#2606 根室の中学校の過去6年間の学力低下を検証する Feb. 28, 2014 [64. 教育問題]
B中学校 | 3年生 | 2007年 | ||||
国語 | 社会 | 数学 | 理科 | 英語 | 合計 | |
4月学テ | 33.2 | 34.9 | 22.9 | 27.8 | 32.4 | 151.2 |
8月学テ | 37.4 | 40.4 | 23.6 | 34.8 | 31.7 | 167.9 |
総合B | 38.9 | 29.2 | 23.5 | 26.9 | 32.0 | 150.5 |
総合C | 37.4 | 40.4 | 23.6 | 34.8 | 31.7 | 167.9 |
模試 | 37.3 | 25.6 | 24.8 | 25.2 | 29.3 | 142.2 |
合計 | 184.2 | 170.5 | 118.4 | 149.5 | 157.1 | 779.7 |
平均 | 36.8 | 34.1 | 23.7 | 29.9 | 31.4 | 155.9 |
成績下位20%は18/83で、点数は119点(8/27の学テデータによる) | ||||||
B中学校 | 3年生 | 2013年 | ||||
国語 | 社会 | 数学 | 理科 | 英語 | 合計 | |
4月学テ | 25.5 | 17 | 19.3 | 16.9 | 22.0 | 100.7 |
総合A | 26.7 | 24.6 | 17.8 | 25.6 | 15.9 | 110.6 |
総合B | 33.7 | 17.5 | 17.7 | 24.2 | 15.9 | 109.0 |
総合C | 27.5 | 22.7 | 16.2 | 18.4 | 18.0 | 102.8 |
模試 | 27.3 | 18.8 | 17.5 | 22.0 | 21.2 | 106.8 |
合計 | 140.7 | 100.6 | 88.5 | 107.1 | 93.0 | 529.9 |
平均 | 28.1 | 20.1 | 17.7 | 21.4 | 18.6 | 106.0 |
【分析】
(1) 5回の学力テスト平均点比較
2007年は155.9点、2013年は106点である。300点満点で50点低下した。すさまじい学力低下がB中学で起きた、これは事実である。今年の中3がいままでで学力最低といっていい。来年は8点くらい戻すかもしれないが、それでも2007年と比べるべくもない。
<学力低下はいつ始まったのか?>
ではいつから学力低下が起きたのか?2007年4月に入学した1年生から学力ががくんと落ちた。3クラスあったのだが、そのうちの1クラスに3人ほど騒ぐ生徒がいて、授業がときどき聞こえないと生徒が言っていた。途中が所々聞こえないだけで、半数以上の生徒は授業内容を理解できなくなる。2年生となってクラス替えをしたら、それが他のクラスに「感染」していった。「証拠」をお目にかけよう。データが残っている年間4回の学力テストの平均点が113点に急落している。
B中 | 3年生 | 2010年度 | ||||
国語 | 社会 | 数学 | 理科 | 英語 | 合計 | |
4月学テ | 31.3 | 28.1 | 21.6 | 24.7 | 20.8 | 126.5 |
総合A | 26.9 | 22.8 | 17.2 | 20.7 | 19.8 | 107.4 |
総合B | 32.6 | 19.3 | 17.1 | 20.7 | 22.4 | 112.1 |
総合C | 25.9 | 21.8 | 16.4 | 21.6 | 20.5 | 106.2 |
模試 | ||||||
合計 | 116.7 | 92.0 | 72.3 | 87.7 | 83.5 | 452.2 |
平均 | 29.2 | 23.0 | 18.1 | 21.9 | 20.9 | 113.1 |
わずか数人の生徒が授業中の大きな声を出し、学校が荒れるとこんなに学力が下がるのである。
このころA中学校は授業中に抜け出して校舎裏で大声で遊びほうけたりタバコをすう生徒たちが毎日のようにいた。学校の先生が注意していたところを見かけたことがなかった。もちろん、市街化地域の3校では学力テストの平均点が最低だった。最近はこれほどのことはなく、ずっとよくなったが、平均点は相変わらず低いままだ。
低学力層を放置しておくと、授業が理解できないのでつまらなくなり、学校は荒れる。だから、低学力層の生徒はブカツ停止を命じて強制的に放課後補習をすべきなのである。
C中学校もひどく荒れており一時期は毎日のように火災報知機が発報していた。当時、北海道新聞が取材して詳しく報じている。
北海道新聞根室支局は教育シリーズを3回ほど敢行してくれた。弊ブログでも取り上げたので脚注にタイトルとURLを書いておく。このシリーズ記事は根室市の教育関係者にとってだいじな財産だ。根室市教委はこの6年間北海道新聞の3回の教育シリーズ記事を読まず、授業の進捗管理もしないでいったい何をしていたのか?
閉鎖的な村社会だけで仕事をしているからこういうことになる。新聞記事や弊ブログを含めて、きびしい地域社会からの批判に耳を傾けるべきだ。北海道狂句委員会も地域社会とのコミュニケーションを積極的にやれと言っている。ゴマカシも、言い訳もいらぬ、正直に誠実に仕事をすべきだ。
生徒たちにも、保護者の皆さんにも、学校の先生にも、普段の学力テストの平均点や階級ごとの棒グラフをモニターしていない根室市教委にも、衝撃の結果だろう。
根室市教委と過去三人の教育長よ、仕事の手を抜くとこういう結果になる、大バカモノ。歴代の市議会文教厚生常任委員会メンバーも同罪だ。放置した市長も教育に関心のない大バカモノ、なにが「根室再興」だ、企画部門も何をしている、教育問題をないがしろにして20年後30年後の根室の復興があるわけがないではないか。
(2) 五科目合計点210点超の高学力層
2007年は9~18人、2013年1月の学力テストでは4人である。高学力層がおおよそ1/3に激減してしまった。生徒数は2007年が79人、2013人が72人である。
9~18人⇒ 4人
(3) 五科目合計点70点以下の低学力層
2007年度は70点以下は1人かゼロである。20013年1月の学力テストデータでは21人(29.2%)。
1人⇒ 21人(29.2%)
五科目合計点で70点以下の成績下位層が21倍になった。
つまりこういうことになる。2007年度の学年ビリよりも下の成績の生徒が2013年度は20人いるということだ。おおよそ3割の生徒が2007年度換算で主要五科目ほとんど1という成績をとっているという現実がある。しかし、実際の成績は2~3がほとんどを占めており、評点が甘くなったということだ。
お母さんたち、あなたたちが中学生時代にオール1だった超低学力の生徒が3割を超えていると思ったほうがいい。
学年下位3割は昔の生徒なら主要五科目がほとんど1というのが実態である。かわいそうだが、心を入れ替えて高校3年間必死に勉強して学力をアップしない限り、成績下位3割層の子どもたちの将来は実に厳しいものとなるだろう。そのほとんどが正規雇用されないで30代を向かえることになる。
乱暴な言い方をすると、学年72人で50番以下は国語と数学に関しては小学6年生の平均以下の学力と思っていい。
【低学力層の肥大化は高校の授業へ影響している】
2,008年1月の学力テストで100点未満は20人(20/79=25.3%)だが、2014年1月の学力テストでは37人(37/72=51.4%)で半数を超える生徒が得点3割以下。半数の生徒が中学校をもう一年やり直してからでないと、高校の授業は無理だというのが実情であるから、高校は入学して来る生徒の学力低下に合わせて授業のレベルを下げざるをえない。根室西高校では小学校レベルの計算練習から数学の授業をはじめている、英語はアルファベットから。
定員割れをすると根室高校普通科でも70点前後(300点満点)の生徒が入学している。みんな無事卒業しているからレベル低下が起きているのだろう。
2006年3月の入試ではFランク150点で3人不合格が出ているから、最近10年間ではこの年度が一番学力が高かったようだ。
今年の根室高校2年生は定積分と漸化式が学年末テスト範囲から外れた。こんなことははじめて。
【就職】
高卒の3人に一人しか正規雇用の職がない。3人に2人は非正規雇用でアルバイトだ。大卒で2人に1人しか正規雇用の職がない。専門学校はその間に位置している。
低学力層は単純労働者になるしかないのだが、生産拠点が海外へ移転してしまっており、単純労働の求人が少ない。高校入試で五科目100点以下の、8割程度は正規雇用の職に就けないだろう。
非正規雇用だと企業の業績次第でいつ首を切られるかもわからない。非正規規雇用の20歳代の賃金は年間100~150万円だ。仕事がきついからなかなか続かない。何年たっても時間給はほとんどアップしない。だから、経済的理由から結婚できない30代後半の若者が激増している。親に寄生して生活するしかないが、親が定年退職したらどうする?40歳になるころは親は定年退職している。いつまでも「子ども」の生活の面倒は見られない。
具体例を一つ出して正規雇用と非正規雇用の年収の差の実態を眺めてみたい。
中学・高校と6年間そこそこ勉強して3年間看護専門学校に進学すると、根室市から毎月10万円奨学金が下りる。そして卒業したら初任給21万円だ。3年間市立根室病院に勤務すると奨学金の返済義務がなくなる。一年後には夜勤手当やボーナスを含めて年収400万前後になっているだろう。勉強しないで低学力層に甘んじていたら、非正規雇用で年収100~150万円の世界だ。10年たったら年収差は300~400万円になるだろう、こんなに違う。一生懸命に勉強したら、それなりの生活ができる。進路を間違えないようにすべきだ。
ブカツにうつつを抜かして、学力テストの平均点が300点満点で100点以下、500点満点で200点以下だと、高校を卒業したあと8割の人が正規雇用の職につけない。お父さんもお母さんも、そして生徒自身も目を覚ますべきだ。3年間死に物狂いで勉強したら何とかなる。
低学力層の人は高校に入ってからではほとんどの人が手遅れになるから、中学生の内に手を打つべきだ。成績下位1/3の低学力層なら、ブカツをやっている場合じゃないぞ。
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*#2607 生徒の学力低下に気がつかぬ学校と根室市教委 Mar. 1, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-03-01
#2118 経営理念をもちそして臨機応変に: クラスに集まる生徒にあわせた授業 Nov. 6, 2012
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-11-05
#1935 フリー授業参観に行こう:啓雲中学校 May 14, 2012
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-05-14
*#1307 教育再考 根室の未来 第2部 低学力④:荒れる中学校 Dec.19, 2010
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-12-19-1
#1758 教育再考 根室の未来第 シリーズ4部⑤:新聞活用(北海道新聞) Dec. 1, 2011
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2011-12-01
#1757 教育再考 根室の未来第 シリーズ4部④:小中一貫教育(北海道新聞)
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2011-11-30-1
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こりゃ、ひどい。
by 合格先生 (2014-02-28 04:45)
もはや壊滅ですね。
高校へ行って、義務教育を学び直すんですね。
こちらもひどいですが、学校と教育行政による、前代未聞の醜態ですね。
根室に生まれてしまった。
たったそれだけの理由で…。
by ZPPER (2014-02-28 06:44)
月日の流れるのは速いもので、学力低下を日々目にしていたら、ちりも積もれば山となるのごとく、6年間で五科目合計点が50点(300点満点)も下がっていました。
残っていたデータを最近EXCELへ入力して眺め、あ~あと慨嘆しています。
どんな私塾で毎日のごとく補習を繰り返しても、本家本元の学校の授業がダメなら焼け石に水です。
同じ教育という仕事に携わりながら、教育行政や学校の先生とはコミュニケーションの場がありませんね。考えてみたらおかしな話です。敵同士ではなく、生徒の学力を向上させるという目的のためには協同する大事なパートナーとなるべきです。
そういう橋渡し役を1月に設立された「北海道教育文化研究所」が担ってくれることでしょう。
3時50分頃に沈んでいた陽が、5時をすぎてから沈むようになりました。もうすぐ春です。
by ebisu (2014-02-28 10:34)