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#3609 ブカツ : 過労死ライン Sep. 10,2017 [73.ブカツ]

  ブカツは弊ブログで何度も取り上げている。ある時期からカテゴリー「ブカツ」をセットした。
  9月9日北海道新聞1面と35面に先生たちの勤務実態について道教委の実態調査が載っているので、ブカツ問題をとりあげたい。

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<1面の見出し>
中学教諭47%過労死ライン
  道教委調査 授業準備や部活響く
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 先生の過労深刻
   13時間勤務、土日も部活
 中学校で47%、小学校で23%の教諭が過労死ライン。道教委が行った教職員勤務実態量差では、教諭の過酷な労働状況が浮かび上がった。授業の準備や打ち合わせ、部活動指導などに追われ、現場の教諭からは「休まる時間がない」などと悲鳴が上がっている。
  「休み時間も授業の空き時間もびっしり仕事。給食も5分で食べます。道央の中学校で働く40代の男性教諭はそう苦笑いした。

   休まず働く
 朝7時過ぎに学校に着き、生徒の登校前に打ち合わせや授業の準備を済ませる。休み時間は教室や体育館を見回り、授業の空き時間も、テストの採点や資料の作成などで過ぎていく。放課後は午後6時半まで運動系の部活の副顧問として指導した後、翌日の授業の教材づくりなど、準備に数時間。退勤は午後9時過ぎた。
 学校内での勤務は約13時間。男性教諭は「部活の顧問だと、土日もつぶれる。授業の準備も部活も、子供のためだとおもうと手は抜けません」と話した。

  顧問に負担
今回の調査によると、中学校教諭が部活動を指導する時間は平日が44分、休日が2時間20分と、いずれも全国平均を上回った。今年4月の全国学力・学習状況調査では、道内中3は全国平均と比べて長時間の部活動を行っている実態が判明しており、顧問を務める教諭にも負担がのしかかっている。
  教頭の勤務実態は、より過酷だ。道央の50代の小学校教頭は、朝6時に学校を開け、鍵を掛けて帰るのは午後10時過ぎ。「学校の開け閉めは教頭の仕事。他の先生が残っているのに先に帰るわけにはいかない」と話す。…

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  額面通りに受け取ると、学校はブラック企業ではないかと思えるほどだ。よくみると常識外れ慣行にがんじがらめになり、実務の改善ができないことで長時間労働になっている面もある。道教委の調査は表面的に過ぎる、もっと突っ込んだ分析が必要ではないのか?事例を上げないとわからないだろうからいくつか具体例を上げてみる。

  たとえば、教頭が学校の開け閉めをするので、長時間労働になっていると書いてあるが、民間会社で管理職が開け閉めするなんて話はトンと聞かぬ。朝は当番を決めて一般社員が開錠するのが普通。帰りは一番遅い者がマニュアルに従って施錠する。こんなことは教頭の仕事ではない。教頭の仕事は誰が一番遅くまで残って仕事をしていたのか、それはなぜか、改善の余地はないかと考え、対策を実施することだろう。
 それでも開け閉めが管理職の仕事だというなら校長と交替でやればよい、一般教員は開け閉めは自分の仕事ではないと思っているとしたら阿呆な話だ。固定観念に縛られていないで、民間会社がどのようにやっているか聞いてみたらいい。業務改善が不可能だという視点で物事を見てはいないか?

  わたしは根室の市街化地域の3中学校を念頭に置きながら読んだ。学年3クラスで、クラス当たり25-30人の生徒数。教科担当の先生たちの平均授業時数は、週当たり12時間程度だから、総授業時間の40%にすぎない。数か月間に渡って休んでいる先生の授業フォローに入る場合があるのは承知しているが、それは例外だ。週当たり平均18時間(6割)も空きがあればテストの採点も授業の準備も十分な時間があるように感じる
 それでも時間が足りない、仕事がまっとうできないなら、仕事の能力を疑うのが素直な分析、もともと先生に向いていない人を間違って採用したと考えてみたい。民間会社でもそういう採用のミスは避けられない、2-3割くらいはあるが、そういう人は仕事ができないので賞与の査定が最低になるし、いつまでたっても管理職への昇格もないから、辞めていくか昇格・昇給をあきらめる。年から年中忙しいと言い、長時間の残業をするも仕事の成果は上がらぬ。改善の見込みがなければ上司が他の部署への異動や転職を勧める場合もある。学校と違って、年功で給与が上がるようなシステムの民間会社はほとんどなくなっている。
 テストの採点や文書作成業務などは人によってスキルに大きな差がある。ようするに、要領の善し悪しの影響が大きい。A4版1枚の文書を作成するのに数時間もかかる人は、いつも「忙しい」とか「暇がない」ことになる。民間会社では、仕事のやり方について入社3年間くらいは上司から指導がある。ちゃんと一人前の仕事ができるように育てられなければ、上司は管理能力を疑われ、ラインの管理職から外される。学校にはそういうマネジメントの仕組みがない。新任教員にまかせっきりである。民間会社でOJT(On the Job Training)をやらずに新入社員を放置したら、使い物になるのは半数以下になるだろう。それほど上司による仕事の躾けは重要なのである。
  教科指導は1年回せば、資料もたまるし、3年もやればほとんど予習の時間は要らなくなる。5分程度、ざっと前年度の内容に目を通しただけでほぼ完ぺきな仕事ができるのがプロの技(わざ)というもの。
  道新の取り上げた「実態」が、なんだか話の次元が低いものと感じたのはわたしだけだろうか?

 長時間労働で本当の問題は部活指導だろう。4-6時まで、放課後週に4日間部活指導をするとそれだけで8時間になる。土日に各3時間やれば合計14時間で、本業の授業時間よりも長くなる。これは是正の必要がある。

  一昨日のテレビ番組によれば、静岡県が部活週4日制を導入しつつあるようだ。先生は歓迎だろうが、生徒からは練習時間が短くなるので試合に勝てないと心配する声が上がっている。
 学校教育としては土日を含めて週4日間で十分ではないだろうか?学校の部活は「文武両道」で文が優先武も教育の一環としてある。それ以上を求めるなら、プロになりたきゃ、学校外でお金を払って習えばいい。ピアノだって書道だって、空手だって、柔道だって、剣道だって、お稽古料を支払って習う。なぜ、野球やサッカーの技術指導にお金を支払わぬ。
 上手になりたい生徒、プロを目指す生徒たちには、しっかりした指導技術をもちスポーツ医学に知識のある人が学校外で教えたらいい。そういう受け皿を根室市教委がつくればいい。指導する者はすくなくとも体協の資格ぐらいはもっているべきだ。
  学校の部活動自体が変わるべき時代が来ている。


<余談>
 中学校で部活指導をしている先生たちのほとんどは素人だから、スポーツ医学を知らずに、勝つことを目的に長時間練習や練習試合をやらせがちだ。野球部で肘を痛めて断念する者、バドミントン部で膝関節を痛めてしまう者が出る。決まって運動能力の高い優秀な選手だ。
  スポーツ医学上の注意事項ぐらいは部活指導の先生たち対象に講習会をやってあげたらいい。市立根室病院へ協力要請したらいいだろう
 数年前に甲子園へ行った生徒が「センスがいいからピッチャー以外はどこでも守れる」とテレビで誰かが解説するのを聞いた。小・中と長時間トレーニングをさせ過ぎて、中学校のときに肘の治療をしながら部活していた。元はピッチャーだったのだ。あいつが甲子園で投げるところを見たかった。小学校の野球を指導していた先生と中学校で野球を指導した先生は何を見ていたのか。所詮は素人コーチだから勝つことが至上目的になり、そのために長時間練習を強いることになる。生徒も親もそういう素人指導を歓迎する。悪気はなくても、スポーツ医学に無知なことが優秀な選手を潰す。
 成長期には骨の成長に筋肉や腱の成長が追い付かぬから、そういうことを考慮したトレーニングをしなければならぬ。中学校のブカツは、身体の面からは基礎体力をつくることと、基礎技術を習得することにある。試合に勝つことが至上命題となってはならない。ブカツ指導の先生たちは、生徒たちの選手生命を短くすることがないように、配慮してやってほしい。そのためにも、ブカツは土日を入れて週4日くらいが望ましいし、安全ではないのか。
 現在根室市内で行われている過度な部活はブレーキのない車のようなもの。週4日制を取り入れることで、暴走車にブレーキ装置をつけることができる。



*#3601 長時間の部活は学力を下げる : 全国学力調査アンケート分析 Aug. 31, 2017
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2017-08-31
 

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