#2384 雇用をめぐる権利と義務の関係 (ブログ「情熱空間」より転載) Aug. 27, 2013 [11. 中小企業家育成コラム]
企業の上場準備は諸規程類の見直しから始まる。就業規則や給与・退職金規程などの人事関連規程類、予算規程、経理規程類、組織分掌・権限関する規程など企業規模の応じてさまざまな規程が作られる。
雇用問題について権利と義務は表裏の関係にあることをブログ「情熱空間」が具体的事例を通して丁寧に説いているので転載して紹介する。
人に関する制度やルールは社会保険労務士の仕事分野であり、ZAPPERさんは社労士でもある。どういう就業規則を採用するかで、いろいろなトラブルが避けることもできる。
事例に挙げられた具体的な問題はありがちなことだ。きっと役に立つから高校生や地元企業主もぜひ読んでもらいたい。上場準備を3回経験した私も勉強になったくらいだからお薦めする。
2回分を一括して転載。
http://blog.livedoor.jp/jounetsu_kuukan/archives/6742005.html
http://blog.livedoor.jp/jounetsu_kuukan/archives/6743236.html
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雇用問題について権利と義務は表裏の関係にあることをブログ「情熱空間」が具体的事例を通して丁寧に説いているので転載して紹介する。
人に関する制度やルールは社会保険労務士の仕事分野であり、ZAPPERさんは社労士でもある。どういう就業規則を採用するかで、いろいろなトラブルが避けることもできる。
事例に挙げられた具体的な問題はありがちなことだ。きっと役に立つから高校生や地元企業主もぜひ読んでもらいたい。上場準備を3回経験した私も勉強になったくらいだからお薦めする。
2回分を一括して転載。
http://blog.livedoor.jp/jounetsu_kuukan/archives/6742005.html
http://blog.livedoor.jp/jounetsu_kuukan/archives/6743236.html
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2013年08月27日
雇用の現場は「性悪説」か?(上)
5分の残業に対して、残業代(割増賃金)を支払わなければならないか?
答えはイエスです。仮に毎日5分残業をして、その月の所定労働日数が24日だった場合、残業時間計2時間(120分)分の割増賃金の支払い義務が生じることになります。よく、1日30分未満の残業を切り捨てとしている会社がありますが、それは違法(労働基準法違反)です。ただし、1ヶ月の残業(60分未満)の端数処理について、30分未満を切り捨て、30分以上を切り上げるのは合法です。
さて質問です。あなたは会社に対して、その5分の残業について割増賃金の支払いを求めるでしょうか? 社会保険労務士の仕事をしていて直面することが多い問題に、実はこうしたものがあります。
事例その一。大学生のアルバイトを雇ったところ、業務終了後の手仕舞い作業に関しての、日々の5分・10分の残業代を請求され困っている。もっともこの部分、会社側にも認識が甘い部分があると言えます。そうした問題が起こり得ることを想定し、残業を許可制にする等の策を講じておく余地があるからです。(具体的には、そうしたリスクを想定して、その対応策を織り込んだ企業防衛型の就業規則や各種規程を事前に整備しておくことで、およそ考えられる多くのリスクを回避できます)
事例その二。社員に有給休暇(年次有給休暇)の取得を申し出られ、業務に支障が出て困っている。これにも色々な対処法がありますが、それはここでは書かないでおきます。使用者は、年次有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければなりません。(これを「時季指定権」と言います)がしかし、請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合は、他の時季にこれを与えることができます。(これを「時季変更権」と言います)有給休暇取得届を文書で提出させるなどして「時季変更権」によるハードルを盛り込んでおくべきでしょう。
事例その三。出社時・退社時に制服に(制服から)着替える時間。その時間は残業であるとして残業代を請求された。 実はこのケース、判例においても同様のケースが見られる(三菱重工長崎造船所事件、最高裁平成12.3.9判決)のですが、完全ではないにせよ、就業規則等において予防策を講じておくことは可能ですし、制服に着替える場所を、会社の更衣室でも自宅でも各従業員の自由にしてあれば、場所的拘束性がないため、着替えの時間は原則として労働時間になりません。
さて、こうした労働問題ですが、一昔前までであれば「労使関係の象徴」つまりは企業側と労働組合の対立により表面化したものが多かったわけですが 、現在では「個別労働関係紛争」が増えていて、そのための個別労働関係紛争処理システムの整備がなされています。たしかに、サービス残業が常態化している企業があったり、人を単にコマとしか捉えていないような、いわゆるブラック企業もあるわけですが、それを差し引いてもなお、理不尽としか言いようのない労働者の申し立てが増えています。
自主退職しておきながら、その退職の理由はどうあれ、とにかくこの「私」が傷ついた 。この「私」が傷ついたのだから「補償(謝罪)」しろ。職務専念義務もへったくれあったものではありません。まるで小学生の喧嘩さながらに、やれ「謝れ」だの、やれ「謝罪しろ」だのと…。そして非常に残念なことに、特に若い世代でそうした(義務の履行はさておく形での)「権利の主張」が目立ってきています。そして時には、その親も我が子の理不尽な言い分に便乗してきては、一緒に騒ぎ立て…。
答えはイエスです。仮に毎日5分残業をして、その月の所定労働日数が24日だった場合、残業時間計2時間(120分)分の割増賃金の支払い義務が生じることになります。よく、1日30分未満の残業を切り捨てとしている会社がありますが、それは違法(労働基準法違反)です。ただし、1ヶ月の残業(60分未満)の端数処理について、30分未満を切り捨て、30分以上を切り上げるのは合法です。
さて質問です。あなたは会社に対して、その5分の残業について割増賃金の支払いを求めるでしょうか? 社会保険労務士の仕事をしていて直面することが多い問題に、実はこうしたものがあります。
事例その一。大学生のアルバイトを雇ったところ、業務終了後の手仕舞い作業に関しての、日々の5分・10分の残業代を請求され困っている。もっともこの部分、会社側にも認識が甘い部分があると言えます。そうした問題が起こり得ることを想定し、残業を許可制にする等の策を講じておく余地があるからです。(具体的には、そうしたリスクを想定して、その対応策を織り込んだ企業防衛型の就業規則や各種規程を事前に整備しておくことで、およそ考えられる多くのリスクを回避できます)
事例その二。社員に有給休暇(年次有給休暇)の取得を申し出られ、業務に支障が出て困っている。これにも色々な対処法がありますが、それはここでは書かないでおきます。使用者は、年次有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければなりません。(これを「時季指定権」と言います)がしかし、請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合は、他の時季にこれを与えることができます。(これを「時季変更権」と言います)有給休暇取得届を文書で提出させるなどして「時季変更権」によるハードルを盛り込んでおくべきでしょう。
事例その三。出社時・退社時に制服に(制服から)着替える時間。その時間は残業であるとして残業代を請求された。 実はこのケース、判例においても同様のケースが見られる(三菱重工長崎造船所事件、最高裁平成12.3.9判決)のですが、完全ではないにせよ、就業規則等において予防策を講じておくことは可能ですし、制服に着替える場所を、会社の更衣室でも自宅でも各従業員の自由にしてあれば、場所的拘束性がないため、着替えの時間は原則として労働時間になりません。
さて、こうした労働問題ですが、一昔前までであれば「労使関係の象徴」つまりは企業側と労働組合の対立により表面化したものが多かったわけですが 、現在では「個別労働関係紛争」が増えていて、そのための個別労働関係紛争処理システムの整備がなされています。たしかに、サービス残業が常態化している企業があったり、人を単にコマとしか捉えていないような、いわゆるブラック企業もあるわけですが、それを差し引いてもなお、理不尽としか言いようのない労働者の申し立てが増えています。
自主退職しておきながら、その退職の理由はどうあれ、とにかくこの「私」が傷ついた 。この「私」が傷ついたのだから「補償(謝罪)」しろ。職務専念義務もへったくれあったものではありません。まるで小学生の喧嘩さながらに、やれ「謝れ」だの、やれ「謝罪しろ」だのと…。そして非常に残念なことに、特に若い世代でそうした(義務の履行はさておく形での)「権利の主張」が目立ってきています。そして時には、その親も我が子の理不尽な言い分に便乗してきては、一緒に騒ぎ立て…。
事例その四。入社した社員に態度の悪さを指摘したところ、二・三日出社して、以後は出社しなくなり連絡も取れなくなった。やっと本人と連絡が取れて、そして解雇を言い渡すも、反対に労働基準監督署を利用して解雇予告手当を請求された。これ、本人は14日を過ぎるのを待っていたんですね。~試用期間が始まって14日以内の者を解雇する場合に限って、解雇予告手続きは不要~ 労働基準法のこの規定を悪用したんですね。だから、15日目になって会社からかかってきた電話に出た。まさに知能犯。でも、その知恵は仕事に活かすべきなのに…。
雇用の現場では、もはや《性善説》ではなく《性悪説》が前提なのか…。そう思うこともしばしばです。義務の履行はどうあれ、自己の権利の主張だけは絶対に譲らない。その姿、何と浅ましいことか…。権利!権利!権利!己を省みることはしない。義務の履行などどうでもいい。権利!権利!権利!あるのはただ、権利の主張のみ。 この国の行く末が、本当に心配になってしまいます。(続く)
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雇用の現場では、もはや《性善説》ではなく《性悪説》が前提なのか…。そう思うこともしばしばです。義務の履行はどうあれ、自己の権利の主張だけは絶対に譲らない。その姿、何と浅ましいことか…。権利!権利!権利!己を省みることはしない。義務の履行などどうでもいい。権利!権利!権利!あるのはただ、権利の主張のみ。 この国の行く末が、本当に心配になってしまいます。(続く)
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雇用の現場は「性悪説」か?(下)
(続き)しかしこうした労働問題は、悲しいかな、現在の公教育のある部分と妙に符合するように思えて仕方がありません。人権教育。もちろん、それを全否定するものではありませんが、子どもに「権利」ばかりを教えて、肝心の「義務」に関しては実にお座なりになってしまっている。そうした印象を拭えないのです。
雇用契約は、双務・有償契約。つまりは双方の「権利」と「義務」が合わさったもので、そこに対価が生じるものです。もっとも、「使用者>労働者」という歴然たる力関係に配慮して圧倒的に労働者に有利になるよう、各法律で規定がなされているわけですが、しかしその大前提には《職務専念義務》というものが存在します。誠実にその業務を遂行すること。その対価として賃金請求権が発生する。前者は義務、後者は権利でありますが、権利と義務はまさしくセット。しかし子ども達には、なかなかそれが伝わらない。なぜなら、「権利・義務」という概念が希薄だから。
「権利」と「義務」は常にセット。子ども達にはそれこそを教えなければなりません。ところが学校現場は、構造的にそれに向いていないわけなんですよね。第一に、公務員には雇用契約が及ばないこと(公務員は、職業や職種ではなく地位をさすから)、第二に、それゆえに民間の労使の感覚に疎いこと。第三に、どこぞの教職員組合の存在が感覚の麻痺を後押ししていること。だからどうしても、「義務」を伝えることが苦手で疎かになってしまうのでしょう。(「権利・義務」という概念が希薄だから、自治労や日教組・北教組は暴走を続けるのでしょう)
しかしながら、企業側から言わせたならば、「学校教育の場においてこそ、権利・義務をしっかり教えて欲しい」となります。親が家庭が力を失い、また、それに呼応するかのように学校も力を失いつつあります。勤労の美徳、規範意識といったものが影を潜めつつあります。非正規労働者の増加が社会問題になって久しいですが、一方では労働力の質の劣化が進んでいて、そこには基礎学力問題と「義務」の認識の欠如、規範意識の形骸化が横たわっていることを感じています。
いわゆるキャリア教育ですが、何をさておいても子ども達に伝えなければならないのは、勤労の「権利・義務」の概念でしょう。「権利」と「義務」は常にセット。だからこそ、自らの仕事に打ち込む姿は崇高であって、勤労の美徳、規範意識というものが導かれるものでしょうから。
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雇用契約は、双務・有償契約。つまりは双方の「権利」と「義務」が合わさったもので、そこに対価が生じるものです。もっとも、「使用者>労働者」という歴然たる力関係に配慮して圧倒的に労働者に有利になるよう、各法律で規定がなされているわけですが、しかしその大前提には《職務専念義務》というものが存在します。誠実にその業務を遂行すること。その対価として賃金請求権が発生する。前者は義務、後者は権利でありますが、権利と義務はまさしくセット。しかし子ども達には、なかなかそれが伝わらない。なぜなら、「権利・義務」という概念が希薄だから。
「権利」と「義務」は常にセット。子ども達にはそれこそを教えなければなりません。ところが学校現場は、構造的にそれに向いていないわけなんですよね。第一に、公務員には雇用契約が及ばないこと(公務員は、職業や職種ではなく地位をさすから)、第二に、それゆえに民間の労使の感覚に疎いこと。第三に、どこぞの教職員組合の存在が感覚の麻痺を後押ししていること。だからどうしても、「義務」を伝えることが苦手で疎かになってしまうのでしょう。(「権利・義務」という概念が希薄だから、自治労や日教組・北教組は暴走を続けるのでしょう)
しかしながら、企業側から言わせたならば、「学校教育の場においてこそ、権利・義務をしっかり教えて欲しい」となります。親が家庭が力を失い、また、それに呼応するかのように学校も力を失いつつあります。勤労の美徳、規範意識といったものが影を潜めつつあります。非正規労働者の増加が社会問題になって久しいですが、一方では労働力の質の劣化が進んでいて、そこには基礎学力問題と「義務」の認識の欠如、規範意識の形骸化が横たわっていることを感じています。
いわゆるキャリア教育ですが、何をさておいても子ども達に伝えなければならないのは、勤労の「権利・義務」の概念でしょう。「権利」と「義務」は常にセット。だからこそ、自らの仕事に打ち込む姿は崇高であって、勤労の美徳、規範意識というものが導かれるものでしょうから。
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2013-08-27 22:56
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コメント(17)
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僕の数々の職場は、
違法だらけだったのだと知りました。
世界に知られる大企業でさえも。
やれやれ、
そんな権利があったなんて、
ただ泣き寝入りでした。
by Hirosuke (2013-08-28 00:00)
特に最後の職場は、
-------------------------------------
個人情報保護法の施行に伴い、
就業規則を社外に持ち出すことを禁ずる。
-------------------------------------
といった内容のものが、
直属上司から個人面接で通達されました。
「就業規則は個人情報とは関係ないだろ。」
とは思ったのですが、
その場で念書まで書かせる念の入れよう。
残業過多&パワハラ等で病気になったのに、
訴えることもできませんでした。
by Hirosuke (2013-08-28 00:42)
就業規則の周知ですが、職場の見やすい場所に掲示するか備える。それで足ります。要するに、社員が就業規則を見たいと思ったときに見られる状態にしておけば、それで構いません。(交付義務はありません)なので、物理的に持ち出しできないように、例えば○○室にて閲覧可。などとするだけでいいはずですが…。
ご指摘のように個人情報保護とは何ら関係がありません。思うに、過去によほど痛い目にあった会社なのでしょうね!
by ZAPPER (2013-08-28 01:01)
おっと言い忘れておりました。病気がうつ病であるならば、退職後であっても労災申請はありですよ。厚労省がガイドラインを示していて、年々認定のハードルも下がっています。以下、ご参考まで。
http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/rousaihoken04/090316.html
by ZAPPER (2013-08-28 01:06)
やはりその道の専門家と話しをするのはたいへん有益ですね。ZAPPERさん、ありがとうございます。Hirosukeさんもいい具体例を出してくれました、感謝申し上げます。
こういう問題で悩んでいる人は少なくないでしょうから、労使お互いに法律の規定するところに従い、正々堂々と話し合いの場を持ち誠意をもって対応すれば、気持ちのよい、すくなくとも納得のできる解決策が見つかります。
わたしのいた会社は就業規則はもちろん、人事関係規則は社員へ分厚いファイルを渡していました。
だから、勝手にコピーをとることもできます。特に秘密はないので、身近において規程の内容を周知徹底してほしいからだったのでしょう。
十数年前になりますが、ファイルをやめてイントラネットで電子ファイルで閲覧・コピー可能に変えました。規程の更新がしやすくなりました。
会社選びはこういう点も大事ですね。
あまり秘密主義のところは、経営が閉鎖的かさもなくば過去に人事関係トラブルの多い企業と判断してよいのでしょう。
しかし、そういう会社に入社して変革するのも楽しいですよ。変えられないものなんてありませんよ。会社の業績も渾身の力で仕事をすれば、規程も業績も変えられます。
楽しい、ハッピーな環境は自分がどう働くかでつくりだすこともできます。
by ebisu (2013-08-28 08:52)
ZAPPERさん
おはようございます。
厚労省のガイドライン資料、ありがとうございます。
膨大な文書で、ダウンロードが大変です。(笑)
重症うつ患者は、漫画すら読めません。
相談しようにも、話すらできません。
ようやく最近、漫画を通読できるようになりました。
ZAPPERさん、近々この欄で具体的に相談しますね。(笑)
by Hirosuke (2013-08-28 10:00)
>楽しい、ハッピーな環境は
>自分がどう働くかでつくりだすこともできます。
そう思って、
労組もない会社で、
仲間を集めて僕がリーダーなり、
渾身の限りに仕事をしたんです。
そうしたら、
取引先トップから直々に、
新規プロジェクトの草案作成依頼を頂きました。
そしたら【パワハラ】です。
出向先の自社員全員(僕を除く。)に、
「勤務中に余計な事をしている者がいる。監視せよ。」
といったメールが繰り返し繰り返し・・・。
激務の合間を縫って草案を完成させると、
今度はプロジェクトのリーダーから外されて、
閑職へと異動です。
それで僕は、
完全に壊れてしまいました。
by Hirosuke (2013-08-28 10:20)
出る杭は打たれるのが世の習いです。
でるからには打たれてもへこたれないタフネスさが必要です。
どんなに打たれようとも折れずへこたれず、強烈な逆風に見舞われたら、じっとしばらくの間力を蓄え、逆転のチャンスをうかがう。
そのうち、アホな上司は勝手につぶれてくれます。恣意的な振る舞いは会社の業績を向上させる障害となることにその上の上司達が気がつきます。
しっかり自分の仕事をして待っているだけで自然と障害は外れます、そういうものです。
人生にはじっと我慢して待つ時期があります。そういうときは興味を広げて本を読み天地がひっくり返るような具体的な企画案をどっさり書きためておく。
たとえば業界ナンバーワンの会社にいたら業界ナンバースリーの会社へ転職したときにはその会社をナンバーワンにする戦略を具体的に書いてみる。そうしたら自社の弱みと強みがよく見えてきます。そのうえで自社の利益を2倍にする戦略を創り上げてみる。
同業他社に出向したときや合弁会社の経営を任されたときに、そういう作業が役に立っています。改善の方法は現場を見て考えるのでまったく違う方法になりますが、実践的なトレーニングを積むことが役に立っている。
いつお鉢が自分に回ってくるかわかりません。そのときにチャンスがつかめるように準備だけはしておくものですね。無駄になっても構わないと腹を括る。
私はある時期、出世をあきらめ、仕事のやり方を変える(多くはシステム化、あるいはプログラムの変更、分厚いファイルの共有管理など)ことで勤務時間の半分で仕事を済ませ、ラボ内の各部署に行って現場の課長や係長と話しをする時間を確保し、空いた時間で会社の図書室で医学関係の専門誌を片っ端から読み漁っていました。家に帰ってからも、コンピュータシステム関係の原書や人工知能に興味がありチョムスキーの構造言語学まで手を出していました。お陰で英語の専門書を読むのがずいぶん楽になりました。
もちろん、あとで全部仕事に役に立ってます。
後で考えると、そういう期間が必要でした。複数の専門知識がさらに広がりと深さをもつようになりました。それがなければこなせないような仕事が2年後に列をなして待っていました。八百万の神々が私に特別に用意してくれた貴重な期間だったのです。(笑えるでしょう?でも、ほんとうなんです)
わたしはHirosukeさんとよく似ている。
へこたれないのはおそらく幼少期や中高生時代の育ち方に原因がある、意識的に心と身体を鍛えていました。
ときどき強い者を敵にして戦争をしてみました。胆力の勝負です、暴力を用いたことはありませんよ、しかし、授業がデタラメで言い訳の多い先生にあるときカッとして高校1年生のときに手を出すところでした。そのあとに校長を敵に回して校則改正をやりました。なにがなんでもやりぬく、そう腹を決めて敵の弱点を検討するところから具体的な段取りを決めていきました。丸坊主から長髪OKへ。校則改正は時代の要請でしたね。(笑)
ちがいは精神的な"タフネスさ"、たぶんそれだけ。
団塊の世代は、いろいろと大きな問題を抱えていました。そういう中で切磋琢磨した仲間達のお陰でもあります。じつにいい仲間や先輩に恵まれました。
両親にも感謝です。いろいろなことのめぐり合わせとしかいいようがありません。
出遭ったみんなに感謝。
『わがマイルストーン』を読んで思いますが、傷つきやすい少年だったのですね。人の痛みが心の奥で理解できるというのはたいへん重要な資質だと思います。どこかできっと苦労が生きてきます。
by ebisu (2013-08-28 11:41)
あ、遅くなりました。弊ブログの記事を取り上げてくださり、ありがとうございます。(^_^;)
さて、実は私も鬱に追い込まれた経験があります。理由は単純明快、経営者としての自分の力量不足。それを単に発した部下の謀反と業績の悪化です。ただただ、消えてなくなりたかったです。できることならば3年・5年と冬眠したかった。
でも、その時期を乗り越え、強くなりました。だから、今では「飛躍の前の蓄えの時期」だった。そう想えるんです。さて、再び戦いに参戦しなければ!(^o^)
by ZAPPER (2013-08-28 12:50)
zapperさんでなければ書けないテーマです。
お陰様でebisuは読んで楽しみ、転載して喜び、コメント欄でまたうれしい思い、ありがとうございます。
by ebisu (2013-08-28 12:58)
ZAPPERさん
そんな点でも、お仲間でしたか。
いやー、奇遇ですねぇ。
どん底の経験からしか語れない世界がある。
それは、未熟な大人には見えない現実。
意味不明の雑音にしか聞こえない戯言。
ある意味、
非常に幸せな、
「戦争を知らない大人たち」。
by Hirosuke (2013-08-28 15:32)
Hirosukeさん
太い骨がポキンと折れたなら、なかなかくっつきませんよね。でもその代わり、くっついたならば以前よりも強度が増しているんです!
そういうものだって、最近、思うんです。(^_^;)
by ZAPPER (2013-08-28 21:20)
>どん底の経験からしか語れない世界がある。
それは、未熟な大人には見えない現実。
意味不明の雑音にしか聞こえない戯言。
すごく分かる気がします。
そして、それってすごく役に立っていますよね。
傷ついた子どもに、そっと寄り添えるから。
俺はたいしたことはできないけど、でも、お前の心に突き刺さったトゲの一本二本は抜いてやることができるぞ、多分な。
そう言えるから。
by ZAPPER (2013-08-28 21:27)
こんにちは
ebisuさんに質問です
人材で、「技術と向上心があって、コミュニケーション能力がない」と「技術と向上心がない、コミュニケーション能力があり」では、どちらを採用しますか
私的には前者がよいのですが、
私の周りでは後者を選択する人が多いのです。
本当は「技術と向上心があり、コミュニケーション能力があり」が最適です
人生をうまく生きるなら、後者の方が楽できるのでしょう
みなさんはどうでしょう?
by 相川始 (2013-08-29 08:03)
相川始 さん
僕なら前者を採用します。
「学ぶに遅きは、ありませぬ。」
という格言があります。
その人材に真の向上心があるならば、コミュニケーションが必要だと知る(教える)事で、その戦力は格段に向上するからです。
後者を採用するのも一法で好き好きと思いますが、採用担当者の能力自体も人材と同レベルでしかないという証拠にも感じます。
この場合は「類は友を呼ぶ。」ですかね。
それとも「同胞、相憐れむ。」かな?
by Hirosuke (2013-08-29 08:49)
相川さんおはようございます。
>人材で、「技術と向上心があって、コミュニケーション能力がない」と「技術と向上心がない、コミュニケーション能力があり」では、どちらを採用しますか
Hirosukeさんも同じ判断でしたね、もちろんebisuも前者です。
生徒の中にも典型的な後者のタイプがいたことがあります。何度個別補習しても嫌がり、復習はまったくやってこない、そして数日で挫折。ところがニコニコして人当たりはよく、言葉掛けもいい。メンコイところがあるわけです。
卒業延期になるところを、半年遺しても個別授業は面倒くさいだけと高校側が判断したのか卒業させてくれました。
確かに楽しいでしょうが、いつかまとめてツケが回ってきます。いまでも心配です。
そして後者のような人間を何人か雇ってしまったら、中小企業は業績が悪化します。倒産するかも。
でもね、毎年一人雇うとしたら、5年に一度くらいは前者の人材がほしいですね、本音です。
色の違う人材がいた方がかけ合わせの妙で何がでてくるか分からない面白さがあるからです。
後者の人材ばかり集めたら、その会社は実直な会社という印象になるでしょう。それなりの評価をされると思います。しかし、営業面で対応しきれない仕事や場面がでてくるでしょうね。
やはりいろんなタイプの人材が切磋琢磨、議論百出でお祭り騒ぎがあったほうが楽しいし、靭(つよ)い会社となるのではないでしょうか。
コミュニケーションは口だけでありません。
ある天麩羅の名店(福島県郡山市)の店主は口数が少ない。仕事中は必要なことしか言いません。
「今日は時間がありますか」
会議が長引いて遅いランチで12時50分頃でした。
「ありますよ?」
どういう意味かわかりませんでした。説明ナシですから。(笑)
見ていたら油を捨て、新しい油を鍋に入れました。
じつにうまかった。
これはコミュニケーションの名人芸だと思いました。
一度、大事な人を誘って連れて行きました。
「口数が少なくって、職人らしくっていいね」
お店を出てからそう評していました。
ぺらぺらお喋りな職人はうすっぺらな印象を与えてしまいます。コミュニケーションは所作でもできるものです。
営業をやるとしたら、そういう営業マンをめざしたい。
by ebisu (2013-08-29 10:26)
みなさま、回答ありがとうございます。
友人が人事担当で相談され、当方も回答に困っていました。
個人的心情と世間一般的な意見を確認できればという気持ちでご質問したにも関わらず、立派な回答ありがとうございます。
友人には、この旨を伝えたいと思います。
それでどちらを選択するかはその人次第ですが。。。
by 相川始 (2013-08-29 14:46)