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#2186 フリー授業参観:C中学校 Jan. 25, 2013 [72.フリー参観]

 今日は雪が降っている。お昼頃になってツブが大きくなってきた。風は相変わらず吹いているから吹きだまりそうだ。

 午前中にC中学校の授業参観に行ってきた。1年生の数学と英語、3年生の英語授業を見た。他に社会の授業ものぞかせてもらった。


 わたしは数学と英語を教えているので、学校がどのような教え方をしているのか承知しておく必要がある。学校と同じことをやるのでは生徒は塾にくる意味がないから、別の角度から学習指導要領をはみ出した授業が望ましいのである。

 1年生の数学は空間図形のねじれの位置の説明のところだった。教室にぶら下がっている蛍光灯と窓のところに取り付けられた手すりを使って、
「これが交わりますか?」
と先生がある生徒を指名して質問した。すると生徒が、
「高さは?・・・」
三次元空間の高さを無視すると蛍光灯と手すりは同じ平面に置かれて交わることになるから、生徒はそれを確認したかったのだろう。授業では生徒から思わぬ質問が出るもので、そこが楽しい。少し考えてから女の先生は上手に捌いていた。
 わたしは教室の本棚のところにおいてあるテッシュボックスを使って説明しているが、大きい空間を使うとまた視点が違っていい。こういう引き出しを増やしておくことが大事だ。この先生、その後で箸のような色の異なる棒を二種類出してきて、生徒に選ばせてから「ねじれの位置」の説明をしていた。
「これだと平行ですが、ちょっとネジルと、ほら・・・」

 もう一クラスでは正多面体の組み立てをやっていた。正四面体、正6面体、正八面体、正十二面体、正二十面体全部をつくっていた。糊付けする者、テープで貼り付ける者、出来具合は個性が出ている。後ろの席の女の生徒がきれいにつくっていた。
「きれいにできてるね」
「ありがとうございます」

 別のクラスでも正多面体を作っていたが、こちらは色のついていない紙を使っていた。不器用な生徒が多いのか全体に雑で、きれいにできている生徒がいない。テープで張り合わせた者もいた。糊代を線の通りに張り合わせるのは案外難しい作業だ。
 人間の脳には性差があり、女の脳はイメージ処理が不得手にできているので、こういう風に実際に多面体を作って眺めて理解すると立体のところは「辺の数・面の数・頂点の数」の確認とそれらの間の関係理解が速くなる。
 わたしのところでも、イメージできない生徒には紙とハサミをわたしてつくらせて確認させる。

 数学は習熟度別に3クラスに分類されている。

 その後、3年生の英語の授業をすこしだけ見た。この先生の授業は次の1年生の英語でも見るのでほどほどにして隣のクラスの社会科の授業を見学させてもらった。根室市のハザードマップを使って、地震や津波のときにどこに避難するか確認していた。

 最後は、中1の英語だ。15cm×50㎝くらいの単語カードを使ってテンポのよい授業だった。これは教科書会社が提供しているカードだろうか。単元ごとにつくられており、他の学校でも同じカードを使っている。表に英語、裏に日本語が書かれている。こういうツールは使い勝手がいいが、教え方が同じになってしまうリスクもある。この先生は句単位で区切って先生と生徒が交互に読む音読トレーニングをやっていた。単調になりがちな音読を工夫していて、なかなか面白かった。こういう音読トレーニングは息が合うと楽しい、先生自身が楽しめるし、そうした気持ちは生徒にも「伝染」していた。後で聞いてみたら、テンポがいいから、このごろ英語が好きになり始めた生徒がでているようだ。いい授業だった。
 プログラム9-3をやっていたが、ここの音読は場面を思い浮かべて感情を込めるともっと楽しいはずだ。こんな文章である。最初の文は電話に出てお母さんに伝えているところだから、叫んでいる。だから、叫べばいい。
son: Mom! It's grandma.
       What are you doing?
Mother: I'm putting on my kimonos.
       Take a message, please.
son: Mom, grandpa is making ozoni for us.
       It's almost ready.
Mother: Oh, then, we can't be late.
       ・・・

【教科書は全部消化しよう】
 1年生の英語の教科書は140ページあり、「プログラム9-3」は97ページにある。消化率は69.3%だから、後一月半しかない1月下旬にここをやっていると全部消化するのは無理だ。単純割でも85%くらいの消化率でなければならない。授業進度は遅い。1年生の数学も消化率は変わらない。
 教科書を全部やりきる意識が低いのか、それとも授業スケジュール管理が甘いのか、ルーズになっているように感じた。学校祭や体育祭の準備で授業時間が相当つぶれているから、その辺を見直す必要はあるのだろう。それでも足りなければ、シフト勤務体制を組み、土曜日の授業をやるべきだ。速度を大きくして、放課後補習で対応してもいい。全道14支庁管内最低レベルにある根室の子供たちの学力を上げることは工夫と努力次第で必ずできる。
 教科書全部をきちんとやらないと、生徒達が勘違いをする。仕事って間に合わなくなったら、すっ飛ばしてやったことにしてもいいんだと受け止めかねない。なにがなんでも、放課後補習してでも、土日に授業してでも、きちんと教科書を終わらせたら、仕事って厳しいものなんだと生徒は受け止めるよ。それが社会人となったときに生きてくる仕事はごまかしてはいけないものなんだって、先生たちが背中で教えるべきなんだ。いま、まったく逆のことをやっているよ。ダメなことはダメなんだ。
 欲を言えば、2月半ばには教科書を全部消化して、総復習に1ヶ月充ててもらいたい。そうすれば4月の新学期の学力テストの平均点が10%は上げられる。
 成績が悪いと勉強は楽しくないが、学力が向上すると勉強を好きになる生徒が増える。好循環を生み出そう。

 折りよく、「釧路の教育を考える会」の副会長がブログ「情熱空間」で授業の進捗管理の実質上の指針となっている「学力テスト総合ABC」のテスト範囲スケジュールにクレームを表明しているので、あわせてお読みいただきたい。なぜ、こうも北海道の中学校の授業スケジュール管理が杜撰になっているのかその正体が明らかになっています。
*「北海道教育文化協会へものを申す(その2)」
http://blog.livedoor.jp/jounetsu_kuukan/archives/6248594.html


【授業を受ける姿勢の問題】
 気になったことがある、生徒の姿勢だ。学年に関係なく二重丸の付けられる生徒は1クラス25人に数人しかいない。完全にアウトと思われる生徒がやはり数人いる。ほとんどの生徒の姿勢が悪い。姿勢が悪いということは集中力がダウンしているということ。小学校6年間で癖になってしまっているから、中学校で治すのは至難だ。小学校低学年の授業で厳しく躾けるべきなのだろう。
 中学校の先生と小学校の先生が話し合う必要を感じた。小学校で6年間授業中に悪い姿勢で授業を受け続けたら、中学校で直すのは至難の業だ。場合によっては脊椎側弯症の原因になるし、もちろん学力低下にもつながっている。

【なぜ、フリー授業参観へいくのか】
 学校の先生の授業を見ることで、どういう教え方をしているのか知ることができる。塾で学校と同じような授業をしたのではまずい。生徒は塾で聞けばいいやと学校の授業に集中しなくなる。
 学習指導要領を無視して、それぞれの生徒の能力に応じた個別指導をしたい。できる生徒とできない生徒のまじったクラスでそれぞれ分からないところをピンポイントで説明する。理解力の大きい成績上位層の生徒には高校や大学の範囲まで教えて構わない。逆に何ヶ月も前にやったところを理解していないので問題に手のつかない生徒もいる。気軽に手を挙げて質問のできる生徒もいるし、内気で質問できない生徒もいる。だから、巡回してノートを見ながら、生徒に質問を掘り起こす。

 何をどういう意図で教えているのかを具体的なレベルで知ることは、学校と私塾が生徒に効果的な授業を提供するために大切なことなのだと思う。
 そして、小学校の先生と中学校の先生が話し合う必要もある。たとえば、授業のときの姿勢のシツケの問題や鉛筆のもち方の問題である。どちらも学習指導要領にはない項目だが、生徒の学力に著しい影響がある。
 地域の子供たちの学力を上げるためには、教育に携わる人々が垣根を越えてコミュニケーションする必要があるのだろう。

 他の塾のK先生も来ていたようだが、時間帯がずれたのかお会いできなかった。
 いろいろ書いていますが、フリー授業参観ありがとうございます。根室の子供たちの学力を上げる同志である先生たちみなさんに感謝しています。

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 <運動部活を指導している先生たちへ>
 ebisuは過度なブカツに反対しているだけで、ブカツすべてを否定しているわけではありません。長野県がつくった『運動部活指導の手引書』に準拠したブカツには賛成です。
 この手引書には、週に1日は休息日とすることや理論面の学習日をもうけることの重要性を指摘し、土日のブカツ禁止を明記しています。もちろん長時間のブカツも戒めています。これが文科省の方針でもあります(手引書の後ろのほうに文部省通達が載っています)。文武両道というよりも、文のほうに重点を置いた「武」であるべきだというのが文科省の方針と考えていいのでしょう。
 わたしは文武両道が理想で、そうあるべきだと思っています。
 現在のブカツは高校入試の内申に有利だという「俗説」に惑わされてたいした好きでもないのに参加している生徒が多いように見受けます。こんなに内申重視でなかった頃は、ブカツをやっている生徒は比率で見ると半分以下でした。
 「文武両道」を守れない生徒はブカツをやらせてはいけないのだと思います。学校は本来教育機関だからです。本業の学業を放り投げているような生徒はブカツをやる資格はないのだと思います。もちろん先生も本業の授業や放課後補習の手を抜いてブカツに入れ込むのはご法度です。

*#2182 おお、すばらしい! 運動部活動指導の手引書抜粋 Jan. 20, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-01-21


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