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#4133 バラ色の人口減少社会:土地と家は資産ではなく負債だという感覚 Nov. 27, 2019 [19. 人口減少に関わる問題]

 団塊世代は70歳、終活を始めた人もボチボチいるのではないでしょうか。
 問題になるのは家とお墓です。学力問題で繰り返し取り上げていますが、根室から高校を卒業すると7割が進学して戻ってきません。都会で勉強してそのままそこで職をえます。職を得て年頃になれば、伴侶ができ、子どもが生まれ、ローンを組んで家を買う。
 両親の住む田舎の家は、都会の子どもから見たら、親が死んだあと処分に手間のかかる「負債」です、利用価値がないから資産ではないのです。
 不動産の処分は厄介です。住んでいなくても毎年数万円の固定資産税がかかる。放っておいたらすぐに住宅は痛み出し、取り壊さないといけなくなります。登記変更も必要になるでしょうし、取り壊しは材料別に分別解体が義務付けられていますから200-300万円かかる。そして処分しようにも値段がついて売れるかどうかもわからない。放置される住宅も増えます。廃屋となって台風などで屋根のトタンや木材が飛び散ります。とっても危険ですから、各自治体で取り壊さないといけなくなります。所有権の移転を条件にやらないといけませんから、法の整備が必要です。この問題は厄介度が大きい。

 都会に住む子どもたちにとって、両親が所有している田舎の家はまことにやっかいな「負債」なのです。お墓と家の処分、頭の痛い問題ですね。ああ、仏壇もありました。オヤジが亡くなった平成5年に、仏具店でずらっと並んだ中から、一つが目に止まりました。幼い時から遊んだビリヤード台と同じ材料のものがあったのです。黒檀の仏壇です。ちょうど仏間の仏壇用のスペースにきっちり収まるサイズでした。これはいずれ処分しないといけません。お寺さんと相談ですね。そのまま捨てるわけには行きませんから。位牌も同じこと。やっかいです。仏壇は小さなものにしておけばよかったと、いま思います。
 おれやこれやで、きれいに終活するには500万円ほどかかるというのが現実ではないかと思います。

 たくさんの家が取り壊さざるを得なくなるでしょうが、プラスのこともありそうです。最近の住宅は材料が集成材が多いので、使いまわしができないかもしれません。好い材料を使っている古い家は上手に解体すれば、廃材ビジネスが成立します。コンクリート建物はどうしようもありません。取り壊しの機械も手間も違う、コストが大きい。取り壊しを考えたら、木造住宅がベストです。

 北海道だけでも、これから30年間で百万を超える家が「処分」対象になるでしょう。運よく若い人たちに譲渡できたら幸いです。ほとんどの家が取り壊し処分されるでしょうね。全国ではどれほどの数になりますか、こういう事情を考えると、首都圏のオフィスビルを例外として、一般住宅の不動産価格なんてこれからは下落の一途ではないでしょうか。
 でも、一生懸命に働き、結婚して家を買って、ローンが終わるころには終活、なんて情けない一生はこれからはなくなりそうですから、それはそれで喜ばしい。中古住宅を数百万円で手に入れて、五百万円ほどかけてリフォームしたらいい。一生働いて住宅一つを手に入れただけなんて人生は姿を消します。

 人口が減ったら、自分の食べる野菜や果物の一部は自家菜園でまかなうことが普通の生活になるかもしれません。経済成長を目標にしなければ、所得はそこそこで、週休3日が普通の勤務スタイルにできます。土日ともう一日の休みの日は、家の菜園で畑仕事を楽しむ、根室なら釣りに出かけてもいい。釣り場へのアクセスは電動自転車で十分です。生活は質素、でも一杯楽しめます。
 ビジネスチャンスです、住宅跡地を畑に戻す事業が雨後のタケノコのようにニョキニョキでてくるかもしれません。家庭菜園関連も、気候風土の違いで、さまざまなビジネスが全国各地で立ち上がるでしょう。

 水害の危険のあるような地域には家を建てなくてもよくなります。水害はあっても被害に遭う家がなくなれば、問題はなくなります。津波が襲っても、人口が少なければ、避難道路の混雑もそれほどではなくなり高台までなんとか逃げられるでしょう。高台のない地域では鉄筋コンクリートの避難所を造ればいい。人口がすくなければ避難する人も少なくなります。刑務所の塀のような丈の高いコンクリート堤防で海が見えないなんて無粋なことはやめましょう。子どもたちが海へアクセスができなくなります。浜辺や岩場という遊び場を奪うことになります。いったん作ってしまったら、取り壊すのにたいへんです。百年もたてば潮風に晒されたコンクリートは罅割れをおこし中にある鉄筋も腐ってどうしようもなくなりますから、震災後の瓦礫を海から100mくらいのところに積み上げて堤防とするのがいいのでしょう。植物生態学者宮脇昭翁の主張するように、そこを雑木林にしたらいい。森の堤防です。これなら、50年もすれば市民が集える雑木林の堤防となります。太平洋沿岸に緑の防潮堤を築けば警官がよくなるだけでなく、生態系上も効果が期待できます。
*森の堤防の提案:一般社団法人森の防潮堤協会
http://morinobouchoutei.com/?page_id=62/

 急激な高齢化と人口縮小が同時に侵攻する日本で、経済成長なんてありえないものを追い求めるのではなく、人口減少と経済縮小という前提で豊かな社会、生活をデザインすれば、未来はバラ色にできます。

<余談>
 わたしは52歳でふるさと根室に戻ってきたので、家が東京にもあります。家と車で東京の住宅の維持に年間50万円ほどかかっています。管理組合費、駐車場料金、車検、車両保険、固定資産税、水道光熱費などです。
 女房殿は4回、わたしは最近は年に2度東京へ行ってますから、別荘のようなものです。「ココリア多摩センター丸善」、ワンフロアでは日本一大きな本屋を回るのがわたしには楽しみです。車で10分ほどで行けます。いつまで、そんな「プチ贅沢」をしていられるか、戻ってきてから17年、お袋が亡くなって8年、なかなか決断できません。食材は根室がダントツにいい、新鮮な魚介類がリーズナブルな価格で手に入ります。マツブ、秋刀魚、オヒョウ、鮭、ホタテ、北寄貝、チカ、ワカサギ、コマイ、品の好い味の湾中の牡蠣、カジカの三平汁、オヒョウのアラ汁、蟹の鉄砲汁、魚貝類だけではありません、別海の牛乳もおいしい。毎日、別海牛乳でヨーグルトを作って食べてます。
 さて、わたしはふるさと根室で死ねるのかどうか、未来は分からないでいいじゃありませんか。とにかく、30年をかけて団塊世代は日本列島から消えていきます。ケセラセラ。
 あ、18歳で根室高校を卒業するまで根室生まれの根室育ち、そこから35年間東京暮らし、ふるさとに戻ってきてから17年ですから、東京と根室がちょうど35年ずつになりました。
 生徒を教えられる体力があることに感謝です。



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アフリカのサラリーマン

「根室新聞」が3月末で休刊 記者確保困難、74年余の歴史に幕

by アフリカのサラリーマン (2021-02-26 11:50) 

ebisu

アフリカのサラリーマン
編集長とはお話したことがありますが、ほとんどの記事は彼が書いていたのではないかと思います。
そろそろ定年退職だったのかな。

根室新聞には昭和30年代に歯科医の福井先生が時代小説と現代小説を連載しておられました。昭和36年ころに根室新聞は連載小説のお礼に乗用車をプレゼントしてました。福井先生大事に乗っていました。いま歯科医をなさっているのは息子さんです。三代目ですね。
by ebisu (2021-02-26 12:20) 

アフリカのサラリーマン

詳細はこちらのURLで
https://mainichi.jp/articles/20210225/k00/00m/040/302000c

根室新聞社のみなさま、74年余ご苦労様
電子版のみで良いので継続してほしいところです
by アフリカのサラリーマン (2021-02-26 14:07) 

ebisu

ありがとうございます。

記者が3人いたのですか、残念です。
唯一の地元紙がなくなります。

新聞読む人が激減してますからね。

北海道新聞はもう60年ほど定期購読していますが、根室支局はいつまであるのか心配になります。2002年秋に古里に戻ってきたときには、1万部を少し超えてました。おそらく7000部前後にまで落ちているのだろうと思います。
新聞の取材は市政にとっても大事な牽制機能を果たしています。
根室新聞のみなさん、ご苦労様でした。
道新根室支局のみなさん頑張ってください。ささやかながら、定期購読を続けることで応援します。
by ebisu (2021-02-26 14:40) 

ebisu

根室新聞社には、根室市の貴重な記録が多数残っているはずです。
市役所で資料の保管を働きかけてください。
失われる前に手を打ってほしいと思います。

by ebisu (2021-02-26 14:43) 

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