2023年のドイツのGDPは4.45兆ドルとなり、日本のGDPを抜いたようだ。日本のGDPはまだ公表されていないが確定している1-9月期に前年分を加算しても追いつかない。
*日経新聞1/16
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日本の2023年の名目国内総生産(GDP)がドイツに抜かれ、世界4位に転落する公算が大きくなった。ドイツ連邦統計庁が15日、23年通年の名目GDPの暫定値を公表した。両国のGDPをドル換算で比べると日本は円安で目減りし、ドイツは物価高が押し上げた。
ドイツの名目GDPは前年比6.3%増の4兆1211億ユーロだった。日銀が公表している23年の平均為替レートを用いてドル換算するとおよそ4兆4500億ドルとなった。
日本の23年10〜12月期の名目GDPはまだ発表されていないものの、23年1〜9月期をドル換算すると3兆1000億ドルほどだ。
日本の名目GDPがドイツに並ぶためには23年10〜12月期に190兆円程度となる必要がある。日本の22年10〜12月期の名目GDPは147兆円だった。前年同期から3割程度増える計算となり、足元の状況で達成は困難だ。
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 2023年の為替レートの平均は140.49円/$。
 2009~2013年は100円/$を割っていた。90円/$なら、ドイツをはるかに引き離して、GDPは世界第3位ということになる。つまり、ドイツとGDPの逆転は、円安によって生じたものと言えよう。

 顧みれば、安倍政権に変わってから、円安が進んだ。日銀総裁を白川氏から黒田氏へ替え、東大名誉教授の浜田宏一を経済ブレーンに加え、アベノミクス三本の矢で異次元の金融緩和を進めた途端に為替相場の基調が変わったと言えよう。

 ドイツの人口は8443万人(2023年3月)で日本の人口1億2330万人の68.5%に過ぎない。
 GDPの逆転は対ドル為替レートが極端な円安であることに起因する。
 対ドル為替レートは2022年4月に120円/$を突破し、2022年9月以降は140円/$前後である。
(2022年9月の購買力平価の為替レートが140円/$だから、ドル表示のGDPはそのまま購買力平価によるGDPと言えそうです。...2/10追記 投稿欄での議論をご覧ください)

 2022年12月19日の日経新聞によれば、2022年9月に日銀の国債保有残高が50%を超えた。

 2013年1月10日 158兆円
 2022年末 704兆円
 2023年末 750兆円

 日銀保有の国債残高は、この1年間だけで46兆円も増えている。

  国際金融機関は昨年9月以降は日銀の経営破綻リスクを織り込んで行動しているように見える。円の信認が根幹から崩れ、為替相場が円安基調に変化した。国債発行残高の半分以上を日銀が抱え込んでいる限り、この円安基調は変わらないということだ。

 2023年6月4日の日経新聞によれば、日銀の国債評価損が一時8兆円にもなった。長期金利を2%にアップしたら、数十兆円規模の評価損が発生して、巨額の債務超過により実質経営破綻となるから、長期金利のアップには限界がある。日銀が経営破綻してもすでに為替相場はそういうリスクをある程度織り込み済みだ。

 ところが国内はそれではすまない。日銀が経営破綻すれば、国債の日銀引き受けが消滅するから、低金利では新規国債発行ができなくなるから、長期金利を3%程度にまで上げざるを得ない事態が生ずる。
 日銀と政府財政は一蓮托生であり、日銀が破綻すれば政府財政も連鎖的に破綻する。現在の税収では歳出を6割程度に減らさなくてはならないことになる。国債の償還分は減らせないから、それ以外の予算は半減以下ということになるだろう。
 国防の要である自衛隊員の給料の支払いにすら窮することになる。

 昨日1/28午前8:59、東京湾を震源とする地震があり、震度4の地域が広がった。能登半島沖地震の次は首都圏直下型地震かもしれぬ。安政の大地震(1855年)から170年、富士山噴火もありうるシナリオである。

 首都圏直下型地震や東南海連動型地震が起きれば、200兆円を超える復興資金が必要になるだろう。そのときに国債発行ができなければどうする?
 平時には、借金を増やすのではなくて、非常時に備えて資金や必要な物資を蓄えておくのがあたりまえの方法だが、この国の住民と政府や国会議員は、日本列島が四季折々の自然の恵みの土地であると同時に、世界有数の地震や火山噴火や台風などの大災害を繰り返してきたところでもあることを忘れたのか?
 アリとキリギリスの寓話はいま日本の政治の姿を象徴しているように見える。




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