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#3877 個別指導の実際:英語 生徒の疑問 Dec. 9, 2018 [62-1 個別指導の実際]

 今朝(12/9)の最低気温は-7.2度だった、もちろん今冬一番の寒さだ。二日連続でやった雪かき作業は完了、いい運動になった。観光バスが家の前にとまってバス停のために除雪したところから乗客を降ろす。しばらくすると東根室駅まで歩いて行って写真を撮って戻ってくる。観光バス会社やツアー客のみなさんも、かまわないからどんどん利用してください(笑)

 ニムオロ塾は一クラス7人までの個別指導、生徒の学力に応じた指導を心がけている。学力だけでなく性格や思考タイプも多少は考慮する。生徒が本来もっているものがあるので、そこになるべく手は入れない。伸びる力は生徒自身の中にある。
 前置きはこれぐらいにして、本題に入ろう。
 学力の高い高校1年生に9月から、高校2年生の英語の教科書「VividⅡ」を使って読解トレーニングをしているのでやりかたの説明から始めたい。そのあとで具体的な事例を紹介する。
 「ノートA」に左側に英文を視写して、右側のページに和訳を書かせている。試写するときに1行ごとに空欄をつくってもらう。ときどき重要単語のマーキングや意味の書き込み、読みにくい単語に仮名を振る、連語にマーキングする、SVOCを記入する、修飾語に波線を引く、識別番号を付番するなど、必要に応じて書き込むための余白を確保したいからである。「ノートB」も用意させている、構文や文法や単語解説が書き切れないことがあるからそのための補助ノート。「ノートA」に識別番号をつけて、それに対応する番号を「ノートB]にもつける。相互参照できるようにしておく。
 英文和訳なんて古臭いと思うだろう、その通りである。福沢諭吉「適塾・英語指導方式」と似ているからうんと古臭い。『福翁自伝』を読んでもらえば福沢がやったオランダ語と英語の指導法がわかる。
 英文が読めているかどうかをどのような方法でチェックしたらいいかという問題があるが、書かれた訳文を見たら一目瞭然である。自分で訳文を書いてみないとあやふやな部分が明確にならぬ。だから、訳文を書かせて読解力の向上度合をチェックする。こなれた日本語の文にするには作文能力も要求される。英語の単語をそのまま日本語にして並べても、日本語の文章にはならない。辞書に載っている言葉では適切な日本語にならない場合が結構な頻度で出てくる。自分の語彙の中から最も適切と思える言葉を選んで文章にしてみる。こうして脳内のイメージをノートに対象化することで、読解力がはっきりあらわれる。
 書き手は脳内のイメージを言葉に紡ぎだすから、読み手がそれを自分の脳に正確に再現できてはじめてその文章を理解できたと言える。発信されたイメージと受像したそれが著しく異なっていたら、書き手の書き方がまずいか、読み手の誤解のいずれかである。

 具体例で示したほうが早い。Lesson 10 に小惑星探査機はやぶさの話が載っている、そのPart-3の最後の段落部分の意味がわからないと、質問があった。書きかけの訳文をみたがなるほど頓珍漢、数回書き直してみたようだ。自分でどの英文が理解できていないかわかっているだけでも、普通の学力レベルの大学生よりはましかもしれぬ。この生徒は、独力で英文和訳をやって、おかしいと思う箇所だけを質問する、それでいい。がんがん自分で読んで、理解したことを日本語作文してみたら腕が上がる。(会話文の音読トレーニングは、家でやったらいい。それはそれでやるべし)

 Only three months before Hayabusa's returen, three of the four ion engines stopped. The probe didn't have enough power! It seemed to be unable to return to Earth. The members solved this problem again. Hayabusa had the good parts of each ion engine combined, and it could keep going.

 この段落の最後の文が問題だった。
 はやぶさは2003年5月に打ち上げられた小惑星探査機(probe)である。標的の小惑星は「いとかわ」、2007年に地球へ戻ってきて大騒ぎになったから記憶している人も少なくないだろう。しかし、高校1年生にとっては4歳か5歳の時の話だから知っているわけがない。
 数々の故障を乗り越えて標的である小惑星からサンプルを採取して地球へ帰還した物語は感動的である。技術者がお利口だった。不測の事態を予測して特別な仕掛けをしておいたのである。 そういう周辺知識があれば意味をつかむのたすけになる。

  Hayabusa had the good parts of each ion engine combined,
 
 生徒はこの部分が何を言っているのかわからないという。細かくいうとhadとtheとpartsとcombinedのところで混乱していた。「had ... combined」だと思い込んでしまったことが混乱の第一歩。はて、ドイツ語は教えた覚えがないのだが…、そこに思考の焦点があってしまうともうほかのところが見えなくなる、ダメなときは頭の中の黒板の文字を消すように、考えていることを消してみたらいい。どうやってやるのかって?慣れたらできるようになる。集中よりもそれを解除するのは難しい技だが、これを習得できたら脳の使い方が違うから、たいていの問題はなくなる。先入見を外して文章を読むことができる。数学の問題でも同じ脳の使い方ができる。こういう脳の使い方に習熟すると学力は飛躍的にあがる。
 息をゆっくり吐き切ることに意識をおいて数回呼吸すればいい、そうすれば消せるようになる。それでだめなときには、翌朝もう一度見たらいい、この場合は消すのではなくて、リラックスすることで「消える」のです、焦点がどこにもあっていない状態といえばわかるかな、そうだよ、ぼーっとしているときの状態。「集中」と「ぼーっとしている」状態を、意識して切り換えるトレーニングをしてみたらいい。間をつないでいるのは呼吸だよ。呼吸に意識を集中することで切り換えることができるようになる。だれかと議論しているときにも試してみたらいい。

 この文章はとっても簡単で、骨格は、次の二つだけ。

 Hayabusa had the good parts.(やはぶさには故障していない部品があった)
 The good parts of each ion engine [was] combined. (各イオンエンジンの故障していない部品)はつながっていた)

 こうして simple sentences に分解すれば中学生でもわかる。parts 以下は parts の説明をしているだけ。 combined は前にある名詞の ion engine の説明にすぎない。後に続くものは前のものの補足説明である。たくさん読めばそういうことが自然にわかってくる。意味がとりやすいようにスラッシュを入れてみる。

   Hayabusa had the good parts /of each ion engine/ combined,

 こうは読んだが、この文は二通りの読み方ができる。
   1.the good parts of each ion engine [was] combined,
   2.each ion engine [was] combined,

 つながっているのは4基のイオンエンジンの故障していない部品なのか、4基のイオンエンジンそのものなのかということ。わたしは「1.」で読んだ。大した違いはないので、ここではどちらでもいい。
 細かいことを言うと、 the parts は定冠詞がついていて複数だから、はやぶさのイオンエンジンの数ある部品の内の生きている部品、つまり故障していない部品を指している。そしてこれらの部品をつないでいるものを遠隔操作することで、止まっているエンジンの内の一つを動かす。abcdの四つのイオンエンジンのaが生きているとして、bとcの故障していない部品をdのエンジンにつなぐというようなことをやったのだろう。四基のイオンエンジンがどのようにつながれているのかには本文には言及がない。専門的ない合いようだから端折ったと思われる。
 この段落で書き手が伝えたいことは、帰還の3か月前に「はやぶさ」のイオンエンジン4基の内3基が故障し、推力不足で地球へ帰還できない事態が発生した、なんとしても故障したイオンエンジンの一つは動かさなければならないのだが、それを3人の技術者が解決した。故障していない部品を何かを経由して使うことで停止していた1基のエンジンを稼働させ、2基のイオンエンジンの推力ではやぶさ帰還を成功に導いたということ。
 「4基のイオンエンジンをつなぐ回路が組み込まれており、3基のイオン・エンジンの故障していない部品を組み合わせて1基動かしたのである。だから and it could keep going(飛び続けることができるようになった)。この段落の文意はそういうこと。」
 「この文章だけから解釈できるのはそういうことだが、的を外していたらいけないから確認してみたら?」
 「…」
 「スマホではやぶさを検索してどうやって帰還したのか調べてごらん?」
 「やってみます」

 すぐに調べて、「わかった、そういうことだったんだ」と納得していた。こういう時にスマホは便利がよい。検索キーをインプットしてすぐに必要な情報をみつけて読んでいた。
 4基のエンジンをつなぐクロス回路があって、1基のエンジンに他のエンジンの回路をつなげて動かしたのである。2基のエンジンが動けば、地球へ帰還する推力が確保できる。しかし、推力は当初予定よりも小さくなるので飛行時間がかかることになる。
 英文を読んで理解したとして、それが正鵠を射たものであるかどうかをネットで調べて確認するというスキルも身につけてほしいと思う。大学生になってからも、社会人になってからも不可欠なスキルである。こういう指導は、マンツーマンでなければでなかなかむずかしい。教師には学習上の相談に乗って、生徒自身の能力やスキルを伸ばすというメンターの役割もある。

 ほかには問題がなかったのか念のために訊いてみたら、もう一つ疑問があった、この段落の冒頭の文である。
 Only three months before Hayabusa's returen, three of the four ion engines stopped.

 生徒はこの段落の冒頭の句が意味不明だといった。英文を読みながら、時間軸上に様々な事実が出てくる都度、正確に事実を並べなければならない。この句は4基のイオンエンジンの内3基がその機能を停止したのがいつなのかを説明しているのだが、それは「はやぶさの帰還のわずか3か月前」と書いてある。これをライターがこの文を書いている3か月前と理解して、なんだかわけがわからないといっていた。解釈が外れているから脈絡が頓珍漢になる。2003年5月の打ち上げから、2007年の回収予定まで4年間のスケジュールの最後の3か月に生じたのである。論理的に文を読むことに慣れないといけない。たくさん読むうちに、時間に関する情報を頭の中で整理しながら読めるようになる。

 ウィキペディアの説明を転載する。
*https://ja.wikipedia.org/wiki/はやぶさ_(探査機)
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はやぶさは2003年5月に内之浦宇宙空間観測所よりM-Vロケット5号機で打ち上げられ、太陽周回軌道(他の惑星と同様に太陽を公転する軌道)に投入された。その後、搭載する電気推進イオンエンジン)で加速し、2004年5月にイオンエンジンを併用した地球スイングバイを行って、2005年9月には小惑星「イトカワ」とランデブーした。 約5か月の小惑星付近滞在中、カメラやレーダーなどによる科学観測を行った[注釈 2]。次に探査機本体が自律制御により降下・接地して、小惑星表面の試験片を採集することになっていた。 その後、地球への帰還軌道に乗り、2007年夏に試料カプセルの大気圏再突入操作を行ってパラシュートで降下させる計画であったが、降下・接地時の問題に起因する不具合から2005年12月に重大なトラブル[注釈 3]が生じたことにより、帰還は2010年に延期された。 2010年6月13日、サンプル容器が収められていたカプセルは、はやぶさから切り離されて、パラシュートによって南オーストラリアのウーメラ砂漠に着陸し、翌14日16時8分に回収された[4]。はやぶさの本体は大気中で燃えて失われた。 カプセルは18日に日本に到着し、内容物の調査が進められ、11月16日にカプセル内から回収された岩石質微粒子の大半がイトカワのものと判断したと発表された[5][注釈 4][注釈 5]
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 高校2年生の教科書だから、文は平易に書かれており、使われる単語も基本単語に限定されている。高校3年生の教科書を読んでも語彙力の飛躍的な拡張は望めない。基本単語で書かれているからだ。
 英字新聞なら、ライターは科学の専門家だから、クロス回路の解説がかならず書かれるだろうし、イオンエンジンの仕組みも詳しい解説が載る。使用語彙も範囲がはるかに広くなる。

 ネット検索で調べてみたら、古いデータだが、根室高校が使っている第一学習社の「Vivid」シリーズは3冊で使用語彙数1917語下記論文p.74参照である。ちなみに英英辞典のLongmanは2200語の語彙数で各項目が定義されている。高校英語に比べると英字新聞で使われる語彙数は圧倒的に多い、掲載記事の各分野の専門家が執筆するから出てくる語彙数は数万ある。
*高等学校英語教科書の語彙 2007年
http://www5d.biglobe.ne.jp/~chujo/data/Koukoutext.pdf

  この高1の生徒は12月中に2年生の教科書を読み終わり、正月から3年生の同じシリーズの教科書をやるスケジュールだ。予定通りやりきるだろう。4か月で高3の教科書を同じ方式でやるつもりだ。語彙が多少増えるだけだから問題なしだろう。
 英文を読んでつくりあげたイメージを適切な日本語語彙を選んで文章にする、こなれた日本語に「作文」させる。電子辞書を引いて訳語を並べても「日本語の文」にはならない、最近はずいぶんこなれた日本語が書けるようになってきた。
 英文を理解しているかどうかは、英文和訳した日本語の文を見ないと判定がつかない。読みの深さも書かれた日本語の文にはっきりでる。こうして精読ができるようになれば、あたまから英文を速読するトレーニングへ移行できる。いい加減な読みで速読訓練したって、文章のレベルがあがればとたんに読めなくなる。
 高校3年生用の教科書が終わったら、1000-2000語レベルの簡単な読み物を利用した速読トレーニングと語彙数を増やすためにジャパンタイムズ紙の精読トレーニングを併行してやる。大学院入試でも通用する英語読解力をものにすることが目標である。すべての生徒がこういうわけにはいかない。それぞれの生徒の学力に応じた指導になる。同じものを使っても解説は違ったものになる。

 この生徒は英文を日本語の文に置き換える作業を通して、日本語語彙が多くないとこなれた訳文にならないことを痛感している。ときどき「大和言葉落とし」を命ずることがある。辞書の訳語にとらわれず、なめらかな日本語にするのは、なれるまでは脳みそを絞り出すように和訳を推敲しなければならない。
 中学時代は定期テストでも学力テストでも英語が100点のことはなかったが、高校生になって今回の定期テストでは英語が2科目とも100点である。だが、進研模試の英語は語彙数と読解速度が追い付いていない。半年先にはセンターレベルの問題量と難易度なら9割以上の得点になるだろう。しかし、そんなところが目標ではない。
 この生徒は10月下旬に初めて漢字検定を受験、いきなり2級である。ハードルは高いが、良書12冊をとりあげて五年間音読トレーニングしたから、読める語彙はとっくに2級レベルと判断した。あとは書けるかどうかだった。2級用漢字検定問題集を2回やるように指示しただけ。一月でやり切り、178点で合格している。根室高校全学年で今回5名が2級合格したという。こんなに多いのは珍しいらしい。11月3日の進研模試では数学の全国偏差値が85を超えた。生活時間の使い方がとっても上手になったところが中学生の時とはっきり違う。

*小惑星探査機「はやぶさ」イオンエンジンの仕組みについては下記のURLをクリックしてごらんください。
http://cosmolibrary.com/宇宙探査/イオンエンジン/ 

 イオンエンジンが出てこない場合は「サイト内検索」のボックスに「イオンエンジン」と入力してください。



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