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#2742 藤原直哉(前編):物価と景気動向⇒二番底が来る July 21, 2014 [経済学ノート]

 経済アナリストの藤原直哉氏が18日のビジネス展望で「日本生成に求めるもの」というタイトルで8分間ほど喋っていた。大きく分けて論点は5つ、初回は三つに絞って紹介し、次回に残り二つをとりあげたい。

1.現状分析
 食料品、賃金コスト上昇、高速料金・ガソリン・軽油・重油高など諸物価が高騰している。国民は物価高にあえぎ、地域経済の主体である中小企業はコストアップ分を全額価格転嫁できているところはほとんどない。東京の企業社と地方の企業の業績格差が大きくなりつつある。

(1)facts
 ■ 消費者物価上昇率は3% ⇔ 日銀の目標値は2%
 ■ 企業間物価市指数は4%
 ■ 東京は活発に動いている企業があるが、地域経済は厳しさを増している

 インフレ局面下で日銀のとるべき政策は金融引き締めである。そんなことは中学校の公民の教科書にも書いてあるほど当たり前のことで、マネーの流通量を減らし、金利を上げるのが常套手段である。
 物価上昇率はすでに日銀の目標値を上回っているのだから、日銀は金利を上げて物価抑制すべきである。その際にとるべき手段は三つ。
 ① 国債、株式、不動産投資信託の買い入れをやめる
 ② 異次元の金融緩和をやめる
 ③ 金利を上げる

 この三つをやったら、じつはアベノミクスは幻想で経済実態は何も改善されていないことが明るみに出てしまう。
 買い手を失った国債が大暴落しかねないリスクを孕むし、株価も不動産価格も下落はまぬがれない。アベノミクスで景気がよくなったという説明をしているので、化けの皮がはがれてしまっては都合が悪い。
 政府は10月に消費税値上げ(10%へ)を決めたいという思惑で9月までは景気がよいという演出をしているというのが藤原氏の見方である。

 海外へ生産拠点を移した企業は国内回帰を考えているところが少なくないという。この点については理由についての説明がなかった。何か具体的な根拠があるのだろう。
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< 職人主義経済学 >
 ebisuは鎖国(強い管理貿易)によって、生産拠点を日本へ戻すことを提唱している。貿易は自国で生産できない物資やシステムあるいは自国で生産することが著しく困難な物資やシステムに限定する。そのほうが世界各国の国民が自国内に安定した雇用の場を確保できて幸せに暮らせる。ものをつくるのは「労働」ではない、仕事だ。スキルを磨き上げることで自分の「能力の進化・発展」を確認できて、仕事自体が楽しいものになる。スキルが上がれば生産物のできばえや使い勝手がよくなる。同じ生産物なら安心安全で美しい・おいしい方がいい。
 先進国が発展途上国へ工業製品の生産システムや農水産物の生産や加工に関するシステムを供給するようになる。コストの安い国へ生産拠点を移して最終製品を取引するという貿易形態が一変する
 鎖国は国内に安定した正社員の雇用を増やすためだ。貿易量を制限し、自国内で生産技術を伝承していく。小規模多品種生産を基調とする世界、物を修理しながら大事に使う社会、廃棄物の少ない社会、学歴ばかりが大事ではなく手仕事を磨くことでも社会の尊敬を得られる経済社会、そしてエネルギー消費の少ない社会、それらを労働価値説に基く古典派経済学とマルクス経済学に対置して'職人主義経済学'と名づけた。
 企業規模で言うと、30~100人程度の規模の中小企業群が主体の経済構造になる。競争において企業規模大きいことすなわち大企業はさしたる意味がなくなり、現在もっている圧倒的優位性を失っていく。
 技術レベルの高い者たちが集まることで優良な企業ができる。そしてその集団は技術を磨き次の世代へと技術を伝承していくことで、社会教育機関としても重要な役割を果たすことになる。
 高い学力と運だけがものをいう社会ではなく、マジメに技術を磨くことが安定した生活につながる経済社会となる。
 A.Smith、D.Ricard, K.Marx、この三人の労働価値説の巨人達をようやく乗り越えられた気がする。高校2年16歳の夏に『資本論』を読んだときに抱いたモヤモヤがようやく晴れた。49年の歳月が流れた。

< 価値観の転換 >
  小欲知足
 売り手よし、買い手よし、世間よしの三方よし
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 日曜日のテレビ番組を見ていたら、西の離島のイカ漁がとりあがられていた。イカ漁は船の左右に照明をたくさんぶら下げ、ライトを時間差をおいて点滅させることでイカを捕獲するのだが、照明に燃料費がかかる。高価なLED電球に切り替えが進んでいるが、旧式のライトのままの漁船も多い。その漁師さんの説明では燃料費がコストの3割を占めるという。燃料のA重油が1年間で2割ほど値上がりし、イカが不漁だとコスト割れだ。離島は全国平均よりもA重油の価格が高い。コストはアップしても資源量が増えることはない。
 運送業の人(トレック運転手)も取材されていた。やはり軽油が値上がりして利幅が小さくなって経営が苦しいという。地方の中小・零細企業にはコストアップがじわじわ利いてきている。景気がよいなどといえるような状況ではない。

(2)米国の影響力低下
 米国は利上げを示唆しているのだが、それでも円高ドル安のままで政策的にドル高誘導できなくなっている。いままでは、米国の利上げ観測が出るとドル買いが起こり、ドル高・円安になった。米国経済が地盤沈下しつつある。

(3)2014年は二番底が来る年
 1932年の世界恐慌から5年後に相場下落の二番底があり、その後第二次世界大戦へと進んでいった。
 1992年に日本の株価が大暴落したあと、五年後に二度目の大暴落があり、国内金融機関が多数潰れた。
 リーマンショックのあと2009年3月に一番底があり、それから五年後の今年は二番底を迎える年回り。今回は世界同時に起きる。二番底は政府が市場経済を支えきれなくなって相場が下がるので、根本的に政治体制にも大きな変化が生ずる。世界同時だから根本的に現在のさまざまなシステムが変わると考えるべき。

 日本に焦点を当てると、滋賀県知事選挙で過去1年半の安倍政権の評価がでてしまっている。自民党支持層よりも無党派層のほうが多い。多くの国民が既成政党に飽き飽きしている。政治も経済も安倍政権では行き詰まりを見せて、二番底前夜の状況ができあがってしまっているというのが、藤原氏の意見だ。


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*#2731 10年間で33%農業人口が減少している日本の農業 July 11, 2014 
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*#2693 鎖国をして国内雇用を確保しよう May 31, 2014 
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  #2185 各論(3):'Abenomics' Jan. 24, 2013 
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 #2170 各論(2):貿易収支赤字転落⇒? Jan. 3, 2013 
 
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  #2169 各論(1):国債暴落の可能性とその影響 Jan.2, 2012 
 
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 2168 歴史認識を欠いた安倍新政権の歴史的役割(2):蔵相高橋是清暗殺 Dec. 31, 2012 
 
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 #2164 歴史認識を欠いた安倍新政権の歴史的役割は何? 
 
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 #2158 自民党圧勝294されど第2の危機民主党惨敗  Dec.17, 2012 
 
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 #2144 成長路線と金融緩和の罠 : 衆院選挙でナイトメアがはじまる 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-11-30

 #1828 ゼロ金利の罠: Fed targets and transparency Feb. 3, 2012
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 #829 国家財政破綻の瀬戸際  Dec.12, 2009
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 #346 これから10年間の日本経済のシナリオ
 
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