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根室市の生活保護世帯は全道平均の半分以下 [87.根室の話題]

根室市の生活保護世帯は全道平均の半分以下
 
 数日前の北海道新聞に根室市の生活保護世帯が全道平均の半分以下という記事が載っていた。釧路は全道平均値を上回っていた。炭鉱閉鎖や丸三鶴屋の破綻など打撃が大きいのだろうか?工業都市では職をなくしたら、食べていけなくなるケースが多いのだろう。農業や水産業が主体の根室は、景気が悪くてもなんとか食べてはいける。

 記憶で書くので数字の端数が思い出せないが、根室の生活保護世帯は1000世帯中9の割合だった。釧路は20を越えていた。根室がなぜこんなに低いのだろうか。

 根室人が見栄っ張りで、苦しくとも生活保護を申し出ないという意見もある。しかし、全道平均の半分以下となれば、そういう理由だけでは説明しきれないだろう。理由は三つ考えられる。
 一つ目は、水産加工関係のパート仕事があることが大きいのではないだろうか。仕事はきつく賃金は概して低いが、ある程度の人員需要があるので、いざというときには生活の足しになる。
 二つ目は、魚をもらえると言うことだ、親戚や知人に魚関係者がいれば、けっこう魚をもらえる。だから魚保管専用の冷凍庫をもっている家が多い。たとえば、秋刀魚の獲れる時期に50匹もらうなんてところがけっこう多いだろう。米と味噌と醤油と野菜を買うお金があれば、何とか食べていける。冬は暖房用の灯油代が毎月数万円かかるのが余計な出費ではある。
 三つ目は、やはり魚だ。釣り竿一本あれば、チカやコマイなら年中釣れる。太平洋側で釣れるチカは大きくて、開いてフライにすると蛋白で実に美味しい。オホーツク海側で取れるものは小型で干して焼くと香ばしい。数時間で100匹ほどは釣れるから、週に2度も釣りに行けば十分だ。お金がなくても魚種さえこだわらなければ毎日新鮮な魚に不自由はしない。少し釣りの上手な人は鰈やアブラッコも釣れる。コマイは干して食べるか、三平汁にして食べると美味しい。
 要するに、豊かな水産資源に恵まれた太平洋とオホーツク海に面した地の利が根室の生活保護世帯を少なくしているのではないだろうか。

  おっとっと、肝心なことを忘れていた。たとえば、会社が潰れて失職したとか、事業に失敗したとか、何らかの事情があってやむなく故郷の町を去り、都会に職を求める場合がある。根室の町は小さい。生活保護になる前に職を求めて都会へ移住するケースが多いことが生活保護世帯の比率を半分以下にしているのではないだろうか。
 根室の町を去った人を追って借金を返せという根室人は少ない。居所は分かっているのに「あんたも貸してたか、いなくなったからしゃあないな」であきらめるのが根室人だ。そのお陰で再起を果たした人は多いはずだ。こういう「温情」は関西では考えられないだろう。ビジネスのツケは返してもらって当然だからである。根室人の鷹揚さがこんなところに現れているとは言えないだろうか。日本人の美質の一つである惻隠の情を豊かな水産資源に恵まれた根室はいまだに守り続けているようだ。
 そういう風土、人情の町で幻の酒・北の勝『搾りたて』は造られている。辛口の味の中に控え目な甘みが隠れている。美味いわけだ。  
 
 昔は札幌や東京へ行けば職があり、人生やり直しの見通しが立った。札幌は伊勢丹の支援を受けていた老舗の丸井今井でさえ、つい数日前に経営破綻した。札幌の街にも不況の風が吹いている。東京もリストラの風がきつさをましている。先日ソニーが8千人のリストラを発表したのに続いて、NECが2万人のリストラを発表したようだ。都会へ出ても見通しの立たない時代が到来している。わたしたちは戦後63年間ありえなかった光景を目の当たりにしている。

  2009年1月31日 ebisu-blog#511
  総閲覧数:71,648 /431 days(1月31日8時30

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コメント 1

クラブナビ

根室市民は一人当たりの平均預金高が道内でも上位です。
北方漁業の産業基地、行政府所在地、軍事基地、孤立島国、というキーワードが、豊かな台所を表しているとも感じます。

当方の先祖は明治初期に入植した口ですが、
当時稼いだ(わずかですが)財産のぬくもりが、今の生活を支えているという考え方もできます。

釧路。
郷土愛の強さがあきらかに異なる上に、
芸術などの文化意識においても根室のほうが盛んだと常々感じます。
もともと「天然コンパクトシティ状態」である根室のほうが、
土着した住民意識が高くなるのは当然です。
季節労働者が多い「ギャンブルシティ釧路」とは、様相が異なります。

根室自慢すると、まったく酒がうまい。
by クラブナビ (2009-01-31 21:15) 

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