広報ねむろ1月号が回ってきた。「企業会計」の部に市立根室病院事業会計が載っている。市民への報告なのに、公的会計基準のままで載せるのはどういう了見だろう。理解できるのは市役所財政課の職員と病院で経理業務に携わった者だけだろう。根室高校商業科で簿記を教えている先生にだって理解できない代物である。7.5億円となっている純損失が20億円前後であるなどと気がつく人はいないだろう。
 一般市民に理解できるように民間の会計基準で決算情報を公表すべきだ。

 夕張市が財政破綻したのは公的会計基準でさまざまな事業の報告を行っていたからで、破綻するまで市民は夕張市の財政状況を知りえなかった。公的会計基準とはそういうもので、ダブルスタンダード(インチキ)そのもの。上場企業がこのような決算報告をしたら、重大な虚偽報告で上場廃止処分になる。

 広報ねむろ1月号から平成25年度決算情報を拾って俎板(まないた)に載せる。

 収入  38.9億円
 費用  46.4
 純損失 7.5

 民間会計基準だと「収入」ではなくて「売上」である。「収入」が曲者で、この中には国基準の繰入金が8~10億円前後加算されている。
 過去8年間の売上は21~26億円の範囲を推移している。仮に「最大値+1億円」をとり27億円の売上で計算すると、次のようになる。

 売上   27.0億円
 費用   46.4
 純損失 19.4億円

 民間の会計基準で計算すると約20億円の損失が出ているはずだ。20億円もの事業赤字が出ているのに7.5億円と「広報ねむろ」に載せるのは市民を欺くものである。
 市議は市議会で病院事業決算を民間会計基準で公表するように決議すべきだ。真実の姿を市民に知らせないと病院の経営改革が進まない。

 平成26年度上期決算が載っているがこれもわからない資料だ。

 収益   18.3億円
 費用   33.2
 純損失 14.7

 半期で14億円の損失が出ているがなぜこんなに巨額の損失が出ているのか理由を明らかにすべきだ。
 費用の計上額が昨年度の年間費用の71.6%である。計上の仕方がおかしいのか、何か特別な臨時巨額の損失が出たのか一言も理由の説明がない。
 長谷川市政は徹底的に市民に背を向けているようにみえる。そういう3期目の市長を9月の選挙で支持したのは有権者の三人に一人の34.41%。きちんと説明責任を果たしていれば支持率は上がっただろう・・・。

<余談>
 どうもどこかおかしい、数字がヘンなのである。手元にH18年度とH20年度の決算資料があるので数字を拾って並べてみたい。こうするとすぐにおかしいところがわかる。

  金額単位:百万円
200620082013
売上2,3832,2923,886
費用3,4093,4734,637
損失-1,026-1,181-751


 2013年度の売上は、一般会計繰入金の金額がわからないのでそれを減額していない。国基準の繰入金が9億円ほどあるとしても約30億円の売上があることになる。3億円ほどなにか見えないものがあるように思える。

 費用の金額がヘンなのである。2006年と2008年に比べると12億円も増えているのだ。通常、こんなことは考えられない。「収入」と「費用」に病院建設の「何か」が加算されているのではないか?損益計算にそのような収益や費用項目を加算することは民間会計基準ではできない、明白な粉飾決算になるからだ。
 病院事務局はホームページで病院事業決算を民間会計基準で公開すべきだ。12億円の費用増については金額が巨額なのだから、病院ばかりでなく財政課が責任をもって説明すべきだ。

 病院問題に公式ブログ上でコメントし続けてきた本田市議は病院事業決算について具体的な数字を挙げてコメントしなくなった。元病院管理課長で市立病院問題について詳しい彼がコメントしなくなったのでは、市民が病院経営の真の姿を知ることがますますむずかしくなる。
 文教厚生常任委員会委員長としてこの問題にはさらに責任が重くなったのだから、以前のように公式ブログでの元気のよい発言を期待したい。

 市立根室病院の経営赤字は市の財政にとっても大きな問題のはずだが、地元経済団体は申し合わせでもしたかのように押し黙っている、これも不思議なことだ。商工会議所、青年会議所、中小企業家同友会、ロータリークラブ、ライオンズクラブ、町と暮らしネットワーク会議等々、疑問や意見はないのだろうか?
 「オール根室」っていったいなんだろう?

 公的会計基準は「お役所村」でしか通用しない。そういう基準で作られた資料はお役所同士での情報のやり取りならまだしも、市民サービスとしては失格である。市民へわかるような民間会計基準での広報が正しいありかたではないのか?
 病院職員も市役所職員も市議も市民へのサービスという基本を忘れてはいけないのだろう。「公僕」としての本来のあり方に立ち戻って来年こそは考え直してもらいたい。

 ■ 仕事は正直に誠実に渾身の力でやる
 ■ 売り手よし、買い手よし、世間よしの三方よし



*#2921 市立根室病院の常勤医数は今年も計画未達だった Dec. 26, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-12-25-1 



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