#3683 指数方程式の問題:HP-35sと描画ソフトGRAPESの利用 Jan. 24, 2018 [52. 数学]
指数方程式の問題を解いた後で、指数関数に置き換えたらどういうグラフになるのか、プログラマブル科学技術用計算機HP-35sと描画ソフトGRAPES(フリーソフト)を利用してみたい。要点を押さえた的確なグラフイメージを描くトレーニングである、複雑な指数関数グラフは参考書にもあまり載っていないので、フリーソフトを使ってやってみようというわけ。
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aを定数とする。xの方程式 4^(x+1)-2^(x+4)+5a+6=0 が異なる2つの正の解もつようなaの値の範囲を求めよ。『青チャート数Ⅱ』例題183
2^x=tとおくと、方程式は4t^2-16t+5a+6=0.....①
①の右辺をf(t)とし、①の判別式をDとすると
x>0のときt>1だから、求める条件は、2次方程式①がt>1の範囲に異なる実数解をもつことである。
D/4=(-8)^2-4(5a-6)=-20a+40>0
f(1)=5a-6>0
この連立方程式を解いて 6/5<a<2
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HP-35sを使って、等式 4^(x+1)-2^(x+4)+5a+6=0 を入力するとxとaが計算できる。"solve x"と入力すれば、aの値の入力が促され、入力された値に対応するxの値が計算される。aを計算したければ"solve a"と入力すればよい。答えの表示モードは固定小数点表示、science、engineeringの3タイプのいずれかを選び、桁数を指定してやればよい。
x=0のとき、a=6/5...②
X=1のとき、a=2...③
の"a=6/5"を①に代入すると、
4^(x+1)-2^(x+4)+5×(6/5)+6=0
この左辺をxの関数と考えると
y= 4^(x+1)-2^(x+4)+12...④
この式をコピペしてGRAPESへ入力すると、「capisco!<伊>(なるほど!)」と思う。xに"-10" "-100" と入れていくと最初の項と2番目の項はゼロに近づいていく。したがって、グラフの左側は、定数項12への漸近線となることは明らか。
では"x=-1"を代入するとどうなるか、面倒だから計算結果を表にして並べる。
x -1 0 +1 +3 +5
y 5 0 -4 140 3596
このグラフは(0、0)を通り、x=1のとき最小値-4である。定数項を12よりも小さくすると、グラフの左側のx切片はマイナス側へ移動し、最小値は小さくなる。定数項が16(5a+6=16,すなわちa=2)のときにこのグラフはx軸に接する。16を超えるとx軸の上のほうに離れていく。
したがって、問題文の"異なる2つの正の解もつようなaの値の範囲"という条件を満たすために、定数項は12より大きく16よりも小さい範囲でなければならない。
ついでだから、aについて解いた式も入力してグラフを眺めたらいい。
a=-0.2(4^(x+1)-2^(x+4)+6)
"x=1"で変化率がプラスからマイナスへ変わる。"x=1"のとき、aは最大値"2"をとる。
*GRAPES
http://www.osaka-kyoiku.ac.jp/~tomodak/grapes/
http://www.kn-makkun.com/MakkunWp/grapes.html
ぼけているので一瞬分かりませんでしたが、2次方程式に置き換えて解くあたりから、思い出してきました。
ところでこの計算のアプリケーションは何でしょう。経済予測でしょうか。私は使ったことがありません。
すべては線形代数の大次元問題に帰結して逆マトリックスで解く問題ばかりでした。
オフィスの問題は構造解析も地震予測も事業の立案も線形代数で済むと考えていたため、数2、数3の応用はした覚えがありません。
ボケているので自分の記憶はあてにはしていません。エビス先生なら実践例も知っているかもと思い質問しました。体調が良ければお願いします。
by tsuguo-kodera (2018-01-25 14:38)
koderaさん
数Ⅱの受験問題です。計算機を使えば、2次関数に置き換えずとも答えがでます。
わたしの場合は1978年から、経営分析にこの種の計算機を利用していました。
この計算機には四種類のカーブフィッティングが組み込まれています。
●直線
●対数曲線
●指数曲線
●べき乗曲線
米国の高校では、この種の計算機を授業で使いますから、理屈のわかっている日本の高校生がHP-35sやフリーソフトのグラフ描画ソフトを利用して勉強したら、数学の世界が広がるでしょう。そういう意図で紹介しました。
それから、わたしは経済予測には興味がありません。どんなにすばらしいモデルを構築しても当たりませんから。(笑)
by ebisu (2018-01-25 15:31)
肝心の線形代数ですが、高校数学から行列式がなくなっているんです。
文系の教養科目の数学はわたしの時代は線形代数でした。高校生や大学生の数学力が著しく落ちたのではないかと懸念しています。
選択科目で行列式を復活すべきです。日本全国どこでも上位10%の高校生は線形代数をこなすだけの学力があります。
by ebisu (2018-01-25 16:15)
そうですか。私は昔、その研究課題は何に使うの、何に役立つのと問われ、何時も考えて答える習慣がつきました。予算獲得のためにです。
行列式がないとはびっくりしました。ありがとうございます。
行列とベクトルで考えると、複雑な問題も1+2で考えられると父に教えられました。父は線形代数と初等幾何が得意。お蔭で私は教えて貰いませんでしたが、トポロジーとカテゴリーに挑戦して、言語学を研究したこともありました。上手く行きそうな気がしたのですが、予算獲得のタスクが多く、いつの間にかぼけてしまいました。
でも富士通でやったマトリクス演算や振動解析は得意でした。線形代数の大マトリクス演算で会社の業務をシミュレーションできると分かったのはシャープの晩年でした。
富士通を退職したのは失敗したと思ったのは50を過ぎて、大学の非常勤を始めた後でした。
まとめです。高校の数学でマトリクスや行列がないと日本の沈没は速まったわけです。ダメですね。これでは。
なお、マトリクスよりベクトル幾何の方が難しい。大学の講義でここらあたりで沈没したように覚えています。野球のし過ぎで遊んだ1年で大きく道が変わりました。お蔭でシミュレーションですべて解く仕事をしたわけです。
戯言で失礼しました。
by tsuguo-kodera (2018-01-25 18:09)
koderaさん
話してみないとわからないものですね。
>その研究課題は何に使うの、何に役立つのと問われ、何時も考えて答える習慣がつきました。予算獲得のためにです。
予算獲得にはそれなりの説得材料が必要ですから、そういうことになるのでしょう。予算の伴うシステム開発案件はわたしもそうしていました。損益シミュレーションつきでね。新規事業の稟議もそうしていました。必要な能力を持った人材投入とお金が必要になりますから。結果はシミュレーションを上回るので、反対に回れる役員がいたら、大恥かくことになります。役員としての資質が問われることになります。
もちろん、トップの了解は事前にいただいておきます。だれが稟議書を書いたかで、その時点で勝負はついています。
わたしの場合は、新しいおもちゃを使っているうちに、仕事のほうでそれが必要になる、あるいはそれをツールとして使いこなすと問題が解決できるという方向になるケースが多かったので、当初は何にどこまで役に立つのかは関係なし、ただただ興味本位、好奇心からやってみるだけでした。新しいおもちゃに手を染め始めると、不思議とすぐにそれを使うと問題が解決できるプロジェクトを任される、運がよかったのでしょう。だから、次々に異分野へ手を出しました。ただ面白いのです。
ところで線形代数は応用が広いので、行列式は高校数学で選択できるように戻したもらいたい。文系・理系に関係なく必要です。高校1年から数学特講「行列式」が7時間目の授業であったらいいなと思います。
田舎ですから、そういうことはやりやすい、生徒が3人言い出しっぺになればやれると思っています。
三人集まって、担当の先生と校長に相談して了解を取り付けたらいい。
できないと思えばできませんが、できると思ってやってみたら案外ハードルは高くないのです。
根室高校は変わります。
by ebisu (2018-01-26 11:00)