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#2089 B中学校フリー授業参観(2) Sep. 21, 2012 [72.フリー参観]

 今日(金曜日)も3時間目の授業を見てきた。三年生の数学を見たかったからだ。
  一クラスの授業が二つにグループ分けされており、基礎グループは10人、標準グループは26人だ。
 基礎Gは2次方程式を複数の先生で教えていたが、個別指導が間に合っていない。学校の先生たちは放課後補習をやらないから、できない生徒の個別補習に慣れていない様子。一人の先生が3人みていたが、手持ち無沙汰の生徒一人にヒントをあげたら、1問目なんとかクリア、「先生、これであってる?」と横の生徒に教えている先生に確認を求めていた。次の問題もやはり途中でつまづいているので、またヒントをあげる。これもクリア、三問目だ。X^2のところが多項式になっている2次方程式の二つ目の問題だ。答えが a±b√c になるタイプのもの。√12のままだったので、「ここ、まだ終わっていないよ」と該当箇所を指で押さえて小声で言うと、「わかった!」と正しく処理した。「数学は分かると楽しいだろう?」とまた小声で聞いてみた、「はい、楽しい!」、いい笑顔だった。
 余計な口出しをして申し訳なかった。個別指導はなれないとむずかしい。とくに成績の悪い生徒の個別指導は手こずるのが普通だ。個別指導のコツはヒントを出してやること、ただし生徒の段階に応じて最小限にとどめること、そうしないと生徒自身の達成感が薄くなるからだ。自分でやってできたという実感のわく指導の仕方がベスト、そのあたりの匙加減が経験値で決まる。そしてできたら、ほめてやることだ、「やればできる、必ずできるようになる」と言葉に出してあげると、自信が湧く。できなかった生徒ほど自力で分かったときには嬉しそうな笑顔を見せてくれる。
 隣の生徒に先生がノートに書き込んで説明していたが、姿勢が悪い。あ~あぶない、やはり姿勢が崩れたまま寝てしまった。やっかいなことに、勉強をしないことが習慣化されてしまった脳は、勉強を始めたとたんに拒絶反応を起こし、"ご主人様"を眠らせてしまう。たった十人の授業に先生が二人ついてもこういうことが起きるから、基礎Gのほうの授業のたいへんさがわかるだろう。どの学校、どのクラスにもたいていこういう生徒が一人か二人いる。
 その一歩手前の生徒たちの中には、問題に取り組み始めるとパニックを起こし感情がコントロールできなくなる生徒がいる。理性の座である前頭前野が未発達なのだろうと推測している。
 嫌なことを我慢してやり遂げるとか、勉強のときに使う脳の部位は同じところで、勉強することや我慢をさせることで、その機能が発達する。脳が発達するといっていい。ところが、家庭学習習慣がなく、親も甘やかす、ジジババも甘やかして、ブカツやゲーム三昧してきた子どもは、脳の前頭前野に負荷をかけることが著しく少なくなるから、未発達のまま中学生になっている。こういう生徒が一番厄介なのである。B中学校でも年々増えているよ。いま学年60~76人だが、最下位層の10人は5年前のB中学校には一人もいなかった。そして学力テストで400点を超える生徒が四分の一ほどに減少している。20人いたのが5人以下だ。原因の一つは小学校低学年で家庭学習習慣を躾けられない親が「激増」していることと、小学校の先生たちが授業力に問題を抱えていること、ブカツに異常に入れ込みすぎていることだ。ブレーキのない先生たちや保護者が多すぎるから、小学校のブカツは週に3日までと制限をすべきだ。学校行事で国語と算数の授業を平気で潰すのも大きな問題の一つに数えられる。具体的な問題はそれぞれ一つずつ解決可能なものばかりだ。

 成績で2グループにわけて、先生たちは成績不良の生徒を指導するたいへんさがわかっただろう。C中学校では三つのグループに分けたが、テストの平均点が30点台、60点台、80点台とはっきり分かれてしまっている。成績でクラス分けすれば、それがそのまま固定化することになる。
 成績下位層の三人に一人は同じことを10回、20回繰り返してもできない生徒がいる。それでも、できないという思い込みがとれれば何とかなる場合が多い。そこも個別指導のワザで、「バリア・リセット」とか「アレルギー反応鎮め」と呼んでいる。時間がかかる作業だが、これをうまくやらないといつまでたっても個別指導の努力が徒労に終わる。お互いに時間のロスだが、ここを一緒に乗り越える覚悟をこちら側がもたないといけない、あきらめたらそこまでになる。

 小学校6年間でつまづいた者が通常の方法では1年で治るわけがない。2年かけるつもりで取り組まなければならない生徒もいる。根気と観察と励ましが必要なのである。小学校に入学したときに家庭学習習慣をつける努力と本を読む環境を家庭(と学校)はぜひ心がけてもらいたい。努力のできる子ども、成績のよい子どもを育てるための大事なポイントがここにある。
 家庭学習習慣をシツケできずに六年間ほったらかしにしたり、小学校の先生たちが国語や算数を教え切れなかったら、中学校の先生たちはたいへんな苦労をすることになる。いままではクラス分けせずに、放課後補習もしなかったから、習熟度別クラス編成をして初めて成績下位層の生徒の学力を上げる大変さを実感しているはずだ。通り一遍の授業で何とかなるはずがない、基礎コースの授業はまだ思い違いがあるようにみえる。
 悪いことは言わぬ、ブカツは週に2度は休んで放課後補習をしてやんな。自分の生徒すら満足に教えきれないで放課後補習もやらずにブカツ指導している場合ではないだろう?さっさとブカツ指導は辞退して本業の授業と補習に渾身の力で取り組んでみたらいい。先生たちの個別指導のスキルが格段に上がるだろう。
 十点台の生徒が突然80点を超えるなんてことはないと思い込んでいるだろう。きちんと個別補習してやれば、5人に一人はそういう域に突入する。放課後補習をしないからわからないのだ。できない生徒を放置するな、あなたたちの仕事だ


 さて、標準Gのほうは2次方程式の文章題の最後のところで、教科書85ページの問題をやっていた。教科書の内容をきちんと教えるのはたいへんだ。一次関数との複合問題は大半の生徒が理解できていない様子で、先生は机の間を歩き回って、個別の質問に答えていた。
 86ページから2次関数だ、教科書は230ページくらいあったのではないだろうか。授業速度が遅い、これでは1月末で50ページ以上やり残すことになる。北海道でやっている学力テストの範囲スケジュールが学校の授業に悪影響を与えている。これ見直さないとダメだ。校長会の天下り団体がやっているという噂があるが、学校を辞めてから、悪さはするな。
 1月末までに教科書を終了させ、2月を総合問題に充てるスケジュールなら、いまごろは130~140ページあたりをやっていてほしい。とんでもなく遅れている。こんなに遅い授業速度で仕事の責任が果たせるのか、わたしは数学担当の先生たちの意見を聞きたい

 教科書の単元ごとのページ数を列挙する。
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章ごとのページ
1. 多項式  p.6
2. 平方根  p.34
3. 2次方程式  p.62
4. 2次関数  p.86
5. 相似な図形  p.112
6. 三平方の定理  p.148
7. 円  p.168
8. 標本調査  p.191
9. 巻末のページ 総合問題と復習 p.203~259
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 ついでに、2年生の国語の授業を見た。生徒の机の上には例解国語辞典と漢和辞典(ベネッセ)がおいてあった。授業で使っているようだ。英語の授業はどの学校でも英和辞典を使っていない、おかしな話だ。いくら会話重視だって、辞書も引かないでどうやって勉強するの?日本語教育のほうは辞書を使っているから少しまともだ。
 生徒に作業をやらせるときには指示は具体的でなければならない。何をどうやるのか、何ページのどこを何回やるのかはっきり指示しなかったので、あちこちからな「なにやるの?」「どこやるの?」「何回やるの?」と声が上がっていた。先生という職業は一生勉強です。どんなに授業が上手になったつもりでも、生徒は一人一人違う、そして毎年新たな生徒が入学してくるから、工夫の余地がつねに生まれるもの。教師は毎日研鑽を積むしかない。指示されたのは漢字の読みと書き問題だった。
 「仮借」の例をいくつか黒板に挙げていたが、語彙説明をどのようにしたのか興味があったが、授業の終わりのほうだったので聴けなかったのが残念。
 いまの子どもたちは児童書の次のステップの本を読んでいる量が少ないから、語彙解説の頻度を増やしてやらないと、日本語を使った説明なのにちっとも授業で話されたことが理解できないという事態がおきる。国語の授業に限らず、語彙解説は必要だ。どこかの中学校の社会の先生が、語彙解説を工夫しながら授業をしていた。C中学校だったはずだ。なるほど、これなら生徒は理解できると合点がいった。

「ケイヨウシはメイシをシュウショクする」
と授業で説明して、適切な漢字を頭に思い浮かべ正しく理解できる生徒は中2では10~20%かな。
なかなか手ごわい生徒が多いのである。
 ニムオロ塾では、小学生も中学生も音読トレーニングをやっている。生徒たちの日本語語彙を豊にしたいためだ。使っている教材は、
中1 『読書力』斉藤孝著
中2 『国家の品格』藤原正彦著
中3 『すらすら読める風姿花伝』世阿弥著、林望現代語訳
   『日本人の矜持』藤原正彦著

 教室の後ろ側の棚の中に30冊ほど本が並べてあるが、内容が貧弱すぎる。C中学校のある教室が充実していた。北方謙三の『三国志』が文庫本で全巻揃っていた。他にも目に付くものがあった。
 市教委は各教室に文庫本でいいから毎年1万円程度の予算をつけてやればいい。良質な本が半分くらいあればいい。半分だけ生徒に選ばせてやろう。

*#2093 教員の質向上はどうやる?⇒ "Educating educators" Sep. 25, 2012 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-09-25-1

 #2092 根室の子どもたちの大学進学率と地元企業の自己改革について Sep.25, 2012 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-09-25

 #2090 プロの仕事をしよう:授業速度管理の提案 Sep. 23, 2012
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-09-23

 


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コメント 10

Hirosuke

最近の中3生は子供っぽいですね。

僕等の頃は、もう少し大人っぽかった気がします。

人によりけりでしょうけども。

by Hirosuke (2012-09-21 22:58) 

ebisu

Hirosukeさんへ

大人の本を読む中学生が激減したからでしょうね。身体は大人になっても、精神の成長が追いつかない。

大学生だって、戦時中の学徒出陣した学生の書き残したものをみると、団塊世代と比べたってずっと大人です。
まして、昨今の大学生とは精神の高みが比べものになりません。読んでいる本のレベルも。

中学校三校の授業参観で、教室の後ろの棚においてある30冊ほどの本をみて、その量の少なさと内容に貧弱さにがっかりしています。たまに80冊ほどおいてある教室があると、嬉しくなります。

年に一度、ボランティアの人たちが古本市を開いてくれていますが、そこにはけっこういい本も並びます。発売当時の定価の十分の一で販売するのでとても安価です。
ハードカバーの太宰治全集を3000円くらいで手に入れました。いずれ古本市にお返しするつもりです。
私の蔵書の中から特殊な専門書を除いて2000冊くらいをおまけにつけて出す日が来るかな。


by ebisu (2012-09-21 23:16) 

Hirosuke

>北海道でやっている学力テスト

当県の模試はクリスマス前が最終回です。
1ヵ月後に成績票を返却。
その2週間後に願書締切というスケジュールです。

ですから、どこの塾も、
年内に全範囲を一通り終わらせます。

学校は2月いっぱい掛けてますけどね。
by Hirosuke (2012-09-22 17:52) 

ZAPPER

この記事をお読みいただいている先生方へ。
この記事の最大のポイントはここだと私は思うよ。

授業参観にきたebisuさんが、たった5秒で、できない生徒の心に、褒めてあげて「分かる・できる」と小さな火を灯した。
それを1コマの中で、あなた方は、何名の生徒に何回のそれを灯すことができたのか?

教師を志した原点は、ここにあるのではありませんか?
by ZAPPER (2012-09-22 22:09) 

ebisu

Hirosukeさんへ

私のところは個別指導ですから、12月に数学の全範囲を終わっているのはせいぜい20%です。
予習方式に切り換えられる生徒がそんな程度しかいません。東京では、中学受験をする生徒は小学校4年から、完全に予習方式ですから、根室の子どもたちの学力が都会の子たちよりも劣るのは当然です。

関西弁の先生が多いのは関西では教員試験が合格できなかったというケースが多いということのようです。根室なら教員になりやすい、つまり教員になるハードルが低いということ。事実のようです。

すくなくとも、1月中には全範囲を終わってほしいものです。それがまともな仕事です。まともな仕事のできない先生が多い。
進捗管理ぐらい、校長先生でも、市教委でも簡単に管理できるはず出すが、なぜしないのか理解できません。ギャングじゃあるまいし、アンタッチャブル?
教科書を教えきれない人は、教員としての適性を欠いていると判断すべきでしょう。
転職をお薦めします。
by ebisu (2012-09-22 23:30) 

ebisu

ZAPPERさんへ

>教師を志した原点は、ここにあるのではありませんか?

学ぶ心をなくしたら、教えられません。やって見せてあげたのに一人はまるで気がつかなかったでしょうね。
要点を書くと簡単なことなのですが、学ぶ心をなくした「ベテラン教員」には個別指導はむずかしい。
ポイントを外した授業をしていました。
放課後補習をやっても、あんなスキルでは効果が小さい。

フリー授業参観、何度でも見に行きます。
そして上手になっていたら、ブログでそう書きます。

by ebisu (2012-09-22 23:42) 

Hirosuke

>「ここ、まだ終わっていないよ」と該当箇所を指で押さえて

僕の場合、赤ペンで下線を引きます。
見回り1周目はコレに徹すれば良いのです。
2周目に、下線箇所をチェック。
直ってれば、青ペンで○を付けて、進ませる。
直ってなければ、腰を据えて解説する。
数人が同じ箇所を間違えてたら、まとめて黒板で解説する。

これなら効率いいですよ。

by Hirosuke (2012-09-23 00:03) 

ebisu

Hirosukeさんへ

基礎グループの10人はおおよそ学力テストの点数が30点以下の層です。小学校の算数(分数や小数の四則演算、逆九九)にも問題を抱えています。
成績中位層なら仰る方法が有効でしょう。なかなかスマートな巡回ですね。目に見えるようです。
C中学校の発展クラスをご担当の先生は参考にしてほしいですね。

>直ってなければ、腰を据えて解説する。
>数人が同じ箇所を間違えてたら、まとめて黒板で解説する。

これら二つはその通りですね。

彼ら・彼女たちは、ヒントゼロ、あるいは語彙解説なしではほとんどの文章問題の意味がつかめません。国語能力にも大きな欠陥を抱えています。文章題中に使われている簡単な語彙でも解説の必要があります。「傾き」と「変化の割合」が同じものを指しているのだということを、具体的な問題でなんども説明しないと分かったようでも、「二つの直線が平行」となったとたんに何のことが判断がつかなくなります。「傾きが同じ」と「平行」は同じことを言っているのですが・・・「y切片」を「直線がy軸と交わる点」と言い換えたとたんに意味が理解できなくなるのです。

斉藤孝『読書力』(岩波新書)レベルの本を読ませると、1ページに6~15前後も読めない漢字がでてきます。てにおはも頻繁に間違えて読みます。読む速度も標準的な生徒の半分以下です。

基礎グループを教える先生たちはほんとうにたいへんだと思います。ちょっと、先生たちには酷だなともいつつも、根室の子どもたちの学力向上のためには、プロとして立派な仕事をしてほしいと願って、言いにくいことをあえて書いています。

by ebisu (2012-09-23 01:14) 

ZAPPER

できても、褒めてあげない。
それ以前に、ヒントの出し方がまるでなっていない。
個別指導のキモは、個々の生徒の理解力・学力に応じたヒントの出し方とその度合いに尽きます。
ところが、それがまるで分かっちゃいない。
そもそもそれ以前に、言葉の使い方がなっちゃいない。
低学力の子に対して難しい言葉を用いるのは、絶対に厳禁です。
彼らが理解できる言葉を用いてあげなけりゃ、余計な苦痛を与えるだけ。
それを改善するには、言葉の意味を易しく教えてあげながら授業を進めれば良いだけ。
そうすれば、語彙力の向上にも貢献する。
と、ここまで書いてもその意味すら理解できないのでしょうかね?
どうしてそこまで鈍いのかが、私にはまったくもって理解不能であります。
相手の目を見りゃ分かるだろうーに。
五感で感じれば分かるだろーに。
一斉指導ができても個別指導ができないって、そりゃウソだよ。
そもそも一斉指導が、論外なレベルなんだよ。
生徒を寝せてしまう授業、そんなものは切腹ものだよ。
いいかい、寝せたら切腹なの、マジで。
by ZAPPER (2012-09-23 22:49) 

ebisu

ZAPPERさんも私も感覚派。
でも、論理をトコトン詰めるような仕事のやり方へスィッチできる。

集団指導もトコトン徹底したことがあれば、個別指導だってできないわけはない。やり方はまるで違うけど、徹底すればわかってくる。生徒の顔をみていりゃどうすればいいかは分かる。

個別指導の上手な先生は「ほめ上手」でもある。ツボを外したほめ方は単なるおだてで、生徒はすぐに見破ります。

私は集団指導で板書のしかたまで事前に検討したことがありません。だから、集団指導はかなり好い加減です。
1クラス10人程度しか生徒を取りませんので、この人数なら個別指導でいけます。

できない生徒を数人グループにまとめて教えることはあります。できる生徒はときどき質問に答えてやるのと、巡回してノートをチェックするだけでいい。要点だけで理解するので、手間がかからない。予習方式でその生徒に応じた速度で問題演習中心にやらせています。

ふるさと根室に戻ってきて、やりたいようにやる。
札幌にもないような一風変わった私塾が根室にあっていい。
by ebisu (2012-09-23 23:49) 

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