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#2276 時代錯誤の主張 北海道新聞社説「序列化の懸念拭えない」  Apr. 27, 2013 [64. 教育問題]

 昨夜は1.9度で雨の寒い夜だった。今朝雨はあがったが相変わらず外は寒い。
 この頃こういう記事は書きたくないのだが、4月27日付の北海道新聞社説に「序列化の懸念拭えない」という社説が載ったので、やむをえず書く。
 ちょうど50年前に団塊世代のebisuは中学三年生、全国学力テストを受けて「全国レベル」の高さを思い知った経験があるが、そのときにも道新はこういう社説を掲げたのではないだろうかと思わせるような内容である。旧社会党全盛時代の道新の社説かと見まがうような時代錯誤、シーラカンスのような論説委員がねじりハチマキで原稿用紙に字を書きまくっている姿を想像してしまった。
 この論説委員には北海道の子ども達の学力の現実が見えていないようだ。取材すれば分かることだが、みようとしないのだろう。何人か道新根室支局の記者を知っているが、皆さん丹念に取材をして記事を書いていた。こんな机上の空論は珍しいので、箇条書きに分解して事実と意見に分けてとりあげてみる。ひょっとしたら取材したのかもしれない、北教組とその親派の教育大関係者だけを取材したというならよくわかるが、それが北海道新聞の社説というのでは肯くことができない。
 北海道新聞はシェアーの大きさから見て実質道民新聞である、"道民新聞”だから"道新"、それぐらいの矜持はもって社説を掲げて戴きたい。


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「学力テスト 序列化の懸念拭えない(4月27日)」 道新オンラインニュースより、抜粋。
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/editorial/461488.html


①テストは、児童生徒の理解度を把握し、指導に活用するのが本来の狙いだったはずだ。それならば一部の学校で傾向を把握し、対応策を全体に周知する抽出調査で十分だ。

②文科省はこれまで学校の序列化につながるとして、市町村別、学校別の成績公表を禁じ、都道府県別の平均正答率だけを公表してきた。

③成績が低迷しているところでは、事前に過去の出題問題を解かせるなど、テスト対策が常態化する傾向にある。

④道教委も例外ではなく、今年は過去問に取り組むよう市町村教委に通知し、「北海道の子どもは全国最低レベル」などとするチラシを児童生徒に配布した。

⑤奮起を促すためと言うが、これこそ点数至上主義の現れではないか。しかもこの文面では子どもの心を傷つけ、やる気も失わせかねない。

⑥確かに北海道の平均正答率は、ほぼ全科目で全国平均を下回ってきた。

⑦道教委は14年度までに全国平均以上に高める目標を掲げている。

⑧テストのための学習を優先させるだけでは、本来必要とされる思考力や応用力が身に付くとはいえないだろう。

⑨少人数学級や複数教師によるチームティーチングといった学習環境の改善こそが目指すべき方向だ。

⑩看過できないのは、下村博文文科相が将来的に、市町村別、学校別成績の公表に意欲をみせていることである。

⑪2月の記者会見で「保護者や地域住民への説明責任がある」として、文科省の公表禁止規定を「検討し直したい」と述べた。

⑫結果が公表されれば、テスト対策にますます授業が割かれ、学校の序列化を招くことは避けられない。

⑬こうした状況が高じていく中で、果たして児童生徒に学ぶ喜びや意欲、向上心が育まれるだろうか。疑問を抱かざるを得ない。

⑭文科省はテストの結果、少人数学級の効果が認められれば、小1、小2に限られている35人学級の全面実施を検討する意向を示している。学級編成はあくまでテストと切り離し、客観的に判断するよう求めたい。

⑮教育は点数だけで評価できるものではない。その原点を見失うことがあってはならない。
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 色分けしてみた。青が「事実」の記述であり、黒字が北海道新聞の論説委員の主張である。

【「標本調査で充分」との主張①】
 社説を書いた論説委員は全数調査がよほどきらいなようだが、たとえば札幌市内のほとんどの学校が不参加では、平均点が動いてしまうので、全道平均点との差の判断ができなくなるという不都合が生じていることをご存知なのだろうか?
 根室市教委は全道平均点との差が縮まったと喜んでいたが、札幌市内の大半の小中学校が不参加で全道平均点が下がっただけ、「想像力」がないとこういう勘違いが起きている。心根がまっすぐで作為があってやったのではないと仮定したら、根室市教委は統計学の基礎知識が怪しいということになる。基礎学力が足りないのは子どもだけではないのか?
 最近数年、札幌市の学校の学力低下が激しいと聞いている。区によって学力格差が広がりつつあるとも聞いている。毎年全数調査をやってきちんとしたデータを残すべきだ。
 以上の理由でわたしは①の「抽出調査で充分だ」という主張には肯けない。現にわが町の市教委のように自分に都合のいいようにデータの「読み違え」「ゴマカシ」をやるところがでてくる。実際には「悪化」しているのに、自分の都合のいいように解釈できて表面上の数値だけを比べたら「改善」となってしまうから対策が遅れる、つまりは百害あって一利ナシ。標本調査はやめて全数調査を徹底せよ。

【「テスト対策が常態化」③】
 テスト対策がよいか悪いかは議論の余地がある。目標を設定して、戦略を立ててテストを受けるのはあたりまえのこと。大学受験生で受験大学の過去問をやらない者はいないだろう。この社説を書いた論説委員自身も過去問を解いただろう。自分がやっておいて他はやってはいけないというのはいかがなものか。斉藤孝が『読書力』のなかで、読書力を相撲のトレーニングに例えて「四股を踏んで強くなったものが、後から来るものに四股を踏まなくていいというのは卑怯だ」と書いていた。
 道教委が各市町村教委へ過去問に取り組むように指示を出したのは今回が初めてだから、テスト対策が常態化というのは事実と異なる。

【「点数至上主義」は論理の飛躍⑤】
 この論説委員は道教委が過去問をやれと指示を出したことにクレームをつけているが、論理の飛躍がある。
「これこそ点数至上主義の現れではないか。しかもこの文面では子どもの心を傷つけ、やる気も失わせかねない」
 ご立派な主張だが見当ハズレ。一回だけ過去問をやることが「点数至上主義」になるというのはどういう頭をしているのだろう。根室市内の小学校では宿題に出しただけで、解説すらしていない。生徒がもってきて、B問題で手がとまってしまっているので、問題文を音読させてから解説したが、普段まったくやっていないタイプの問題が含まれているので、2時間ぐらいの授業では自在に解けるようにはならぬ。その程度の解説で自在に解けるのはクラスに一人か二人ぐらいなもの、数学が得意で成績優秀なごく一部の生徒だろう。30人未満のクラスでクラストップならテスト対策をやれば2時間でも効果はあるが他はそれくらいでは無理だ。日本語能力が落ちているから、問題文を理解して、それを組み立て、さらに日本語での表現となるとハードルが三段階上がる。
 小学校算数のB問題は、学校の授業ではやっていない種類のもので突然にこんなタイプの異なる問題をやらされたら戸惑うのはあたりまえだ。たとえば、B問題の大問1番の問題がそうだ。
「その番号の買い方がいちばん安くなるわけを、言葉と数を使って書きましょう」
 大問の2番にも次のような問題がある。
「①の14.5(秒)は、何を求めていますか。答えを書きましょう」

 言葉を使って理由を書く問題をふだんの授業ではやっていないから、生徒がとまどうだろう。通塾率も低いから何の準備もなしにやれというほうが無理だろう。

 ついでに書いておくが、A問題の大問1は基本計算問題である。これが全問正解できるのは根室市内では生徒の1~2割ぐらいだろう。7題ある。間違いの頻出すると思われるものは5題ある。
 (1) 243-65
  (2) 0.75+0.9
  (3) 9.3×0.8
  (5) 16-(6+3)
  (6) 2と7/5+1と1/7
  
 足りないのは小数同士の割り算の問題である。小数位取りを理解できていない生徒は小6卒業時点で半数以上いる。
 問題の(6)は帯分数の加算問題であるが、ブログにはこのように書くしかないのでご勘弁願いたい。
 根室市内の小学校全体で見るとこの「A大問1」を全問正解できる生徒は2割程度かもしれない。それほど基礎計算能力が低いのである。学校別の結果情報が公開されないと授業に反映できないことはいうまでもない。
 根室高校普通科で今年から新入生に国語と数学と英語三科目が載った宿題の冊子*を配布している。ナカミは中学校の復習である。いままでこんなレベルの問題を宿題にしたことはなかったが、ここ数年間の学力低下が激しいので、根室高校普通科の先生たちがこういう策を採用せざるを得なくなったのだろう。
 小学校で基礎計算力トレーニング不足が、高校にまで及んでいる。根室西高校がクラス分けして小学校レベルの基礎計算から授業をやっているのだが、根室高校普通科も、新入生に中学校の復習を課さないと授業が成り立たなくなってきている。縦割りの教育行政だから、こんな現実を根室市教委は知らないのだろう。学力問題では中学校と高校のコミュニケーションが大切だ

 どういう種類の問題が出るか事前に理解させるために道教委が過去問をやるように指示を出すことがなぜ「点数至上主義」になるのだろう。論理の飛躍がある。実態はほとんどの学校が生徒にか顧問を渡しただけ。道新さんしっかり取材して社説を書いてくれ。

 全国最低レベルの学力ということが「文面では子どもの心を傷つけ、やる気も失わせかねない」とも書いている。道新社説はそういう状態を何年も放置し続けてきた、各市町村教委や学校管理職の責任をこそ問うべきだ。筋が違うだろう。やり方に問題があるから全国最低レベルという恥ずかしいことになっている。

*『スタディサポート活用ブック』(ベネッセが製作している冊子で市販していない、ベネッセの全国模試に参加している高校対象にサービス品として配っているのだろうか。)

【「テストのための学習優先させるだけ」⑧】
 「テストのための学習を優先させるだけ」ではダメだとのたまわっている。ではだれが「テストのための学習を優先させるだけで」いいとは言っているのだろう?全国学力テストを実施した文科省だろうか?それとも北海道教育委員会だろうか?実施主体はそんなことは言ってない。曲解の見本のような文章である。こういうのを俗に「マッチポンプ」という。「マッチを擦ってつけた火を自分で消火ポンプで消す意」(大辞林より)。
 テストはたんに学習の結果を測定するもの。
 問題文の意味が理解できず、その上に基礎計算トレーニングすら不十分でどのような「思考力や応用力」が身につくというのだろう。「テストのための学習を優先させるだけでは、本来必要とされる思考力や応用力が身に付くとはいえないだろ」という主張はebisuには机上の空論に聞こえる。論説委員は無意識に問題のすり替えをやっている。北教組が使う常套句なのである。このことからふだんこの論説委員がどういう方とお話ししているのか、どういう取材ネットワークをもっているのかが推測できる。教育現場の現実を直視できていない、事実に目をつぶった主張といわざるを得ぬ。
 北海道は全国学力テストでいつも全国最下位層に位置しているから、子ども達は「本来必要とされる思考力や応用力が身に」ついていない、これは厳然たる事実だ。それを今回過去問を生徒に渡しただけで「テストのための学習を優先させる」と断じ、「本来必要とされる思考力や応用力が身に付くとはいえないだろう」と書いている。どこの新聞の社説だろう?基礎学力に著しい問題を抱えているのは根室市だけではない、根室管内全域である。そして根室市のような市町村も、根室管内のような低学力の支庁は他にもある。例えば、日高管内である。根室よりも少しましな釧路だって、似たり寄ったりである。根室が地域的な学力地盤沈下の数歩先を歩いているにすぎない。明日は釧路が同じ道を歩いている。だからこれは道内に共通する大きな問題なのである。北海道の地域経済を支えているのは道民であり、未来を支えるのは現在の子どもたち、児童・生徒である。その基礎学力が劣化していたのでは、北海道の地域経済がもたぬ。
 「・・・、本来必要とされている思考力や応用力が身に付くとはいえない」のではなく、現実に身についていないし、何年も市町村教委や学校現場で対策を怠ってきたから「思考力や応用力」どころかそれを支える「基礎学力=読み・書き・ソロバン(基礎計算)」が劣化して学力テストの平均点が下がったと考えるのが、普通の人間の常識的な思考だろう。

【少人数学級がいいという誤解⑨】
 「人数学級や複数教師によるチームティーチングといった学習環境の改善こそが目指すべき方向だ」、つまりは少人数制がいいと述べているが、今回の学力調査で30人以下の学級と35人以上の学級の平均点を比べて公表することを提案したらいい。少人数学級がいいというような主張に根拠がないことが明らかになるだろう。学校規模・クラス規模別の学力テスト結果情報の公開が必要である。こんなバカげた議論に終止符が打てる。
 根室市内で30人を超えているクラスはほとんどない。市内の全小・中学校中2校でたった2学年のみだ。小学校9校中学校7校あわせて「延べ75学年」中たったの2学年だからすでに、97%クラスが30人未満である。道新社説が主張する30人学級は根室管内ではほぼ実現されている学力は高いか?否である、全道14支庁管内で最低レベルというのが実態だから、少人数学級だと学力が上がるというのは嘘だ
 私たち団塊世代は小学校では60人学級、中学校では55人学級だがいまの中学生よりはよほどましだった。中学校は10クラス、学力テストのたびにクラス対抗で平均点を競っていた。市街化地域の3校ですらほとんどの学年が2クラスでは、クラスで競争のしようがない。競争のないことが学力低下に拍車をかけている。
 すでに根室管内の小中学校の99%が30人以下の学級を実現している。生徒数が激減しているからだが、全国最低レベルの北海道で14支庁管内最低レベルは日高管内と根室管内である。
 このことから30人以下の少人数学級になったら学力が下がるというなら分かるが、少人数学級になったら学力が上がるという結論はありえない。少人数のゆえに学力が低いというならよくわかる。
 もうひとつは学校の規模が小さくなっている。根室市内で3クラスの学年が1年から3年までそろっている中学校は一つもない。集団競技のブカツは部員数が足りなくて困っている。たとえば、バレーボールは一つの学校で2チームできないから、普段の練習にも不都合を生じている。
 集団教育は競争、生徒相互の助け合いなどメリットが大きい。少人数学級がいいわけではない、適正規模というものがある。40人ぐらいで4クラス以上が中学校としては適正規模だろう。統廃合をして無料のマイクロバスで送迎すればいい。

【方向違いの「学習環境の改善」を勧める⑨】
 少人数学級とチームテーチングを例に挙げているが、おかしい。学習環境の改善を言うなら、過剰なブカツを槍玉に挙げるべきだ毎日6時過ぎまで、土日もやっているブカツが多い。子ども達の健全な家庭学習習慣育成を阻害している。ブカツは5時半まで、土日は試合を除いて禁止すべきだ
 学力調査と一緒になされているアンケート調査でも家庭学習時間の少ないのが根室の特徴である。基礎学力に問題のある成績下位層(およそ三人に一人)は週に1日放課後補習と土曜補習をやるべきだ。

【基礎学力「読み・書き・そろばん(計算)」スキルの劣化の現状を見よ】
 全国学食テスト問題は普段やっている文協学力テストとはタイプが違っている。この数年間生徒達の日本語読解力が著しく落ちている。携帯電話の機能強化やゲームの普及などが影響している。B問題を丹念に読んで処理できる生徒は多く見積もっても三人に一人だろう。
 それほど日本語能力が劣化しており、そのうえに基礎計算力の劣化がかぶさる。
 根室では中学卒業時点で基礎学力「読み・書き・ソロバン」に大きな問題を抱える生徒が4割を超していて、採用を地元高校卒業生に限定している企業にはダメージが大きい。大地みらい信金のように地元採用枠を縮小してしまう企業がでるのもこういう学力の現状を考えると仕方がない面がある。この低学力層の生徒たちは高校を卒業してもほとんど正規社員の職には就けないだろう。そんな採用を続けたら民間企業は倒産してしまう。学力低下は地域経済の長期的衰退と密接な関連がある。被雇用者ばかりではなくその影響は地元企業の経営者や市議会そして地域行政機関である市役所にも及んでいるかもしれぬ。
 以下は最近行われた「お迎えテスト」(学力テスト)の結果(弊ブログ#2265より抜粋)である。
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 【4月17日夜、追記】市街化地域のある中学校の1年生の得点通知表を見たので、データを書いておく。1年生の平均点は高かった。
  <平均点>
   数学  55.3点
  国語  50.8点
  社会  53.9点
  理科  60.3点
 合計 220.4点

 数学40点以下:13人 27.1%、 30点以下(9人 18.8%)

 【4月23日追記】
 A中学校3年
 <平均点>
   数学  19.7点(60点満点)
  国語  26.8点
  社会  19.4点
  理科  14.7点
 合計 106.5点(300点満点)

 数学24点以下(57人/88人 64.8%)、 18点以下(47人/88人 53.4%)

 B中学校3年
 <平均点>
   数学  19.3点
  国語  25.5点
  社会  17.0点
  理科  16.9点
 合計 100.8点

 数学24点以下(14人/79人 68.4%)、 18点未以下(43人/79人 54.4%)

 3年生は2校とも得点3割以下が半数を超えている。高校の評価基準でいうと、過半数が「赤点」である。この成績下位層は小数点の位取りや分数計算が怪しい、つまり、小学6年生の範囲の基礎計算力がないとみてよい。
 中学校の先生たちはブカツに明け暮れ、放課後補習すらやらずに、この生徒達を放置している。毎回やるテスト結果からはっきりしているのに手を打たないできた。努力している先生が一部にいることは認めるが、結果はこの惨状である。1月下旬にそのことを弊ブログで指摘したら、とんでもない炎上騒ぎがおきた。地域社会の批判に素直に耳を傾け、学校を挙げて低学力の解消の努力をすべきなのだろう。ブカツを制限して放課後補習体制を組むことを勧めたい。それは学校管理職である、校長先生と教頭先生の役割だ。
 学力テストの平均点は教えている生徒達がつけてくれた「通信簿」、先生たちの仕事への評価通知だと受け止めるべきだ。理科の先生は自分の教え方を点検したほうがいい。校長や教頭先生は授業をみるて具体的な改善アドバイスをすべきだ。百点満点で他の学校よりも20点高い平均点を数年間たたき出す先生がB中学校にいたことがある。小テストを繰り返して記憶の定着を図っていた。それなりの工夫をすれば生徒たちの学力が上がり、結果として平均点が上がることは実証済みである。

*#2265 『カルク』はすぐれもの(2) : "a good job"
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-04-16
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【「学校の序列化を招くことは避けられない」⑫】
 学力テスト結果を学校別に公表したら序列化を招くという主張は都会なら分かるが、北海道でそんなことが起きるのか?人口2.8万人の根室市では市街化地域の学校はたったの3校である。全市の学年平均生徒数は220~260人、小学校は歯舞が4月から統合されたので9校、中学校は7校ある。一学年平均30人以下である。ノサップから厚床まで50kmだから、道路事情がいいので、無料のマイクロバスで送り迎えして2校体制でやれる。集団教育という点からものぞましい。ネックになるのが校長と教頭、学校統廃合が学校管理職のリストラになることだ。北教組や学校側の抵抗が大きい。「校長会」のメンバーが激減して、力を失うことになるが、時代の流れ、それでいいのである。
 いま問題になっているのは学校の序列化ではない、「学力の地盤沈下現象」である。その点の認識が社説に欠けている。
 根室を例にとれば、市街化地域の3校が例外なくこの数年間学力が低下している。その影響はすでに高校の授業に及んでいる。中学校の学習内容を地域で一番学力が高いはずの根室高校普通科の新入生に中学校の学びなおしの宿題を課さなければいけない事態が今年からはじまってしまった。『~活用ブック』という中学課程の学び直しの市販問題集を新入生に課している。数学の問題では習熟度別のクラス編成の最下層であるアルファ・クラスは全員必要、その次の「ベータ2」クラスのほとんどがこの問題集で中学課程の復習をやる必要がある。やらなくていいのは「ベータ1」と最上位層の「ガンマー・クラス」である。おおよそ、根室高校普通科120名のうち、半数ほどが中学校の数学を学びなおす必要がある。連休中にやっておかないと、そのあとの授業の理解に問題が出る。英語の問題も中1程度の基礎知識をチェックする問題がしっかりふくまれていた。
 10年前には考えられなかった学力低下が、根室では学力上位層が多い根室高校普通科ですら進行中である。根室高校普通科の数学や英語担当の先生たちはこの数年のそこが抜けたかのように感じられる急激な学力低下に危機感を感じ、慄いているのだろう。採用した問題集のレベルをみて、そうした危機感がこちらにもビンビン伝わってくる。根室市教委は根室高校や根室西高校の数学や英語担当の先生たちから現状をヒアリングしたほうがいい。
 そして北海道新聞の論説委員の方々、教育問題に関しては「釧路の教育を考える会」のメンバーが書いているブログ4つにときどき眼を通されよ。具体的なデータに基いた分析や論が満載だ。ときに過激な主張もあるが、どのブログも論拠はそのつど明示してある。

【基礎学力を欠いたまま"学ぶ喜び"をえられるか?⑬】
 「こうした状況が高じていく中で、果たして児童生徒に学ぶ喜びや意欲、向上心が育まれるだろうか。疑問を抱かざるを得ない」という⑬の主張も肯けない。学力テスト結果の公表によって序列化が進み、生徒達の学習意欲がそがれると主張している。
 とんでもない話で、逆だろう。基礎学力が低下していく中で、「果たして児童生徒に学ぶ喜びや意欲、向上心が育まれるだろうか。疑問を抱かざるを得ない」と書くべきだ。
 基礎計算力すらない中学生が根室市内に半数いる。そうした生徒達は授業が楽しいわけがないだろう。理解できない授業をガマンできるほど辛抱力はない。先生たちはブカツに熱心で、忙しくて時間が取れないという口実で放課後補習すらしない。これで低学力層の生徒に勉強に意欲をもてというほうが無理だろう。
 今月行われた中3の学力テスト結果をみたが、市街化地域の2校では数学が18点(60点満点)以下が半数を超えている。この層はB問題はほとんど手をつけることができなかっただろう。

【学校別・科目別学力テスト結果情報の公開⑮】
 「教育は点数だけで評価できるものではない。その原点を見失うことがあってはならない」、毒にも薬にもならぬ一般論である。点数だけで評価できないからといって、学力テストを否定する論拠にはなりえないことは短絡である。この論には次のような主張が透けて見える。
 教育は点数だけで評価できるものではない(命題A)⇒だから学力テストは必要ない(結論:命題B)
 命題A⇒だから全数調査は必要ない⇒標本調査で充分⇒テスト規模を縮小すべき   

 50年前に私は中学三年生だったが、根室の光洋中学校10クラス550人中トップでも全国レベルでようやく評価が5であることを知った。もちろん、9教科の合計点ではなくて社会科一科目のことだ。苦手の科目はなかったが9科目合計点でトップレベルには届かなかったが、理由があって社会科目だけはダントツトップの自信があった。小4のときから毎日北海道新聞社説と一面の記事を辞書を使って丹念に読んでいたから受験参考書で得られる知識とは比べものにならぬ量の情報が頭の中に整理されていた。同年代の友人達に比べると地理と政治経済は圧倒的な知識量だった。歴史は大筋は因果律で動くから、ノートに整理して流れと年を結びつけて記憶するだけでよかった。それでも全国レベルではぎりぎり5。普段の学力テストが全国統一テストで、偏差値が表示されていたり、全国順位が載っていたらずいぶん励みになっただろうと想像する。全国レベルでギリギリ5であることを知ったのは中3のときだったから、時すでに遅しだった。中1のときに全国レベルを知ったら三年間の勉強の仕方が一変していただろうと思う。田舎の中学生が全国レベルの壁にぶつかった衝撃は小さくない。全国学力調査結果情報公開は田舎で勉強している生徒たちにとって必要不可欠なものである。順位や偏差値も通知してもらいたいと思う
 三十数年前、院生時代に教えていた渋谷の進学教室でみた東京都の公立中学校の学力テスト結果表には科目ごとの偏差値はもとより、学校の平均偏差値も科目ごとに載っていた。学校の科目合計平均偏差値でその学校のレベルが判断できた。学習意欲の高い生徒にとってはあれの全国版が理想だ。
 学力テスト情報公開については、公開すべきだという保護者のほうが圧倒的に多数だろう。反対は文部科学省と教育委員会と学校だった。下村文部科学大臣が、公開する方向での検討を指示しているのは歓迎すべきことだ。道新はそういう世論になぜ反対するのか?
 「教育は点数だけで評価できるものではない」はあたりまえだ。しかし、テストの点数を外して学校教育が成り立たないことはなおいっそうあたりまえのことだろう。
 民間会社では数値目標を掲げて厳しい経営管理をしている。PDCAはあたりまえだ。数値で学力を計測しないで低学力改善の目標設定・結果の確認をどうやってやるというのか。できるというなら教育問題でシリーズ記事を組んで具体的案を公表したらいい。

【56年間定期購読している一読者からのメッセージ】
 わたしが小4から読み始めて56年だが、家で道新をとり始めてから数えたら60年を超えている。
 北海道新聞さん、目を覚ましてほしい。社会党が全盛期の頃ならこういう主張もありだろう。しかし、時代は変わった、道新さんだけがいつまでも過去にしがみついて、道民に背中を向けていたのでは定期購読者数がますます減る。しっかりしてほしい。このままでは道新の経営に危機が訪れる。小学校4年生のときから道新を読んでいる読者からのお願いだ、しっかりしてほしい。

 社説を読んだ印象を述べておく。道新根室支局の面々はしっかし取材して記事を書いているが、この社説の論説委員はろくな取材先をもっていないのではないだろうか。これほど地に足の着かぬ記事は道新ではむしろ珍しい。
 根室市内のドウシン定期購読者はこの10年間で2割ほど減少している。根室支局ががんばっても本社がこんな社説を掲げたのでは、道新離れが加速する。全国紙に比べて読むところが半分以下だが、私のように読みなれた道新を愛している読者はまだ多い。謙虚に反省すべきではないのかな。


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*「全国学テ実施(北海道新聞釧路版記事)」ブログ「情熱空間」
http://blog.livedoor.jp/jounetsu_kuukan/archives/6473723.html

 「相対立する記事(読売VS道新)」ブログ「情熱空間」
http://blog.livedoor.jp/jounetsu_kuukan/archives/6473822.html

 「本日、全国一斉学力テスト実施!(新聞に見る驚くほどの認識の違い)」ブログ情熱空間
http://blog.livedoor.jp/jounetsu_kuukan/archives/6471563.html
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コメント 15

もやしさんま

テスト対策の勉強で学力が上がって何が悪いの?
だったらテストの内容を吟味すればいいではないか。
と思う。
論説委員が社説を書いたらもっとチェックをする人を増やすといいと思う。思い込みにならないために


by もやしさんま (2013-04-28 23:26) 

ebisu

こんばんわ。

過去問でテスト対策やるのは辺り前のこと、大学受験で受験する大学の過去問をやらない受験生はおそらく皆無。
目標を設定し、どういうテストか調べ、戦略を立てて準備するのは学習の基本。

「釧路の教育を考える会」のメンバーのブログですが、過去問対策はテスト対策の基本で、やるのが当たり前という主張です。もやしさんまさんと同じご意見。

●大学受験と高校受験と教育ブログ
学力テストは終わってからが大事
http://maruta.be/gakusyu/827
学力テスト情報のまっとうなる記事(どうしんよ、これを読んで勉強せよ)
http://maruta.be/gakusyu/826
まず点数を上げてから
http://maruta.be/gakusyu/825

>論説委員が社説を書いたらもっとチェックをする人を増やすといいと思う。思い込みにならないために

わたしも道新を代表する意見とは思えません。ごく一部の頭の固い論説委員が書いたものだと思いたい。社説として掲げるのですから、もうすこしバランスを考えた意見であっていいと思います。
by ebisu (2013-04-28 23:47) 

ZAPPER

ありがとうございます!
付け加えることは何もございません。
しっかりせい、北海道新聞!
シーラカンスは、ひっそりと過ごしなさい!
おっと、以上二点のみです。(^o^)
by ZAPPER (2013-04-30 21:46) 

Hirosuke

>数値で学力を計測しないで
>低学力の改善をどうやってやるというのか。
>できるというなら
  ↓
できます。
可能です。
ただし、常識的な方法では無理です。
英語にしても数学にしても、僕は【呪文】を教え込むのですが、これには熟練の技が必要です。
数値的な結果は、ある時、一気に来ます。
結果が出るまで、相応の時間も必要です。

低学力を自覚し、「教えてください。」と言った生徒にだけ教えている【秘法】です。(ニヤリ)

by Hirosuke (2013-04-30 23:10) 

ebisu

ZAPPERさんへ

URLを載せて紹介してくれてありがとうございます。Tさんも痛烈な批判をブログに載せていましたね。
道民新聞ですから、もっとバランスを意識した社説を読みたいものです。
by ebisu (2013-04-30 23:40) 

ebisu

Hirosukeさんへ

>>数値で学力を計測しないで
>>低学力の改善をどうやってやるというのか。
>>できるというなら
  ↓
>できます。
>可能です。

>英語にしても数学にしても、僕は【呪文】を教え込むのですが、これには熟練の技が必要です。


仰るように学力は上げられますね。
そして結果の客観的な学力測定はやはりりテストですね。

>数値的な結果は、ある時、一気に来ます。
>結果が出るまで、相応の時間も必要です。

同感、たゆまぬトレーニングあるのみ。(笑)
by ebisu (2013-04-30 23:47) 

Hirosuke

>抽出調査で十分
   ↓
児童生徒の学習能力にも、
教育関係者の大好きな言葉である【個性】が、
そりゃぁもう溢れ返ってるんですけどねぇ。

家庭環境だって影響してます。

そんな事を、
知ってか知らずか、
見て見ぬ振りしながら、
闇に葬り去ろうとしている。

そう感じます。

by Hirosuke (2013-05-01 07:56) 

ebisu

こんにちわ、Hirosukeさん

国民識別コードができたら、全国学力調査データと所得データをコンピュータ上で結合処理できるので、所得格差と学力格差の相関係数が計算できます。

都道府県、市町村別にEXCELファイルでそうしたデータを近い将来文科省が公表するようになるかもしれませんね。
北海道教育委員会はすでに市町村別の学力テスト結果データをEXCELファイルで公表しています。
時代の大きな流れを感じます。

ところで、いろいろ有益なコメントをいただいていますが、そのつど本文に取り入れ、論を拡張したり、補足したりしています。
こういうところがブログの楽しいところ、コラボレーションです。

コメントありがとうございます。
by ebisu (2013-05-01 12:38) 

もやしさんま

抽出調査では自分が全体のどこにいるのかがわかりません。自分が全体の下位にいることを自覚した生徒をどう励ますかこそが、ある意味教育者の仕事だと思うのです。
by もやしさんま (2013-05-01 17:36) 

Hirosuke

測定不能な程に学力が低い子が相当います。

そんな現実が嫌になって、
ヤケを起こしている子もいれば、
無気力になっている子もいる。

そんな子にテストを受けさせるのは、
無意味どころか破壊的なので、
敢えて僕はテストしません。

授業後や宿題のチェックはしますよ。

音読とかタイム計測とかカウントダウンとか。

点数なんて付けません。

合格基準は「5分・10分以内に全問正解」。

1ヶ所でもミスしたら、即アウト⇒やり直し。

何度も何度も繰り返して、
もはや考えなくても手や口が動くまで、
これを小刻みに積み重ね続けます。

「入ってない物は出て来ない。」んですから。

あ、最初の1時間は、じっくり話をします。

【ハリー・ポッター】の話を。

by Hirosuke (2013-05-01 21:03) 

ZAPPER

>測定不能な程に学力が低い子が相当います。

おっしゃる通りです。
買い物をして1000円札を出した場合のお釣りの暗算ができない中学3年生すらいるんですよね。
昔は、どんなに勉強ができなくても金勘定の計算だけは誰でもできる。
そう言われたものですが、今はそれすらも崩壊に入りつつあります。
天動説・地動説と言っても、それすら理解できないわけですから…。
by ZAPPER (2013-05-01 21:18) 

ebisu

道新の社説を書いた論説委員にHirosukeさんとZAPPERさんのコメントを読んでよく考えてもらいたい。そうすれば、この次は現実を踏まえたずっといい社説が書けるでしょう。
by ebisu (2013-05-01 22:33) 

もやしさんま

暗算能力を高めるテレビゲームを開発してもらいましょう
by もやしさんま (2013-05-01 23:43) 

ebisu

日本にはそろばんという世界最高のハードとソフトがあるのですがねえ。
手で覚えると頭の中で玉を動かせるようになります。
頭のいい悪いは関係ナシに、単なるトレーニングでソロバンは上達します。小学生にソロバンを習わせたいですね。

小数点の乗除算も、もちろん引き算のときの繰り下げも玉の動きを媒介にして補数を理解し、計算の仕組みを自然に覚えてしまいます。
どうしてお母さん達は子どもにソロバンを習わせなくなったのでしょう?
伝統文化に属する習いものはダサいと勘違いしているのではないでしょうか。

by ebisu (2013-05-02 00:56) 

ebisu

生徒のお母さんに珠算5段の方がいらっしゃいます。面談のときに適当に数字を読み上げ、暗算をして見ましたが、高校生のときに根室市内の競技会で暗算部門で優勝した私よりも腕前はかなり上でした。
5段クラスになると、得意な人は4桁~5桁の数字を10個並べて10秒以内の暗算が可能です。

高校数学の積分計算は圧倒的に高速で精度の高い計算ができます。
高校数学は基礎計算力が高い人はとても有利です。テストでは決められた時間内にたくさんの問題を処理しなければいけませんから、解法パターンを記憶していて、計算スピードの大きい人が高得点をとることになります。
難易度の高い問題があれば計算力ではなく、思考力の勝負でしょうが、普段のテストでそういう問題は出題されていません。

by ebisu (2013-05-02 01:22) 

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