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#4437 根室市庁舎建て替えパブリックコメント:担当者から説明を聞く Dec. 22, 2020 [26. 地域医療・経済・財政]

 12/22、予定時間通りに根室市役所から3名の方が説明に来られた。
 挨拶して、少し雑談をしてから本題に入りたかったので、それぞれの出身を訊きながら、自己紹介をして、持参してくれた5つの資料の説明を聴いた。
 パブコメとemailの質問事項だけでなく弊ブログを読んで、的確な資料を揃えてきてくれたので、話が簡単に済んだ。要点を書き留めておく。
 とっても楽しい対話でした。

(1) 面積が広くなった理由
 「資料2」が現庁舎と新庁舎の面積対比表になっている。現庁舎4912㎡が新庁舎6926㎡となり、2013㎡増える。+図分の内訳を大きい順にみると、通路の+592㎡、機械電気室の+481㎡、相談室・相談コーナー+127㎡、会議室+112㎡である。理由は分かりました。

(2) 単価が国土交通省新庁舎基準78.5万円/坪(23.8万円/㎡を坪換算、以後すべて単価は坪当たりで表示)の2.5倍の理由
 国交省基準78.5万円は躯体工事のみ。機械設備・電気工事などがほぼ躯体工事と同額加算される、いわば2段階積み上げ方式。合計の坪単価は181万円(50.5万円/㎡×3.3=)である。外断熱は通常建築費の1割だから、201万円/坪である。民間では10%増しだが、市役所新庁舎は20%ほどかかるらしい。もしそうなら、226万円/坪。資料が整理されていたので、仕組みはよくわかりました。

コメント:これは驚きでした。民間企業や国の研究機関では電気設備や機械設備、内装工事を含めて坪単価が80万円程度です。根室は僻地だから仮に首都圏の1.3倍かかったとしても、外断熱工事を除いて102万円/坪。民間の発注の場合と市庁舎の場合では単価が2倍、請け負う建築業者に発注額の半分が利益となりそうですね。
 これは根室に限ったことではありません、全道どこの市町村でもこういう2段階積み上げ方式で発注単価が決められ、契約がなされています。全道だけでなく全国の市町村が同じ手順で工事発注がなされているのでしょう。根室だけが例外ではないということ。あきらめるしかなさそうです。
 根室市役所の3人の担当の方に言っても詮のないことでした。手順に従ってちゃんと仕事しただけです。この国の公的部門の建設発注の仕組みは法外です。わたしは2000年に300床弱の首都圏の特例許可老人病院を療養型適合の病棟に建て替えたことがありますが、外断熱仕様で坪単価65万円でした。わたしが常務理事としてその病院へ赴任するまでゼネコンF社とネゴ、坪単価100万円になっていました。交渉を打ち切ってもらい、知人(東大出の一級建築士の方)がいる新日鉄のゼネコン部隊へ発注しました。坪単価には躯体工事だけでなく電気工事や設備工事一切を含んでいました。藤原根室市長に頼まれて当時の総合政策部長と病院側の担当課長へ私が担当した病院の「建て替え開発申請資料」の写しを手渡して説明しました。そのときに、道庁から出向していた部長さんと課長さんから「道の基準では坪単価130万円」と聞きました。なるほどこういうカラクリだったのかという思いです。これでは坪単価は倍になり、工事費も2倍になるわけです。

(3) 25年後の新庁舎で働く職員数については担当部門が計算できないとの回答あり。
 令和6年に新庁舎が竣工したときに299人ですから、25年後に人口が半分になれば、職員数はおよそ150人。アロウワンスをみて200人と仮定すれば、適正面積は計算できます。25年後200人なら、それに向かって長期計画を作って段階的に減少させればいいだけ。30年後のビジョンを作成し、それを実現するために長期戦略を練ればいいだけで、何も難しいことはありません。上場企業では普通にやっています。市民参加でビジョンづくりをすればいい。長期戦略策定は市役所総合政策部の仕事です。
 これはわたしの意見ですが、ビジョンづくりや目標達成のための長期戦略策定は総合政策部の核心的業務です。それをきちんとやりおおせていたら、「根室市新庁舎建設基本計画」はなかったでしょう。北斗小学校を12億円程度でリフォームする案に変わっていたと思います。
 職員300名というい規模は中企業に該当します。市民を巻き込んだビジョンづくりと総合政策部による長期戦略策定をやってください。そんなにハードル高くありません。

(4) 氷見市の高校リフォームによる新庁舎建設(11億円)について
 賞をもらって、全国的に有名になって、市庁舎建て替えを予定している自治体から2017年度だけで2000名を超える見学調査があったそうですが、新庁舎建替え担当部門ではどなたも見学していませんでした。市議が会派として数名見学したかもしれないと聞いきましたが、市議会だよりには何も報告が載っていません。わたしが見落としたのかもしれませんね。でも、見学したなら報告書ぐらいは提出すべきだと思います、新庁舎建て替えを担当している3名が知らないのだから報告書はないのでしょう。見学に行って報告書がないなら、お粗末すぎます。確かな話ではないから、担当者の方が聞き違えたと思いたい。

(5) 市民へのアンケートのときは現庁舎の面積約50004912㎡*50.5万円=24.825.2億円で了解をとって、実際には25002014㎡増えて75006926㎡×50.5=37.834.9億円で基本計画案をまとめた。外断熱がいくらかかるかわからないが1割としたら、4238.8億円です。2割なら4743.7億円。リフォーム案と建て替え案を比べたときとは金額がまるっきり違っているので、アンケートを取り直す必要があると思います。わたしは正直で誠実な市政を望んでいるだけ。
 氷見市にも調査に行っていません。だからリフォーム案も作り直すべき。それでリフォーム案と建て替え案を比べて、市民アンケートをとるのがまともな市政のやり方。いまのままでは「詐欺同然」というのがわたしの意見。この点については市側は見直すつもりがないようですから、市政への不信の種になるでしょう。

*いただいた「資料2」の数字を使って計算し直しました。内訳資料を見ると単価計算には7000㎡と限のよい数字を使っています。(23日朝9時)

 市立病院建て替えのときに、市民説明会が一度だけ開かれましたが、当時の長谷川助役が、3つもおおきな嘘をついていました。嘘が何かは青字をクリックしたらわかります。一つは道新が追跡取材して嘘を暴いてくれました。懲りたのか長谷川姿勢を受け継いだ石垣市政は市民説明会を一切開きません。市民に背を向けた市政を続けています。わたしは悪夢を2度続けてみている思いがしています。


 市庁舎建て替えでは市民説明会を3回開いて丁寧に説明すべきでしたが、それが一度もなされないので、こういうことになっています。3回開いていれば、わたしはブログで採り上げる必要がありませんでした。次回からは市民説明会を開催して、丁寧な説明を心がけてもらいたい。3回開く必要性については、3人の担当の方に説明申し上げました。

 質問事項はemailで送ったもののほかに、弊ブログに書いたものもありましたが、資料を揃えて説明に来てくれました。小一時間ほど雑談を交えながら、話が聞けました。誠意ある3名の対応に感謝申し上げます。市役所にはいい職員がいますね。

【注】コスト低減を目指してこれからさらに詳細な仕様の詰めが担当部門によって行われるそうですから、ここに挙げた金額は動きます。やりうる範囲で誠実な検討をしてくれることを期待しています。

<余談:1>
 心配事がひとつあります。市立病院建て替えのときは「総合評価方式」で2番札だったJVに落札しました。急遽幹部会を開き、「除雪に協力している」という理由で2番札のJVに落札。こんな屁理屈どなたがひねり出したのでしょう、あまりお粗末なので笑ってしまいました。
 これが今回も適用されると、落札企業は事前に決っているも同然です。市立病院のときにJVを作って入札に参加し、一番安い札を入れた企業は今回は入札に参加しないでしょうね。
 ズルをすればこういう副作用が起きます。だから、仕事はすべからく正直にやるべきなのです。

<余談:2>
 民間と官公庁は建設に関して、仕事の進め方に大きな違いのあることが分かりました。2段階で天井知らずの積み上げ方式、こういう仕組みで仕事をしたら、誰がやってもコストは民間の2倍かかります。ここで紹介したやり方が新庁舎を建設する際の標準作業手順なのですから。
 別の典型的な事例を一つ挙げます。病院事業で一般会計からの繰入金17億円を医業収益として計上するのに似ています。企業会計原則では営業収益ではない項目を営業収益区分に表示したら、明白な粉飾決算ですが、公的会計基準ではそれが標準手続きです。企業会計原則では特別利益区分への表示になりますから、簿記1級をもっている根室高校生にも理解できないものです。企業会計原則に従って、組み替えられた損益計算書を公表すべきですが、ひょっとしたら市役所の財政課の職員は企業会計原則を知らないかもしれません。財政課を担当していたら、日商簿記1級くらいは取得してもらいたい。そうすると市民へのアナウンスの仕方が変わります。
 市役所のやり方と民間企業では、大きな違いがあります、だから市民へ丁寧に説明する必要があるのです。新庁舎建設担当部門のメンバーには当たり前の標準作業手続きが民間企業のそれとまったくことなるからです。丁寧に市民へ説明しないと、わかるわけがありません。
 市役所でずっと働いていると、市役所のやりかたが世間でやっているやり方だと勘違いが起きるようです。だから説明をしなくなる。民間企業のやり方に関心すらい抱かない。そういう点から見ると、市役所の職員だったものが市長になるのは最悪です。自分たちのやってきた作業手順があたりまえに思えて、市民へ説明すらしなくなるようです。現に、新庁舎建設に関する市民説明会が一度も開催されませんでした。これでは市民が市政に参加することなど、できはしません。そういう扉を市政が閉じてしまっているのですから。
 3人の方の説明で彼我の違いがよくわかりました。こういうコミュニケーションが市政と市民の間でとっても重要だということがよくわかりました。

*いただいた資料は#4438へアップします。「新庁舎市民説明会」に参加したつもりで、ご覧ください


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