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教育に競争は是か非か [57. 塾長の教育論]

             教育に競争は是か非か

 昨夜来、雨が降っている。少しやんで道路が乾き始めたと思うとまた降り始める。そんなことを二度繰り返した。雨はあがったようだが、サイクリングはできそうにない。
 高校野球が始まっている。甲子園で優勝できるのは全国で一校のみ。激烈な競争をへて頂点に立つチーム(学校)が決まる。
 中学校は中体連でやはり学校間の競争がある。柏陵中学校野球部は朝の9時から夕方5時まで練習に励む。光洋中学も小雨にも関わらず、日曜日の今日も練習していた。
 体育系の部活はこのように競争原理に基づく活動をしているが、文科系の部活にはこのような大会のあるものは少ない。合唱やブラスバンドの他に料理や珠算や簿記など技能を競うものがある。
 競争による技術向上や精神の練磨を否定する者はごく小数だろう。高校野球に歓声を送っている人たちを含めて、大多数の人は競争を肯定するのではないだろうか。

 さて、中学校では全国一斉の学力テストが毎年のように行われているが、わが根室も含めてデータすら公表されない。都会と田舎と、市街化区域と郡部とどれほどの差があるのか、光洋と柏陵と啓雲と歯舞、落石、厚床、海星でどれほどの差があるのか生徒も保護者も一切知らされない。市教育委員会にはデータがあるが公開を要求しても文科省の指示を盾に、拒絶される。
 どうしてそうなのだろうかと気にしていたら、7月11日の北海道新聞に鳥取県で学力テスト開示のニュースが載った。
「学校別や市町村別の結果を非開示とした鳥取県教委の決定を取り消すよう求めた県情報公開審議会の答申を受けて、中永広樹教育長は「東進は非常に重く、できるだけ尊重する」としており、15日の県教委で開示を決定する見通し。」

 教委がデータを開示するのは、全国初だそうである。非開示の理由として文科省は次のような理由を挙げている。
過度な競争や序列化を防ぐため文科省は市町村名や学校名を明らかにしないように各県教委に通知しており、鳥取県教委に「他県との関係もある。通知に従って実施してほしい」と求めたという。」

 文科省はどうして学力の競争を否定するのだろう。不可解である。たとえば国立大学への進学者数で公立高校は序列化されている。予備校の模試テストデータを見ればその学校の平均偏差値によって模試参加校の中でどのレベルかは科目別に一目瞭然である。
 もう一つ例を挙げよう。数学オリンピックは全世界の高校生を対象に行われている。優秀な高校生が全世界から集まり競い合う。これは教育の健全な姿だろう。
 競争のまったく存在しない教育を想定してみてほしい。それこそ異常な姿ではないだろうか。日本全国の同学年の中で自分がどのレベルにあるのかは偏差値によって正確に知ることができる。そしてそれをあげる事が次の目標になることが当たり前のことではないだろうか。
 たとえば、各校から5人ずつ選抜チームを出して全国コンクールを実施する。科目別コンクールと5科目総合の部があっていい。団体戦と個人戦の部に分けて全国の中学校が競い合う。甲子園で行われる全国野球大会よりもっとドキドキワクワクするのではないだろうか。団体5位の入賞チームのメンバーや個人30位までは希望の国立大への入学資格を付与すればよい。そうすれば優秀な生徒たちの一部が、受験勉強から開放されて興味の赴くままに専門分野の学習を深めることができる。全国レベルで優秀な人材を育成できる。
 生徒が学力を競い、先生たちが教え方を競い合うのは自然で健全な姿である

 根室の教育の発展を考えるなら、市教委は学校別学力テストデータを公表すべきだろう。データすら公表しないで何ができるのだろう。
 現在の学力を客観的に把握し、競い合い、相互に学力の向上を図るべきである。根室市内だけでなく、たとえば中標津と比べるとどうなのか?釧路と比べるとどうなのか?札幌と比べてどうなのだろうか?

 現実を見てみるがいい。根室の学力はこの数年、著しい低下を迎えている。中でもナンバーワンだった柏陵中学の凋落が著しい。小中学生の学力低下を反映して、根室高校の進学実績もこの数年著しく落ちつつある。こうした事実を前に口をつぐんでどうする。根室の経済は衰退の一途をたどっているが、教育はまだ何とかなる。学校教育や家庭教育のあり方次第で根室の子供たちの学力を飛躍的に向上させる余地はある。

 学校や市教委だけで対策を考えても、学力の低落に歯止めがかけられないことはデータが証明している。市教委はデータを公表し、対策について私塾も含めて市民と協議すべきである。教育は生徒のためのものであり、市民のものである。一緒にやろうや。
  2,008年8月3日   ebisu-blog#241 
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