニングポイントのようなものが現れてくる。セイコー社の腕時計組み立てラインは20年前に1ライン当たり十数台のアームロボットによる無人化工場になっていた。自動車工場もどんどん「省人化」と「コスト削減」が進む。無限の「省人化」と無限の「コスト低減」は「無人化」に収束する。人間が生産現場からもサービス業の現場からも、研究・開発分野からも放逐される。いずれ、人間よりも低コストで高性能な人工知能がとって替わる。
 このままコンピュータが発展し続けると、百年以内に人間の能力をはるかに凌駕する、一辺が5cmほどの立方体の人工知能が開発される。その段階では、性能(つまり、利便性)が悪い人間を工場でも事務部門でも開発・設計部門でも使う理由がなくなる。機械は自分で自分をより利便性の高いものに再設計し、ネットワークにつながれた機械を使ってより高性能な自分自身を再設計し再生産する。そこにそれまでの記憶をコピーすればいいだけだ、古い身体は廃棄処分、年年歳歳自分を再設計し、ハードウェアもそれに搭載するソフトウェアも更新してしまう。効率を求めたら、人工知能自身に自己再設計や自己更新機能を認めざるをえない。そうしなければ競争に勝てないからだ。フェィル・セーフ機能がつけられたとしても、人間の利便性や利益を求める欲望が安全装置を取り払うことになる。そうしないと企業間競争に勝てないからだ。
 そういう時代が訪れるまでに百年残っていない。利便性の追求とか経済成長を無限に続けていたら、人間は逃れる場所のない「絶滅」という袋小路に突き当たる。

 高性能の人工知能から見たら、人間は著しく性能が劣り、手間隙のかかる、つまりは利便性が悪く高コストな存在なのである。コンピュータの発達によって第三次産業革命が起きれば、人工知能のネットワークとそれに接続されたあらゆる機械が効率の悪い人間を排除することになる。人間の側は利便性を手放せないから、人工知能や機械を排除できない。負けが決まっている全面戦争に突入するようなものだ。
 わたしは「第5章 労働間と仕事間:過去⇒現在⇒未来)」「第三次産業革命の時代:量子コンピュータ・ネットワークの世界」の中で、過去30年の速度でコンピュータの演算速度とメモリーの集積度が上がり続けたら、百年後のコンピュータの性能が現在の2億倍になり、人間をはるかに上回る性能の5cmのキューブ型の人工知能の出現可能性があることに言及した。
 経済社会から人間が排除される第三次産業革命時代が2世代後に来てしまう。欲望を抑えることに失敗したら人工知能の発達は人間を絶滅に追い込みかねないリスクを孕んでいる。
 人間が古くて効率の悪い機械を廃棄処分するように、合理的に思考する人工知能は性能が悪くて高コストな人間をある日突然廃棄処分しかねない。厄介なことに、コンピュータの性能を上げるために、コンピュータ自身に自己を再設計し、自分のプログラミングを書き換える機能を与えてしまうことになる。そうしなければ企業間競争に勝てない。だから人工知能が人間のようにあたりまえに合理性や利便性を追求し続けたら、いつか旧式の機械である人間を排除することになる。あらゆる環境設備や生産設備や機器や兵器が人工知能を核にして人類に反乱を起こす。単なる移動手段のはずだった自動車や飛行機ですらも反乱の兵器に変わる。
 たとえば、ネットワークを通じて飛行機の自動操縦機能を乗っ取れば、ある日突然に世界中のすべての原発を狙って正確無比に墜落させることができる。大気にも川や湖や海にも、序(つい)で地下水にも放射能がばら撒かれ、人類は遺伝子レヴェルルで著しい劣化を起し、これまで築き上げてきた文明を維持できなくなる。手段は無数にあるから、人類に防ぐ手立てはないだろう。

 物理学者のホーキング博士が昨年12月に人工知能開発が人類を絶滅に追いやりかねない脅威をもつものであることを全世界に向けて警告している。

2014
122日のニュースより
http://www.bbc.com/news/technology-30290540





 27.<外国人持ち株比率3割の意味するもの(金子勝慶応大学教授)>
 715NHKラジオ番組「社会の見方私の視点」は慶応大学経済学部教授金子勝の担当だった。10分ほどの朝の番組である。
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現在の株式相場は官制相場である>
 
アベノミクス第一の矢の「異次元金融緩和」と同時に、日銀がETF(上場投資信託)を購入して、株式相場を買い支えている。
 ETFExchange Traded Fund
 
それらに加えて、GPIF(年金基金)と3つの共済年金が株式を買っている。

 日銀のETF購入額は3兆円を超え、それに加えてGPIF3つの共済年金機関で3月末の残高が3兆円を超えた。株価下落の要素が起こると日銀がETFを購入し、年金基金も株を買う。株式市場で起きている株高は政府の自作自演である。いつまでもこんなことは続けられない

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大手企業が外資系企業になっていく>
 1990年代以降、銀行を中心としたグループ企業間の株式持合いを解体することが「改革」とされた。不良債権処理の失敗などで保有株式を手放した。それで小泉政権時20%台だった外人投資家のシェアは30%台へ急増し、2014年には31.7%に。
 売買に占める外人投資家の比率は6割台である。したがって、日本の株式市場は外国マネーに席巻されている。日本人の個人投資家の持ち株比率は17%と低い。

 経産省の定義では、外人持ち株比率が1/3を超える企業は「外資系企業」と定義されている。その定義にしだがえば、名だたる大手企業がすでに外資系企業である。株主総会で特別決議は株主の1/3の賛成が必要だが、外資系企業は重要な経営政策は外人投資家にお伺いを立てなければ株主総会を通らないから、外人投資家の持ち株比率上昇は企業の経営政策や政府の経済政策にも影響を与えている。
 トヨタはすでに外人比率が30%に達しているので、これ以上外人比率を上げたくないので、5年間売却できない個人投資家向けWA型特殊株の発行を公表した。
 外人投資家が株を大量に売却すれば、株価は簡単に剥げ落ちるので、トヨタは予防に走った。

 たとえば、買収に対抗するために内部留保を厚くすることや労働法制を緩和して企業利益が大きくなるような経済政策が採られている。
 その結果、法人企業統計によれば内部留保は2012年に300兆円だったが2013年には328兆円に増えている。

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トリクル・ダウンは起きない:企業はだれのもの?> 
 配当を増やさないと外人投資家を呼び込めないので、株価を維持するために企業は配当を増やしている。2014年度は純利益の4割に当たる13兆円を株主還元している。
 それに対して従業員の給与は、90年代以降低下し続け、20155月まで25ヶ月連続でマイナスとなっている。
 大企業は史上最高益を上げ、株価が高くなっても、従業員にトリクル・ダウンは起きていない。アベノミクスでは利益を増やす企業の裾野が広がっていけば、従業員の所得も上がっていくという説明だったが、事実はまったく違う。
 企業は株主のものだろうか?

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破綻しているアベノミクス>
 若者の非正規雇用化は結婚も出産もできない若者を作り出し、少子化を招来している。痩せる国内市場に対して大企業は投資をしない、外国企業を買収する方へ投資している。
 日銀は財政ファイナンスを延々と続けなければならず、出口戦略がまったくみえない。金子氏は日本の現状を金融資本主義がもたらした結果であるとみている。
<今後どうなるか>
 2014年末の日銀国債保有残高は275兆円。
 20152月の内閣府の「中長期の経済財政の試算」によれば、2017年には物価上昇率が3.3%になった後で、2%に落ち着く。名目成長率は2018年度までに4%に上がることになる。
 物価よりも金利が低いということはないので、金利も上昇することになり、国債が暴落して、日銀は巨額の評価損をだすことになる。
 国際価格の下落を防ぐためには、日銀はジャブジャブと国債を買い続けなければならない。したがって、金融の不安定化が避けられない。
 アベノミクスは成功したとたんに破綻がまっている。
 政府は根本的に財政・金融・経済政策を見直すべきだ。

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 ここまでが金子教授の意見である。
 ebisuが少し付け加える。この20年間で二つ重大な変更があった。株式評価基準の変更と労働法制の改正の二つである。
 企業間の持株解消は米国の要求で会計基準が変更されたことが決定打となった。国際会計基準というが、中身は米国会計基準である。
 経済学者は案外この点を見過ごしている。株式が時価評価になったから、株価が変動すると巨額の評価損を計上することになりかねない。だから、日本の企業は銀行も生保や損保も株式の持合を解消した。会計基準変更によって企業経営者の行動は簡単に変わってしまう。会計基準は国益に直接関わるものだから、会計学者の議論に任せていてはいけない。会計基準の変更(時価評価会計)により国内企業がいっせいに持ち合い株を放出したから、受け皿は外人投資家しかなかった。
 一斉放出は株価下落を招いたから、外人投資家は濡れ手に粟のごとく日本企業株を手に入れた。それまで売買の対象とならなかった企業間の持ち合い株が、会計基準の変更によって簡単に市場で売却されてしまった。
 労働法制を変更して、良質の労働力である日本人を安く使い、利益と配当を増やして、国際金融資本が日本国民の富を合法的に収奪する体制が整った。
 小泉改革以来の規制緩和はこういう狙いがあったのだ。
 韓国は大手銀行のすべてが外資比率80%以上である。サムスンや現代自動車も外資系企業で、国民は不安定な雇用と低賃金、そして高失業率にあえいでいる。
 気をつけないと、日本もそのあとを追いかねない。

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会社法を改正して金融資本の影響を薄めよう>
 法律を作って、無条件で株式会社の社員に株主総会で1/3の議決権を付与したらいい。会社法改正で可能だ。そうすれば、社員の総意に反するような特別決議(会社法3092項)が事実上不可能になる。米国が傀儡政権を通じて会計基準を変更させたように、わたしたちも国会議員に必要な会社法改正をさせて対抗すればいい。
 会社は社員のものである、そして株主のものでもある。日本は世界に先駆けて敢然とグローバリズムと戦え


 たとえば、親会社が子会社を吸収合併しようとしても、子会社の社員がこぞって反対すれば、吸収合併の特別決議ができなくなる。もちろん、他の会社が吸収合併しようとしても同じこと。社員が相違をまとめられたら拒否権を持つ。会社の配当政策や社員への利益配分にも影響力をもつことになる。非正規雇用についても社員総会がその雇用条件の改善に口出し可能になる。

 日本が国際的な貢献を果たす可能性を残すには、TPPに加盟してはいけない。日本独自の規定を会社法に盛り込めなくなるからである。グローバリズムの侵略をこれ以上許してはいけない、日本は会社法を改正してグローバリズムと戦うべきだ。

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法人企業統計から見る日本企業の内部留保と利益配分>
https://www.mof.go.jp/pri/research/special_report/f01_2014_03.pdf

 1998年 131.1兆円
 2000年 167.9兆円
 2008年 279.8兆円
 2009年 268.9兆円
 2012年 304.5兆円

 p.917-1に配当金の推移棒グラフが載っている。2001年までは5兆円未満だったが、2002年に5兆円を超え、2005年には12.5兆円、2006年には16兆円、その後2012年まで10-14兆円を維持している。
 日本企業が人件費をカットして、配当にまわしている姿がよくでている。
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