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#2895 H26全国学力テスト分析(5):中学校・「3×3マトリックス分析」 Dec 3, 2014 [68.H26全国学力テスト・データ分析]

<中学の部の分析 最終回>
 偏差値について論考を4回重ねてあらためてデータを眺めてみて平凡な事実に気がついた。誰もが感じていた通りの結果が数値で出ていたのである。人口(中3生徒数)と漁業度・農業度を表す二つの軸で分割された3×3マトリックスに展開したら視覚的にハッキリすると直感が訴えていた。自分を空っぽにすれば見るべきものが見えてくるのである。試行錯誤を重ねた結果、ようやく単純な表に行き着いた。わたしはこの表を見たくていろんなことをしてきたのだと納得。


人口中3生徒数
y3  石狩54.017,843
   上川51.54,010
 胆振41.9 3,204
  渡島39.0 3,097
   十勝45.73,043
   空知38.82,412
y2 オホーツク38.2 2,359
 釧路41.7 1,738
  後志32.61,592
y1根室29.0  661
 日高26.5  559
宗谷27.1  509
   留萌44.5345
  檜山37.7 285
x1 漁業x2 中間x3 農業  



<結論>
 道政の中心で人口が多いとか農業地帯が(x3, y3)に集中している。農業主体の経済圏で人口の多いところは学力が高い。
 (x1, y1)は漁業主体の経済圏で他地域よりも急速に過疎化が進行中の地域である。この3支庁管内が道内で一番学力が低い。釧路のように漁業と農業そして工業と3つとも揃っているかどちらとも判断のつかない地域である混合型経済圏は概ね人口の多いところが学力が高く、少ないところは低い。

<留萌はどっち?>
 留萌支庁管内は漁業と酪農と果樹栽培が主要な産業だが、漁獲高が小さい。留萌市は輸入数の子の加工が盛んだった。漁業そのものは主要産業ではないので農業圏に分類した。
 それにしても学力が高い、偏差値が14支庁管内平均値の39.2をはるかに超えて44.5である。偏差値のほうから見るとこの留萌管内の市や町はビジョンをつくって堅実で計画的にものごとを処理できる地域ではないか。小学校の偏差値は14支庁管内トップである。

<オホーツク管内は両方の要素あり>
 オホーツク管内は人口が多い。サロマ湖のホタテ養殖で有名だから漁業中心の町に入れたいが、漁業の網走市の他に農林業の北見市があるので中間地域に分類した。漁業と農業の複合圏といってよいのだろう。北見工業大学のあることも学力を他地域よりも相対的に高くしているのかもしれない。国立北見工業大学の存在も地域の学力底上げに重要なファクターになっているのだろう。
    網走+北見=漁業+農林業

<後志管内は農業対漁業は40対1の割合>
 小樽や余市そして泊原発を含む後志管内は農業が主体。農産物の産出高412億円に対して漁業産出高10.6億円である。
*後志地域の概要
http://www.ot.hkd.mlit.go.jp/d2/chi_gaiyo.html

<漁業の町の歴史が生み出した気風も替わる>
 こうしてマトリックス表を眺めてみると、農業経済圏の学力が高い。漁業の割合が増えるほど学力が低くなる傾向があるようにみえる。
 いまからみると根室は昭和40年代までは水産資源が膨大にあり、昭和30年代半ばには缶詰工場がフル操業しても処理できないほどタラバガニが獲れた。処理できないタラバガニを岸壁から投棄することすらあった。昭和50年代になっても「勉強なんかしなくったっていい、船に乗れば稼げる」と子どもを放任した親が少なくなかった。ebisuの母親は択捉島で漁業を営む家の長女だったから、親戚には根室管内で漁業を営む者がいるが、ebisuよりも少し年下のまた従兄弟三人は漁業を継いだ。昭和50年代の頃はそれぞれサラリーマンの何倍も稼いでいた。雇われでも半年間漁船に乗れば、普通のサラリーマンの年収が稼げた、そういう時代が戦後数十年続いて、町の気風を形成している。
 1982年の国際海洋条約第5部で排他的経済水域(EEZ)が条文として確立した。200カイリ問題で遠洋漁業が壊滅的な打撃を受け、「船に乗れば稼げる」なんて時代ではとっくの昔になくなっているが、一発狙いでコツコツ努力することを嫌う空気はいまでも色濃く漂っている。「船に乗れば・・・」、そういう言葉を親から聞いた者たちの最後の世代がいま50歳代だ。
 「空気」というのは時代から取り残されてもなかなか替わらないやっかいなものだ。根室に残るさまざまな旧弊もそうした「空気」の一つ、でも、時間と共に小さな窓から空気が入れ替わるようにゆっくりと替わっていく。小窓を開いて外部の空気を入れる者がわずか数人いれば充分で、後は時間の仕事だ。触媒の役割を果たす20~40歳代の人材が出てくれば予想できない状況が生まれて連鎖反応が起きる。
 ケセラセラ、大きな流れははじまっている。根室の町に基礎学力がしっかりしていて心根がまっすぐな若者がすくすく育ち始めている。ふるさとにもどって12年、生徒たちに恵まれて己に課した役割が果たせた。ebisuは消えてなくなっている30年後が楽しみだ。
 現在の中1年生から高校は統廃合されて根室高校1校になる。高校受験対象の私塾はもう必要がなくなる、高校生も偏差値50以上の大学へ一般入試で進学できる者は根室市内全部で一学年10人を切ってしまったから、ビジネスとしては大学入試のための私塾もほとんど御用済みでいずれ消える。心配いらないよ、ネットを利用した全国版の安価な私塾が増えている。競争原理が働きまもなく価格崩壊を起こす。
 でも、しょせんネットはネットだ。日本には塾頭と塾生という相対での教育の伝統が400年ある、日本の教育を支えてきたのはさまざまな学校と私塾の群れだ。その伝統においては学校教育よりも私塾の方が2.5倍も長い。人財育成という観点からはネットに「伝統的な私塾」の代替はできない。明治維新は江戸の私塾からではなく、薩摩や長州や土佐などのペリフェリ(辺縁部)から起きた。時代を変革する人材は地方でこそ育つ。
 ebisuはいましばらく「伝統的なタイプの塾」で塾生たちと楽しみたい。これから数年、社会人も鍛えることになる。

<未来>
 ところで、この表は14支庁管内の未来も現している。社会保障・人口問題研究所の人口推計データによれば、26年後の2040年には日本の人口は1億727万人に減少する。市町村別・年齢別人口推計データでは根室市の人口は現在の2.8万人から1.8万人へ1万人減少する。根室市内の中学生は2014年度の45%程度(110人)にまで減少する。根室管内全体も似たようなものだろう。
 道内全域を見渡すと、地方から札幌圏へ人口が集中するから、石狩管内以外は中学生の人口が半減すると考えると、学力と管内生徒数に正の相関があるから石狩管内を除く13支庁管内の学力低下は必至だろう。学校マネジメントに学力の数値管理を含む適切な手を打たないと、北海道の海側辺縁部の子どもたちと都会のこどもたちの学力格差がますます広がっていくと同時に他の地域でも「学力の地盤沈下」が進みそうである。

 教育問題を超えた明るい見通しがあることを書いておきたい。2040年には世界の人口は90億人を超えているだろう。食糧が奪い合いになり、国際市場で食糧価格が高騰する。お金のある国が買占め、お金のない国の国民が飢えに苦しむことになる。価格が上昇すれば、食糧自給率200%の北海道は日本でも屈指の経済圏に踊り出ることになるだろう。だからTPPなどやらずに、鎖国状態に近い強い管理貿易で国内で食糧を生産して、消費する体制を守るべきなのである。北海道の26年後未来は明るい、それだからこそ農業と水産業の未来を支える子どもたちの教育がいま重要なのである

 これで中学校の部の分析を終える。


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*#2890 個人別偏差値と地域別偏差値論考(1)  Nov. 30, 2014   
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-29-1

 #2891 個人別偏差値と地域別偏差値論考(2)  Nov. 30, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-30

 #2893 個人別偏差値と地域別偏差値論考(3)  Dec. 1, 2014  
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-12-01

  #2894 個人別偏差値と地域別偏差値論考(4):14支庁管内別偏差値の妥当性  Dec. 3, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-12-02

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 #2859 全国学力テスト:根室市教委の「結果報告書」-1   Nov. 7, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-07

 #2886 H26全国学力テストデータ分析 (2) :中学校・都道府県別・科目別偏差値表  Nov. 27, 2014  
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-27-1

 #2887 H26全国学力テストデータ分析(3):14支庁管内別偏差値 N0v. 27, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-27-2

 #2888 H26全国学力テストデータ分析(4):前年対比14支庁管内別偏差値 Nov. 28, 2014  
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-28

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*#2606 根室の中学校の過去6年間の学力低下を検証する  Feb. 28, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-02-27-1

 #2672 急激な学力低下はなぜ起きているのか?:假説 May 10, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-05-09ある

 #2806 高校数学面白い問題 :小中学校の先生たちへ Sep. 14, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-09-13-2

 #2869 根室の中学生の学力の現況(1):B中学校の例 Nov. 16. 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-16

 #2870 根室の中学生の学力の現状(2):C中学校  Nov. 16, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-16-1

 #2871 根室の中学生の学力の現状(3):学級崩壊  Nov. 16, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-16-2

 #2872 根室の中学生の学力の現状(4):B中学校2年生も問題あり Nov. 18, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-18

 #2873 根室の中学生の学力の現状(5):C中学校1年 Nov. 19, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-18-1

 #2875 根室の中学生の学力の現状(6):B中対C中学校1年 Nov. 20, 2014  
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-20

*#2889 遊びながら書くトレーニング:小説仕立て  Nov. 29,2014 
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*#2865 マルクスの労働観と日本人の仕事観:学校の先生必読 Nov. 13, 2014 
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