曇り空、朝9時は11度、正午になっても12度、寒い日だ。仮装盆踊りは夜だから浴衣姿にはカイロでも入れておいたほうがいいかもしれぬ。

 7月13日に一番古い中学校である母校のフリー授業参観に行った。目的のひとつは数学の授業速度の確認だった。中3年生の授業でやっていたのは52・53ページの平方根の計算の箇所、分母の有理化のところだった。教科書は259ページあるから、20%しか消化していない。3年生は教科書消化に使える期間が9ヶ月しかないからいま85ページの辺りをやっていなければ1月末に教科書を終われない。理想を言えば3年生は12月末には教科書を終えたい。
 #1997でC中学校のフリー授業参観をとり上げているが、同じところをやっていた。A校もC校も授業速度は同じだから、同じ問題を抱えていることになる。(ZAPPERさんが以前取り上げていたように、学力テストのテスト範囲も問題ありだ。12月末で教科書を終了するスケジュールでテスト範囲を再編成すべきだ。)
*#1997 体育祭準備の授業つぶし:杜撰な仕事管理の実態&"すっ飛ばし"の原因 July 4, 2012 
 http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-07-04

 再説することになるが、もう一度教科書の単元ごとのページ数を列挙する。
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fact 2: 章ごとのページ
1. 多項式  p.6
2. 平方根  p.34
3. 2次方程式  p.62
4. 2次関数  p.86
5. 相似な図形  p.112
6. 三平方の定理  p.148
7. 円  p.168
8. 標本調査  p.191
9. 巻末のページ 総合問題と復習 p.203~259
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 細かい計算は#1997を読んでいただくとして、簡単に結論を書いておく。
①いまの速度では単元の難易度を無視して単純計算で157ページまでしかやれない(単純計算値)
②2次関数、図形、統計とこれからやる単元のほうが難度が大きいからいまの授業速度では実際には100ページぐらいまでしかできない(ebisuの評価) 

 2月を総合問題に費やすとすると、1月中に教科書を終了していなければならない。3月初旬が入試だから3月は除外、そして夏休みと冬休みと修学旅行や体育祭などの行事で2ヶ月強、そうすると教科書をやる期間は次のようになる。
 12ヵ月-1ヵ月(3月)-2ヵ月(夏・冬・行事)=9ヵ月

 このままでは約100ページやり残すことになる。実際には、難しい単元をろくに計算練習もせずに「飛ばし」て授業をやり、終わったことにしてしまうから、成績上位10%の生徒以外は消化不良を起こしてしまう。あたりまえだろう。
 半数以上の生徒が中学校できちんと内容を理解していないから、高校に進学してから、2次関数の理解が浅い、数Aの「場合の数と確率」や「図形」「論理と命題」のところでつまずく、「三角比」や「三角関数」でつまづく、というようなことが起きる。

 根室高校普通科ですら数学授業に支障が出ている。1年生のガンマクラス(最上位クラス)の授業は5年前には1月半ばから数Ⅱをやっていたが1ヶ月以上遅れている。今年から宿題の出し方に変化が出ている。プリントに問題番号を印刷してそこに書かせるというやりかたをとっている。小学生でもデキの悪い生徒への対処法だろう。そこまでやらないと勉強しないから、授業に差支えが出る、そういう事実を中学校の先生たちは知らないだろう。根室高校普通科ですらこの5年ほどで"幼児化"がずいぶん進んだ。
 社会人となったときに、仕事で必要な学習を自発的にできるのだろうか?やっていないことは案外できないものだし、宿題を出されて勉強することが習慣になっているから、自発的な勉強は大半の者たちができない、問題が出るよ。それほど高校卒業までの勉強の仕方は大事なんだ。

 現在の授業速度をベースにして計算してわかるとおり、授業時間数が足りないが、それを補うには週に2時間増やし、その時間を習熟度別にクラス編成して、問題演習に当てればなんとかなる。

 この学校では数学の先生は2人、補助教員が2人である。3年と2年が3クラス、1年が2クラスの合計8クラスだから、週当たりの数学の授業時間数は
 8クラス×4時間=32時間

 先生一人当たりたった8時間で、一日当たり2時間弱に過ぎぬ。
 週に2時間増やすとどうなるか?
 8クラス×6時間=48時間
 先生一人当たり12時間だから、1日当たり3時間弱である。
 先生たちがシフト勤務で土曜日に2時間数学を教えればいい。

 選択肢はいくつか考えられる。聞いている限りでは、
 ⅹ:習熟度別のクラス編成をして補助教員と教師2人体制の授業
 y:1クラスを習熟度別に2クラスに分割して教師1人体制の授業

 そして、
 z:従来どおりの授業にシフト勤務体制で土曜日2時間を追加(ebisu提案)

 いろいろな選択肢が考えられるが、現状を見る限り授業速度が遅く、授業時間数が不足しているのだから素直な対処は選択肢zだろう。もちろん、xやyにzを組み合わせてもいい。
 まずは、教科書をまともに教えきることに全力を注ごう

 もちろんこれだけでは成績下層の半数の生徒を救うことができない小数や分数の基礎計算能力に問題ある30%の生徒は放課後補習に強制参加させてリターン学習授業を実施しなければ学力の向上が見込めぬから、そのための放課後補習は数学の先生全員でやる自分の生徒は他人任せにせず、自分が放課後補習する、あたりまえの話だ。これもあたりまえだが、小学校の先生たちとも話し合おう。そうしないといつまでたってもよくならぬ。

 症状を見れば診断は簡単に尽くし、だれもが納得のいく適切な治療法もある。あとは学校で議論してどうするか決めればいい。

 学校のホームページを立ち上げて、何をどうするのか、そしてどうなったのか、次はどうするのか、PDCAを科目ごと・学年ごとに明らかにすればいい。個人情報ではないのだから学力テストの結果も学年別・科目ごとの平均点や点数の分布を明らかにするのは何の問題もあるまい
 PDCAには数値情報公表が不可欠である。当たり前のことを当たり前にやる、学力向上のために一切のゴマカシをせずに、正直に誠実に仕事をすればいいだけ。余計なことは考えない、雑念なし、根室の子供たちの学力を上げるために正しいと思ったことを素直にやればいい


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*#2014 母校(中学校)の校長・教頭先生との対話(2):イジメ&非行 July 14, 2012 
 http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-07-15

 #2013 母校(中学校)の校長・教頭先生との対話(1):小中高のコミュニケーション July 14, 2012 
 http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-07-14

 #1997 体育祭準備の授業つぶし:杜撰な仕事管理の実態&"すっ飛ばし"の原因 July 4, 2012 
 http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-07-04

 #1988 学校の責任 June 28, 2012 
 http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-06-27

 #1987 フリー授業参観感想記(2)  June 26, 2012 
 http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-06-26

*#1940 職人技という視点から授業力を考える:C中学校フリー授業参観感想記  May 19, 2012 
 http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-05-19

 #1935 フリー授業参観に行こう:啓雲中学校  May 14, 2012 
 http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-05-14 




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