2月26日の北海道新聞に中標津町の23年度予算が載っていたので、比較してみたい。

          中標津町       根室市          
一般会計予算 125.5億円    160.9億円
       (前年比1.8%) (前年比3.8%

 中標津町は人口が増大しているにも関わらず一般会計予算を縮小している。これに対して、根室市は毎年400人以下だった人口減が460人台に拡大しているにも関わらず一般会計予算を3.8%拡大した。
 よく数字を見て考えて欲しい。10年後に根室は現在の中標津町の人口になるから、現在の中標津の予算規模は10年後の根室の姿ということもできるだろう。根室は10年間で一般会計予算を35億円も減らさなければならないのだ。毎年2.45%ずつ予算規模を縮小していくと10年後に根室市の一般会計予算は125.5億円になるのだが、予算規模は縮小ではなく拡大しており、ベクトルが逆だ。

 こうして中標津町と比較すると根室市が放漫財政であることがよくわかる。
 でも、この放漫予算を批判して新年度予算に反対を貫く市議(共産党を除く)は一人もいないだろう。H市長と一蓮托生の市議たち、このような市議会は存在意義がないと言わざるをえぬ。

 中標津町立病院事業特別会計の赤字について小沢弘和担当記者は次のように解説している。
「(小林実町長は・・・)ただ、町立病院への繰出金が一般会計全体の1割に達したことには苦渋の表情。「センター病院としての使命がある。地域医療を守るためにこの額を提案している」。山積みする課題と財政健全化。人口増が続くとはいえ、安穏としていられない。」

 根室も市立根室病院事業赤字が一般会計の1割に近づいている。今年度は13億円を超えるだろう。来年度はさらに膨らみそうである。病院建て替えが終われば、一般会計の1割を軽く超えてしまう。根室市に危機感はあまりないが、ツケは2年で回ってくる。もう覚悟を決めておいたほうがいい。
 職員給与の大幅カットにはじまる一般会計予算のカットがまっている。愚かなり(しっかりしろ!)根室市。
 批判がないと市政はこういう体たらくになる、たった3百数十人の「オール根室」よ、健全な批判精神を失った君たちの責任は重大だ。せめてこれ以上根室の町をミスリードするな。

  ひとつ褒めておきたいことがある。市立根室病院事業会計への平成23年度一般会計繰出金(病院事業赤字補填)予算が11.2億円組まれたことだ。22年度の当初予算より2.4億円多い**。例年の数字合わせのインチキ予算と"おさらばさらば"のようだ。いままでは人が変わっても仕事の仕方が変わらなかった。担当者の能力と勇気の問題があったが、人が変われば仕事の仕方も変わることがある。
 病院管理課長は好い加減な仕事をしてツケ回しはしないつもりのようだ。こんなことはかつてなかった、いい仕事&いい根性にみんなでエールを送ろう。公務員だってやるときはやる。


*#1395 「根室市23年度予算案:「根室再興」???」 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2011-02-25

 #1394 「放漫財政⇒「一般会計3.8%増の積極型」:7年ぶり160億円台」
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2011-02-24

**本田市議ブログ「第1回定例市議会が始まりました」
 2月23日の北海道新聞では病院事業への繰入金は11億2330万円となっていたが、本田議員のブログでは12億6142万円となっており、1億3812万円の差がある。第一回定例市議会後の報告レポートだからこちらのデータが正しいのだろうか。
 しかし、取材した数字を載せるだけだから、北海道新聞の記者がこういうデータでミスをするとも思えない。真偽が定かでないときは定かでないとしておこう。
http://nimuoro.typepad.jp/honda/2011/03/1-cf02.html


【3月4日追記】
 本田市議にコメント欄で質問をしたところ、数字は今年度(H22年度)の補正予算額とのこと。北海道新聞の記事は来年度(H23年度)予算の話であった。だからどちらの数字も正しい。
 今年度の着地見込みで予算の補正が行われるが、その際の病院事業への一般会計繰出金(赤字補填金)が12.6億円で、来年度(病院事業赤字)予算額が11.2億円ということだ。今年度は当初予算と決算見込み額に3.8億円もの差があったことになる。来年度も3億ほど不足が生ずるのだろう。
 公的会計は決算が近づくと、決算額にあわせて予算を「補正」する。民間企業では「予実差異」として適正に処理されるが公的会計はこの辺りで民間基準から言うと当初予算に粉飾まがいの処理がなされ、「予算実績差異」はゼロになってしまうから、予実差異分析すらなされない。PDCAサイクルが回せないのである。よくなるわけがないような仕組みになっているのだ。



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