【事前に知らされなかった議案】
 第3回定例市議会が終了した。公称62億円の総事業費のうち29.9億円の病院建て替え予算案が提出されることはまったく知らなかった。どうしたわけだろう、こういう重要な議案を事前に市議へ通告しなかったはずがない。市議から知らされていた、あるいは知っていた一般市民は何人いるのだろうか?私がよくみている市議のブログでも事前のアナウンスはなかった。不思議だ。
  出し抜かれたのかもしれぬ、間抜けな話だ。これでもうとめられなくなった。躊躇していた「切り札」も切るタイミングをなくした。地域医療を崩壊させかねないから、これはこれでいいのだろう。私は躊躇したが、H市長はためらいもせずに「地域医療崩壊の切り札」を切ってしまった。
 市長が言うように老健施設のベッド数を増やしても、認知症の老人や医療が必要な老人の受け皿にはなりえない3年前から全国にも稀な「療養病床ゼロの市」に根室はなっているが、これで市立病院に療養病棟を設置する可能性がなくなる
 地域医療協議会は市立病院に療養病棟を設けるべきだと提言していたが、それも無視した。H市長はどういうわけか自ら招聘した病院コンサルタントの意見も地域医療協議会の意見も無視し続けている。専門家の意見を聞かず、2倍の予算でひたすら暴走する。その背後にはいったいどういう理由があるのだろう?
 終末医療を担当する療養病棟がなければ、年老いて病を得、ふるさとを離れざるを得ない人がますます増え、家族に看取られずに亡くなっていく。これがH市長の言う「根室再興プラン」の中身だ
 コストカットをせず、経営改善プランのない建て替え強硬は一般会計で補填できないほどに実質赤字を膨らませ、市立根室病院経営を破綻へと誘うことになるだろう
 市議全員が賛成したのだろうから、根室の選択である。市民には危惧をもつ者が増えているが、市議の意識と市民の意識には市議定数削減問題と同様の大きなギャップがあるということだ。
 根室の地域医療を崩壊させかねない議案に一人も反対の市議がいなかったことが、根室の劣化を現している


【要望書と建て替え予算議案賛成の矛盾】
 9月30日に3人の市議がH市長へ「要望書」を提出していたが、回答はなかった。それどころか建て替え後の病院収支見通しも市民説明会開催も、市議会でH市長は明確に否定した。
 それにも関わらず、3名の市議は賛成にまわり、議案は満場一致で可決されたようだ。一人は手間を惜しまず分かりやすい分析資料を作成、公表してくれていただけに残念である。
 私は3名の市議を責めているのではない、よく公開要望書を出してくれたと思う。根室の市政では歴史上なかった、その勇気は褒め称えたい。ただ最後の賛成票は残念であるとしかいいようがない

【増大するリスク】
 今年度14億円、来年度は15億円をゆうに超える実質赤字を穴埋めするためにいろんなところへひずみが出るだろう。これは建て替え後増える赤字を含んでいない金額である。一般会計に余裕資金などない。市側は実質赤字補填の財源すら示すことができなかった
  報・連・相さえ欠くような拙劣な折衝によって大学医局の信頼を失いつつあるから、医師確保には暗雲が漂っている。H市長の答弁は肝心のところが語尾がハッキリせずゴモゴモと聞き取りにくかったが、取りざたされた産科医は赴任を取りやめたようだ。外科医の補充もその後情報が途絶えている。H院長が単独で動いたという以上の市長の言及はなかった。3月末までに退職が噂される医師は他に複数いる。そして大学医局との信頼関係は拙劣な交渉で切れ掛かっている。
 このままでは4月以降病院経営はさらに悪化し、年額16億円超の実質赤字ペースに陥りかねない
 一般会計で実質赤字を穴埋めできなくなれば病院経営は行き詰る。市財政が破綻する前に病院経営が破綻するリスクすらでてきた

【「天」の声】
 三人の市議の話しをしていたら、女房曰く
「このまちで信念貫いたら生きていけないでしょ」

 

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