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#2740 市立根室病院はどうなるのか? July 20, 2014 [25. 根室市長選挙]

  標題についてメールで東京の専門家から情報とサジェッションをもらった。最近コメント欄で断片的に書き散らしたので、整理してみたい。選択肢は三つありそうだが、現実的なものは一つしかない。

(1)民間病院への身売りはあるか?
 総事業費が70億円、建物部分は40数億円だった。補助金事業だから返済があるのでこの点から、身売りは無理、というのが専門家のご意見。やはり補助金返済が生じるので身売りという選択肢は現実的ではない。市が招聘したコンサルタントの長隆氏が提唱していた年間売上(22~26億円)の範囲内での建て替えを無視して70億円もの総事業費をかけた時点で根室市は市立病院身売りの選択肢を失ったことになる。

(2)地方公営企業法全部適用
 経営改善ができないのですぐに経営が行き詰る。現市長、院長、参事のトロイカ体制では経営改善がまったくできなかった。この体制では経営が行き詰る。

(3)指定管理者制度の利用
 市立根室病院の場合は民間医療法人へ病院運営の委託を行うのが現実的と思われるというのが専門家の意見。その場合に問題となるのは、次の三つ。
①職員問題
②施設利用料金をいくらにするか
③赤字が出た場合の補填条件

 昨年は21億円の赤字がでたようだ。一般会計繰入金は約17億円(前市長時代の年間赤字額はおおよそ8億円)。長期的に考えると市財政を健全な範囲に保つためには、年間8~12億円程度が根室市として許容できる最大限だろう。金額は市役所財政課に検討させればいい(160億円台に膨らんでしまった財政規模は人口が急速に減少しているのだから140億円以下に縮小すべきだ)。
 施設利用料金は減価償却額を基準に算定することになるだろう。民間医療法人が同じ建物を建てたら70%くらいでできただろうから、妥当なところまで下げることになる。補助金で補填できるから、半額以下に設定可能だろう。7割引もありうる。経営主体は民間医療法人であるにも関わらず、税金での補填可能ということ。こんなことを全国の自治体でやりだしたら、国の財政がもたぬ。

 年間8~12億円の赤字負担条件だと、職員の引継ぎは経営管理上むずかしくなる。民間医療法人と市立病院では給与格差が大きいから、民間医療法人にあわせて給与を2~3割程度切り下げるか解雇せざるを得ないだろう。
 病院運営を受託する医療法人側にとって一番よいのは、医者も看護師、その他のスタッフも自前でもってくることだ。仮に雇用するとしても少人数になるだろう、それは引き受ける民間医療法人の都合次第。
 市立病院の文化に慣れ親しんだスタッフが民間医療法人の流儀にあわせるのはなかなかたいへんだ。
  釧路医師会病院へ40日ほど入院したときに、公立病院から転職してきた看護師さんが数日でお辞めになる例を目撃した。ある夜9時頃、ナースステーションから大きな声で口論が聞こえてきた。病室のドアは開けっぱなしになっているから患者には口論の内容が聞こえた。翌日スッタフ紹介の掲示板から来たばかりの看護師さんの写真入プレートがなくなっていた。
 公立病院と民間病院は運営方針や「文化」が違いすぎて転職してもなかなか意識を変えられない。意識を変えられる柔軟な人は10人に2人いるだろうか、古い人ほど難しい。「文化」の違いはたくさんあるが、ひとつ例を挙げると写真入のネームプレートが看護師と准看護師はそれぞれ分けて病棟ごとに掲示されていた。正看護師と准看護師は資格が違う、仕事の内容や分担がそれによって影響を受けていたのかどうかまではebisuは知らない。もうひとつ大事なことを挙げると、患者に対する応接の研修がしっかりなされていた。それは看護師さんに限らない、患者への応接の仕方でいままで当たり前にしていたことが頻繁に注意を受けることになる。そういうことが強いストレスになるのである。三日でキレてしまう人もいるということ。「文化の壁」は意外とハードルが高いのである。

 毎年17~20億円赤字を垂れ流したのでは市財政がもたないから、民間医療法人と率直に交渉してみるしかないだろう。

 まだやるべきことはある。運営委託を検討する前に病棟別・診療科別予算管理を導入して、基礎的な経営管理をしっかりすべきではないのか。自助努力がみられぬ。市民の意見にも職員の意見にも耳を貸さずに、総事業費70億円もかけて病院の建て替えをやり、この8年間で年間赤字額を2倍以上に増やしてしまった。
 健全経営に変えられたらまだチャンスはある。閉鎖的なトロイカ体制を変えるだけではすまない。診療科別・病棟別の予算実績管理の仕組みをつくるとか、業務監査や外部監査を導入するとか、企業としてやるべきことがある。経営改善の余地はまだ残されている。指定管理者制度導入はやるべきことをやってからだ。赤字額が大きすぎて時間がなくなってきている。

 閉鎖的な病院運営をやめて根室市の綜合文化会館で月に2回ほど日曜日にオープンな議論をすべきではないのか?半年(12回)ほど議論すれば、市民も納得できる。
 こんな巨額の赤字が出続ければ、市立病院経営が行き詰り、民間医療法人への病院運営委託せざるをえない時期が数年の内に来る。

 根室市にとっても、病院職員にとっても、勤務医のドクターたちにとっても、重大な問題だから、市議会でもこの問題をとりあげてもらいたい。
 いままで市立病院の運営を市長と院長と参事で決めてきたが、結果は赤字拡大と経営行き詰まりだ。根室の地域医療は根室に住んでいる私たちが議論して決めるべきだ。市民の覚悟も求められている。


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通行人

あなたはどれだけ偉いの?
いつも人を見下して自分が正しいとしている。

あなたに教育されている生徒がかわいそう。

謙虚な気持ちはないのかな?

by 通行人 (2014-08-28 20:17) 

ebisu

通行人さんへ

この記事をお読みになって感じたのでしょうから、私の論のどこが偉そうで、間違っているのか具体的にお書きください。
by ebisu (2014-08-28 22:08) 

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