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#2204 中3の授業進捗管理(3):総復習期間は一月必要  Feb. 10, 2013 [72.フリー参観]

 中3の主要5科目で標準スケジュールで示された1月末で教科書すべてを終了したのはどうやらB中学校の国語のみだったようだ。 

 私立高校入試は2月、道立高校は3月初旬である。道立高校を照準としても、1月末には教科書全部を消化し、2月に複数の単元が一つの問題に集約されている複合問題演習をやらないと70%以上の得点はむずかしい。

 根室の中学生の数学の平均点が低いのは、複合問題演習を学校の授業でやらないことも主要原因の一つにあげられる。それは、年間の授業時間数を考慮した授業の進捗管理ができていないからだ。2月末に教科書を終わったのでは、塾に通う者がほとんどを占める成績上位者しか複合問題を解けないということになる。私は学校の先生たちにはこうしたことにも心を配ってほしい。

 複合問題に慣れていないことが、根室高校に進学してから全国レベルの進研模試を受けたときに、平均点の低さとしてあらわれている。
 根室高校普通科の1年数学の平均点は、私が見たものでは20~30点の範囲内に収まっており、百点満点で一度も30点を超えたことがない。全国模試は複合問題が多いが、それに根室の高校生は対応できないのである。
 あたりまえだろう、中学校の授業速度が遅いために、複合問題演習を3年間学校の授業でやっていないから、複合問題を解く力が弱いのはあたりまえだ。こうして毎年毎年低学力はつくられている。
 中学校の先生だけの責任というつもりはない。小学校の算数教育にはもっと大きな問題が隠されている筈。
 家庭学習習慣のない生徒が多いことも問題の一つであることは言うまでもない。だが、学校が授業の手を抜く口実にしてはならない。学校でできることは学校でやるべきなのである。

 授業速度が遅いと、成績上位層の「やせぼそり」現象が起きる。主要五科目(500点満点)で400点を越える生徒がこの数年間で激減してしまった。
 昨年の文協学力テストではひどいときには市街化地域の3校で400点以上が4人という学年もあった。7年前には3校で学年当たり50人以上いたのだが、根室市教委はこの現実をどう考えているのか?
 問題は中3だけではないのである。授業の進捗管理に問題があるのは中2も中1も似たようなもの。中2の確率の授業は時間がなくなり、スピード違反の「すっ飛ばし」授業があたりまえだから、成績上位層の生徒にしか理解できない。ニムオロ塾では高校の範囲まで教えている。そのほうが理解がいいからだ。

 数学に限って言うと、総復習に一月充てて複合問題演習をやっている学校はひとつもない
これでは、理屈で考えても成績上位層が減少するし、現実はこの数年間の成績上位層の「激減」となってあわられている(なぜこの数年間で学力上位層が激減しているのかについては他にも何か原因があるはず)。

 わたしが注視していたのは数学と英語の授業である。数学は前半の計算分野(式の展開・因数分解・平方根・2次方程式)にたっぷり時間をかけて教えている。前半は異常に遅いのである。わたしは実際の授業を参観させてもらい自分の目と耳で確認している。計算力が低い生徒が多いので仕方のない面もあるが、それが後半部の授業速度に大きな影響をあたえている。翌年の学力テストでそこが生徒達のウィークポイントになってしまうことは言うまでもない。

 弊ブログの過去ログを調べてみたら「#2021 母校(中学校)の校長・教頭先生との対話(3):授業速度と学力  July 20, 2012」で、授業の速度が遅いので、懸念を表明していた。再掲する。

 http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-07-20
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  曇り空、朝9時は11度、正午になっても12度、寒い日だ。仮装盆踊りは夜だから浴衣姿にはカイロでも入れておいたほうがいいかもしれぬ。

 7月13日に一番古い中学校である母校のフリー授業参観に行った。目的のひとつは数学の授業速度の確認だった。中3年生の授業でやっていたのは52・53ページの平方根の計算の箇所、分母の有理化のところだった。教科書は259ページあるから、20%しか消化していない。3年生は教科書消化に使える期間が9ヶ月しかないからいま85ページの辺りをやっていなければ1月末に教科書を終われない。理想を言えば3年生は12月末には教科書を終えたい。
 #1997でC中学校のフリー授業参観をとり上げているが、同じところをやっていた。A校もC校も授業速度は同じだから、同じ問題を抱えていることになる。(ZAPPERさんが以前取り上げていたように、学力テストのテスト範囲も問題ありだ。12月末で教科書を終了するスケジュールでテスト範囲を再編成すべきだ。)
*#1997 体育祭準備の授業つぶし:杜撰な仕事管理の実態&"すっ飛ばし"の原因 July 4, 2012 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-07-04

 再説することになるが、もう一度教科書の単元ごとのページ数を列挙する。
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fact 2: 章ごとのページ
1. 多項式  p.6
2. 平方根  p.34
3. 2次方程式  p.62
4. 2次関数  p.86
5. 相似な図形  p.112
6. 三平方の定理  p.148
7. 円  p.168
8. 標本調査  p.191
9. 巻末のページ 総合問題と復習 p.203~259
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 細かい計算は#1997を読んでいただくとして、簡単に結論を書いておく。
①いまの速度では単元の難易度を無視して単純計算で157ページまでしかやれない(単純計算値)
②2次関数、図形、統計とこれからやる単元のほうが難度が大きいからいまの授業速度では実際には100ページぐらいまでしかできない(ebisuの評価) 

 2月を総合問題に費やすとすると、1月中に教科書を終了していなければならない。3月初旬が入試だから3月は除外、そして夏休みと冬休みと修学旅行や体育祭などの行事で2ヶ月強、そうすると教科書をやる期間は次のようになる。
 12ヵ月-1ヵ月(3月)-2ヵ月(夏・冬・行事)=9ヵ月

 このままでは約100ページやり残すことになる。実際には、難しい単元をろくに計算練習もせずに「飛ばし」て授業をやり、終わったことにしてしまうから、成績上位10%の生徒以外は消化不良を起こしてしまう。あたりまえだろう。
 半数以上の生徒が中学校できちんと内容を理解していないから、高校に進学してから、2次関数の理解が浅い、数Aの「場合の数と確率」や「図形」のところでつまずく、「三角比」や「三角関数」でつまづく、というようなことが起きる。

 根室高校普通科ですら数学授業に支障が出ている。1年生のガンマクラス(最上位クラス)の授業は5年前には1月半ばから数Ⅱをやっていたが1ヶ月以上遅れている。今年から宿題の出し方に変化が出ている。プリントに問題番号を印刷してそこに書かせるというやりかたをとっている。小学生でもデキの悪い生徒への対処法だろう。そこまでやらないと勉強しないから、授業に差支えが出る、そういう事実を中学校の先生たちは知らないだろう。根室高校普通科ですらこの5年ほどで"幼児化"がずいぶん進んだ。
 社会人となったときに、仕事で必要な学習を自発的にできるのだろうか?やっていないことは案外できないものだし、宿題を出されて勉強することが習慣になっているから、自発的な勉強は大半の者たちができない、問題が出るよ。それほど高校卒業までの勉強の仕方は大事なんだ。

 現在の授業速度をベースにして計算してわかるとおり、授業時間数が足りないが、それを補うには週に2時間増やし、その時間を習熟度別にクラス編成して、問題演習に当てればなんとかなる。

 この学校では数学の先生は2人、補助教員が2人である。3年と2年が3クラス、1年が2クラスの合計8クラスだから、週当たりの数学の授業時間数は
 8クラス×4時間=32時間

 先生一人当たりたった8時間で、一日当たり2時間弱に過ぎぬ。
 週に2時間増やすとどうなるか?
 8クラス×6時間=48時間
 先生一人当たり12時間だから、1日当たり3時間弱である。
 先生たちがシフト勤務で土曜日に2時間数学を教えればいい。

 選択肢はいくつか考えられる。聞いている限りでは、
 ⅹ:習熟度別のクラス編成をして補助教員と教師2人体制の授業
 y:1クラスを習熟度別に2クラスに分割して教師1人体制の授業

 そして、
 z:従来どおりの授業にシフト勤務体制で土曜日2時間を追加(ebisu提案)

 いろいろな選択肢が考えられるが、現状を見る限り授業速度が遅く、授業時間数が不足しているのだから素直な対処は選択肢zだろう。もちろん、xやyにzを組み合わせてもいい。
 まずは、教科書をまともに教えきることに全力を注ごう

 もちろんこれだけでは成績下層の半数の生徒を救うことができない小数や分数の基礎計算能力に問題ある30%の生徒は放課後補習に強制参加させてリターン学習授業を実施しなければ学力の向上が見込めぬから、そのための放課後補習は数学の先生全員でやる自分の生徒は他人任せにせず、自分が放課後補習する、あたりまえの話だ。これもあたりまえだが、小学校の先生たちとも話し合おう。そうしないといつまでたってもよくならぬ。

 症状を見れば診断は簡単に尽くし、だれもが納得のいく適切な治療法もある。あとは学校で議論してどうするか決めればいい。

 学校のホームページを立ち上げて、何をどうするのか、そしてどうなったのか、次はどうするのか、PDCAを科目ごと・学年ごとに明らかにすればいい。個人情報ではないのだから学力テストの結果も学年別・科目ごとの平均点や点数の分布を明らかにするのは何の問題もあるまい
 PDCAには数値情報公表が不可欠である。当たり前のことを当たり前にやる、学力向上のために一切のゴマカシをせずに、正直に誠実に仕事をすればいいだけ。余計なことは考えない、雑念なし、根室の子供たちの学力を上げるために正しいと思ったことを素直にやればいい


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*#2014 母校(中学校)の校長・教頭先生との対話(2):イジメ&非行 July 14, 2012 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-07-15

 #2013 母校(中学校)の校長・教頭先生との対話(1):小中高のコミュニケーション July 14, 2012 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-07-14

 #1997 体育祭準備の授業つぶし:杜撰な仕事管理の実態&"すっ飛ばし"の原因 July 4, 2012 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-07-04

 #1988 学校の責任 June 28, 2012 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-06-27

 #1987 フリー授業参観感想記(2)  June 26, 2012 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-06-26

*#1940 職人技という視点から授業力を考える:C中学校フリー授業参観感想記  May 19, 2012 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-05-19

 #1935 フリー授業参観に行こう:啓雲中学校  May 14, 2012 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-05-14 


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 せっかくフリー参観授業をしても、地域社会の意見に耳を傾けなければ、なににもならぬ。フリー授業参観はやっているが、意見交換の場はない。私はたまたま学校管理職とお話しする機会があった。母校であること、一期生であること、近所に住んでいること、私塾の経営者であることは学校管理職はご存知である。
 しかし学校はあれから授業進捗管理に本気で取り組まなかったようだ、その結果が「あの騒ぎ」なのだろう。卒業生として残念である。
 他の4科目は大丈夫か?母校を思う卒業生の苦言に耳を傾け、誠実に取り組むのがベストだと思うのだが・・・。

 仕事は正直に誠実にしよう。渾身の力で


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*#2199 中3の授業進捗管理について Feb. 3, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-02-03-1

 #2200 ある中学生の意見 授業の進捗度について(釧路・転載記事) : Feb. 6, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-02-06-1

 #2201 ハネムーン期間(ブログ「情熱空間より転載」) Feb. 6, 2013
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-02-06-2

 #2202 中3の授業進捗管理(2):騒ぎはなぜ起きたか? Feb. 7, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-02-07

  #2216 所得税申告と期限遵守の重要性:学校の授業進捗管理を考える Feb. 18, 2013
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-02-18



【2月17日追記】
 関係者が反省すべき点を箇条書きにします。
①生徒へのアンケートで引用した文章は#2189の意図を捻じ曲げるものであったが、作成した当のご本人は「文章をまとめる」という教育技術上の基本に立ち返ってその技術を磨きなおすことを希望します。教育者として素直に努力する姿を生徒に見せてやってください。

②この「アンケート」は上司である校長や市教委の了解の元になされたはずだから、それらの人たちは同罪であると心得ること。オリジナルと比べてみたら、中3の国語の問題で文章を要約しろとの問題だったとしたら、零点の答案だった。教育者(校長)や教育に関わる行政機関としてはまことにみっともない。

③学校が実施した「アンケート」に煽られて愚かな書き込みをした生徒諸君への忠告。
 かならずオリジナルを読み、自分の目で事実を確認してから書き込むこと。そして個人が特定されるようなハンドルネームの使用は避けること。

④アンケート作成者へ
 文章をまとめるという基本的な技倆を磨くこと。そして教育者に大事なことはまっすぐな心根をもつことです。母校の第一期の卒業生が7月13日のフリー参観ではじめてお会いして、ブログに授業参観の感想を書きますとはっきりご挨拶しておいたのに、そこで指摘した数学の授業進度への懸念に何も対策をとらなかったことが今回の「騒動」で明らかになりました。これは管理職として職務怠慢ですから、反省してください。ebisuは怒ってはいません。あなたが今回の「騒動」を通して優秀な管理者へと成長されることを心の底から祈っています。だから、たいへんなチョンボのあった市教委にもオフィシャルなクレームは一言も申し上げていません。

⑤私がブログで個々の教育問題をとりあげるのは、ふるさとの子供たちの学力が全国最低レベルのままであることにガマンがならぬからです。そのためにはきついこともブログで書きます。意図をとりちがえないように。


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Hirosuke

当県の私立高校入試は、
早い学校だと正月明けの1月5日前後、
遅くとも1月の第2週には終了します。

「全国的には、そんな県もあるよ。」
というお話。


>私立中学入試は2月

たぶん「私立【高校】入試」ですよね?

by Hirosuke (2013-02-10 22:15) 

ZAPPER

お読みいただいている根室管内の中学校の先生方へ。
中3生学力テストで2割得点(60点)未満の子ども達の行く末がどうなろうかは、よくお分かりですよね?
中小零細企業であろうと正社員の道は遠く、非正規雇用すらままならないであろうことに、すでに気づいてらっしゃるはずですよね?
小学校がひどい、ひどすぎる。
一体、俺たちに何をどうしろって言うんだ?
お気持ち、痛いほど分かります。
でも、やるしかないんですよ。
入学後、たった3ヶ月間、補習を徹底したならば、たったそれだけのことをやるだけで状況は激変しますよ。
そして、もっともっと子ども達が愛おしくなる。
お願いです。
大人の誠意と真心を子ども達に示してあげてください。
そして、彼ら彼女らを救ってあげてください。
by ZAPPER (2013-02-10 22:35) 

ebisu

Hirosukeさん、ありがとう。

またタイプミスしてましたね。修正しました。
「私立中学入試」ではなく、「私立鉱区入試」です。

>当県の私立高校入試は、
>早い学校だと正月明けの1月5日前後、
>遅くとも1月の第2週には終了します。

早いですね。道内とは事情が違いますね。
全国にはいろんな県があり、さまざなな私立高校入試スケジュールがある。
他を知ることで道内の特徴が浮き彫りになります。
ありがとうございます。
by ebisu (2013-02-11 00:04) 

ebisu

>中3生学力テストで2割得点(60点)未満の子ども達の行く末がどうなろうかは、よくお分かりですよね?
>お願いです。
>大人の誠意と真心を子ども達に示してあげてください。
>そして、彼ら彼女らを救ってあげてください。

大人がみんなで協力して救ってあげたいものです。やれるんですから。

もちろんやってくれている小数の先生たちの存在を知っています。他の先生たちも参加してほしい。もっともっと輪が広がってくれたらこの町の未来は変わる。

ZAPPERさん、ありがとう。
by ebisu (2013-02-11 00:09) 

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