#2135 平成25年度 市立根室病院14.5億円の赤字予算案 Nov. 22, 2012 [26. 地域医療・経済・財政]
藤原市長時代は8億円、長谷川市政になってから市立根室病院赤字額は毎年増え続けて毎年のように記録更新、昨年度は13.7億円の赤字、今年度はいくらに落ち着くのだろう?
来年度予算の調整が行われているようだが、予算段階で14.5億円だ。長谷川市政になってから一度も予算以内に収まった事はなく、多いときには4億円も予算オーバーだ。赤字額を過小評価したインチキ予算を組み続けてきた。市議会は一度もこのインチキ予算にストップをかけたことがなく、機能不全を起こしている。
赤字額の天井はいったいどれほどになるのか?赤字の原因はハッキリしている。いろいろ影響が大きいだろうからあからさまに言うのをはばかる。病院事業会計に外部監査を入れたら、なぜ赤字が増え続けるのかハッキリする。内部監査だって簡単に理由が分かるよ。実質的な監査業務がないか、やり方を知らないということだろう。
市議会で「市立病院事業赤字拡大に関する特別調査委員会」をつくって原因を究明して、適切な経営改善をすればいい。市内に専門家が見つからなければお手伝いくらいはしてあげる。上場企業で行われる通常の監査手順くらいは承知している。
「広報ねむろ」では毎年黒字と言い続けているが、これは官庁用語でインチキ、一般用語ではたいへんな赤字だ。決算報告は民間の企業会計原則に従い、一般用語で広報に載せるべきだ。市議会がその旨決議すれば、市民は本当のことを知ることになる。
原発事故でもそうだが、情報隠蔽は被害を大きくするだけだ。不都合な情報を隠してはいけない。
11月21日の北海道新聞根室地域版に載った記事を紹介する。
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財源不足5億3400万円
市来年度予算編成 市長が見通し示す
【根室】市の2013年度予算編成に向けた庁内の部課長会議が20日開かれ、長谷川俊輔市長は財源不足額が5億3400万円に上るとの見通しを示した。12月16日投開票の総選挙の影響で、国の予算の越年編成が確実になり、市も難しい対応を迫られそうだ。
来年度の歳出165億6500万円に対し、歳入は160億3100万円。収支不足は、赤字経営に苦しむ市立根室病院への一般会計からの繰入金が約14億5千万円に上るのが最大要因で、介護老人保健施設「セラピーこざくら」(70床)の30床の増床(約6億7000万円)などが予定されている。
長谷川市長は会議で「政策の選択と集中の徹底が必要。市中経済を活性化する支援を大事にしてほしい」と強調した。(栗田直樹)
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【実例二つ】
建て替えで償却負担が増えるからとても14.5億円の赤字ではすまない。予算規模自体が藤原市政時代の140億円台から20億円も膨らんでいる。なぜこのような放漫予算になるのだろう。
市が招聘したコンサルタントは年間売上の範囲内で建て替えすべきだと主張していたが、その金額は25億円である。ところが総事業費は当初62億円だったがその後追加されて約70億円に膨らんでしまった。
「セラピーこざくら」の30ベッド増床になぜ6.7億円も市が支出しなけらばならないのかさっぱり分からぬ。まさか建築費だけでこんなにかかるはずはあるまい。ベッド当たり2000万円になる。わたしは横浜で2000年頃に270ベッドの療養型病床の病院建て替えをやったことがあるが、ゼネコンは新日鉄を使い11億円だった。免震設備はないが市立病院と同じRC造である。1ベッド当たり400万円だったが、どうして老健施設にわずか30ベッド増やすだけでベッド当たり単価が5倍もかかるのかわからない。老健施設には国の補助も出るのではなかったか?
合理的な理由があり、節約もきちんとなされていて、市が財政上補助する必要があ、り妥当で適正な計画なら、言われなくても市のホームページ上で詳細を明らかにすればいい。病院建て替えでも市長は市民説明会を拒否した。約束した「建て替え後の収支計画」も明らかにしないまま建設に踏み切った。どうしてこれほど市民に内緒にしてやりたがるのかさっぱりわからぬ。
何か特別な理由があるのだろうから、市議会はきちんとチェックして、内容を市民に明らかにしてもらいたい。
【放漫財政】
13年後の2025年には、根室の老人人口は現状の7900人から11000人に増える。人口は23000人に減少するだろう。2006年から長谷川市政だが、人口は2500人ほど減少してしたのに、財政規模は140億円台から160億円台に20億円も膨張している。
日本国中いたるところでこのようなお金の使い方をしたら、地方交付税交付金が必要額の2倍も使われてしまう。これでは国の財政ももつわけがない。1000兆円の借金の山の半分くらいは地方の杜撰なお金の使い方に責任がある。
【マレに見る貧困な地域医療】
地域医療を見ると、建て替えられる市立病院に、老人医療にとって欠くことのできない医療療養型病床が1ベッドもない、地域医療は取り返しのつかない大失政をしてしまった。根室の老人はどこで死ねばいいのだろう?認知症が出たら、老健施設ではケアできない。認知症の出た老人の在宅介護は介護する側も命を削るようなことになる。根室には北浜町にグループホーム(18床)が一つあるだけだ。認知症の出ている老人に医療が必要になったときの受け皿がない。医療療養型病床が市立病院に100ベッド必要なのである。それがゼロ、絵に描いたような大失政。それもとめられぬ市議会、わがふるさとながらこのレベルの低さにはただあきれるほかはない。困るのは市民だ。老人と老人を介護する家族だ。
【百聞は一見にしかず】
市議会は一度団体で他の地域の医療療養型病棟を見学しに行って知見を広めて来られよ。わが町がいかにおろかなことをしているか分かるだろう。
【ツケの支払】
ベトナムサンマは私企業の分野に公的部門が入り込んだ形だ。本来財政でこのようなことをやってはいけない。野鳥観察の英国での説明会も同じだ。観光事業に公的部門が絡む必要はない。せいぜい観察小屋の設置ぐらいが市財政の役割だろう。緑町の「街中サロン」だってお祭りや盆踊りのときくらいなもので、普段の利用はほとんどない。シャッター通りと化した緑町商店街を市の予算で活性化できるわけもないだろう。13年間で5000人もの人口減少は若者の職が市内にないことで起きており、民間企業の経営力の問題であるから、市が財政支出でとめられるはずがない。
マチの衰退を口実にした公的部門の肥大化こそ止めなければならぬ、カットすべき予算はたくさんありそうだ。
ハコモノはきちんとやれば半額で済むところを、関係者がこぞって好い加減な仕事をして2倍もの予算を費やし市財政はどんどん苦しくなっている。
最初にツケを支払わされるのは市職員だ。給与3割カットという事態が近づいている。ほかに手はないだろう。市職員のみなさんたち、あなたたちも市政の暴走にストップをかけなければ被害はまもなく自身の生活に及ぶ。残り時間は少なくなっている。
でも、市長選挙に対立候補すらいない町では恣意的な市政運営にストップのかけようがないね。学力の高い人材が都会へ流出し続けた結果だから、現在も流出し続けているから30年後の根室市政も同じことを繰り返しかねない。
国の財政は急速に悪化しているから、いつ地方交付税交付金が半額になるか分からない。冬の時代の到来に備えはしておかねばならぬ。根室は寓話のキリギリスをいつまで演じるのだろう。
市財政の悪化で給与が3割カットになれば目を覚ます???それでいいのだろう。
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* #1958 チグハグ:13.7億円の病院事業赤字と新しい病院の名称募集 June 3, 2012
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-06-03
#1881 常勤医12名で赤字は15億円超に拡大か? Mar. 15, 2012
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-03-15-1
#1867 「根室に市議会はあるか?:市立根室病院の赤字脱却焦点」 Mar. 4, 2012
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-03-04-2
#1855 「一般会計2.4%増164億円(根室市予算案) :北海道道新聞根室地域版より」 Feb. 23, 2012
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-02-23
#1812 「インチキ公営企業会計基準廃止:民間基準の適用」 Jan. 23, 2012」
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-01-23-1#comments
#1799 「市立根室病院事業会計11.7億円の赤字:"広報ねむろ1月号"より」 Jan. 8, 2011
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-01-09
#1773 「膨らみ続ける市立根室病院赤字(北海道新聞より)」 Dec. 15, 2011
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2011-12-15
#1539 ランニングコストの低減と病院経営 :父よ許したまえ、彼らは・・・ Jun. 3, 2011
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2011-06-03
#859 「杞憂(5) 市立根室病院赤字2368万円の嘘」 Jan.10, 2010
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-01-10
悪政に口も挟まない住民も同罪。
公務員の事なかれ主義で根室は衰退した。
新病院も同じ。
住民の望む形から外れた病院に未来はない。
建物がかわっても人の意識が変わらなければ意味がない。
議員のサイトで建物図案とかみたが、病院運用を理解できていない人が設計したことがよくわかる。多分、導入されるシステムも同じことが起きているだろう。
市役所も病院も既に公務員では経営できない状態だ。
民間から経営の指導を受けた方がいいのではなのか?
by 相川始 (2012-11-27 08:14)
相川さん、おはようございます。
図面を見て
>病院運用を理解できていない人が設計したことがよくわかる。多分、導入されるシステムも同じことが起きているだろう。
このような判断ができるのは病院関係者でしょうかね。わたしも図面が公表されたときに見てあきれました。
建築仕様を決める前に、電子カルテを導入した実務フローが検討されていなければならないのに、公表された図面にはそういう実務設計がやられなかったことがありありとでていました。32個もある外来診察室です。
市議会がチェックすべきなのですが、チェックできる知識や経験のある市議が一人もいません。
>市役所も病院も既に公務員では経営できない状態だ。
民間から経営の指導を受けた方がいいのではなのか?
数年前に経営改善の部署を新設し、課長を一人配置しましたが、そのご経営改善は民間業者へ丸投げですが、新設された部署はそのままです。経営改善は進まないどころか、病院経営は毎年赤字を増やし続けています。
>住民の望む形から外れた病院に未来はない。
医療療養型病棟は病院職員がアンケートで何人も必要性を訴えていたのに無視でした。
>悪政に口も挟まない住民も同罪。
公務員の事なかれ主義で根室は衰退した。
過去形ではなく、いまも現在進行形です。根室のマチの旧弊は根深いところにあります。一部の不心得な公務員だけが誠実に仕事をしていないのではありません。マチの根っこに巣食っています。
旧弊を明るみに出し、それを潰すためにおいおい書き綴りたいと思います。
by ebisu (2012-11-27 10:24)
数か月前のある居酒屋での役所職員?病院職員?の会話。
(うろ覚えです)
A→数か月には新病院ができる。その際に人件費が
増えるがどうにかならないのか?
B→役所としては増やせないから、委託業者にお願い
する。
C→金額提示をゴネれば、委託業者は簡単に落とせる。
ゴネて駄目なら他の委託業者にする。
A→新病院の人件費増加は最低限に抑える必要があ
る。ただサービス低下しないようにすることが前提
である。
C→委託業者も病院と契約したいから、どんな条件でも
飲む。飲んでしまえば、こちらのもの。
委託業者に馬車馬のように働いてもらう。
B→委託業者の職員に悪いのでは?
C→おれたちは所詮管理する側で、委託業者が作業する
だけ。委託業者は捨て駒のようなものだから気にする
ことではない。
こんな会話があったことを思い出した。
by 相川始 (2012-12-01 09:15)
ありそうなはなしですね。
わたしは2年半ほど大手臨床検査会社の機器担当をしていたことがあります。年間30億円以上一人で機器や検査試薬の価格交渉をしていましたが、
>C→おれたちは所詮管理する側で、委託業者が作業する
だけ。委託業者は捨て駒のようなものだから気にする
ことではない。
こんなおろかなことはやりませんね。
「売り手よし、買い手よし、世間よしの三方よし」
これがベストです。
自分だけがいいなんて考えで業者と信頼関係が築けるはずがありません。
結局、高い買い物をさせられているんです。商売ですから、業者はそれらのコストを長い期間に回収していきます。あたりまえです、どうしてそんなことがわからないのか、思い上がるからです。
値段を徹底的に下げたいので、問屋や代理店ではなく、メーカと直接交渉することが多かったのですが、取引は従来どおり、問屋や代理店を通して納品させました。
直截メーカからおさめさせる手もありましたが、一度もそういうことはしませんでした。不便ですからね、問屋に在庫を抱えて要求どおり適時適切に納品してもらうためです。それぞれに役割分担があり、それに応じた利益を確保してやるのが、機器担当の私の役割でした。
仕事の基本がまるで分かっていない人たちがいるようですね。
だから、総事業費が2倍の70億円もかかってしまう。普段の買い物もずいぶん高いものを買わされているんでしょう。担当の職員が相場や発注の仕方、価格交渉のやり方を知らないだけです。
by ebisu (2012-12-01 10:33)