日銀の1月の国債買い入れ額が23.6兆円に達した。史上最高額である。金利を低く抑えて円安誘導するためにこんなことを何年も続けている。おかげでモノの値上がりが続いている。北海道ではオール電化住宅の電気料金が10万円/月を超える家庭が増えている。テレビの報道では13万円なんて家もある。来年はもう払いきれないと悲鳴が上がっている。6月に北電はさらに3割アップする予定になっているから、13万円/月支払っている家は、来年の冬は17万円/月になる。

 日銀が保有している国債残高は、日銀公表データをEXCELで集計したら、1/20時点で560.7兆円である。政府発行国債残高の50%を超えてしまっている。
 日銀が買い入れないと、長期金利が暴騰する。暴騰すれば、ヘッジファンドは円先物売りを浴びせて、巨額の利益を手にすることになるだろう。日銀に国債の実質評価損が数十兆円単位で発生する。以前にシミュレーションしたことがあった。

 1月のようなペースで、国債買い入れを続けたら、年額で230兆円になり、日銀の保有額は760兆円にもなる。政府発行国債残高の7割以上を日銀が保有するような事態になる。3月末に国債発行残高は1026兆円になる予定だ。
 ちなみに昨年、日銀が買い入れた国債は111兆円である。2倍のペースになっているのは、追い込まれている証拠である。
 #4905で、10年物金利が5%、国債の平均残年数を12年、保有額を564兆円としたときに、日銀の実質評価損がどれほど生ずるのか計算した。249兆円である。計算式は#4905をみてもらいたい。

 いずれ買い支えられなくなるから、金利は暴騰する。日銀保有国債はいずれ市場で売却しなければならないから、それも金利急騰の原因になる。
 金利が上がれば、円高になるのが普通の状態のときだが、円への不信任となれば円は暴落することになる。どっちへころぶはわけがわからないところが異常気象によく似ている。誰も確かなことなんて予測できないのである。高金利で政府が国債発行ができなくなれば、財政破綻となる。
 何が起きるかわたしにもまったく予測がつかない。

<余談:円安の影響>
 ベトナム人の技能実習生が日本に見切りをつけだしている。円安で、ドルベースでの収入が激減したからだ。介護や農業などで人手不足になりつつあるその一方で、介護や看護、職人(例えば寿司)仕事などの分野で、日本人が海外へ稼ぎに出ていく人が増えている。例えば看護師では、フルに働くと月収80万円になり、毎月50万円貯金できると今日の7時半からのNHK 番組「クローズアップ現代:安い日本 若者が海外へ出稼ぎへ」で看護師の女性が語っていた。ITの先端技術者が法外な高給で海外へ引き抜かれると富士通の人事担当者。年収3000万円での引き抜きに、上司は部下を慰留できないとぼやいているようだ。日本の人事制度が国際基準に合わなくなって、先端の技術者が日本企業から抜けていく。もちろん、技術水準の維持に影響が出る。

 わたしは1984年に転職する際にリクルート社を利用。したが、SPIテストで最高ランクの判定で、高収入のファイルがオープンになった。職務経歴もSPI偏差値と併せて評価されていた。
 斡旋された会社の中に外資が1社あり、経理課長職で年収800万円の提示だった。半導体製造企業のフェアチャイルドジャパンだった。他にプレジデント社が同じファイルに入っていた。
 1984年の大卒初任給は13.5万円である。2022年は21.6万円だから、1.6倍すると、フェアチャイルド・ジャパン社は現在価値に換算すると年収1280万円の提示だった。そちらにはいかずに、成長率の高い高収益企業である一番提示額の低い臨床検査最大手のSRLを選んだ。東証2部への上場を目指しており、仕事が面白そうだったからだ。転職早々、予算編成と予算管理、そして経営統合システム開発を担当している。期待通りの面白い仕事だった。

 優秀な者は実力が年収と釣り合わぬ日本企業で働く必要はない、そう判断する若者が増えているのだろう。寂しくもあるが、それがグローバル時代の常識的な選択なのだろう。

 日本企業が変われるとすれば、難関大学出身者の優遇をやめることだ。問題を見つけそれを解決する、そういう人材が企業には必要だが、受験勉強は正解のある問題を早く解くスキルを身に着けるだけで、日本企業が必要な人材像から最も遠い。受験エリートになればなるほど、民間企業が必要としている人材像から乖離していくのである。思考の鋳型が、9年間の受験勉強で出来上がってしまう。それは、正解のある問題を速く解けるというだけのこと。民間企業が必要としているのは、自ら問題を見つけ、分析し、解決するための長期戦略を立てて、それを実行できる者である

2/5追記
 債券トレーダーの仕事をしている専門家が投稿してくれてます。本欄より面白い。長い対話になっていますが、とっても楽しいので、皆様におすそ分けを...。
 金融関係、通貨、貨幣、企業経営、外国為替、経済学などに興味のある人は、「投稿欄」をご覧ください。債券トレーディングの分野に疎いわたしは、とっても勉強になっています。必要な用語は解説サイトのアドレスを貼り付けますので、一緒に勉強しましょう、いろんな角度から問題を眺めるのは無条件にいいことです。


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