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杞憂:根室の地域医療の未来 #854 Jan.6 2010 [32. 市立根室病院建て替え]


 今日の道新に市立病院建て替えの(国土交通省)補助金追加6億円が決まりそうだというニュースが載っていた。これで18億円である。建築費等で「概算予算59億円」のうち、44億円の補助金を当てにしているという。まだ半分にもならない。
 市が招聘した病院コンサルタントは病院の年間売り上げの範囲内での建築を提案していたが、市長殿は建て替え予算を削るつもりがないらしい。

 さて、10年から20年後の根室市の医療の状況を考えてみよう。療養型病床75は3年前に隣保院が閉院してなくなった。老人医療としては江村病院に併設された特別養護老人ホームと江村病院(精神科)と共立病院(精神科)がある。後継者がいなければ、10~20年後には300ベッドがさらに失われる。そのときに根室の老人人口はビークになる。

 市立病院が現在地で建て替えられたら、敷地内に療養型病棟や特別養護老人ホームを併設する余地がない。民間の医療機関や特養がなくなれば、市がその機能を代替しなければならない筈だがまったく検討されていない。

 このままだと、20年後団塊世代の老人は入院する病院がなく、介護保険料や健康保険料を支払っても、入院施設がないという事態を迎えることになる。
 老老介護も片方が倒れれば、共倒れせざるをえないし、独居老人は特別養護老人ホームにも入れず、病院に入院できずに死んでゆく。何週間も経ってから死んでいるのが発見されるという「事件」が毎年何件も市内で起きることになるやも知れぬ。

 そのときになって、20年前の市長、市議、病院建て替え特別委のメンバーはなんてことをしてくれたのかとぼやいても始まらぬ。
 異議申し立てをするなら今のうちだ。病院が建ってしまったら後の祭りだ。

 いまベストと考えられるのは、成央小学校を花咲小学校へ統廃合して、その跡地に新病院を建てることだろう。敷地が広いし、交通のアクセスがよい。将来、特別養護老人ホームを同じ敷地内に作っても、廊下でつなぐことができるし、療養型病棟の増設も可能だ。どのような無理も押してやらねば後悔することになる。

 いまのうちに先を見据えて手を打っておけば何とかなるが、建ててしまったらアウトだ。根室で生まれ育った老人たち半数が他の地域の医療機関で古里を思いながらさみしく寿命を終え、残り半数のほとんどが市内に居住して入院もできずに孤独死を迎えることになるのか、それとも老人医療の核となりうる市立病院を創り上げることで未来の状況をチェンジすることになるのだろうか。根室市民はどういう選択をするのだろう。2010年はどのような未来を創るのか正念場になる。
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コメント 2

一市民

医療費搾り取られてまともな医療を受けられなければ、私どもは孤独死の道を選ぶしかなさそうです。
こんなに危機感を持っているのにebisuさんは、なぜ、じきじきに訴えようとしないのですか?
市立病院の診察の水準は市民が良く知っています。
しかし、新しくなれば良くなるのでは、と期待もしています。
いつか誰かが、裁かれる日が来るのでしょうか?
市長には重過ぎる責任です。
by 一市民 (2010-01-06 02:13) 

ebisu

根室も医療問題に関心を持つ市民が増えれば、いつか根室の医療がよくなると期待しています。
 同じカテゴリーの過去のブログにコメントへのお答えになりそうなものがいくつかありますが、もっともなご質問ですのであらためて次のブログで答えさせてください。
by ebisu (2010-01-06 12:52) 

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