#2188 英語大きらいな中2の生徒にはスラッシュ・リーディング Jan. 27, 2013 [72.フリー参観]
中2の英語大きらいな生徒が教科書をせっせと写していた。
プログラム9だから教科書消化率は70%くらい、どの学校も英語と数学は教科書の消化率が悪い。
教科書の同等比較の文章をピックアップして単語を入れ替えたり、変形問題をいくつかやらせながら質問を捌きながら様子を見ていたら手が上がった、質問があるようだ。きれいに書けていたのでほめたら、和訳がわからないので教えてほしいという。
教科書の後ろの単語表をみて新出単語は意味を調べるように指示をして様子を見る。だんだんいらいらしているのがわかる。
「どうだ、むずかしい?」
「どうやったらいいのかわかんない」
みたらまったく手をつけていない。3文ほどチャンクで切りながら訳していったら、切らずに文全体の日本語訳がほしいという。要求にこたえたが、これでは勉強にならぬ、さてどうしよう。
教科書に鉛筆でスラッシュを入れていった。同じようにノートに写した文にスラッシュを入れさせた。ついで、スラッシュで区切った句を訳していった。
「文全体の訳はやらずにおこう。スラッシュを入れたところ、そこのカタマリごとにだったら訳せるかな?、こういう風にやるんだ」
そう言いながら、やって見せる。
「え、それだけでいいの?」
「それだけでいい、主語とか動詞とか目的語とか単語がいくつか組み合わさったものを句というんだ、句がいくつか集まって文ができている。だから、句単位で意味がつかめたら、もう半分以上文の意味がつかめているよ、やってごらん」
「語順:主語+動詞+目的語など+場所+時間」
「他の人もノートにメモッておこう」
すこしやらせてから、三つの文にスラッシュを入れる。
「よくみてごらん、主語が来て、動詞が来て、つぎにその動詞の目的語があるだろ、その次に場所を表す句がきて、最後は時間を表す句がきているから。」
3文やらせてから、
「英語は語順が決まっているんだ、それがわかれば楽になる、すこしわかったようだね」
「これならやれそうな気がする」
「家に帰ってから、もう一度みてやってごらん、来週月曜日に学校からまっすぐにおいで、三年生が何人かいるけど、続きをやろう」
きらいな科目を授業のはじめは無愛想な顔をしてやっていたが、少し分かり始めたら表情がおだやかでにっこり笑顔がこぼれている。
きらいなことをやるのが嫌で、多少短気な性格がわざわいしていたが、大きな山をようやく越えたのかもしれない。自分の性格的な欠点は自覚はしているのだが、なかなか乗り越えられないでこの半年ほどモンモンとしていた。
でも、家で勉強する習慣がまだついていないから油断は禁物。
小学校時代に家庭学習習慣をつけられなかった生徒は中学生になってから苦労が多い。たまにはやったはずだが、6年間家庭学習をほとんどしなければ、それが習慣になってしまっているから、直すのはよほど強い自覚がでてこないとむずかしい。他にもそういう生徒はいるが、いつまでも甘い顔はできない。
彼ら・彼女たちは子どもから大人へ成長を遂げつつあるから1年生のときとは同じ対応はしない。年々厳しくして、大人の社会のルールを身につけさせる。社会人となったときにルールを守ってきちんと仕事ができるように、中学生から躾けないと間に合わない。
「教えたところの復習もしてこないと成績が上がるはずがない。ここは成績を上げるための塾だから、家で復習しない生徒はいらない。中2ももう終わりに近いから家で勉強してこない生徒、私語がとまらない生徒は休塾勧告をすることになるから、そろそろきちんとしなさい」
社会人になったら言い訳はなしだ、それをやったら信用がなくなる。言われたことは期限の前にきちんとやり、言われなくても次に何をすべきか自分で考えて先手を打って仕事ができるように、数学と英語の勉強を通じてシツケをする。
社会人になってからでは遅い、社会人になってきちんと行動できるような大人になるには、中高生のときの躾けが重要だ。
体育系のブカツをやっていても、目上の者(先輩や先生)への口の利き方もしらない生徒が増えている。
ダラダラ準備し、長時間やり、座学(理論研究)をしない。そんな低レベルなブカツに3年間浸かったら、毎日繰り返したやり方が習慣になり、しまいには性格になっている。
社会人に要求されるのは、時間を半分にして同じ効果をあげうるトレーニングの方法を考え、実行して成果をあげることだ。
企業が要求することと真反対の行動スタイルをブカツで習慣にした生徒を採用したいと思う企業はないだろう。
話しを元に戻そう。スラッシュリーディングは高校でやるが、中2の英語がきらいな生徒にたいへん有効な指導方法であるといまさらながら気がついたしだい。これも英語がきらいな生徒がいるお陰である。試行錯誤を繰り返すうちに、ある日気がつく。
昨日、看護師志望の英語が苦手な高校2年生が英検準2級を受験するので勉強に来ていた。問題集で分からないところに印をつけて、質問に来たのだが、スラッシュリーディングしながらシーンのつかまえ方を教えた。スラッシュリーディングで具体的なシーンが頭にくっきり浮かべばほとんどの問題はすぐに正解が見つかる。今日試験だ。
【瓢箪から駒】
ディカルト『方法序説』(岩波文庫)、科学の「四つの規則」P.28より
「第ニは、わたしが検討する難問の一つ一つを、できるだけ多くの、しかも問題をよりよく解くために必要なだけの小部分に分割すること。」
生徒の能力に応じて文を分割すればよかった、そうすれば自力で和訳ができるようになる。スラッシュ・リーディングはある程度英語ができるようになった高校生のための技術だと思い込んでいた。先入見があると中2の英語苦手の生徒に有効なことにすら気がつかぬ。
先入見を解除するうまい方法があればいいのだが、それが見つからぬ。意識を集中することは、集中しないで意図的に360度全方向に分散させるのに比べたら実に簡単。集中を意識的に消すことはできるのだが、先入見を消す方法がみつかるだろうか?
ありそうだ、酒を飲めばいい。よき仲間としたたかに呑む、酒量の多いうちが華だ。
雪をかいだ後の本日の酒は八海山生酒、雪見酒と洒落てみた。女房殿はぜんぜん飲めないから、お気に入りのグイノミで雪景色を肴にちょこっと一杯、また一杯、ああ、だんだん先入見が消えていく。ようするに、おバカになればいいのである。(笑)
プログラム9だから教科書消化率は70%くらい、どの学校も英語と数学は教科書の消化率が悪い。
教科書の同等比較の文章をピックアップして単語を入れ替えたり、変形問題をいくつかやらせながら質問を捌きながら様子を見ていたら手が上がった、質問があるようだ。きれいに書けていたのでほめたら、和訳がわからないので教えてほしいという。
教科書の後ろの単語表をみて新出単語は意味を調べるように指示をして様子を見る。だんだんいらいらしているのがわかる。
「どうだ、むずかしい?」
「どうやったらいいのかわかんない」
みたらまったく手をつけていない。3文ほどチャンクで切りながら訳していったら、切らずに文全体の日本語訳がほしいという。要求にこたえたが、これでは勉強にならぬ、さてどうしよう。
教科書に鉛筆でスラッシュを入れていった。同じようにノートに写した文にスラッシュを入れさせた。ついで、スラッシュで区切った句を訳していった。
「文全体の訳はやらずにおこう。スラッシュを入れたところ、そこのカタマリごとにだったら訳せるかな?、こういう風にやるんだ」
そう言いながら、やって見せる。
「え、それだけでいいの?」
「それだけでいい、主語とか動詞とか目的語とか単語がいくつか組み合わさったものを句というんだ、句がいくつか集まって文ができている。だから、句単位で意味がつかめたら、もう半分以上文の意味がつかめているよ、やってごらん」
「語順:主語+動詞+目的語など+場所+時間」
「他の人もノートにメモッておこう」
すこしやらせてから、三つの文にスラッシュを入れる。
「よくみてごらん、主語が来て、動詞が来て、つぎにその動詞の目的語があるだろ、その次に場所を表す句がきて、最後は時間を表す句がきているから。」
3文やらせてから、
「英語は語順が決まっているんだ、それがわかれば楽になる、すこしわかったようだね」
「これならやれそうな気がする」
「家に帰ってから、もう一度みてやってごらん、来週月曜日に学校からまっすぐにおいで、三年生が何人かいるけど、続きをやろう」
きらいな科目を授業のはじめは無愛想な顔をしてやっていたが、少し分かり始めたら表情がおだやかでにっこり笑顔がこぼれている。
きらいなことをやるのが嫌で、多少短気な性格がわざわいしていたが、大きな山をようやく越えたのかもしれない。自分の性格的な欠点は自覚はしているのだが、なかなか乗り越えられないでこの半年ほどモンモンとしていた。
でも、家で勉強する習慣がまだついていないから油断は禁物。
小学校時代に家庭学習習慣をつけられなかった生徒は中学生になってから苦労が多い。たまにはやったはずだが、6年間家庭学習をほとんどしなければ、それが習慣になってしまっているから、直すのはよほど強い自覚がでてこないとむずかしい。他にもそういう生徒はいるが、いつまでも甘い顔はできない。
彼ら・彼女たちは子どもから大人へ成長を遂げつつあるから1年生のときとは同じ対応はしない。年々厳しくして、大人の社会のルールを身につけさせる。社会人となったときにルールを守ってきちんと仕事ができるように、中学生から躾けないと間に合わない。
「教えたところの復習もしてこないと成績が上がるはずがない。ここは成績を上げるための塾だから、家で復習しない生徒はいらない。中2ももう終わりに近いから家で勉強してこない生徒、私語がとまらない生徒は休塾勧告をすることになるから、そろそろきちんとしなさい」
社会人になったら言い訳はなしだ、それをやったら信用がなくなる。言われたことは期限の前にきちんとやり、言われなくても次に何をすべきか自分で考えて先手を打って仕事ができるように、数学と英語の勉強を通じてシツケをする。
社会人になってからでは遅い、社会人になってきちんと行動できるような大人になるには、中高生のときの躾けが重要だ。
体育系のブカツをやっていても、目上の者(先輩や先生)への口の利き方もしらない生徒が増えている。
ダラダラ準備し、長時間やり、座学(理論研究)をしない。そんな低レベルなブカツに3年間浸かったら、毎日繰り返したやり方が習慣になり、しまいには性格になっている。
社会人に要求されるのは、時間を半分にして同じ効果をあげうるトレーニングの方法を考え、実行して成果をあげることだ。
企業が要求することと真反対の行動スタイルをブカツで習慣にした生徒を採用したいと思う企業はないだろう。
話しを元に戻そう。スラッシュリーディングは高校でやるが、中2の英語がきらいな生徒にたいへん有効な指導方法であるといまさらながら気がついたしだい。これも英語がきらいな生徒がいるお陰である。試行錯誤を繰り返すうちに、ある日気がつく。
昨日、看護師志望の英語が苦手な高校2年生が英検準2級を受験するので勉強に来ていた。問題集で分からないところに印をつけて、質問に来たのだが、スラッシュリーディングしながらシーンのつかまえ方を教えた。スラッシュリーディングで具体的なシーンが頭にくっきり浮かべばほとんどの問題はすぐに正解が見つかる。今日試験だ。
【瓢箪から駒】
ディカルト『方法序説』(岩波文庫)、科学の「四つの規則」P.28より
「第ニは、わたしが検討する難問の一つ一つを、できるだけ多くの、しかも問題をよりよく解くために必要なだけの小部分に分割すること。」
生徒の能力に応じて文を分割すればよかった、そうすれば自力で和訳ができるようになる。スラッシュ・リーディングはある程度英語ができるようになった高校生のための技術だと思い込んでいた。先入見があると中2の英語苦手の生徒に有効なことにすら気がつかぬ。
先入見を解除するうまい方法があればいいのだが、それが見つからぬ。意識を集中することは、集中しないで意図的に360度全方向に分散させるのに比べたら実に簡単。集中を意識的に消すことはできるのだが、先入見を消す方法がみつかるだろうか?
ありそうだ、酒を飲めばいい。よき仲間としたたかに呑む、酒量の多いうちが華だ。
雪をかいだ後の本日の酒は八海山生酒、雪見酒と洒落てみた。女房殿はぜんぜん飲めないから、お気に入りのグイノミで雪景色を肴にちょこっと一杯、また一杯、ああ、だんだん先入見が消えていく。ようするに、おバカになればいいのである。(笑)
2013-01-27 18:23
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