標記の番組を見た。「頼りは命綱のみ 巨大鉄塔を解体せよ」というタイトルだった。
 古い鉄塔の外側に新しい鉄塔をつくり、新しい送電線を引っ張り連結する。次に内側にある古い鉄塔を解体する。
 27.5万ボルトのあたらしい送電線を引っ張るのは、ラインマンという4人のチーム。碍子(ガイシ)に新しい送電線を接続してボルトで止める。地上40mの高所作業だが、張られたラインに縄梯子をぶら下げてそこを降りて振ら下がったままでの作業だ。観ているだけで、こちらの方が足がすくむ思いがした。23歳から41歳までの高所作業の専門職人が15人ほどで作業をしていた。そこの現場は3か月間で、終われば別の現場での作業に移る。危険な作業を安全をしっかり確保しながら、声を掛け合っててきぱきと仕事していた。

 新しい送電線を架け替えたら、次は内側の古い鉄塔の解体専門職人のチームに交替した。40mの先端部分の床を構成する鉄材のボルトを外す。錆止めでボルトが鉄材に固着しているが、モンキーレンチをハンマーでたたいて外していく。下では78歳の親方が、ウィンチの操作と作業指示をしていた。作業をしていた人たちはみな60歳を超えていたが、スルスルと40mの鉄塔の天辺まで昇っていった。相当な腕力がなければ上まで昇れない。鉄塔の床面は薄くて幅が7-8㎝ほどの鉄材が格子状に組み立てられてできていた。最上部の床面をつくる鉄材の最後の一本を吊り上げるために中央部の穴のあけられたところまで歩いて近づいたら、撓(しな)った。折れそうなので、元へ戻って腹ばいになって中央部の穴のところまで行き、ウインチにつながっているワイヤーの金具を穴に通して、無事に鉄材が1本下ろされた。全部で700本になるという。
 すごいな、60歳を過ぎた職人が10人ほど息を合わせて作業をしていた。78歳の親方は下から声をかけている。
「あわてるな、ゆっくりでいい!」 

 長年やっていて、息があっているから、安全にやれる作業なのだろう。こういう専門職人の仕事を若い人たちが引き継いでいかないといけない。みなさん、専門学校などで電気工学を学んだ人たちだ。

 こうして今パソコンを使っていられるのも、送電線から電気が流れて来るからだ。「ラインマン」や「送電鉄塔の建設・解体専門職人」がいないとわたしたちは電気を使えない。
 すごい仕事だ、わたしにはとてもできそうもない。こういう仕事を担う人たちの給料は平均よりもずっと高くていい。いい仕事は収入でも報われるべきだ。



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