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名優の死:森繁久弥  #798 Nov. 11, 2009 [B2. トピックス]

名優の死:森繁久弥  #798 Nov. 11, 2009
 昨日、名優がまた一人逝った。享年96。1939年NHKのアナウンサーに、満州放送局で終戦を迎えソ連に抑留され、日本に戻ってから俳優になる。
 映画社長漫遊記シリーズは数本見たような気がする。中学生のころだっただろう。競演した三木のり平や小林桂樹、加藤大介との相性も見事だった。「三等重役」も森繁だった。原作を読んだ記憶がある。著者はゲンジケイタだった。この映画の原作だったかどうかは知らないが、同名だったので記憶がある。
 話芸の巧さはNHKのアナウンサーという経歴も関係あるのだろうか。朗読や歌に個性的な味のある人だった。
 道東との関係で言えば、森繁作詞・作曲の「知床旅情」だろう。あの独特の味わいの節回しを何度も何度も聴いた人は多いだろう。戦後満州でソ連軍に抑留されたことをなくなった後で知ったが、大陸の広さや哀愁を感じさせる稀な歌い手でもあった。
 彼の歌には味わい深い独特の雰囲気が漂うのである。他の人にはまったく真似ができない。
 
 若い頃に喜劇をやった人は晩年になると人情味が溢れるいい役者に化ける人が多い。森繁翁をはじめとして、「てなもんや三度笠」で白木実と名コンビだった喜劇俳優藤田まことは「刑事人情派」や「仕置き人中村もんど」役で以前とは全然別の境地を見せたし、最近では「相棒」の水谷豊がそうだった。ショーケンの使い走り役でひょうきんでおどけた軽い役を若い頃は坦々とこなしていた。
 この三人は、若い頃に喜劇を演じた俳優が晩年に入ると味のある名優に化けるものだということを立証しているようにみえる。彼らが三人とも俳優としての素質が他に抜きん出ていたのか、喜劇を長く続けることが芸を磨く作用があるのか、その辺りは定かでない。観客を泣かせるよりも笑わせる方が芸が一枚上なのかもしれない。
 森繁翁に合掌。


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