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#2955 『資本論』と経済学(17):「要領の悪いものほど忙しいとぼやく」 Feb.3, 2015  [A1. 資本論と21世紀の経済学(初版)]


15. 仕事の要領の悪い者ほど「忙しい」とぼやくのはなぜ?>

 ほんとうに仕事がそんなにきついだろうか?団塊世代のわたしの小学校の担任T木先生はしょっちゅう放課後補習してくれた、「わからないもの残れ!」って。いまは小学校の先生たちはそういうことをしないようだ。時代が違う?検討してみよう。
 事実もしくはデータを並べてみる。担当する授業時間数は前章で挙げたが平均週17.7時間である。一日平均3.5時間だからそんなに多いわけではない。空いた時間を使って相当の事務処理が可能だ。アンケートに答える時間や報告書を書く時間はある。民間会社だって要領の悪い者は一枚の報告書を作成する似の半日掛かるものもいるし、1時間で軽く仕上げてしまう者もいる。
 1クラスの小学生の学力は58年前の半分以下になったが、2014年度全国学力テストの成績は全国最低レベル、都道府県データを基にした偏差値で37(全国の小学校が百校あると假定すると北海道は90番目ということ)。47都道府県で競争したらほとんどゲレッパ(ビリ)。全国学力テストの学校別・科目別正答率と全国平均値との差は、先生たちの普段の仕事への客観的数値による勤務評定でもある。
 
仕事の成果がまるで出ていないのに仕事がきついと感じ、自分の仕事のやり方に問題があると考えないのは、「神経麻痺」か「不感症」という病気を患っているからだ。
 
仕事のやり方や指導の仕方に問題があるとは考えず、何かよくないことがあればそれは自分ではなく、自分の外側に原因があると考える、これでは自己改革のチャンスを失う。
 仕事の成果が出せないのに、
生徒のいない夏休みや冬休みに登校して判だけ押して帰ってくるなんてことは民間企業のサラリーマンにはありえない。自分の生徒たちの平均点が全国平均値を下回っているのは、民間企業にたとえると仕事の成果があがっていない、すなわち赤字だということ。夏休みや冬休みの長期休暇をとっている場合ではないというのが民間企業の感覚。
 
会社が赤字なのに社員がいっせいに長期休暇をとっているようなもの、民間企業なら客はやる気のなさにあきれてその企業の製品を買わなくなる。
 
一斉長期休暇が年に2回あって、それでも仕事がきついと感じるのは、マルクスの労働観でこころが汚れてしまって、本来歓びであるはずのものが苦役に変わってしまっていることに気がついていないからではないのか。よく観察したら原因の大半は働いている自分のこころ(労働観)にある 

 
新卒で3年やったら、授業のやりかたにも慣れてしまうし、必要な補助教材も一通り蓄積ができてしまう。4年目からはずっと仕事量が減るのが道理だ。本当にきついのは最初の一年だけ、それでも仕事がきつければどの仕事がきついのか、やっている仕事のリストを作成して優先順位の低い順に2割カットしたらいい。残った業務のうち、量の多いものからやり方をかえるべきだ。時間を食っているのが、授業時間数なのか、授業の準備時間なのか、部活指導なのか学校行事なのか、それとも報告資料作りなのか、生徒の評価資料作りなのか、それ以外の事務仕事なのか、日・週・月・季節・学期に分けて業務のたな卸しをして具体的に業務時間量を記入して眺めたらいい。やる必要のない業務が2割はある。
 
民間企業は業務の棚卸しをして、重要度の低い順に3割カットする。残りの業務を分析して実務デザインを変えてしまう、仕事にかかる時間は必要なスキルがあれば驚くほど短縮可能だ。
*-5「民間企業の生産性向上の実例」

 
1年まわしたら、作成した実務フローチャートを後任に渡して、別の仕事にチャレンジする。前任者から引き継いだルーチンは一日2時間もあれば十分なように仕事のやり方を変えてしまえば時間の余裕がたっぷりできる。余裕ができて仕事時間にチョムスキーの構造言語学に関する著作を読んでいることもあった。会社の図書室にある数十種類の海外の科学・医療分野の専門雑誌に目を通す暇だってあった。要するに仕事のやり方しだいなのである。プロジェクトにお呼びがかかっても、もちろんルーチンワークには支障がまったくでない。
 仕事のできるものは「忙しい」とは決して言わない、前任者の3倍量の仕事をしても次々に業務改善をすれば仕事はちっとも忙しくない。
 

fact:先生たちの平均授業時間数は週17.7時間。一日当たり3.5時間に過ぎず、他の諸国に比べても少ない。


*#2935 『資本論』と経済学(1):「目次」 Jan. 25, 2015 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-01-25

 #2948 『資本論』と経済学(12) : 「経済学体系構成原理は四つ」 Jan. 29, 2015 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-01-30

 #2953 『資本論』と経済学(16):「日本人の仕事観:仕事が楽しい!」 Feb.1, 2015 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-02-01


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