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迷走する米国:ビッグスリーは救済できるか? [91.経済]

迷走する米国:ビッグスリーは救済できるか?
 
  11月の米新車販売台数が前年同月比で36%減だという。3日北海道新聞夕刊によれば、1982年10月以来26年1ヶ月ぶりの記録的な水準に落ち込んだとある。
 GMが41.2%、トヨタが33.9%減、フォードは29.7%減、クライスラーは47.1%減だった。
 民主党のペロシ下院議長は、ビッグスリーを破綻させる選択肢はないと言っているが、どうだろうか。

 政府が助けたとしても、市場は3分の2に縮小してしまっているので、40%の生産能力が不要となり、工場閉鎖を余儀なくされる。したがって、工場閉鎖による大量失業は避けられないし、川下に当たるディラーも潰れるところが多数でる。自動車ローンも販売台数に比例して縮小するのは目に見えている。

 サブプライムローンに端を発する金融危機で、高額所得層である金融関係に大量の失業者が出ている。不動産業や住宅ローン業界も深刻な打撃を受けている。こうして米国の消費需要が急激に縮小してしまった。
 オバマ政権の誕生によって順次イラクから米軍が撤退するので、イラクへ武装兵を派遣している民間軍事会社も仕事がなくなり業績が悪化する。ここでも万単位の失業がでる。
 20万人を超える失業をいずれかの産業分野で吸収する必要がある。戦争をすれば万単位の雇用が確保できるだろう。イラクは大量破壊兵器が存在しないと諜報活動で確信したから戦争を仕掛けた。北朝鮮は核兵器を保有していることが分かっているから戦争を仕掛けられない。とすれば、オバマにはアフガンという選択肢が残されている。イラクから引き揚げアフガニスタンへ米軍を投入するという選択肢だ。
 こういう諸々の事情をあわせ考えると、米国は当面は深刻な不況で、職が安定しない人が多くなるから、消費者は借金して車を買うのをためらうだろう。
 消費者が車を買わないのだから、ビッグスリーを救済したとして、来年度業績が回復するかというと、しない。経営は今年よりさらに深刻なものとなるのは確実である。
 救済資金は返済できないので、続けての資金投入は無理だ。救済は経営破綻の先延ばし、それも1年限りの先延ばしに過ぎない。ペロシは1年後になんと言い訳するのだろう。結局、市場が縮小し供給過剰だから、どこかが潰れざるを得ない。
 大量失業は必須である。それはビッグスリーが経営破たんするしないには関係がない。市場縮小によって40%の工場が不要となり、まもなく工場閉鎖で大量失業がでる。

 ペロシは愚かだ。政治にはできることとできないことがある。そのような判断すらつかない人物が下院議長だ。オバマは意見の合わないヒラリーを国務長官に指名してしまった。米国は迷走しそうである。

(日本も期間工のレイオフが始まった。自動車関連産業で大量の失業者がでる。販売会社の業績も急激に悪化するだろう。下請けも仕事量が半減し、対岸の火事ではすまない。根室からも自動車関連で出稼ぎに出ている人がいる、よって日本最東端のわが故郷も世界経済から無縁ではありえない。)

 2008年12月5日 ebisu-blog#428
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