SSブログ

#2605 日本的情緒 '切なさ'  : ドラマ人間模様「シャツの店」 Feb. 27, 2014 [A8. つれづれなるままに…]

 6回シリーズで放送されたNHKドラマであるが、最終回は1986年2月15日に放送された。今日BSで再放送があった。鶴田浩二がオーダシャッツの店のオヤジを好演している。鶴田はこのドラマを撮った1年4ヵ月後の1987年6月16日に亡くなっている。享年64歳。
 関西大学専門部商科から学徒出陣し海軍航空隊に所属した。

 ずっとオーダ・シャツの職人として生きてきたが、奥さんが突然別居してしまう。もどってきてほしいのだが、どうすればもどってくれるのか、不器用で世渡り下手にはなす術がない。それを見かねて弟子の職人や友人役の杉浦直樹がいろいろと世話を焼く。八草薫が奥さん役だ。息子(佐藤浩市)は塾の先生をしている。

 どうすればもどってくるのか、奥さんが条件を出した。息子と母親のやり取りがたのしい。
「セックスのことでなけりゃいいじゃない?なんて書いたの?」
「「月に一度好きだっていってください」って書いたの」
「お父さんがそんなこと・・・(言うわけないじゃない)」
笑いながら息子が言うと
「わたしも、お父さん好きですって言うのよ」

 佐藤浩市は三國錬太郎の息子である。「お父さん・・・」はどういうキモチで演じたのだろう。女狂いして母親を捨てたオヤジとダブったのだろうか。30歳をすぎたらオヤジの心も少しは理解できただろうが、このドラマを撮ったときにはまだ25歳で、とても人間の性(さが)を理解できる年齢にはなかっただろうから、このシーンだけはみていてハラハラした。監督はこのシーンを何度か取り直ししたのだろうか、それとも一発でOKだったのだろうか?
 息子役の佐藤浩市は、母親を心の底から愛している父親を思いながら、現実のオヤジは母親を捨てて出て行ったのであるが、「お父さんがそんなこと・・・」という台詞を吐くのである、役柄とはいえ20代半ばの彼の心の中は二つの思い、そうあってほしかったが現実はそうではなかったと葛藤していたに違いない。いまはオヤジは役者としてはあれでよかったのだと思えるだろう。人間の性(さが)の修羅場を次々とかいくぐらなければ演技を極められない人間もいるのだということが理解できるだろう。

 仕事一筋、どんなことがあっても仕事の手は手を抜かないとうのが信条の職人役をあの二枚目俳優の鶴田浩二が晩年に好演している。その演技がしみじみとした情感を漂わせてとても上手なのである。俳優はまったくタイプの違う人間を演じ分けられるのだなと、老年に差し掛かった往年の名優に拍手を送りたくなった。研ぎ澄まされた技を見せてくれている。若い俳優たちにはいいお手本になるだろう。
 なんどか切ないシーンがあるが、この微妙な日本的情緒がいまの若い人たちに伝わるのだろうか?すこし不安がある。

 百年先の日本人が見てもほろりと涙をながすようであってほしい。


*山田太一原作「シャツの店」
http://catalina.blog.so-net.ne.jp/2013-12-11-2

**シャツの店(ウィキペディアより)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%84%E3%81%AE%E5%BA%97

(わたしはこのドラマをBS放送で見るのは2度目である。籾井会長が理事全員に辞表届提出を命じたので、NHK受信料の支払拒否をしたいのだが、BSが見れないのは困るから、さっさと辞任してもらいたい。一般の会社はあたりまえだというが、そんなことをやる会社はメッタにない、民間会社でもよほどワガママな経営者のすることで、極々特殊な例だ。こんなにバランス感覚の乏しい稀に見る悪材を登用したのは誰だろう?よほど人を観る目がないらしい。)



にほんブログ村 地域生活(街) 北海道ブログ 根室情報へ
にほんブログ村


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0