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#1336 北の勝の酒粕でつくる甘酒 Jan. 11, 2011 [86.酒と肴]

 北の勝の板粕をいただいたので、早速甘酒にして飲んだ。ほんのりと酒粕の香りが漂って品の良い甘酒だった。このところ寒いから、甘酒は体が温まってよい。
 粕は類字に「糟」、「滓」があるが、米偏に白の旁を充てたのは日本人の美的感覚で、この字は紛れもなく和製の漢字であるに違いない。「滓」の字でもなく「糟」の字でもしっくり来ない、米偏に白を充てて心の中に浮かんだものを言い表すしかなかったのだろう。
 酒粕のことを「モロハク」という言い方もあるようだが、こちらは味噌状の製品を指すようだ。たぶん、「諸白」と書くのだろう。この字にも美しさを感じる。美的感覚に秀で、なんと漢字の使い方のうまい民族よと自画自賛したくなる。

 北の勝には二種類の酒粕、板粕と諸白がある。諸白は醪を袋に詰めて「フネ」といわれる木製容器に入れ、長い棒の先に重石を載せて圧力をかけて絞る昔ながらの方法でできた酒粕を、しばらく「寝かせて(熟成させて)」から売りに出す。
 塩漬けして身が締まったシャケを粕漬けにするのに使うと品よく味の濃い焼き魚が食べられる。北の勝の諸白を使って、地元で獲れたシャケを粕漬けにして食す、こんなときにふるさとはいいとしみじみ思う。

 板粕は機械絞りでトコトン絞っているからアルコール分が少なく、すっきりした甘酒になるが、こってりした甘酒を飲みたいなら、昔ながらの木枠「フネ」で絞った酒粕がいい。
 わたしは諸白を砂糖と蜂蜜で練ってジャムの瓶に詰めてちょっとお酒を加えて冷蔵庫に保存している。お湯で薄めて電子レンジで1分チンすると、インスタント甘酒の出来上がり。
 あなたは板粕と諸白、どちらの甘酒が好みだろうか?

 北の勝の碓氷勝三郎商店では酒蔵を公開していないので、残念ながら蛇腹方式の機械絞り機を職員以外は見る機会がない。私は見たことのない重石を載せて絞る昔ながらのやりかたをこの目で見フナ口から滴り落ちるふくよかな香りに酔いしれてみたい。
 酒蔵を公開する酒造もあるが、雑菌などの問題があるから公開しないほうが酒造りにはいい。

 奥多摩の某有名酒蔵や山梨県のとある酒蔵を見学したことがある。奥多摩のほうは友人や同僚を誘って十数回訪れた。レストランや外にテーブルが設置してあって、お酒を飲みながら将棋を指して遊んだ。ここでは酒造りに使っている水で豆腐をつくって販売しているが、実にウマイ。それを肴に談笑しながら飲む。奥多摩の銘酒2社のうちの一つ、澤乃井である。
 酒蔵の中は発酵中のお酒の香りが濃く漂い、足を踏み入れた瞬間はそれだけで酔いそうになる。フナ口で受けた酒を試飲させてもらったことがあるが、その香りと味の素晴らしさはたとえようもない。日本酒の美味さはつくり方、絞り方によって千変万化、奥行きに際限がない。味や香りの幅が広いのである。こんな味の日本酒があるのか、こんな香りの日本酒があるのかと驚いたことが何度かあった。
 醸造酒として日本酒は世界一だ。それは原酒のアルコール度数にも現れている。日本酒酵母のアルコール産生能は世界一だ。杜氏と蔵が優れた酵母を育て保存してきた。
 パスツールが細菌を発見するよりも千年も前から杜氏や蔵人たちは日本酒酵母や乳酸発酵を知り尽くし、発酵過程を絶妙にコントロールしていたのだ。なにより(日本)酒は美味しく、(日本の)食文化に合う。

 さて、幻の酒「北の勝搾りたて」の発売日が近づいている。今年は何日の発売になるのだろう。例年通りなら1週間以内に発売されるのではないだろうか。数が少ないから1本手に入れるのがたいへんだ、小売店に行列ができる。いつ発売されるのか期待して待つ楽しみがあるから、何日に発売になるのかわからないところもいい。

 何事につけてもポリシーのハッキリした頑固な老舗である。もう創業120年だろうか。平成2年が創業百年だったと記憶する。創立135年の花咲小学校よりちょっと若い。
 百年記念で出した大吟醸酒「鳳凰」は実にいい出来映えだった。ナカミもだが、瓶の色合いがとても美しかった。半分飲んでから瓶を横倒しにしてみたら、瓶の中の酒が穏やかな日差しを受けてきらめく海のように見えた。色合いが気に入らず大阪の瓶メーカーに3度作り直してもらったという苦心の瓶だ。メーカ側もこれでダメならもうお断りしようというギリギリのところでできた瓶だという。栓も陶器でできた美しいものだった。粕という字に生きている日本人の美的感覚がほとばしり出たような一升瓶だった。いい酒にはいい衣装を着せたい、そういう気合がこもっていた。
 酒造メーカとしては規模が小さいが、121年目を迎えてなお妥協しない酒造りに徹する、わが町が誇りとする企業のひとつだ。


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