マイナンバーカードで、家族名義の口座への誤登録が13万件あったとデジタル担当大臣の河野氏から、ようやく報告があった。すでにマイナンバー法案は参議院でも可決成立している。

 河野大臣の説明は、システムには問題がなかった、入力した人(利用者)のヒューマンエラーだという。阿呆もいい加減にしてもらいたい。マイナンバー入力プログラムに、マイナンバー名義人名と銀行口座の名義人名の突合処理を追加したらいいだけだ。10分あれば書き換え可能。
 要するに、システム仕様にそういう処理が漏れていただけのことで、設計ミスである。

 13万件も家族名義口座への登録があったということは、そうした突合処理がマイナンバー登録ソフトになかったというシステム設計上の基本的なミスがあっただけではない。
 いままで世帯主交付という給付金制度を、個人ベースに切り換えるという説明を丁寧にしていないから、自治体職員ですら今まで通りに家族名義の銀行口座で支障がないと考えた人が少なくなかったということだろう。

 そこで思い出したのは、コロナパンディミック時にシステム関係整備の指揮で獅子奮迅の活躍をしたオードリー・タン氏のことである。IT担当閣僚として自らのIT技術をベースに的確な指示をしながら、必要なシステムを次々に立ち上げて、コロナ封じ込めに成功している。日本政府はコロナウィルス接触アプリ「COCOA」すら満足に稼働できなかったのと対照的であった。これも河野デジタル大臣の担当でしたね。報道関係者あてに2022年11月11日に厚労省からCOCOAの機能停止のお知らせが出ている。

 この二人の違いは、IT技術を知っているかいないかで、仕事の結果に大きな違いが出ている。13万件の「誤登録」は、スキルのない人が指揮することによって起きた人災ということ。それにしても、仕様書書いている人がいるわけで、大丈夫かね? あまりにも初歩的なミスなので、驚いています。

 情けないのは、デジタル技術分野に専門的な能力を持った国会議員が一人もいないこと。だったら、民間から採用したらいい。
 河野大臣、そろそろおやめになったらいかが?

 諸外国では、国民のプライバシー侵害が問題になっているのに、日本ではその点がまったく論じられていない。河野デジタル大臣から、プライバシー侵害の問題や犯罪への利用の弊害についての、そしてセキュリティの説明がまったくないのはどうしたわけだろう?
 この人の発言を聞いていると、「気違いに刃物」という言葉が頭の中に時々浮かんでくる。

<余談:セキュリティへの不安>
 マイナンバーに医療保険が紐づけられるという。医療保険は全国の病院、クリニックで使われている。例えば、わたしが東京都で診療を受けたり、入院したりしたとする。すると、全国のどの医療機関でもわたしのマイナンバーを病院システムに接続されたパソコンへ入力したら、診療記録やカルテが閲覧できるということ。そういう運用を目指していると口を滑らせている。
 マイナンバーはすでに国税庁の確定申告のシステムに採用されている。だから、この二つはマイナンバーをキーにすればハッキングできるということ。いや、そんな技術がなくても、医療記録は他の医療施設の端末から閲覧が可能になる。興味本位で見る者が出るし、マイナンバーのリストが売買されることになるだろう。
 運転免許証がマイナンバーカードに置き換わるらしいが、違反記録がマイナンバーでハッキングできる可能性が出てくる。
 銀行口座開設にマイナンバーが登録されたら、預金の残高や入金・支払い記録もマイナンバーをキーに漏れる可能性がある。
 これからどのようなシステムがマイナンバーを採用するのか、政府の裁量次第になっている。勝手に官庁システムで採用されていく。
 マイナンバー情報が洩れたら、関連するすべてのシステムの情報がマイナンバーをキーにハッキング可能になる。高い金額で、精度の高い情報が売買されるようなことになるのだろう。米国にその先進事例(犯罪)がたくさんある。国民の7%が被害を受けているなんて事態を引き起こしかねないのだ。

 マイナンバー制度の一般的な名称は「国民ID制度」という。それを制定した後に廃止した国や問題続出している国がある。
 ●イギリス
 ●米国
 ●ドイツ
 ●韓国
 ●スェーデン
 例えばイギリスは2006年にIDカード法が成立したが、費用対効果の問題やプライバシー侵害が問題となり、2010年に廃止された。

 米国では「社会保障番号」がそれにあたるが、従業員の不正などで盗まれた社会保障番号で、「なりすまし」が横行、クレジットカードを勝手に作られたり、勝手のローンを組まれたりする弊害が続出し、2014年には国民の7%、1270万人が被害に遭っている。

 ドイツでは1970年代に検討されたが、国民のプライバシー侵害の懸念が大きく、成立に至らなかった。ドイツでは行政機関ごとに別々の番号で管理している。
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