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#2665-3 次の根室市長選挙の争点:市立病院をめぐる構図 May 7, 2014 [25. 根室市長選挙]

 連休が終わった。ニムオロ塾は祭日は関係なしだから、いつも通りに授業していた。休みは日曜日のみ。連休最終日の昨日(6日)は高校生も中学生も宿題をせっせとやっていた。(苦笑)

【8億円⇒21億円へ年間赤字拡大:経営形態変更計画進行中】
 さて、2013年度の市立根室病院経営赤字額はebisuの1年前の予測どおりついに21億円にもなったようだ。市税収入の75%の規模である
 そして市長は地方公営企業全部適用に向けて経営形態を変更しようとしている。市議会から反対の声がまったく聞こえてこない。途方にくれているのだろう。

【根拠に基く予測:釧根地域で最大の民間医療法人は孝仁会】
 このまま推移するとどうなるかを予測しておこう
 経営形態は指定管理者の権限を強化するから、現院長とそこにぶら下がっている「金魚の糞」の権限が強くなりますますやりたい放題になるということだ。そういう状況に嫌気が差してやめる常勤医まで出ている始末だから、経営改善は夢の夢。経営形態を変更しても同じことで、20億円を超える赤字を出すようでは2~3年しか経営がもたぬ。
 その次に出てくる話は市立根室病院の身売りである。いまのところ医療法人孝仁会が最有力だ、他には引き受けられるような大きな民間医療法人が道東にはない。

 孝仁会は札幌市へ進出した。「医療法人社団碩心会(大野猛三理事長)と6月1日付で合併を予定」、規模が大きくなる。
存続法人は孝仁会。従業員数は約1520人、売上高は約162億円
会見で、大野氏は「以前から3大疾病を中心に総合的な医療を展開したいと考えていた」、斎藤氏は「西区の医療サービスの一躍を担う法人として成長し、道東など医療過疎地域に医療従事者を派遣できるような法人になりたい」とそれぞれ意欲を話した。
*「孝仁会と碩心会が合併へー来年2月には北海道大野病院移転に着工」
http://e-kensin.net/news/article/8012.html

 こうした合併はお金がかかる。孝仁会の資金調達先が大地みらい信金だったら、どいう絵柄を描こうとしているのか。地元の医療機関と地元の金融機関がビジネスで結びつくことは当たり前の話だ。信金は自分の営業政策で損得を秤にかけてかかわり方を決める。私企業だから当然のことだろう。信金側にとっては資金需要の大きな優良得意先が一つ増えたことになる。
 この記事にもあるように、孝仁会は「道東など医療過疎地域に医療従事者を派遣できるような法人になりたい」と民間医療法人として、道東の地域医療に貢献する道を模索し、準備を進めている。なかなか意欲的な民間医療法人である。その孝仁会が地元金融機関である大地みらいとタッグを組み、企業の公的使命を自覚した経営へと舵を切りつつあるということは覚えておきたい。

【市側(市長サイド)の思惑の推測】
 では市側(市長と言い換えてもいいだろう)は、どういう構想の下にことを進めているのだろう?
 市立根室病院の年間赤字額が21億円になってしまったようだが、こんなに赤字を膨らましてしまったのでは、身売りはタダではすまない。21億円の年間赤字は予測の外だっただろうが、年間赤字額13億円までは予測の範囲だっただろう。だから、引き受けてもらうためには病院建て替えというお土産が必要だった可能性が高い。しかし、市が何度も招聘した病院コンサルタント(長隆(おさたかし)氏)の提案の約3倍の70億円もかけて建て替え事業をやってすぐに身売りはできぬ。法外な安値での資産譲渡が問題になるからそれなりの理由づくりがいる、市議会対策上当たり前の話だ
 あとは地方公営企業方全部適用に経営形態を変えて、院長権限を強化して経営を任せ、ころあいを見て経営責任をとってもらう。
 いままでの経緯を見たらわかるように経営改善ができるはずもないし、18億円前後の赤字が続けば2~3年で経営を放り出さざるをえない。そのあとで、身売り話を持ち出せば、にっちもさっちも行かないから、市議会からも市民からも反対の声は出ない。病院職員は大慌てになるが、現院長と参事が責任をとる形で身売り話が円滑に進められる。
 現実的な可能性のある話だが、これは喰えない話だ。自分たちで何とかしようなんて配慮がどこにもない。働いている常勤医や看護師さんや薬剤師さんなどさまざまな医療スタッフ、事務職員のことなどまるで眼中にないかのようだ。経営改善専任管理職を増員・配置して失敗、外部業者に経営改善を丸投げ・委託してもまったく進まぬ経営改善ととまらぬ赤字拡大、そして常に危機的状況の医師確保、病院経営にかかわる人材不足ととっくにお手上げ状態なのだろう。はやくどこかに引き受けてもらいたいというのが本音のようだ。

【身売りの影響は誰に及ぶのか:孝仁会は着々と準備を進めている】
 孝仁会は民間医療機関で、自分の論理と経営理念に基き行動する。自分の病院でトレーニングした医師や看護師やその他の医療スタッフを「孝仁会根室病院」に配置するから、いま市立根室病院に勤務するスタッフたちはいらなくなる。これも当たり前のことだろう。
 事務職員もレントゲン技師も薬剤師も看護師も検査技師も理学療法士も基本的には解雇だ。どうしても孝仁会のほうで間に合わない部分だけ給与を3割程度カットして確保するということになることは企業として当然の選択だ。
 道東のいずれかの自治体病院の経営を引き受けた場合に最初に問題になるのは医師の確保と看護師の確保だ。医師確保のための札幌進出はすでに決まった。看護師がたくさん必要になるが、これもすでに手が打たれている。自前で看護師を育成するために孝仁会附属看護専門学校を今年からスタートさせている。これで3年後から毎年数十人新人看護師を安定的に確保できる。道東地区で病院を増やしても看護師を配置できる体制が3年後に完成する。
 孝仁会がどのような医療法人であるのか知らないが、こうして整理してみると経営に関して多少の経験のあるわたしから見ても、なかなか見事な戦略展開である。身売り先としては道東では最善なのかも知れぬ。

【だんまりを決め込む根室市議会】
 市議会はだんまりを決め込んだようだが、代案がないから口出しできないのが本音。地域医療に具体的なビジョンをもっている市議が一人でもいるのだろうか?火の粉をかぶるのがひたすら恐いのかも知れぬが、それもあたりまえ、だれだって火の粉をかぶりたくない。しかしこれは市議としての責任の集団放棄に等しい。
 2012年度末と2013年度末に大地みらいからの一時借入金がいくらに膨らんだのか市議会で質問してみたらいい。記憶違いでなければ、2012年度は年度末に40億円ほども一時借入金があったが、不思議なことに市議はどなたもその借入先を市議会で質問していない。きちんと質問して借入先ごとの内訳明細を公表すべきだろう。こういうことは言われなくても市役所のホームページ上で資料を公表すべきだ。ひょっとしたら大きな絵柄の一部が顔をだすかもしれぬ。隠すと疑心暗鬼を産む。
 市議会のチェック機能がほとんど働かなかったから夕張市の財政が破綻したのだろう。チェックが何重にもなされるようになっていながら、誰一人仕事の責任を果たさない、そういう構図ができあがると危ない。最近は韓国のフェリー沈没事故でもそうしたことが明るみに出た。

【大地みらいのスタンス:夕張市の破綻前夜の状況に似てきた】
 明治公園の再開発検討委員会では大地みらい信金元理事長殿が委員長で、異例のスピードで開発計画を承認してしまった。こういうのを世間ではデキレースという。ハコモノを作ったり、アスレチック設備を整備したりすると大きな資金が必要になり借金が増える。根室市へ貸し付ければ市が財政破綻しても道庁が肩代わりしてくれることは夕張市破綻の先例が示してくれているからリスクはゼロだ。道庁は二十数年に及ぶ再建計画に肩代わりした借金返済を織り込む。地元を離れずに残った住民が負担することになった。貸し付けた側は責任をとらない構図になっている。こういうことを道庁がやってしまったから、それを見ている道内の信金はモラルハザードを起こしたのではないか?
 こうしてリスクのない融資を積極的に増やす行為は、根室市財政を食いものにしているように見えるといっては失礼か?元理事長は現理事長とは違って根室人のはず、生粋の根室人が根室市を食いものにしている図柄に見えてしまう。
 旧夕張信金がそうだったように、地元信金と市役所の「癒着の構造」は市の財政破綻の前兆現象でもある。
 元理事長殿は人柄は気さく、悪人面(づら)には見えない、ねむろっ子の魂をとりもどしてもらいたい。このままではきっと心が痛むことになるよ、これからひどい目に遭わされる人たちから白い目で見られることになる。夢でうなされる前に思いどどまろう。もう一回会議を開いて決定を取り消したらいい。

【これから数年間に起きること:現実的な可能性】
 こうしてみると、利害関係のある何人かの思惑が一致した結果の絵柄ではないだろうか。市民には内緒、見えないところで重要なことを決める。こういう恣意的なそして閉鎖的な構造をebisuは根室の旧弊・悪弊と呼ぶ。
 どんな絵図を描くのも頭の中だけのことなら自由勝手だが、それをやるとなると話は別で、市立根室病院が民間医療法人へ身売りになったら、病院職員の大半が解雇。市役所に戻る事務職員も本庁の仕事が増えるわけではないから、暇をもてあます。ましてや病院技術職の人たちは本庁へいっても仕事がないから、多くが職を求めて根室を離れざるをえなくなる。大半はこの根室をふるさととして、ここで生まれ育った人たちだ。そういう人たちが百人以上も家族を連れてふるさとを離れる。罪が深い。

【天は自ら助ける者を助く】
 不思議なのは病院職員から筵旗(むしろばた)がたたないことだ。「一揆」が起きても不思議ではない状況にあるのに、「大きな構図」に気がついていないのだろう。身売りと同時に大量解雇の生贄はあなたたち自身だ。何もしないでクビになるより、自分たちで力いっぱい経営改善努力をしてみてダメだったらそのときは覚悟を決めて、頭を下げて孝仁会の皆さんへあとをお願いするのがいいのではないか?孝仁会さんだってその方がずっと受けやすい。
 すでにレールが敷かれてしまったかにみえる身売りコースをだまって受け入れるもよし、抗うもよし。
 協力してくれる医師だって必ずいるよ。

【市立根室病院存続のための三つのハードル】
 ①きちんと経営改善して赤字を6億円程度に縮小すれば、市立根室病院はそのまま存続できる。やるならいま
 わたしがこういう経営状態の悪い病院の経営者なら、医師と職員を集めて経営状態がどういうことになっており、これからどういう事態が待ち受けているのかきちんと説明する。そして医師と職員一丸となって経営改善に努力するように伝える。そして具体的な手をいくつか打つだろう。結果を出すにはどんなに有能な方が集まっておやりになっても2年はかかる。

 ②病院職員と市民が市総合文化会館で今後の地域医療のあり方について、毎週日曜日に集い、何度も何度も話し合いをしたらいい。話し合いを通じて根室に町の未来を決める自治組織を創ろう、そして市長や市議たちを動かそう。自分たちでやなければ誰もやってはくれないし、ツケはすぐに回ってくる。
 市職労もバックアップすべきだ。みんなで協力すればなんとかなる。ebisuも手伝うよ、ハンドルネームではなく実名でね。

 ③市長選挙には若い人が対立候補として立たないといけないよ。根室のエスタブリッシュメントを全部敵に回しても闘い抜く覚悟をもつべき、覚悟があれば勝機はある。
 心根がまっすぐならわたしたち団塊世代もふるさと根室の未来のためにぜひバックアップしたい


*カテゴリー「2014根室市長選挙の争点」を追加しました。関連記事はこちらへまとめます。

*#2665-1 次の根室市長選挙は根室の町の運命の分かれ道 May 2, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-05-01

 #2665-2 次の根室市長選挙の争点:市立根室病院赤字は20億円を超えた?
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-05-03-1



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コメント 4

Hirosuke

あぁ、この話もしないとですね。

by Hirosuke (2014-05-06 23:44) 

ebisu

散歩しながら町の空気を吸い込んでみますか。
気持ちよく散策するために晴れか曇りだといいですね。
極東の町はHirosukeさんの感性にどんな信号を送るのでしょう?

by ebisu (2014-05-06 23:55) 

もやしさんま

道新の朝刊の根室版からすると市長選挙はありそうな雰囲気ですね。現職がきちんと今までの総括と説明をしてくれると良いですね。組織固めばかりにならない方がいいですね
by もやしさんま (2014-05-11 21:14) 

ebisu

もやしさんまさん、こんばんわ。

転載するつもりで道新記事を切り抜きました。
いい傾向ですね。
意欲のある若い人が立候補してくれたらうれしい。
こういう風に下地をつくっておいたら、若い人がどなたか具体的な政策を引っさげ、反旗を翻して立候補するかもしれません。

春ですね、暖かい風が吹いています。
by ebisu (2014-05-11 22:03) 

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