<更新情報>
6/7 夜10時40分 投稿欄に寄せられた標準偏差データを参考に後半部を書き直した。

 先週、根室高校で前期中間テストが行われた。高体連とかぶっているので、月曜日に試験を受けた生徒も少なくなかっただろう。昨日(火曜日)一部のテストが返却された。

 高1の生徒は6人だが、高校入学後初の定期テストだから、結果がどのようにでるか楽しみだった。数学の満点が3-5人出ると予想していたがどうやら単独の様子、既習問題からの出題だから、丁寧にやっておけば上位の学力の生徒5人程度は満点が獲れるはず。この学年は中3の時に60点満点の学力テストで数学が50点を超えるのは市内で一人だけだった、だからこんな「悲惨な」結果になるのだろう。40点以上で見ても市街化地域の3中学校で5人ほど。学力上位層が枯渇化現象を起こしているのだから当然の結果である。
  一人は満点だったが、満点を期待したもう一人の生徒は案外点数が獲れなかった、部活で忙しくて勉強時間が足りないのだろう。予習中心で学習しているから、既習問題を丁寧に復習しておけば満点取れる能力の生徒である。次のテストでは奮起してもらいたい。
 ところで数学満点の生徒は英語2科目は99点と100点だった、高校英語授業が楽しいという。使役のmake、have、letを並べて英語の先生が解説してくれたと喜んでいた。塾でこれら使役に使われる動詞の使い分け英作文をやっていたからだろう、彼のニーズに合っていた。関係代名詞の説明も塾とよく似た説明だったという。英作文するときにシンプルセンテンスで書いて、そのあとで関係節で書き換えたり、句に書き換えさせたりしている。英作文では基本動詞をつかって書き換えさせたりもしている。中学時代の後半はほとんど授業を聴かずに高校の教科書を翻訳していた。日本語にならないところを塾でよく質問していた。「日本語として読んで自然な訳文となるまで熟考せよ」と指導している。英語の理解力と日本語の表現力の両方が揃わないとできない「芸」である。センター試験ではそういうレベルは要求されないが、何かの折には、訳文を見ただけで、この生徒の英語力の確かさが試験をする側に伝わるだろう。もちろん、難関国立大学の2次試験や大学院入試ではこういう「芸」が役に立つ。
 良質の日本語音読テクストをつかって音読トレーニングを四年間したことが、この生徒の英語の学力を支えている英文も段落読みをちゃんとしているから、ただ英語の勉強をしてきた生徒とは長文問題で差がつくのである。使われる英文の難易度が上がれば上がるほど差がつくだろう。難易度は高くはないが、初めて受ける全国模試(7月の進研模試)の偏差値が楽しみだ。
 日本語音読トレーニングは12冊を読み終わり、いま『福翁自伝』を読んでいる。福沢諭吉の自伝だが明治期に書かれたもの、かれにとっては「古典文学」の範疇に入るらしい。さすがにこの時代のものだと読めない語彙が頻繁に出てくるから、苦労している。そのうちにこのレベルのテクストも慣れ、すらすら読めるようになるだろう。
 勉強は基礎の部分は手を抜いてはいけない日本語語彙力、読解力は学力の土台をなしている。4年間続けている日本語音読の効果もあってか、現代国語もどうやら学年トップの様子。数英国が学年トップ、国立大学受験向きだ。でも、本を読まない生徒で、その強情さにebisu先生は困っている。論説文ばかりでなく小説や文学作品も読まないと人の心の機微がわからないだろう。(笑)

 高1の生徒にはアルファ1の生徒が二人いる。数学は一番上がガンマ、次がベータ1、ベータ2、アルファ1、アルファ―2の5クラスにわかれている。アルファ1のうちの一人の学習意欲がこの一月ぐらいではっきり変わった。計算速度も書く速度も平均値よりは上、学習意欲もアップしたからこれで成績が上がらなければ教え方がよほど悪いということになる。こういうタイプはちゃんと学習すれば成績が飛躍的に上げられる。その生徒から10時前にメールが入った、クラス分けが発表された、「ベータ2にアップしました、ありがとうございます」とうれしい便り。
 この生徒の快進撃は始まったばかり、いまのままやり続けたらテストがある都度、クラスアップできる。

 「努力 ⇒ 実績 ⇒ 自信 ⇒【楽しい×うれしい】⇒ 努力

 まずは努力する、最初の一歩の出だしはとっても力がいる。そして努力の結果がテストの点数になって現れる。たとえば、いままで50点前後の生徒が80-90点獲れるようになったら強い自信がわいてくる。自信がわくとむずかしい問題でもなんとかなるような気がするし、やってみれば実際に何とかなる問題が増えてくる。テストも自信をもって受けるからミスが少なくなる。学力がアップすることでいままで半分しか理解できなかった学校の授業がほぼ理解できるようになる。内容が理解できるようになれば授業が楽しいものに変わり、その授業を100%理解したくて予習するようになる。予習を続けたら点数がさらにアップする、…
 こういう循環の心地よさをたくさんの生徒に味わってもらいたいと思って始めたバーチャル私塾「ニムオロ塾」現実の塾にベースを置いている。

 高2の生徒は一人だけだが、数学は90点を超えた、中学生の時から文武両道の生徒である。ベータ1クラス(上から二番目)でトップだった。ベータ1で数学トップは初めてかもしれない、いままで一人だけ抜けない男子生徒がいた。ベータクラスとガンマクラスとでは試験問題が違うので学年の順位はわからない。進研模試の学年順位で見るしかない。この生徒は入学当初も2年時になるときも特進コースのクラスに入れるので先生に希望を訊かれたが、2回とも断っている、もったいない。最上位のガンマクラスでも10番目くらいの成績が獲れるのにもったいない気がする。部活との両立に不安があるのかもしれぬ。

 高2の生徒ができなかった問題が一つだけあった。青チャートレベルの問題である。
 (2x^2-1/(3x)+1)^5の定数項を求めよという問題だった。これは学校で使っている問題集には載っていないレベルの問題。青チャートには類似問題だがもっと簡単なものが採録されている、符号が全部+である。ベータ1で『青チャート』をやっている生徒はいないだろう。できなかった1題を塾でしっかり理解したから、形を変えて出題されても対応できる。塾に備え付けの『青チャート』の問題をやっていた。この生徒にはちょうどいい。「シリウス数Ⅱ」の見本用(旧版)があるので、この生徒にあげた。青チャートレベルだが、問題量がずっと多い、5倍くらいはあるかな。気になるところだけやってみたらいい。
 ガンマクラスのI君はたぶん青チャートレベルの問題集をやっている、あいつは文武両道で計算が速いしセンスがいい。中学時代は入塾当初学年十数番で「1番なんて絶対無理」と言っていたが、「獲れるよ、いまの君の学力なら頑張ればトップ獲れるからチャレンジしてみな」なんどもそう伝えた。一度学年トップをとったら自信がついたようで、学力が上がってしまった。努力が実績となって実ると自信がつく、自信がつくと落ち着いてテストにも臨めるから点数はさらに上がる。このようにして学力が一段上がってしまう。昨年最初の進研模試で70点台をたたき出したと噂に聞いた。もっと頑張れ、進研模試9割得点できたら偏差値80超だ、獲れると思えば獲れるものだよ。獲れないと思っている奴には永久に手が届かない。
 釧路湖陵理数科なら進研模試で70-80点は中の上のようだが全国レベルでは偏差値70超、立派なもの。その釧路湖陵理数科ですら、全国レベルでは「進学校」の定義から外れる。明確な定義はないが、首都圏で「進学校」といわれている高校は毎年東大合格者を5名以上輩出している。東京都立だと総合偏差値67以上の高校かな。
*都立高校偏差値2018年度版
http://www.geocities.jp/toritsukoukou2/

 中学校で学年10番前後なら勉強のやり方と努力次第でだれでも高校でトップを狙える。定期テストなんて90%が既習問題からの出題だから百点獲るのに特別な才能は必要なしだ。


 3年生は二人だが、進路でコースが分かれており、問題が違う。どういう結果になったか、木曜日にはわかるだろう。高校最後の1年間、悔いを残さない結果をたたき出してもらいたい。


<余談:定期テストの難易度低下を憂う>
 どうも定期テストの難易度が低そうだ。特に英語にその傾向が顕著にでているようだ。根室西高校が募集停止して2年目、定期テストの難易度を下げざるを得ないのではないか。数学のほうは習熟度別クラス編成になっており、試験問題もアルファ、ベータ、ガンマクラスそれぞれ別々になっているが他の科目は問題が同じだ。同じ普通科へ学力レベルの低い生徒たちが大量に入学してくると、授業や定期テスト問題は難易度を下げざるをえなくなる。成績下位層の生徒たち50人ほどが赤点になるからだ。先生たちは自分の担当教科で赤点をつけて留年や退学させて恨まれてくないから、試験問題の難易度を下げて対応する、人の心理とはそういうもの。試験のない井戸を下げたら、生徒たちの平均的な学力が下がるのは道理だ。
 物の道理を知らぬ高校統合検討委員会が見過ごした問題である。統合2年目、物の道理をわきまえぬ大人たちがやった杜撰な仕事は、こういう風に先生と生徒たちにツケを回すことになっている。


*#3751 進研模試偏差値の目安 Jun. 7, 2018
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2018-06-06


 #1823 激烈な競争から這い上がれ:団塊世代の友人からの手紙 Jan. 31, 2012 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-01-31

#2006 Eさんの新刊書『漫言翁 福沢諭吉 時事新報コラムに見る明治』 July 10, 2012
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-07-10

 #2044 『漫言翁 福沢諭吉 時事新報コラムに見る明治』 (2)  Aug. 8, 2012 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-08-08

 #2254 『漫言翁 福沢諭吉・・・』 (3) Apr. 2, 2013 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-04-02

*#1025 『明治廿 五年九月の ほととぎす 子規見参』 遠藤利國著 May 10, 2010 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-05-10

  #1030 『nationalism とpatriotism』 May 17, 2010
  
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-05-17


  #1362  『「漢委奴国王」金印誕生時空論』を読む:パイオニア 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2011-01-30-2

  #1366 『「漢委奴国王」金印誕生時空論』を読む (2) : 学問の楽しさ Feb. 2, 2011 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2011-02-02

  #1368 『「漢委奴国王」金印誕生時空論』を読む (3) : 学問の楽しさ Feb. 3, 2011 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2011-02-03-1


      70%       20%