業者から金を受け取ったことがはっきりしている甘利元大臣は議員辞職はしていないし、訴追もされていない。それに比べれば・・・
 全会一致で都議会が都知事不信任を議決することが決まり、四面楚歌となった舛添東京都知事は今日(6/15)午前中に都議会議長に辞表を提出した。頭の回転が良くて口が達者、下手な言い訳を重ねすぎたことが命取りとなり、「才子才に溺れる」を絵に描いたような幕切れとなった。器ではなかったということ。

 2009年に自民党が政権の座から滑り落ちるや、次の総理大臣候補No.1と目されていた舛添氏は自民党に居ては総理大臣になれないと判断し、2010年4月に離党し「新党改革」を立ち上げた。頭のよい人は情報に振り回されて、損得を計算し、新しいことを思いついてしまう

 こういう大事なことを決めるときは、自分の損得勘定を一切考慮に入れてはならないし、考えてはいけないとわたしは思う。自分が持っている情報で判断してはいけない。知らない情報や、予測もできないことが突然出来するのが世の常、そういうことを理解していたら、自分の手持ちの情報だけで判断は下せない。自分の損得は棚上げして天の意のまま、あるいは生き方としてどうかと云う点から判断するしかない

 頭がよいからあれこれ考えるし、議論に負けたくないという意(こころ)があるから、つい口からその場しのぎの言い訳が出てしまう。ホテル三日月でも「事務所関係者ら」との会議がその後「出版社の社長」に替わったのもそうだ。当初の下手な言い訳を糊塗しようと、昨年亡くなった知人を思いついたのだろう。頭の回転が速いというのは怖いことで、熟考する前に口から言葉がつい出てしまう。出てしまえば、次々と嘘をつかざるをえなくなる。
 そのときはそれで押し通せると考えてやるのだが裏目に出る。観客席からは、意(こころ)が言説に出ているのが、見えてしまうのである。

 「いま選挙になればリオのオリンピックに支障が出る」なんて言い出すようではアウト。論理的に考えれば、東京都知事選挙も都議会議員選挙もリオ・オリンピックにはまったく関係がない。
 追い詰められて支離滅裂になっている自分の姿すら見えなくなっていた。オリンピックに執着がありすぎたからだろう。
 南伝の仏教ではタンハー(渇愛)という。日照りの中を歩き続けて喉が渇いた状態を想像してもらいたい。リオ・オリンピックの閉会式で旗を受け取る自分の晴れ姿を想像し過ぎて、日に日に執着が強くなっていったのだろう。哀れである。

 子どもがいるのだから、子どもたちが大人になったときに誇れる父親になることだ。これから正直にまっとうに生きたらよい。

 「四畳半襖の下張り」で永井荷風に破門になった平井呈一は、後年書斎にこもっていい仕事をしている。ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)全集翻訳は、まるで日本語で書かれたもののような名訳である。これほど質の高い翻訳はみたことがない。若い日に貧乏書生をして苦労をしたため、間違いを犯すことは誰にでもある。永井の文体を完璧にコピーできるほど文筆能力に優れていたからこそ、荷風もかわいがってずいぶん一緒に飲み歩いている。もちろん、御代は大御所である荷風もちだっただろう。荷風は平井の才能を認めていたのである。平井は晩年、書斎に閉じこもり、英文学研究に没頭してその期待に応えた。

 よいチャンスだと考えて、舛添氏も書斎にこもって、言行一致の生活をして心を磨いたらよい。5~10年閉じこもったらそれなりの仕事ができるだろう。


*#3328 舛添問題:10万円以上の絵画は資産計上が原則 June 14, 2016 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2016-06-14


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< 余談-2:安倍首相は舛添都知事よりもセコイ >
 総理も都知事も同類、ネットで検索すればたくさん出てくる。なぜ、NHKや各民放局、新聞は舛添都知事よりもすさまじくセコイ安倍首相を取り上げないのだろう?このような使われ方をしても違法ではないのだから、政党助成金は使途を制限するか、廃止すべきだ。
 わたしがいつも読んでいるブログを紹介する。

*ブログ「オータムリーフの部屋」より:「安倍首相の公私混同もせこい
http://blog.goo.ne.jp/autumnleaf100/e/74e2407782cdc6b05f9d7cb4f965f333

*元ネタ リテラ ⇒「舛添が公私混同で辞任なら安倍首相も...政治資金でキャバクラ、ウニの爆買い、コスメにジュエリー、がりがり君
http://lite-ra.com/2016/06/post-2337.html