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#3030 低学力の実情:中学2年生4/10学力テスト問題から Apr. 19, 2015 [71.データに基づく教育論議]

 4月10日実施の文教(北海道教育文化協会)学力テストから、数学の問題を取り上げて、低学力の実情を具体的に明らかにしたい。
 普段の学力テストよりも問題の難易度が上がった感じがある。市販の教材では普通のレベルである。弊塾で使っている教材はこれよりもレベルが少し高い。

 この学年の生徒たちが小学生のとき、一部の生徒の授業中の立ち歩き、そして私語が多くて「崩壊状態」であったことは前回書いた。そのC中学校の2年生は6割を越える生徒の数学の得点が20点以下である。平均点は22.5点。#3028の表を再掲する。

C中
国語社会数学理科英語合計平均
中150.947.754.352.5 205.451.4
中253.633.922.539.451.6201.040.2
 差2.7-13.8-31.8-13.1 -4.4-11.2



 では問題文を三つとりあげて検討をしてみたい。

<大問3の問2>
 あきお君は傘を忘れたお父さんを駅まで迎えに行きました。家から分速60mで駅に向かい、駅で10分間待った後、父と分速50mで家に戻りました。家を出発してから家に戻るまでに掛かった時間は54分でした。家から駅まで道のりは何mになりますか、求めなさい。

 この問題がさっぱりわからないという生徒から質問があった。ニムオロ塾では速度の問題と食塩水の濃度の問題は同型なので、まったく同じ表で解かせている。表に問題文の数字を入れていけば誰にでも式が立てられる。併行して線分図も使う。
 3回ほど読ませたが、表にきちんと数字を入れられない。ヒントを出した。
「あきお君とお父さんの歩いた時間は何分ですか?」
「・・・54分です」

 句点の後の文章を読むときに、もう前段の文章が頭の中にないのである。「駅で10分間待った」という句が後段の文章と関連付けられない。この生徒は平均点を越しているから、8割の生徒が似たような状態かもしれない。
 小学生用の『言葉力ドリル』をやらせたら数学が20点以下の生徒の大半が40点以下の得点しかとれないだろう。文章語はほとんど理解できないから、中学校の国語・数学・社会・理科、5教科全部の授業が理解困難だろう。

 先生やお母さんたち、小学校で少年団活動とゲームやインターネットをやり放題、家庭学習習慣を育まず、年齢相応の本を読ませなければ、子どもたちは高い確率でこういう風になってしまう。中学校の先生だってお手上げです。

<大問2の問4>
 A地点からB地点までの距離をはかったところ、測定値は17mになりました。この測定値の誤差の絶対値は何cmですか、求めなさい。

 9割の生徒がこの文章から小数第1位が四捨五入されていることを読み取れない。日本語の読解力が育っていない=貧困だとこういうことが起きてしまう。もう数学以前の問題で、日本語の教育をしなければならない、このレベルは中学校の授業が理解できない。日本語の語彙力や読解力が足りずに授業内容が理解できないということを学力障害と定義するなら、である。半数以上の生徒が学力障害に他ならない。
 誤差という言葉の意味もわかっていない生徒が少なくない、信じられますか?
 測定値が17mということは、実際の値をa とすると、aの範囲は、
       16.5≦a<17.5

 誤差は「17-16.5」あるいは「17.5-17」で計算できます。引き算で0.5mになりますが、「何cmですか」という句を記憶していなければアウト。もちろん、解き終わって答えを書くときにざっと問題文を読み直し、答えの書き方が適切かどうかチェックするのは当たり前です。だから、「精確に速く読む能力」が要求されます。
(頭の中に、いま何をサーチしながら読んでいると意識している自分と実際にポイントを絞り込んでサーチしている自分が並存している状態が創り出せる生徒は学年トップクラスです。脳の中に自我を二つおいて自在に操り、並列処理をしています。三人までならトレーニング次第で並列処理できるようになります。これができると、何かテーマを絞って思考を深めるときに、視点の違う三人に一つの脳内で議論させることができます。多面的にものごとが眺められるようになり、大局的な視点が得られます。この段階では思考を集中させるのではなく、意識を緩めます、集中は緊張状態、並列処理は弛緩状態にする。要領は筋力トレーニングと同じです、緊張と弛緩を繰り返す内に自在になります。脳の使い分け、面白いですよ。)

 もとにもどします、誤差という言葉の意味がわからない生徒は、こんな質問を投げてきます。

「先生、どうして引き算なのですか?」
「誤差の差という言葉はどういう意味をもっているの?」
「・・・」

 そこで、黒板にこう書きました。
 「和・差・積・商」
 「まだピンと来ないのかな?」
 「足し算の答えが和、引き算の答えが差、掛け算の答えが積、割り算の答えが商、小学生のときに何度も教えたよ」
 「誤差の差は真の値との差、つまり引き算を意味しているのです」
 「3と15の差はいくつ?そうだね、12、正解だよ、ところでいま引き算しただろう?」
 「そういうことか」
 「そういうことだ」

 生徒の頭の中の引き出しには情報がちゃんとあるのです、しかし、それを目の前にある問題と結びつけることができない。


<大問2 問5>
 半径4cm面積が6π(パイ)cm^2の扇形の中心角を求めなさい。

 この問題文から、円の面積と扇の面積、そしてそれぞれの中心角が比例関係にあるということが読み取れない生徒は正解に到達できない。だから、この問題ができたのは学年47人中5人程度(1割)でしょう。数学の文章題は標準的な日本語読解力がなければ解けない。そしてその標準的な日本語読解力を身につけている生徒はC中学校2年生では1割ほどしかいないのである。

 昨年からa:b=c:dという比例式を6年生で習い、問題演習するように変わったから、状況は改善されるかもしれない。塾では小学6年生に「内項の積は外項の積に等しい」と掛け算の方程式におきなおして解かせる。もちろん、文字xも使ってしまう。


 点数の分布を書いておく。70点台はたった2人、70点台が学年トップでした。60点台と50点台がそれぞれ3人、40点台は2人、30点台が3人、20点台は6人、20点以下が28人です。受験者総数47人。

 いいですか、学年によってばらつきはありますが2~3年に1学年くらいの割合で、こういう学力レベルの学年が出現しだしている。
 生活習慣が関わっているので、その大半が中学校では救えない。生活習慣はなかなか改められないのです。高校ではどうでしょう。中2の生徒たちから根室では高校が1校体制になる。低学力層はますます勉強しなくなるでしょう。低学力のまま高校へ進学しても、高校の授業は中学時代よりももっと理解困難になります。
 こういう低学力の生徒たちは根室から出て正規雇用の職につくことができるでしょうか?ほとんど無理。根室の歴代教育長は「生きる力」を教育の目標に据えてきたがその結果がこのような悲惨な状況。
 低学力層は社会で生きていく力が弱い。女子は都会で風俗関係の仕事に就く者が増え、男子は非正規雇用で最底辺の生活を強いられる。
 都会で就職できない者たちは、地元に残り、高い確率で親に寄生してニート、あるいはアルバイトを繰り返すことになる。あっというまに20歳代がすぎ、非正規雇用のまま30歳代を迎える。年収は100~150万円で何年たっても年収が上がることはありません。歳をとるほどアルバイトを探すのもむずかしくなります。同年代の都会で働く正規雇用職に比べて、30歳代半ばで年収で300~600万円もの差がつきます。男は結婚も難しい。親が退職したら面倒は見切れないから、高い確率で生活保護予備軍となります。
 そういうわけで学校も地域社会も低学力層の膨張現象を放置してはいけない

<とりうる対策>
 生活習慣化してしまっているので、対策ははなはだきついものになる。C中学校2年生を例にとるのがわかりやすいだろう。わたしの処方箋はこうである。

■ 3ヶ月部活停止
■ 日本語音読トレーニング
■ 漢字書き取りトレーニング
■ 語彙力強化トレーニング
■ 基礎計算トレーニング
■ 家庭学習の強制

 放課後毎日3時間、土曜日は4時間、学習会に強制参加、これくらいのことを本気でやらないと救えない。はっきりした学習障害で、ほうっておいたらほとんどの生徒が治らない。他に代案がある方がいらっしゃったら、どうぞ弊ブログ投稿欄に書き込んでください。

 根室市議会文教厚生常任委員会のメンバーの方々は遠慮なくご意見を寄せてください。あなたたちは、選挙で一人の例外もなく「市民のために働く」と車の中から何度も叫んだのですから、言った通りに行動してください。それがなかなかむずかしいことは十分承知しています。困難な課題から逃げない市議が数人出てきてもらいたい。


*#3029 根室市議会議会報告会(顛末) Apr. 18, 2015 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-04-18

 #3028 C中学校1年生と2年生の学力テストデータ比較分析 Apr. 18, 2015 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-04-17 


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コメント 4

通りすがりの大学生

おはようございます。(朝まで起きていたわけではないです(笑))
半分以上が20点未満だし、20点台の自分はまだましな方だ、とか60、70点台の自分は出来ると勘違いしてもおかしくない気がします。校外の模試を受けない限り、自分が本当にどの位置にいるのか知るのは難しいと思います。
都会だと学校で自分は出来ると思っていた小学生が中学受験の塾に通う時点で上には上がいて自分は大したことないんだと感じて努力するのでしょうが、田舎だと自分で外の世界を見ようとしない限り、高校で全国模試を受けて初めてそのように感じるわけで、それが大きな差になってくるのだと思います。そして、都会と田舎の公立小学校のクラスで一番二番に出来る子の進路で平均をとると、前者は早慶、後者は地方国立くらいに開いてしまうのだと思います。
by 通りすがりの大学生 (2015-04-20 06:29) 

ebisu

通りすがりの大学生さん

おはようございます。
散歩コースにニムオロ塾があるようですね、ときどき寄り道ありがとう。(笑)

>半分以上が20点未満だし、20点台の自分はまだましな方だ、とか60、70点台の自分は出来ると勘違いしてもおかしくない気がします

そうなんです、トップの人は早慶や北大受験が可能だと勘違いします。実際にはよくて小樽商大や北大水産です。理系なら室蘭工大クラス。
小学生でクラス4番の生徒の親が、成績のよいことに喜んで医者にしたいと言ったことがありました。かように根室に住み続けていると全国レベルがわからないのです。これはしかたがないです。
根室の子どもたちが全国レベルを知るのは根室高校普通科へ進学して受ける進研模試が初体験になります。
数学と英語の平均点は20点台ですから、点数分布だけ見たら今回の学力テストでC中学校の数学の得点分布と似ています。
根室高校普通科は根室では進学に有利な高校と評価されていますが、全国レベルで見たら、C中学校2年生の数学とほぼ同等レベルということ。

>校外の模試を受けない限り、自分が本当にどの位置にいるのか知るのは難しいと思います。

中学校では校外の模試は唯一、「北海道学力コンクール(通称"道コン"」があります。しかし、所詮、道内の模試ですから、全国レベルを知ることはできません。わたしの塾はこの模試に参加したことはありません。必要ないからです。地域の高校の数が多いところは道コンの結果で判断するしかありませんから、参加している私塾は多いようです。しかし、この模試もまた全国レベルを勘違いする元になっているのかもしれません。

わたしは東京で教えた3年間がありますから、東京の有名私立中学・高校の受験生のレベルがどれくらいか経験的に理解していますので、自分の教えている生徒については客観的な判断がつきます。
だから学力上位層には全国レベル偏差値でどのくらいかを説明して、ギャップを埋めるにはどの程度の勉強をしなければいけないのか戦略を示します。できる生徒には難易度の高い教材を使い分けています。
都会の生徒は小4から大学受験を意識して勉強をスタートさせ、予習方式で、がんがんやります。
小4から中3までの勉強のやり方で、同じ能力の生徒なら、首都圏は早慶、地方は地方の国立大くらいの差がつきます。

>小学校のクラスで一番二番に出来る子の進路で平均をとると、前者は早慶、後者は地方国立くらいに開いてしまうのだと思います。

根室は地方の国立大といっても、小樽商大(55)と室蘭工大(48)、北見工大(47)しかありません。全国区でみたら、後者2校は最低レベルになります。
偏差値が55くらいの理系の国立大学がニーズにかなっているのですが、道内にはありません。中学校でトップクラスの理系進学希望者には厳しい現実です。

>都会だと学校で自分は出来ると思っていた小学生が中学受験の塾に通う時点で上には上がいて自分は大したことないんだと感じて努力するのでしょうが、田舎だと自分で外の世界を見ようとしない限り、高校で全国模試を受けて初めてそのように感じるわけで、それが大きな差になってくるのだと思います。

だから、あなたのように中高の時代から、仮想敵を想定して、学力の高みに果敢に挑戦する勉強の仕方が必要になります。
いま、そういう生徒が一人います。早慶よりも上のレベルを目指して小6のときからがんばっています。

by ebisu (2015-04-20 09:29) 

tsuguo-kodera

 引越しの最新記事を読み、過去の記事をいくつか読みました。悲惨な状況をとても良く分かりました。対策もこの記事に書いてありました。しかし解決策にはなりそうもないと、過去の推移から推察しました。

 私は変わり者なのでしょう。根室にまた行きたくなりました。北海道旅行は高校の修学旅行で行きました。以前は時々2泊旅行で北海道にいっていました。とこでも飛行機で往復でき、2泊で十分だからです。でも根室はまだでした。今はそれも1泊旅行になりました。

 北海道の地方の町がこれほど苦境にあるとは思っていませんでした。今は無職のような境遇ですので、お近くなら根室の小学生に教えてみたい気がします。でも、坐骨神経痛のため、温泉1泊旅行を毎月するだけになりました。だから外野の野次馬です。

 歳をとると、最大の障害はお金でも時間でもない、体力がなくなることだと定年の時の上司だった人の言葉をかみしめています。

 残念です。無理せずケセラセラとしか言えません。すみません。
by tsuguo-kodera (2015-05-05 04:54) 

ebisu

tsuguo-koderaさん

>私は変わり者なのでしょう。根室にまた行きたくなりました。

うれしいですね、ぜひ来てください。

還暦をとっくに過ぎて感じるのは、体力の衰え、そして身体のあちこちの部品が次々にポンコツ化していくことです。抗わず、老いをそのまま受け止めようという気持ちにようやく変わりつつあるようです。
ケセラセラ、なるようになります、そしていきつくところまでいけば、復元力が働くのでしょう。
まだ数人は根室に残ってがんばるか、一度根室を離れてから戻ってきて、ふるさとを支える人材を育てられます。歩けるところまでただ歩きます。

>お近くなら根室の小学生に教えてみたい気がします。

そう思ってくれる人がいるのはうれしいことです。思ってくれるだけで十分です。ありがとうございます。
by ebisu (2015-05-05 10:35) 

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