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#3000 教室移転のための自宅書斎整理整頓 Mar. 15, 2015 [63. チャレンジ(教育)]

<片付けとプチ改装中>
 2階に16畳ほどの書斎があるが、無垢板の床に50cm角の絨毯、50枚を敷いた。

 最近3週間ほど2階の片づけをしているので、書類や本など段ボール箱で10ほども棄てた。オヤジやお袋のアルバムや自分のアルバムもいずれ処分する。古いものを処分してだんだんと身軽になれば、心も軽やかになるだろうか。
 団塊世代は、そろそろ身辺整理をして、子どもが処分に困らないように手を打っておこうと考えている人たちが少なくないかもしれない、人の寿命はいつとも知れぬものと2006年にスキルス胃癌と巨大胃癌の併発で手術をしたときに痛感した。いくらでも生きながらえそうな気もするが、それは錯覚というもの。

 不要書類や本の処分と書斎の整理整頓は、5月の連休にニムオロ塾を自宅へ移すためにやっている。

<fact-1:根室の人口推移>
 
根室市の最新の広報によれば人口はついに2.8万人を割った。
 2000年の国勢調査データでは、根室の人口は33,150人、そのうち10-14歳は1874人で1学年当たり375人、10年後の2010年にはそれぞれ29201人、1603人、261人となっている。10年間で3割減少している。2015年は推計値では、27203人、1165人、233人である。15年間で約38%の減少。
 15年間で総人口は18%の減少なのに、10-14歳の人口は2倍を超える38%も減少している。若者に職がないから、高校を卒業すると根室の外へ進学してそのまま就職、帰って来ないからだ。
 地元企業の経営改善がなされなければ、戻ってくる若者は減り続ける。オープン経営に舵を切るべきだ。やりかたはカテゴリー「中小企業家育成コラム」に少し書いてある。株式公開と似たようなことをすればいい。退職金規程や経理規程を作り、予算制度を導入して社員にビジョンを語り、予定通りの業績が上がったら、利益の三分の一を社員に賞与として分配するぐらいのことをすべきだ。すでに労働人口が急激に縮小しだしているから、昔のままのやり方では人を雇えず、つぶれていく。とくに中国人やベトナム人を雇用している企業が危なくなる。旧態依然の経営で日本人の若い人を雇えなくなっているのは経営体力の弱体化を表していると考えるべきだ。
 道内や青森県からの出稼ぎの女工さんたちが市内の水産会社に集まらなくなって、根室最大の水産缶詰工場がつぶれたのは、もう40年も前のこと。経営改革をしないと規模を小さくしていくつも似たようなことが繰り返されることになる。

<fact-2: 根室市内の高校入試は実質消滅する>
 根室高校は現在定員200名であるが、3月4日の入試は
   「97+31+30=158名」
 定員の79%しか応募がない、こんなにひどい定員割れは初めて。来年は受験者が増えるものの、定員割れが解消するのかどうか定かではないし、その次の年には根室西高校がなくなり、根室高校1校(定員240名)体制となる。
 全員根室高校へ入学できるようになるから、高校入試は形式のみで、競争が消滅する。したがって、高校入試を対象とした学習塾は必要がなくなる。入試の得点はどうであれ、全員希望がかなうことになるから、根室の子どもたちの学力低下は避けようがない。

<25年後の未来へいま手を打とう>
 子どもたちの大半は根室を出て、他の地域の学力の高い子どもたちの下で働くようになる。地元企業はさらに学力の下がった子どもたちを使わざるを得なくなる。25年後の2040年には根室の人口が1.8万人を割る、基礎学力のしっかりした優良な働き手を失った地元企業の半数はつぶれているだろう。
 教育改革をしないと根室の町の25年後は著しい衰退がまっている。25年後の未来はいま根室で暮らす大人たちが、なにをどのようにやるかで変えられる。その際に最重要なキーが教育改革である。
 まだ、数年間やらなければならないことを残している。25年後の根室のために重要な人材を数人育てたい。それが団塊世代のわたしの役割だ。いろいろな分野の大人が、自分の領域で、正直に誠実に仕事をすれば、未来の根室は変えられる。

<fact-3:学力上位層が8年間で1/4以下に減ってしまった>
 根室では高校入試対象の学習塾は1年前にすでにその使命を終えている。
 文協学力テストで市街化地域の3校で五科目合計400点を越える生徒は1学年4~10名ほどしかいない、8年前の4分の1以下である。学力テストで五科目合計400点超が高校へ入学してから全国模試を受験して偏差値48を何とか超えられる層である。
 5~8人が高校へ入学後、焦って勉強して学力を挙げたとして、これから必要なのは偏差値48以上の大学へ進学する1学年10~15名の生徒たちのための塾と、約30%いる低学力の生徒を対象とした補習塾であるが、低学力の子どもたちも勉強しなくても根室高校へは入学できるから、通塾してしっかり勉強しようという少数の生徒だけが塾を利用することになるのだろう。
 C中学校で実施したアンケート調査によると、全校生徒157名のうち塾へ通っているのは20%、根室全域では中学生はおおおよそ1学年230人。市街化地域のほかの2校も同じ通塾率だとすると、690×20%=138人の市場規模ということになる。高校統廃合で根室高校全入体制になるから、中学生の通塾率は半減し、じきにビジネスとしては成り立たなくなる。

<過渡期の時代とその向こうにある大きな問題>
  ブロードバンド予備校をはじめとして、ネット塾は価格競争が激化している。人口3万人以下の地方都市は若者の働く場所が少なく、人口流出に伴い子どもの人口が急激に減少、学習塾市場はビジネスとして成り立たぬほど縮小つつある。そういう事業環境変化は、後継者をもたぬ個人経営の塾が緩慢に消滅に向かい、法人のネット塾へ切り替わる過渡期なのだろう。
 それはそれで問題が大きい。450年の日本の私塾の伝統の灯が地方から消滅していけば、時代の変革に必要な人材供給に大きな支障がでることになるのではないだろうか。もちろん、地域経済改革に必要な人材供給もすでに枯渇しかかってさまざまな分野で問題が生じているのだが、そのパイプがますます細くなることを意味する。全国各地で地域経済の息の根がとまるだろう。
 根室は水産資源が豊富だから、やり方によっては人口減少をメリットに変えられる。人口が半分になれば人口当たりの水産資源量は2倍になる。世界人口は2040年~2050年ころには100億人時代になるから、食料価格暴騰が予測される。対処を誤らなければ、現在でも食料自給率200%の北海道の未来は明るい。問題は先を読み、具体的な手が打てる人材を残せるかどうかである。教育に根室の未来と北海道の未来がかかっている。


*#2583 根室市内の中学生の通塾率はおおよそ20%? Feb. 6, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-02-05-1


<教室移転>
 ニムオロ塾は縮小を決めた、5月連休明けから自宅書斎16畳に教室を移す。体力に合わせてクラス定員は7名まで、補習用に幅1m長さ1.5m厚さ7cmの座卓を用意している。部屋は他にも16畳があるから、7時までは何人補習に来ても、学校帰りに「自習」しによっても大丈夫だ。
 高校生はいままでどおり少人数で見るつもりだ。毎週水曜日に数学を、土曜日隔週3時間の集中英語授業をやる。
 私語をしたり、指示に従わぬ者は他の生徒に迷惑だから、別室でやってもらうことになる。


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<余談>
 書斎だから壁面は作り付けの本棚が天井まである。他にスライド書棚3本が置いてある。1階には本棚4本、全部でおおよそ3000冊。
 半分は経済学、コンピュータシステム、言語学、会計学、歴史関係書籍などの専門書だが、文学全集(筑摩書房)、林望の謹訳源氏物語10巻、平家物語、古事記、日本最古の本である『ほつま伝え』(神代文字との原文対訳本)、芭蕉直筆原稿の写真製本である『奥の細道』、夏目漱石全集(初版復刻)、太宰治全集、『ユークリッド原論』、歴史小説、現代小説もすこしだがある。司馬遼太郎や山本周五郎、藤沢周平、浅田次郎が好みだ。女流作家では「大人のシーンの多い」林真理子の小説。数学関係も少しあった。『フェルマーの定理』、大数学者の岡潔の著作十冊ほど、『国家の品格』の著者藤原正彦の著作、小平邦夫の著作、小川洋子の数学関係のものなど。
 辞書は『広辞苑』『大辞林』『字統』『字訓』『基本動詞辞典』『基本形容詞辞典』『ドイツ語大辞典』、フランス語辞典、イタリア語辞典、そして10冊余のさまざまな用途の英英辞典や20冊ほど英語で書かれた語学専門書がある。登山やハイキング、地図の見方に関する本は山岳部の生徒向きだ。

 ビリヤードの本やセミプロレベルの技術を書き溜めた図面もある。何枚かはスリークッション世界チャンピオンの小林先生に質問して書きとめたものだ。町田プロ(アーティステック・ビリヤード世界銀メダルの正さんのお父さん)から教わった基本パターンが半分以上を占めている。図面自体の書き方はビリヤード常連開で駿台予備校の数学の先生の荒木さんから教わった。五種目チャンピオンのデリスのサマースクールになんどか参加するほどの本格的なビリヤード好きだった。腕前はそのままプロテスト合格できるほどの凄腕。スポーツ関係の部活をやっている人は、理論研究の大切さを、50枚ほどの図面を見ることで知ることができるだろう。

 本が好きな生徒にはいい環境だ。今まで読まなかった生徒は手にとってみたらいい、きっと興味の湧く本が何冊かあるはず。生徒にはじめて書斎を公開することになる。かつて塾生だった生徒も根室に帰省したら訪ねておいで、遠慮はいらない。


<余談-2>
 弊ブログ#3000をアップ、1本につき四百字詰め原稿用紙1~20枚、平均5~6枚とすると四百字詰め原稿用紙15000~18000枚書いたことになる。ブログを書き始めてから今日で2664日目(7年と3ヶ月)、ページビュー数は343万、「塵も積もれば山となる」は本当のようだ。(笑)
 スキルス胃癌の手術のあと、1年後のまだTS-1という抗がん剤治療中にリハビリを兼ねてブログを書き始めた。体調がすこぶる悪い中を、仕事から帰ってきて食事を済ませて真夜中の零時にパソコンに向かうわたしを心配して女房が何度もブログをやめるように忠告してくれた。やめようと思ったときに、前に務めていたSRLの元社長のKさんから、「読んでいるので続けたら」と励ましのメールをもらって、継続したからいまがある。Kさんにも感謝だ。Kさんは医師でもあって、地域医療問題ではずいぶんと有益なご意見をいただいた。一人でできることはたかが知れているのである。いろいろな人の協力があり、発信が続けられる。
 ライフワークであったマルクス『資本論』を超える経済学の展望も、シリーズにして28回に分けて2月にアップ済みである。ピケティの『21世紀の資本』は分配論にとどまるが、わたしのそれは生産の仕組みそのものを、経済学の公理・公準を入れ替えることで実現するものだ。職人中心の経済学である。グローバル資本主義に人類の幸福な未来はない、このままではコンピュータと機械が人類に取って代わるだろう。

 冗長な文を辛抱強くお読みいただいているみなさんにも深く感謝申し上げます。


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コメント 2

Hirosuke

昨年の5月末に根室を訪問し、教室見学させて頂きました。
そうですか、残念ですね。

見学後に御馳走して頂いた根室の料理と酒の味。
まだ記憶に残っております。

翌朝は書斎に上げて頂きました。
アイヌ文字の本も見せて頂きました。
「アイヌ文化は五七調の原点」とも伺いました。

正しい呼吸法も教えて頂きました。
断続的で不完全ながら続けております。
おかげ様で、こんなに元気になりました。
ありがとうございます。

by Hirosuke (2015-03-15 22:39) 

ebisu

Hirosukeさん

ありがとう。
でも、残念ではないのです。
体力にあわせて縮小すべきと判断しました。
そうでないと続けられません。
体力がきついのはごめんです、楽しくじっくり教えたい、そのための縮小です。

>アイヌ文字の本も見せて頂きました。

『ほつまの伝え』の神代文字ですね。五七調の1万行の定型詩、古事記よりも古い本多と言われています。
原典対訳のこの本を持っているのは根室ではたぶん一人だけ。
日本人の心のふるさとです。「あわのうた」を生徒たちに聞かせてあげようと思っています。
『奥の細道』も芭蕉直筆を写真製版したもので、これも貴重な本です。

仏陀やヨーガの呼吸法、やっているのですか、うれしいですね、時々やるだけでも効果はあします。
Hirosukeさんのますますの健康を祈念します。

by ebisu (2015-03-15 23:01) 

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