2日前に流氷が接岸して海はクナシリまで真っ白、まるで歩いていけそうに見えていた。その凍てついた海を渡ってくる北風は冷たい。なのに今朝は霧がかかったようなおかしな風景だった。空気中の水分が裸のモミジの小枝で凝集して白く凍り付いて朝日に輝いていた。一体どういう気象条件でこういう珍しい光景がうまれるのだろう。

 市立根室病院の産科がどうなるのか、ハッキリした情報がない。もちろん、市立病院のホームページでも具体的な説明はない。
 これからどうなるのか心配なお母さん達やこれから子どもを産む予定の女性達へ必要な情報が提供されていないし、そうした努力をするつもりが関係者になさそうにみえる。弊ブログを読んで地域医療には的確ですばやい情報発信が大切なことを関係者に理解してもらいたい。

 市立根室病院産婦人科の問題だけでなく、根室と中標津町立病院や釧路日赤病院との関係もよくわからないと言うのが、ほとんどのお母さん達だろう。

 妊娠⇒出産⇒母としての健康管理と子どもの病気

 この一連の流れの中で医療がどうフォローされるのか理解しておけば、何かあったときにあわてずに済むかもしれない。弊ブログのコメント欄にある若いお母さんから市立根室の産婦人科診療は今後どうなるのだろうという心配の声が寄せられた。

 ebisuは根室の地域医療の現状にがっかりしてしばらく地域医療問題については休筆するつもりだった。そう弊ブログで宣言したのだが、病院経営赤字、医師招聘などに関する投稿が続いた。コメント欄だけで対処していたが、本欄で対応すべき投稿があった。

 まだ、お顔はみたことがないが、存知よりのお母さんから質問をいただいたのでそれを紹介すると同時に、専門家から詳しい解説をいただいたので並べて皆さんの参考に供したい。

 解説いただいたドクターはもちろんいろんな事情を熟知しておられるが、ブログのコメント欄へ載せるわけにはいかないこともあるので、具体的な問題への言及をあえて避けておられる。それでも充分にみなさんが地域医療について具体的な問題を考えるための情報となっている。
 弊ブログがこういう情報交換の場になるのはブログ管理者としては喜びである。

*#2210 市立根室病院はどこへ行く?  Feb. 14, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-02-14
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18日から産婦人科の常勤医がまたお休みになられてるんですが、復帰して1ヶ月もたっていません…その前も半年以上お休みしていたんですが、今後どうするんですかね?
(2013-02-19 22:42)
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○○さんへ

 産婦人科の件でご心配なされているようですね。市立根室の産婦人科は、かって常勤医が不在になり北大からの短期出張医が繋いだ後に週に2日の外来診療で細々と繋いでおりました。勿論妊婦健診は行いますが、お産は扱いませんでした。

 現在の常勤医は健康上の理由でしばしば外来診療を休んでいるようですが、恐らく今後は常勤医として働くのは無理でしょう。
市立根室には現在釧路赤十字と町立中標津から交代でやはり週に2日ほど外来応援が来ていますが、今後はその形が継続されるものと思われます。

 ご存じのように道東の産婦人科医は釧路赤十字の産婦人科(北大系)に集約されます。そのため釧路では年間のお産が桁違いに多く(4桁)自分の病院での業務も大変ですが、まあ医師数が多いので何とか根室に週に1日の外来応援は可能なようです。また北大産科のM教授(北大では産科と婦人科それぞれに教授が居る)は旭川の吉田学長と同様、地域の産婦人科診療の問題に何時も気を配っている方なので、取り敢えず産婦人科は戦線縮小ですが部隊の撤退は無いと思われます。

 ただこの産婦人科の問題、順調な妊婦さんなら週に2日の外来診療でも十分なのですが、時に早期破水や切迫陣痛などの予期しない経過が常に考えられます。その際(緊急時)に根室では無理ですので釧路赤十字に搬送するケースが多いのですが、場合によっては町立別海ないし町立中標津に送るケースも考えられます。しかし実際には様々な障害が有ります。
ですが敢てここではそれについては書きません。その理由については想像にお任せします。ただこれだけは申し上げます。

 「一見何とか順調に機能しているように見える道東の産婦人科医療のシステムも、実際には薄氷を踏むような現場の努力が有ってこそで成り立っている」 
(2013-02-24 18:02) 
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 ほんとうは市立根室病院の事務長がこうした心配に病院のホームページ上で答えるべきなのである。ホームページはあるが、患者に必要な情報が少ない。市立病院なのだから、もっと市民へ積極的に状況説明や情報開示してもいいのではないか?建物だけでなく市民への情報発信もよくなったらすばらしい。

 根室の産科医療は実に危うい状況にあるようだ。昨年190人の新生児が生まれているが、これをいつまでも別海町立病院や中標津町立病院や釧路日赤病院に「おんぶに抱っこ」というわけにはいかないのだろう。地域医療はそこで完結しなければいけないコアの部分があるようだ。産科や小児科そして老人のターミナルケアのための療養型病棟もコアに入るのだろう。
 全部を根室でそろえるわけには行かないとすれば、具体的に、どの科の医師を市立根室病院で確保すべきであり、具体的にどうしたら確保できるのかを議論すべきなのだろう。
 小児科のように医師の過重な負担を減らすために市民の側の意識改革や啓蒙が併行して必要になる診療科もある。
 根室の地域医療を市民も考えなければならない時期に来ている。

 この記事へはたくさんのコメントが寄せられた。「市立病院指定管理者」というおもしろいハンドルネームをお使いになって投稿された方もいるが、あまり紛らわしいハンドルネームの使用は現実の仕事を担当している方にご迷惑がかかる場合もあるのでご配慮願いたい。
 そういう問題は別として、具体的な問題についてのさまざまな意見や市民には知りえないような専門的な情報開示がなされているので、地域医療に興味のある方はどうぞ読んでください。諸事情を知った上で、根室の地域医療がどうあるべきかについてebisuとともにお考え戴きたい。

 時間と暇とご意見のある方は弊ブログコメント欄へ遠慮なく投稿されよ。ebisuには答えられないことでもフォローしてくれる投稿者がいる。よき集いの場になることを願っている。


【2月26日コメント欄からアップ】
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常勤医の問題は、2点あると思います。

 1.休業中も給料が支払われている(全額かは分かりませんが)
 2.他の産婦人科を探しているのか

1については、永年勤めている医師なら、いざ知らず、赴任してまもなく長期休業されているのに給料が支払われているのは問題ではないのか。最初の契約がどうだったのか知りませんが、一般企業に勤めたことがある人なら、納得できる回答ではないと思います。その上、出張医の手当がありますので、二重に無駄ではないのかな?と思います。

2は常勤医が赴任以来、全く話題に上がりませんので、そこまで本気で探していないと思います。周産期を扱うためには、まずは助産師、看護師の増員、小児科医の確保、それからでも遅くないので、以上の点に置いても全くやる気が見えません。

以上のことを踏まえて、常勤医に退職を迫れないのかと聞いた所、それは出来ないととある方から言われました。

病院側からしてみれば、常勤医という名目が欲しいだけですし、常勤医としてみれば、給料が支払われているので辞めるメリットはありません。

私の周りにいるお母さんたちはもう根室で出産したことのある人は皆無です。長年、休止してますので、根室で産むという選択肢は全くありません。根室で出産経験者も入院中に扱いが酷かったと言っているので、再開しても根室で産む選択肢は少ないかな?と思います。個人的には常勤医は不在でも構わないかな?と思っています(出張医がいての話ですが)。

もしくは、助産師外来の開設が必要かと思います。勿論、問題ない妊婦さんしか見れませんが、何かあったら日赤に電話してください、と言われるのよりは数段ましかと思います。

と、言うのも私自身が6ヶ月で陣痛が来て、翌日が運良く出産医の診察日で救急車で日赤に運ばれました。私は医師の初期の手当が良く、そのままのべ3ヶ月に渡り入院、入院中に破水して、正期産には満たないですが無事に出産出来ました(破水から2時間もかからずのスピード出産でしたので、根室にいたら途中で産まれていたと思います)。入院した翌日に運ばれてきた妊婦さんは破水して数日たち、もう足が見える、という時点に達していました。緊急帝王切開で600gの超未熟児で出産しました。初産婦は何が破水で何がお腹の張りか陣痛か、なんて分からないですし、やはり助産師や医師の診断がないとそのまま放置してしまう場合もあるかと思います。

日赤の助産師さんに聞いたところ、年間10人ほどは車中出産があるそうです(標茶、阿寒方面も含めて)。保健師さんに言った所、そういうマイナスな発言はしないで、と釘を刺されてしまいました。勿論、稀な事例ではありますが、自分がその立場になった時に情報が少なすぎです。

道東の周産期医療は釧路日赤が拠点で、北見からもハイリスク妊婦が運ばれています。道東の分娩施設を見ても、別海は町民優先、中標津は帝王切開が出来ません。別海から中標津に廻され、逆子だったため、日赤に廻された人もいます。経産婦の正期産の順調な妊婦だけでも、分娩出来れば、また切迫早産などの入院だけでも見ていただければ患者の負担も減るんですが(見舞いの交通費もかなりかかるので)。

長々と書いてしまいましたが、再開するにも宙ぶらりんな状態と患者側から見ても、思うので、やるならやる、辞めるなら辞める(常勤医をなくす)、という最終的は判断が必要なのかな?と思います。
by 〇〇 (2013-02-26 19:53)
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*#2208 市立根室病院の小児科はどうなる? Jan. 12,
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-01-12

 #2210 市立根室病院はどこへ行く?  Feb. 14, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-02-14





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